Archive for the ‘交通事件’ Category

飲酒運転で弁護士が書類送検

2020-03-27

飲酒運転で弁護士が書類送検

飲酒運転をして物損事故を起こし、弁護士が書類送検された事件がありました。

60歳弁護士 “酒酔い運転”で書類送検 物損事故の後 現場から立ち去る 福岡市
テレビ西日本

この事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

~成立する犯罪は?~

弁護士がこのような事件を起こすのは恥ずかしい限りですが、まずは成立する犯罪を確認しておきましょう。
どれくらい酔っていたかによって、成立する犯罪は変わってきます。

呼気1リットルにつき0.15mg以上のアルコールが検出されると、酒気帯び運転の罪となります。
罰則は3年以下の懲役または50万円以下の罰金です(道路交通法117条の2の2第3号)。

アルコールの数値に関わらず、正常な運転ができない状態での運転をすると、酒酔い運転の罪となります。
罰則は5年以下の懲役または100万円以下の罰金です(道路交通法117条の2第1号)。

酒酔い運転の方が罰則が重いことからもわかるように、通常は、より強く酔っている場合に酒酔い運転が成立することになります。
しかし、酒酔い運転の方は基準値が明確に決まっているわけではないので、酒に弱い人であれば、アルコール濃度が低くても、酒酔い運転に該当してしまうおそれもあります。

これらの刑罰とは他に違反点数も引かれます。
酒気帯びはアルコール数値により13点または25点、酒酔いは35点ですので、免許停止や取消しが避けられません。
違反点数について詳しくはこちらをご覧ください↓
交通違反点数制度と一覧表

~なぜ逮捕されなかった?~

この事件で飲酒運転をした弁護士は逮捕されず、在宅事件として捜査を受けています。
なぜでしょうか。

成立する犯罪にもよりますが、逮捕するためには、その人が犯罪をした可能性が高いということの他に、逃亡や証拠隠滅をするおそれがあるという条件が必要とされています。
裁判で有罪が確定するまでは無罪が推定され、出来るだけ一般人と同様に扱うべきという原則があることから、逮捕の条件が絞られているのです。

報道によると今回の事件でも警察は、弁護士を逮捕しなかった理由について、逃亡や証拠隠滅のおそれがないと判断したからという旨を述べています。

では、逃亡や証拠隠滅のおそれはどうやって判断するのでしょうか。

まず、犯罪の重さが重要となります。
重い犯罪ほど、重い刑罰を受ける可能性が上がるため、逃げたくなったり証拠隠滅したくなるのではないかということで、逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断されやすくなります。
今回の事件の弁護士は物損事故を起こしていますが、人身事故を起こさなかったため、過失運転致死傷罪などのより重い犯罪には問われないことから、逃亡や証拠隠滅のおそれが低いと判断される事情の1つになったと思われます。

似たような事情として、前科の有無も影響してきます。
前科の内容にもよりますが、前科があると、今回はより重い処罰が予想されるので、逃亡や証拠隠滅のおそれが高まると判断されやすくなります。

また、共犯者がいるような事件では、相談して証拠隠滅をするおそれがあるのではないかと判断されることもあります。
たとえば、オレオレ詐欺や還付金詐欺などに代表される特殊詐欺などでは、グループで犯行に及ぶことから、逮捕されやすいといえるでしょう。
今回の事故はそういった共犯者がいるような事件ではないでしょうから、証拠隠滅のおそれがないと判断される事情の1つになった可能性があります。

また、被疑者の職業や家族の有無なども影響する可能性があります。
たとえば、ほとんど仕事をしていない方に比べると、安定した職業の人の方が、逃亡や証拠隠滅をしないだろうと考えられる可能性があります(どこまで正しいかはわかりませんが)。
また、家族がいる場合には、家族を捨ててまで逃亡しないだろう、あるいは家族がしっかり監督されるだろうから逃亡や証拠隠滅をしないだろうなどと判断される可能性もあります。

よくネットなどで、上級国民だから逮捕されないなどという書き込みがあります。
弁護士が上級国民かはわかりませんし、今回の事件ではそもそも人身事故に至っていないという点が、逮捕に至らなかった理由として大きいかもしれません。
しかし一般論として、身元がしっかりしている方が、逃亡や証拠隠滅のおそれが低いと判断される可能性が上がるという意味では、必ずしも間違いとは言い切れない書き込みであるともいえます。

