Archive for the ‘財産事件’ Category

万引き犯人が店員を殴って逃走 事後強盗罪で逮捕

2023-07-04

万引き犯人が店員を殴って逃走 事後強盗罪で逮捕

万引き犯人が店員を殴って逃走し、事後強盗罪で逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

参考事件

宮城県富谷市に住んでいる大学生のAさんは、深夜のコンビニでお酒を万引きし、店外に出ようとしたところを店員から「万引きしましたよね」と言われ、肩を掴まれました。
万引きで捕まることをおそれたAさんは、店員の顔を殴って、そのまま逃走し自宅まで逃げ帰りました。
そしてその出来事から1週間ほどしてAさんは、大和警察署事後強盗罪で逮捕されてしまいました。
(この参考事件はフィクションです。)

事後強盗罪

参考事件のAさんは事後強盗罪の容疑で逮捕されています。
事後強盗罪は刑法第238条に「窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。」と定められています。
まず、強盗罪は暴行・脅迫を用いて財物を奪おうと適用される犯罪です(刑法第236条)。
強盗罪は、暴行や脅迫を手段として財物を強取することで成立する犯罪ですが、事後強盗罪は、窃盗の犯人が盗んだ物を取り返されたり、捕まるを免れたり、証拠隠滅するために、人に対して暴行・脅迫をすることで成立します。
事後強盗罪でいうところの、暴行・脅迫の程度は、相手方の反抗を不能若しくは困難にする程度を要しますが、これは強盗罪も同じです。

事後強盗罪の法定刑

事後強盗罪は「強盗として論ずる」とあるため、強盗罪と同じ「5年以上の有期懲役」が法定刑となっています。罰金刑の規定がないため、起訴されて有罪が確定すると、執行猶予を得ない限り、刑務所に服役しなければなりません。
また執行猶予は、言い渡される懲役刑が3年以下の場合に限られるので、事後強盗罪で起訴された場合は、何らかの減軽事由がなければ執行猶予の獲得も不可能となります。
減軽事由とは、未遂犯や、自首が成立している場合など様々ですが、被害者との示談が成立しているという事も酌量減軽事由となり、執行猶予を獲得する大きな武器となります。
また被害者との示談起訴ままでに締結することができれば、不起訴の可能性が高まりますので、事後強盗罪逮捕された場合は一刻も早く弁護士を選任し、被害者との示談交渉を開始することをお勧めします。

事後強盗罪などの刑事事件に強い弁護士

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件を中心に取り扱っている弁護士事務所です。
当事務所では、逮捕・勾留されている方のもとに弁護士が直接伺う初回接見サービスや、初回無料の法律相談のご予約を、フリーダイヤル「0120-631-881」にて、24時間、年中無休で承っております。
事後強盗事件を起こしてしまった方、またはご家族が事後強盗罪の容疑で逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部に、お気軽に、ご連絡ください。

ファミレスでの無銭飲食 詐欺罪で逮捕

2023-06-19

ファミレスでの無銭飲食による詐欺事件

詐欺罪となる無銭飲食について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

参考事件

宮城県多賀城市に住んでいる会社員のAさんは、同市内にあるファミリーレストランに来ていました。
Aさん財布を所持しておらず、代金が払えないことを知っていましたが、5000円以上の料理やドリンクを注文し、飲食しました。
その後、会計のタイミングになってAさんは店員に「車にサイフを忘れたのでとりに行きます。」と嘘をついて退店し、そのまま逃走しました。
しばらくして、Aさんが戻ってこないことを不審に思った店員が、無銭飲食されたと警察に通報しました。
その後、塩釜警察署の捜査で身元の割れたAさんは、無銭飲食による詐欺罪逮捕されました。
(この参考事件はフィクションです。)

無銭飲食

Aさんは無銭飲食したことで、詐欺罪が適用されて逮捕されています。
詐欺罪は、刑法第246条第1項に「人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。」と定められています。
詐欺罪が適用されるには、下記の一連の流れが必要です。
まず、犯人による欺罔行為(欺く行為)があり、それによって被害者が錯誤し、その錯誤に基づいて財産の処分行為が行われ、その結果犯人または第三者が財産上の利益か財物を取得する、これらが因果的につながって存在する時に詐欺罪が成立します。
そのため参考事件のAさんは、注文する段階で代金を支払う意思と能力がないにも関わらず料理を注文しているため、この行為が代金を支払う意思と能力があると店側を勘違いさせる欺罔行為に当たります。
そして店側が代金を支払う意思と能力がAさんにあると錯誤した状態で、財物である料理をAさんに交付したため、Aさんには詐欺罪が適用されます。