~弁護士にご相談ください~

あなたやご家族が何らかの犯罪をしたとして逮捕された、取調べ受けたといった場合には、釈放させられるのか、逮捕を防げるのか、どんな刑事手続きが待っているのか、どれくらいの処罰を受けるのかなど、不安点が尽きないと思いますので、ぜひ一度弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスを、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用をお待ちしております。

警察官が犯人隠避罪で書類送検

2020-03-26

警察官が犯人隠避罪で書類送検

秋田県警の警察官らが、警察署職員の犯罪を隠ぺいし、犯人隠避罪(ハンニンインピザイ)で書類送検された事件がありました。

車検切れの車運転隠蔽 秋田県警警部ら4人、犯人隠避容疑で書類送検
毎日新聞

この事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説いたします。

~犯人隠避罪とは~

この事件の発端は、秋田県警の職員が、自家用車の車検が切れていることを出先で気が付きましたが、そのまま運転して帰宅したことでした。
車検が切れていることを知りながら乗り続けることは道路運送車両法に違反する犯罪であり、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金となります(同法108条1号・58条1項参照)。

しかし、車検切れと知らなければ処罰の対象外となっています。
そこで、運転した職員からの自主的な報告を受けた警察官らは、業務が増えることを避けるといった理由で、車検切れを知った後は乗っていないというウソの供述調書を作成するなどして、犯罪をもみ消してしまったのです。

しかし、この犯罪をもみ消した行為が別の警察官に発覚し、犯人隠避罪が成立するとして捜査を受けることとなったのです。
犯人隠避罪の条文を見てみましょう。

刑法103条
罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

「蔵匿」とは、場所を提供してかくまうことを言います。
「隠避」とは、蔵匿以外の方法により、捜査機関による逮捕や発見を妨げる行為を言います。

今回は、ウソの調書の作成という方法を用いているので、「隠避」に当たるということになります。

罰則は3年以下の懲役または30万円以下の罰金ですから、車検切れに気付きながら運転してしまった職員よりも重い罪に問われていることになります。

~虚偽公文書作成罪の可能性も~

また、虚偽の内容の供述調書を作成したことには、虚偽公文書作成罪も成立する可能性があります。

刑法156条
公務員が、その職務に関し、行使の目的で、虚偽の文書若しくは図画を作成し、又は文書若しくは図画を変造したときは、印章又は署名の有無により区別して、前二条の例による。

今回の事件の場合、「公務員」である警察官が、取調べをしてその内容を書面に残すという「職務に関し」、内容が正しい書面として他の警察官らに見せるといった「行使の目的で」、車検切れを認識した時点以降は運転していないという内容の「虚偽の文書…を作成」したものとして、虚偽公文書作成罪が成立する可能性もあるわけです。

罰則については、「印章又は署名の有無により区別して、前二条の例による」とあります。
供述調書には、作成した警察官の署名・押印がなされるので、署名・押印がなされた公文書の偽造に関する155条1項と同じく、1年以上10年以下の懲役ということになります。
押印や署名がある文書の方が正式な内容・手続きで作られた文書であると認識されやすく、それが虚偽だった場合の影響がより大きいということで、押印や署名がない文書の場合より重く処罰されることになっています。

~今後の刑事手続は?~

今回のニュース記事は、警察官らが書類送検されたというものです。

犯罪が起こると、①最初に警察官が捜査し、②次に検察官が捜査し、③その後に裁判が始まるというのが基本的な流れです。
書類送検というのは、比較的軽い事件で被疑者が逮捕されていない事件について、①で作られた捜査書類が、②のために検察官に送付されることを言います。

※ 逮捕されている事件について、身柄と捜査書類が両方送られることは単に「送検」と呼ばれます。

したがって今回関与した警察官らは今後、②検察官の取調べを受け、不起訴処分とならない限り、③裁判を受けるという形になるでしょう。
ただ、罰金刑で済ますのであれば、簡易な手続で罰金刑にする略式裁判の手続が採られ、公開の法廷での刑事裁判は開かれない可能性もあります。

~弁護士にご相談を~

あなたやご家族が、犯人隠避罪や虚偽公文書作成罪など何らかの犯罪で捜査を受けた、逮捕されたといった場合には、ぜひ弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスを、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用をお待ちしております。

「スマホを見ていただけなのに」では済まされない

2020-03-24

「スマホを見ていただけなのに」では済まされない

スマホゲームをしながら自動車を運転し、歩行者をはねて死亡させた事件で、懲役2年4か月の実刑判決が出されました。

ながらスマホ運転の男に実刑 新潟、ゲーム中に死亡事故
Yahoo!ニュース(共同通信提供)

この事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

~過失運転致死罪~

この運転手は、過失運転致死罪に問われていました。
条文を見てみましょう。

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律
第5条
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

この犯罪が成立するのは、わざと人を死傷させたわけではない場合ですが、それでも最長で7年の懲役となる可能性もあるわけです。

今回の判決でも、スマホを3~5秒程度見ていたと指摘し、過失の程度は重く、危険で悪質な運転だと評価して、実刑判決を下しました。

普段、犯罪とは縁のない人であっても、実刑判決を受けて刑務所に入れられる可能性があるのが交通事故です。
被害者を出さないためにも、運転には十分注意しましょう。

~ひき逃げまですると~

仮に、被害者を救助せず逃げてしまった場合、道路交通法に定められた①被害者を救護する義務と、②警察官への報告義務に違反したことになります。
それぞれ以下のような刑罰が定められています。

①救護義務違反(道路交通法72条1項前段・117条2項)
 →10年以下の懲役または100万円以下の罰金
②報告義務違反(道路交通法72条1項後段・119条1項10号)
 →3か月以下の懲役または5万円以下の罰金

①救護義務違反は、10年以下の懲役になる可能性もあるので、過失運転致死罪よりも重い罪です。
当然、実刑判決になる可能性も上がってしまいます。

人をひいてしまった場合は、気が動転するとは思いますが、被害者のためにも冷静に対処する必要があるわけです。

~お早めに弁護士にご相談を~

ひき逃げなどで逮捕されると、いつ釈放されるのか、どのくらいの罰則を受けるのか、取調べにはどう受け答えしたらいいのか等々、ご本人やご家族は不安な点が多いと思います。

また、被害者のご遺族に謝罪・賠償して示談できれば、判決が軽くなる可能性があります。
弁護士
はこのような不安点に対するアドバイスや、示談に向けたサポートをすることができますので、ぜひ一度ご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では、ご家族などから初回接見のご依頼をいただければ、拘束されている警察署等にて、ご本人に面会(接見)し、事件の内容を聴き取った上で、今後の見通しなどをご説明致します。
 接見後には、接見の内容などをご家族にお伝え致しますので、それを聞いていただいた上で、正式に弁護活動を依頼するかどうかを決めていただけます。

また、逮捕されていない場合やすでに釈放されている場合は、事務所での法律相談を初回無料を行っております。

逮捕されると一気に手続が進んでいきますので、ぜひお早めにご相談ください。

タイヤ落下死亡事故で不起訴処分

2020-03-19

タイヤ落下死亡事故で不起訴処分

トラックのスペアタイヤが走行中に落下したことを原因として母娘2人が死亡した事故で、トラックの運転手らが不起訴処分になりました。

営業所長と運転手を不起訴 中国道タイヤ落下事故で岡山地検
山陽新聞

不起訴処分となった理由について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

~過失運転致死罪などに問われた~

この事故は、走行中のトラックのスペアタイヤがキャリアの腐食により落下し、母娘2人が乗る自動車に衝突しました。

しかし母娘2人は衝突自体で死亡したのではありませんでした。
衝突後に2人が路肩に避難していたところ、後続のトレーラーが脱落したタイヤに乗り上げ横転。
これに巻き込まれた2人が死亡するという痛ましい事故でした。

この事故では、タイヤが脱落したトラックの運転手と、横転したトレーラーの運転手が過失運転致死罪に問われていました。

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律
第5条
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

また、タイヤが脱落したトラックの運送会社の所長も、トラックの整備を怠ったなどとして業務上過失致死罪に問われていました。

刑法211条
業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。

しかし、3人ともが不起訴処分となりました。

~不起訴処分とは~

そもそも不起訴処分とは何でしょうか。

犯罪が起こると、まずは警察が一通りの捜査をします。
その後、検察に事件が送られ、検察官が取調べ等の捜査をします。
そして検察官はこれらの結果を踏まえ、犯罪をしたと疑われている被疑者を、裁判にかけるか(起訴)、かけないか(不起訴)を判断します。

不起訴処分になれば、前科も付かずに刑事手続きが終わります。

不起訴処分は、①軽い犯罪などで今回は大目に見るという意味などでなされるパターン(起訴猶予)と、②そもそも犯罪をしていないと判断されたパターン(嫌疑なし)、③犯罪をしたと言い切れないと判断されたパターン(嫌疑不十分)があります。