示談交渉

参考事件のような無銭飲食事件の場合、店側に対して食事した分の料金を支払う被害弁償を行うなどの示談交渉を行うことが、弁護活動の1つになります。
示談交渉は個人で行うことも不可能ではありませんが、被害者が個人ではなく会社などである場合、弁護士を通さなければ示談交渉に応じてもらえないというケースも存在しています。
そのため確実な示談交渉を行うためにも、詐欺事件に詳しい弁護士に相談し、弁護活動を依頼することが重要です。

詐欺事件に詳しい弁護士

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を中心に取り扱っている弁護士事務所です。
当事務所では、初回であれば無料でご利用いただける法律相談逮捕または勾留されている方のもとに弁護士が直接伺う初回接見サービスのご予約を、フリーダイヤル「0120-631-881」で承っております。
詐欺事件を起こしてしまった方、またはご家族が詐欺罪の容疑で逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部に、お気軽にご連絡ください。

コンビニ強盗が何も盗らずに逃走 強盗未遂罪で逮捕

2023-06-16

コンビニ強盗が何も盗らずに逃走 強盗未遂罪で逮捕

何も盗らずに逃走したコンビニ強盗が逮捕された事件を参考に、強盗未遂罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

参考事件

宮城県仙台市に住んでいる会社員のAさんは、コンビニ強盗することを企て、ある日の夜中、自宅から遠く離れたコンビニに行きました。
そして店内に入ったAさんは、自分以外に客がいないことを確認すると、隠し持っていた包丁を取り出し、店員に突き付けながら「金を出せ」と店員を脅しました。
しかし、店員が「金は出せない」と言って非常通報装置を押したことから、Aさんは、何も盗らずに逃走したのです。
店内に設置されている防犯カメラの映像が決め手となって、コンビニ押し入ってから1週間後に、Aさんは、強盗未遂罪で、仙台北警察署に逮捕されてしまいました。
(この参考事件はフィクションです。)

強盗未遂罪

まず、参考事件でAさん行為には強盗罪が適用されます。
強盗罪を規定している刑法第236条は「暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。」と定められています。
強盗罪の条文に「暴行又は脅迫を用いて」とありますが、この場合の暴行・脅迫は「相手方の反抗を抑圧するに足りる程度の強度」を有している必要があり、刃物などの凶器を示す行為は反抗を抑圧するに足りると判断されるでしょう。
また、「強取」とは財物を事実上支配・管理している人、つまり占有者の意思に反して財物を奪取することを意味します。

参考事件のAさんは、何も盗らずにコンビニから逃走しているため、財物を強取していませんので、強盗行為を成し遂げておらず、その場合は、強盗罪未遂罪の適用を受けます。
刑法第243条に明記されているとおり、強盗罪の未遂は罰せられるので、何も盗らずに逃走し強盗を成し遂げることができなかったAさんも、当然、強盗未遂罪の刑責を負うこととなります。

未遂罪と予備罪

刑法には強盗罪のように未遂罪が適用される犯罪もあれば、公務執行妨害や脅迫罪、横領罪のように未遂罪が適用されない犯罪もあります。
また、強盗罪を含む一部の重大な犯罪は、犯罪の実行行為に着手していなくても、その犯罪の準備することだけで予備罪として犯罪が成立するので注意が必要です。
このように刑事事件は、実際に起こした行為によって様々な条文の適用を受けるため、自身の置かれた状況を、専門的な知識無しに把握することは非常に困難です。
当事者となってしまった刑事事件の全貌や、とるべき対応を知るためにも、刑事事件に詳しい弁護士に相談し、アドバイスを求めることをお勧めします。

刑事事件に強い弁護士に相談を

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件および少年事件を中心に取り扱っている弁護士事務所です。
当事務所では、逮捕または勾留されている方のもとに弁護士が直接伺う初回接見サービスを実施しています。
また、初回であれば無料でご利用いただける法律相談も実施しています。
どちらもフリーダイヤル「0120-631-881」でご予約いただけますので、強盗事件を起こしてしまった方、または強盗事件の容疑でご家族が逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に、是非、ご相談ください。

執行猶予中の再犯窃盗事件 再度の執行猶予を獲得できるか!?