今回、運転手2人と所長は、③嫌疑不十分を理由として不起訴処分となりました。

~不起訴処分の理由は?~

【タイヤが脱落したトラックの運転手について】
今回問題となっている過失運転致死罪は、わざとやった犯罪(故意犯)ではなく、間違ってやった犯罪(過失犯)です。
過失犯は、(A)悪い結果が生じることを予見でき、(B)その悪い結果を防ぐことも出来たのに、(C)防ぐ行動を取らなかった場合に成立します。

しかし今回は、(A)悪い結果が生じることを予見できたとは言い切れないと判断されました。
今回の事故での「悪い結果」というのはタイヤが脱落することです。
しかしスペアタイヤを取り付けているキャリアごと腐食により脱落することは、運転手が予見するのは難しいと判断されました。

絶対に予見が不可能とまでは言い切れないと判断したのか、過失運転致死罪が絶対に成立しないという②嫌疑なしとまではしなかったようですが、犯罪が成立すると言うのは困難だとして③嫌疑不十分のパターンの不起訴処分になったようです。

【後続のトレーラー運転手について】
トレーラーの運転手についてどういった理由で不起訴処分となったのか、報道からは詳しくはわかりません。

たとえば今回は、 (A)タイヤを発見後に、このまま衝突すれば事故になることを予見し、(B)減速・停止するなどにより衝突を回避できたのに、(C)回避行動を適切に取らなかった場合などに過失が認められることになります。

しかし今回の事故では、たとえば、(B)タイヤを発見してからでは衝突を避けることはどうやっても不可能な状況だった可能性があるといった理由により、③嫌疑不十分のパターンによる不起訴処分になったものと思われます。

【運送会社の所長について】
所長については、(A)スペアタイヤが脱落して事故が起こることを予見できたかが問題となります。

しかし事故当時、運送業者に義務付けられていた3カ月ごとの法定点検の項目に、スペアタイヤの固定状況は含まれていなかったことなどから、予見はできたとは言い切れないとして、③嫌疑不十分の不起訴処分となりました。

~弁護士に相談を~

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、交通事件も含めた刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。

不起訴処分無罪が見込まれる事件かどうかに関わらず、もしあなたやご家族が、交通事故などで逮捕されたり、取調べを受けるという場合には、ぜひ一度弁護士にご相談ください。
示談対応、釈放活動、取調べ対応などの必要な弁護活動をさせていただきます。

逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスを、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用をお待ちしております。

信号無視の自転車をひいて裁判に【無罪】

2020-03-14

信号無視の自転車をひいて裁判に【無罪】

信号無視の自転車をひいて死亡させ、裁判になった事件がありました。

女子高生死亡事故で男性に無罪 徳島地裁「過失なし」
Yahoo!ニュース(共同通信提供)

無罪判決が出されたということなので、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

~過失運転致死罪に問われた~

この裁判で自動車の運転手は、過失運転致死罪に問われていました。
条文を見てみましょう。

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律
第5条
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

もし有罪となれば、条文にある通り、7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金という刑罰が科される可能性があります。

今回は、自転車の側が信号無視をしたわけなので、このような重い刑罰を受ける可能性が出てくるというのは腑に落ちない気もします。
しかし、相手が交通違反をしたのが事故の主たる原因だったとしても、こちらにも非があれば(=過失があれば)、こちらも罪の問われる可能性があるわけです。

~求刑は罰金30万円だった~

とはいえ、今回の事故は自動車の運転手の側に過失が認められるか微妙なところだったようです。

刑事裁判において検察官は、裁判にかけられた被告人にどれくらいの刑罰を受けさせるべきかという意見を述べますが(求刑)、この求刑は罰金30万円でした。
今回は有罪となれば最高で懲役7年を科すことも出来る犯罪ですが、求刑自体がだいぶ軽いものだったといえます。

仮に自動車の運転手にも過失があったとしても、悪質さは低いというのが検察官と弁護人の一致した意見だったと思われます。

~過失が認められず無罪に~

そして今回の裁判、自動車の運転手の過失が認められないとして無罪となりました。

判決理由では、

①自転車が赤に従って横断を差し控えるものと期待、信頼するのが通常
②前照灯の光や反射板を踏まえても、自転車の存在を予見できたか疑いが残る

といった理由が述べられたそうです。

①は、刑事裁判で時々用いられる、信頼の原則と呼ばれる考え方を示しています。
たしかに相手が交通違反をするかもしれないと注意深く運転していれば避けられたかもしれないが、このような注意を払うのにも限界があるので、相手が交通ルールを守ることを前提として信頼して運転していれば、事故が起こっても責任を負わなくて済むこともあるという考え方です(絶対に責任を負わないということではありません)。

この①は交通事故全般に当てはまる一般論に近いことを言っていますが、②は今回の事故を具体的に検討した結果を示しています。

すなわち、今回たしかに自転車が信号無視をしていたものの、自転車のライトや反射板が光っており、自転車の存在に気が付くことができたのだから、自動車の側で事故を避けることができたのではないかといった主張が検察官からなされていたのだと思われます。
しかし裁判所としては、自転車の存在に気付いて事故を避けられたとまでは言い切れないという判断をしたということになります。

~お困りの方は弁護士にご相談を~

今回の運転手は無罪となりましたが、裁判や取調べ対応などは大変だったでしょうし、仕事などにも影響が出たかもしれません。
また、人をひいて死亡に至ったということ自体が大きな心理的負担となったことでしょう。
さらに、主たる事故原因が相手にある場合でも、こちらにも非がある(過失がある)場合には有罪となってしまう可能性もあります。

普段、犯罪と縁がない人であっても犯罪者となってしまう可能性があるのが交通事故です。
運転は慎重に行うことが重要です。

もし、あなたやご家族が交通事故を起こして逮捕されたり、警察の取調べを受けるといった場合には、いつ釈放されるのか、被害者との示談はどうすればいいのか、どのくらいの刑罰を受けることになるのか、取調べでは何と答えたらよいのか、今後の刑事手続きの流れなど、わからない点が多いと思いますので、ぜひ弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、交通事件も含めた刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスを、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用をお待ちしております。

死亡事故で無罪判決

2020-03-07

死亡事故で無罪判決

自動車で死亡事故を起こしたが、無罪判決がなされた事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【参考ニュース】
女子高生死傷事故 被告に無罪判決 前橋地裁 予見「認められず」
上毛新聞

このニュースは、運転中に意識障害に陥り、被害者が死傷する事故を起こして過失運転致死傷罪に問われたが、無罪判決がなされたというものです。
意識障害が生じることを予見できなかったとして無罪となりましたが、どういうことなのか解説していきます。

~過失運転致死傷罪が成立する条件~

今回、無罪判決が出されたということは、過失運転致死傷罪の成立条件が満たされなかったということです。
成立条件を確認するために、まずは条文を見てみましょう。

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律
第5条 自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

この条文から考えると、

①自動車の運転上必要な注意を怠り
②よって人を死傷させた

という場合に、過失運転致死傷罪が成立することになります。

②の「死傷」とは死亡と負傷をまとめた表現です。
今回の事故では事故により被害者1名が死亡、もう1名が負傷していることに争いはないので、②は明らかに満たされます。

裁判では①を満たすかどうかが争われました。

※ 条文の「ただし」以降は、被害者が軽いケガにとどまった場合に、過失運転致傷罪で有罪だけれども、懲役や罰金を免除できるというものです。今回の事故は死亡事故ですし無罪判決の事例ですので関係ありません。

~「自動車の運転上必要な注意を怠り」とは~

①自動車の運転上必要な注意を怠りという条件は、「過失があったかどうか」という言い方もできます。
この①を満たすためには、簡単に言うと、

(A)事故が起こることが予見(予想)できた
(B)事故を回避する行動を取れたのに取らなった

という、さらなる2つの条件を満たす必要があることになっています。

※ 過失運転致傷罪だけでなく、過失の有無が問題となる犯罪(業務上過失致死傷罪など)はすべて、(A)結果が予見できたか、(B)結果回避行動を取れたのに取らなかったのか、の2つが検討されます。

今回の裁判では(A)、つまり意識障害が生じて事故が起こることが予見できたか、という点が最大の争点でした。

予見できていたのであれば、(A)を満たします。
そして運転しないなどの事故を回避する行動を取れたのに取らなかったわけなので(B)も満たし、結局①が満たされることになります。
そして前述のように②も満たすので、有罪ということになります。

一方、意識障害が生じて事故が起こることを予見できなかったのであれば(A)を満たさず、結局①が満たされないので無罪ということになります。

前橋地裁は、服用していた薬の副作用による急激な血圧低下が原因となった可能性があるが、被告が医師からこのような副作用の説明を受けた証拠はないなどの理由により、意識障害が生じて事故が起こることを予見できず、(A)および①が満たされないという判断をしたことになります。