2023-05-30

執行猶予中に再犯窃盗事件を起こした場合に、再度の執行猶予を獲得できるかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

参考事件

宮城県岩沼市のスーパーで食料品を万引きしたとして、Aさんは宮城県岩沼警察署窃盗の容疑で逮捕されました。
Aさんは、過去に万引きで逮捕されたことがあり、1年前には窃盗で執行猶予判決が下されたばかりでした。
執行猶予中の再犯であり、実刑を覚悟するAさんですが、困った家族が再度の執行猶予の可能性はないかとすがる思いで弁護士に相談しに来ました。
(フィクションです)

再度の執行猶予とは?

情状によって、一定の期間その刑の執行を猶予する判決のことを「執行猶予判決」と言います。
一方、執行猶予が付かず、刑務所収容を伴う判決のことを「実刑判決」と言います。
情状により執行猶予を付すことが出来る法定条件は、以下のようになっています。


①以前に禁固以上の刑に処せられたことがなく、今回言い渡された判決が3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金である場合


②以前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行の終了又はその執行の免除を得た日から5年以内に禁錮以上の刑に処せられおらず、今回言い渡された判決が3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金である場合


③保護観察がついていない執行猶予期間中で、今回言い渡された判決が1年以下の懲役または禁錮である場合。

この③が、「再度の執行猶予」と呼ばれるものです。
「前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を猶予された者が一年以下の懲役または禁錮の言渡しを受け、情状に特に酌量すべきものがあるときも」裁判が確定した日から1年以上5年以下の期間、その執行を猶予することができると規定されています。
「情状に特に酌量すべきものがあるとき」という条件が付いているので、滅多なことでは付かないとされています。
また、はっきりとした基準があるわけではないので被疑者・被告人側に有利な事情を可能な限り主張していくことになります。
犯罪行為自体が悪質ではないこと、被害者と示談が成立していること、親族などによる今後の監督が見込めること、本人自身の真摯な反省といったことが事情として考えられます。
繰り返し万引きを行うといった窃盗事件の場合であれば、犯罪行為が病的なものに由来するのであれば、医師に診断書や意見書を書いてもらい、継続的な治療が必要であることを説得的に主張することも重要です。

執行猶予中に再度犯行を犯してしまった場合、実刑となる可能性が高くなってしまいます。
しかし、「情状に特に酌量するべきものがあるとき」には、再度の執行猶予が認められることもあります。
宮城県岩沼市の窃盗事件で、執行猶予中の犯行で、実刑となることを心配している方は、今すぐ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部にご相談下さい。
まずは、フリーダイヤル0120-631-881までお気軽にお問い合わせください。

窃盗罪(万引き)で略式命令~罰金納付の注意点など

2023-05-15

窃盗罪と略式命令につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

石巻市に住むAさん(70歳)は、普段よく買い物をするスーパーで、食料品3点を万引きしたとして保安員に現行犯逮捕され、その後身柄を宮城県河北警察署の警察官に引き渡されました。その後、Aさんは万引きの前歴2回を有していたことなどから窃盗罪で略式起訴され、裁判所から罰金20万円の略式命令を言い渡されました。その後、正裁裁判申立期間が過ぎ、Aさんには前科1犯がつきました。

(フィクションです)

窃盗罪(万引き)

万引きは窃盗罪(刑法235条)に当たる立派な犯罪です。

刑法235条
 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

そして、窃盗罪で起訴され裁判で有罪とされれば、懲役刑、罰金刑を科されます。
では、「前科」はどのような経緯で付くのでしょうか?

前科が付くまでの流れ

逮捕されてから「前科」が付くまでの流れは以下のとおりです。

逮捕 → 捜査 → 起訴(正式,略式) → 裁判(正式,略式) → 「有罪」 → 確定 → 前科

正式裁判を受けた場合は、その裁判で有罪とされ、被告人側、検察側の双方が不服申し立てができなくなった(つまり「確定」した)後付きます。
略式裁判を受けた場合は、略式命令を言い渡された後(正式に略式命令謄本の交付を受けた後)、正式裁判申し立て期間(14日間)が経過した後付きます。