現時点で検察側が控訴するかはわかりませんが、このような理由により無罪判決が出されたわけです。

※ 条件を満たせば有罪と書きましたが、厳密には、条件を満たしても別途、責任能力がないとして無罪になる可能性があります。今回の裁判では、被告が認知症だったことからこの点も争われていましたが、そもそも上記条件を満たさない時点で無罪ですので、責任能力についての判断はなされなかったと思われます。

~交通事故でお困りの方はご相談ください~

このように、交通事故でも難しい法的判断が必要になることがあります。
仮にそれほど争いがない事故であっても、謝罪・弁償して示談を結ぶ方法や、取調べでの答え方などわからないことが多いと思います。

普段、まったく犯罪に縁がない人でも犯してしまう可能性がある犯罪は交通関係の犯罪です。
もし、あなたやご家族が交通事故を起こしてお困りの際は、弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスを、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用をお待ちしております。

あおり運転の罰則を新設へ

2020-03-05

あおり運転の罰則を新設へ

あおり運転の処罰規定の新設などを内容とする道路交通法改正案が閣議決定されたことについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【参考ニュース】
あおり運転を規定し、罰則を創設。道交法改正案を閣議決定

近年、社会問題化したあおり運転。
これまでも、あおり運転によって人身事故が起きれば、過失運転致死傷罪危険運転致死傷罪に問うことができました。

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律
第5条(過失運転致死傷)
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。
第2条(危険運転致死傷)
次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。
4号 人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為

しかし事故に至らない場合、現在の道路交通法では、急ブレーキ禁止違反や車間距離保持義務違反として反則金納付点数減点をするぐらいしかできません。
苦肉の策として、刑法の暴行罪(2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料)などに問う事例もありました。

しかし、罰則を適用しやすくするために、あおり運転そのものが処罰の対象として明確に規定されることになるようです。

~法改正の内容~

今回の改正により、急ブレーキや車間距離の不保持、急な車線変更などを、通行を妨害する目的で、交通の危険のおそれがある方法により行うと、3年以下の懲役または50万円以下の罰金となる予定です。

また、高速道路や自動車専用道路でほかの車を停車させるなどの著しい危険を生じさせた場合は、5年以下の懲役または100万円以下の罰金となる予定です。

懲役や罰金とともに、免許取消し処分になる規定も設けられるとのことです。

まだ閣議決定の段階ですが、スムーズに法改正が進めば、2022年をめどに施行されるようです。

他にも今回の改正により、75歳以上で一定の交通違反をした人に、運転技能検査を義務づけ、合格するまで免許を更新できない制度なども新設される予定となっています。

~事故を起こしたら弁護士にご相談を~

もし交通事故を起こし、逮捕された、警察の取調べを受けたといった場合には、いつ釈放されるのか、どれくらいの刑罰を受けるのか、示談はどうやって行えばよいのかなど、わからないことばかりだと思います。

ぜひ一度、弁護士にご相談いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
すでに逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスを、逮捕されていない事件では無料法律相談のご利用をお待ちしております。

ひき逃げと時効

2020-02-28

ひき逃げと時効

ひき逃げ事件と時効について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【参考記事】
ひき逃げ死亡事件 時効まであと1年「自首してください…」息子亡くした両親の涙
Yahoo!ニュース(柳原三佳さん執筆)

ひき逃げ犯人が見つからないまま時効が近付いたり、時効が成立してしまったというニュースを見ることがあるかもしれません。

この参考記事は、被害者が路上で倒れているのが発見され、その後死亡した事故に関するものです。
警察はひき逃げと判断しましたが、目撃者や証拠が乏しいためか加害者が見つかっていません。

救護義務違反(助けずに逃げた部分の罪)はすでに時効が成立し、過失運転致死罪(事故を起こして死亡させた部分の罪)についても時効が迫っているとのことです。

~成立する犯罪~

ここで、ひき逃げ事件で成立する犯罪を確認しておきます。

まずは、交通事故を起こしてしまい、被害者を死亡させたことについて、過失運転致死罪が成立する可能性があります。

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律
第5条(過失運転致死傷)
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

さらに、被害者を救助せず逃げてしまった場合、道路交通法に定められた①被害者を救護する義務と、②警察官への報告義務に違反したことになります。
それぞれ以下のような刑罰が定められています。

①救護義務違反(道路交通法72条1項前段・117条2項)
 →10年以下の懲役または100万円以下の罰金
②報告義務違反(道路交通法72条1項後段・119条1項10号)
 →3か月以下の懲役または5万円以下の罰金

~時効期間が異なる~

前述のように参考記事の事故では、救護義務違反はすでに時効が成立し、過失運転致死罪についても時効が迫っています。
犯罪によって時効期間が異なるので、このような違いが生まれています。

時効制度について詳しくはこちらをご覧ください
昔の犯罪で逮捕【時効】

このリンク先の解説を前提に説明しますと、過失運転致死罪は、①人を死亡させた罪で、②禁錮以上の刑罰が定められており、③死刑は定められていない罪で、最大で懲役7年ですので、刑事訴訟法250条1項3号により、時効期間は10年ということになります。

一方、救護義務違反報告義務違反は、被害者が死亡したか否かに関わらず成立する犯罪ですし、死亡に至る傷害は自動車がぶつかったこと自体から生じたことから、①人を死亡させた罪には当たらないこととなっています。
したがって250条2項が適用されます。
そして、救護義務違反は最大で10年の懲役ですから、4号に該当し、時効期間は7年となります。
報告義務違反は最大で懲役3か月ですから、6号に該当し、時効期間は3年となります。

したがって事故から9年が経過している参考記事の事故では、救護義務違反と報告義務違反のすでに時効は成立しており、過失運転致死罪については時効まで1年を切ったことになります。

~危険運転致死罪なら時効期間は20年~

仮に、飲酒運転で正常な運転が困難な状態で運転していたり、進行の制御が困難な速いスピードで走行して死亡事故を起こしたといった特に悪質なケースでは、より重い危険運転致死罪(自動車運転処罰法2条)が成立する可能性も考えられます。

この罪は①人を死亡させた罪で、②禁錮以上の刑罰が定められており、③死刑は定められていない罪であり、最大で20年の懲役ですので、刑事訴訟法250条1項2号により、時効期間は20年となります。
そうすると、事故から9年が経過した今回の事故でも、時効まであと11年近くあることになります。

しかし、すでに9年経過していることから、たとえ加害者がわかったとしても、当時のアルコールの数値やスピードを証明できず、危険運転致死罪を適用することは難しいと思われます。

~事故を起こしたら弁護士にご相談を~

時効が問題となっている場合に限らず、あなたやご家族が交通事故を起こした場合には、ぜひお早めに弁護士にご相談ください。
謝罪・賠償・示談締結などにより、被害者の方の被害の回復を図るとともに、加害者の方の早期釈放や軽い処分・判決に向けて活動してまいります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されていない事件では無料法律相談を、逮捕されて身柄拘束中の事件では初回接見サービスのご利用をお待ちしております。

脅迫で取調べ

2020-02-24

脅迫で取調べ

脅迫の容疑で警察から取調べを受ける場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【事例】
宮城県角田市に住むAさん。
同市内を運転中に、後続車からクラクションを鳴らされました。
カッとなったAさんは車を降りて後続車の運転席横まで行き、
「なに鳴らしてんだ、ナンバー覚えたからな、若い者連れて痛い目にあわせるぞ」
などと怒鳴りつけました。
後日、被害者からの相談を受けた宮城県角田警察署からAさんに連絡が入り、
「事情を聞きたいから角田署まで来てくれますか」
と言われました。
急に不安になったAさんは、弁護士に相談することにしました。
(事実をもとにしたフィクションです)

~脅迫罪の可能性~

クラクションを鳴らされカッとなり、脅し文句を言って怒鳴りつけたAさん。
脅迫罪が成立する可能性があります。
条文を見てみましょう。

刑法第222条1項
生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

Aさんの「なに鳴らしてんだ、ナンバー覚えたからな、若い者連れて痛い目にあわせるぞ」という言葉は、被害者の身元を特定し、複数名で暴行を加えることを想像させ、恐怖を与えるものといえます。

したがって条文の中の、「身体…対し害を加える旨を告知して人を脅迫した」に該当し、脅迫罪が成立する可能性があるわけです。

~道路交通法違反や暴行罪の可能性も~

また、後続車の進路をふさいだり、いわゆるあおり運転などもしていれば、道路交通法の急ブレーキ禁止や車間距離保持義務、安全運転義務に違反したとして、点数減点反則金納付などを強いられる可能性もあります。

また最近では、悪質なあおり運転を処罰するために、刑法の暴行罪で摘発される例もありますので注意が必要です。

刑法208条
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

~今後の刑事手続きは?~

今回のように、被疑者を逮捕せずに捜査を進める事件を在宅事件と言います。

在宅事件では、警察からの呼び出しに応じて警察署に出向き、取調べや現場検証などの捜査を受けます。
一通りの捜査が終わると、捜査書類が警察から検察に送られます(書類送検)。
書類送検を受けた検察官は、さらに取調べなどの捜査をした上で、その犯罪をしたと疑われている被疑者を、刑事裁判にかけるか(起訴)、かけないか(不起訴)の判断をします。

このうち起訴には①正式起訴②略式起訴があります。
①正式起訴されると刑事裁判が開かれ、事件によって懲役刑の実刑判決執行猶予判決罰金刑の判決を受けたり、まれに無罪判決がなされることになります。
一方、②略式起訴は比較的軽い事件でなされることが多いです。
法廷での刑事裁判は開かれず、簡単な手続で罰金を納付して終わるということになります。

さらに、より軽い事件などでは検察官が不起訴処分として、前科も付かずに刑事手続が終わる場合があります。
今回は大目に見てもらうということです。

~軽い結果を目指すには~

出来るだけ軽い結果になるためには、相手に謝罪・賠償して示談するといったことが重要です。
しかし相手にとって、脅迫した本人と示談交渉をするのは心理的負担が大きく、スムーズに進まない可能性もあります。
また、取調べにはどう対応したら良いのかといった不安も強いと思います。

刑事事件に詳しい弁護士がアドバイスさせていただきますので、ぜひ一度ご相談いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
無料法律相談を行っておりますので、ぜひご利用ください。
なお、すでに逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスをご利用ください。

交通事故で取調べ

2020-02-15

交通事故で取調べ

交通事故で人を死傷させ、警察の取調べを受ける場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【事例】
宮城県涌谷町に住むAさん。
自動車を運転中に、一時停止の標識を見落としてしまい、減速せずに直進。
歩行者をはねてしまい、1人を死亡、もう1人を負傷させてしまいました。
Aさんは駆け付けた宮城県遠田警察署の警察官により、一通りの事情聴取を受けました。
後日、再び警察署に呼ぶと言われたAさん。
心配になって弁護士に相談してみることにしました。
(フィクションです)

~過失運転致死傷罪に~

自動車を運転中に不注意で交通事故を起こした場合、被害者が負傷すると過失運転致傷罪に、死亡すると過失運転致死罪に問われる可能性があります。
条文を見てみましょう。

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律
第5条
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

この条文の1文目では、被害者の負傷と死亡を合わせて「死傷」と規定し、どちらも法定刑(法律に定められた刑罰)は同じですが、死亡の方が重い判決となる傾向にあります。
また2文目により、被害者が軽い負傷にとどまった場合には、運転者の不注意の程度なども考慮の上、刑罰が免除される可能性があります(執行猶予とは別の制度です)。

Aさんの場合には、死亡と負傷が1人ずつという結果です。
したがって、理論的には過失運転致死罪過失運転致傷罪が1つずつ成立することになります。

ただ、1つの事故で2人以上の人を死傷させた場合、重い方の過失運転致死罪の法定刑の範囲で処罰されることになるでしょう(刑法54条1項参照)。
したがって、7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金となり、刑罰が免除される可能性はありません。
執行猶予が付く可能性はありますが、猶予期間中に何らかの犯罪をした場合には、猶予が取り消され刑罰を受けることになるという点が、完全に刑罰を受けることがなくなる刑の免除と違う点です。

なお、この刑事処分とは別に、免許停止免許取消処分になる可能性もあります。
死亡事故を起こした場合、過去3年間の交通違反での処分歴がなく、今回の事故の過失(不注意の程度)が軽い場合には90日間の免許停止になりますが、それ以外の場合は免許取消となります。

詳しくはこちらのページをご覧ください。
交通違反点数制度と一覧表

~弁護士にご相談を~

今後Aさんは、自宅から警察署や検察庁に行って取調べを受けたのち、裁判所に行って裁判を受ける流れが予想されます。
このように逮捕されていない事件を「在宅事件」と言います。

在宅事件では、逮捕されないという大きなメリットがありますが、逆に裁判が始まるまでの期間は、国の費用で弁護士を付けてもらえる国選弁護人の制度を利用することができません。
しかし、取調べにはどう対応したら良いのか、謝罪や賠償、示談などはどうやったらいいのかなど、わからない点が多いと思いますので、ぜひ一度弁護士にご相談いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、交通事件を含む刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
在宅事件では無料法律相談を、万が一逮捕されている事件では初回接見サービスのご利用をお待ちしております。

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