罰金の納付方法と注意点 

ちなみに、言い渡された罰金は国に納付します。
具体的方法は、検察庁の「徴収係」という窓口で直接納付してもいいですし、納付書を使って最寄りの金融機関などで納付することができます。
通常、略式命令を受けた直後から納付することができます。しかし、これは仮納付といって正式な納付ではありません。仮納付期間は正式裁判申し立て期間と同様14日間とされますが、正式な納付ではないため、この期間に納付しなくても問題はありません。
問題は、略式裁判が確定した後です。この後は正式な納付となるため、納付をほったらかしにしていると身柄を拘束されるおそれもありますから注意が必要です。通常、期間は14日間とされますが、係に申し出れば期間の延長を認められることもあります。
なお、身柄を拘束されると刑事施設(刑務所など)に収容されます。これを労役場留置といいます。通常は、金5000円を1日と見立て、罰金額を除してでた日数(罰金20万円の場合は200000÷5000=20日)刑務所に収容されることになります。
罰金の分割納付は原則認められていません。

前科をを回避するには?

現実的なのは

検察官の起訴を回避すること(不起訴を獲得する)

ではないでしょうか?
検察官の起訴を回避する、すなわち、不起訴処分を獲得することができればそもそも刑事裁判を受ける必要はなく、裁判で有罪の判決を受けるおそれもないからです。
そして、不起訴処分を獲得するには、まずは被害者に精神誠意謝罪し、被害弁償、示談に向けた話し合いを進めていく必要があります。そして、被害者に被害弁償するなどして示談を成立させることができればあなたにとって有利な情状として考慮され、不起訴処分を獲得できる可能性が高くなるでしょう。

被害弁償、示談は弁護士に依頼を 

もちろん事件の当事者間でも被害弁償、示談交渉をすることはできます。
しかし、事件当事者というだけあって、感情のもつれなどから被害弁償、示談交渉がなかなかうまく進まない場合もございます。
そんなときは弁護士が力になれます。
示談交渉に関する経験、知識が豊富な弁護士であれば、適切な内容・形式で示談を成立させることができます。

逮捕の後、勾留された場合、私選の弁護士を選任していない限り国選の弁護士が選任されます。国選の弁護士も私選同様、示談交渉に当たってくれるでしょう。
しかし、特に、当初から在宅事件の場合、逮捕から勾留までに釈放された場合は注意が必要です。その場合は国選の弁護人は選任されませんから、ご自身で示談交渉を行っていただく必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、万引きをはじめとする窃盗罪などの窃盗事件をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。ご家族が窃盗罪などの刑事事件で逮捕され、前科が付くのを回避したいとお考えの方、その他でお困りの方は、フリーダイヤル0120-631-881までお気軽にお電話ください。土日・祝日を問わず、専門のスタッフが24時間、無料法律相談、初回接見のご予約を承っております。

父親の財布から現金を窃取 父親が被害届を提出…

2023-05-06

同居する父親の財布から現金を窃取して、父親が被害届を提出した場合の刑事責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

参考事件

宮城県岩沼市の実家で暮らしているAさん(35歳)は、2年ほど前に仕事を辞めてから無職の状態が続いており、最近は同居する両親からも早く仕事をするように口うるさく言われています。
そんなある日、知人から飲みに行く誘いを受けたAさんは、両親から飲み代を貸してもらうこともできず、父親の財布から現金(約5万円)を盗んだのです。
この時Aさんは、泥棒に入られたことを装うために、部屋の中を荒らしました。
そうしたところ泥棒に入られたと思った父親は、宮城県岩沼警察署に窃盗の被害を届け出たのです。
(フィクションです。)

親族相盗例

刑法235条の窃盗罪で起訴された場合、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられるおそれがあります。
しかし、刑法第244条には、親族間に関する特例として親族相盗例が定められています。
親族相盗例とは、配偶者、直系血族又は同居の親族との間で、窃盗罪、不動産侵奪罪またはこれらの未遂を犯した者については、刑を免除することです。
また、上記の親族以外の親族との間で犯した前記の罪については、親告罪となります。
親族相盗例「法は家庭に入らず」という思想に基づき設けられている特例ですので、適用されるのは、親族関係にある本人のみで、共犯者には適用されません。
ちなみに、親族とは、民法上の親族と同じで、6親等以内の血族、配偶者、3親等以内の姻族です。

親族関係の錯誤

親族相盗例は「一身的刑罰阻却事由」に過ぎません。
そのため、親族関係の錯誤は犯罪の成否に影響を及ぼさないという考えが一般的です。
つまり、父親のお金と思って盗んだが、実は、他人のお金だったというように、Aさんが親族関係を錯誤していた場合は、親族相盗例が適用されません。
今回の事件の場合、親族相盗例が適用されるのでAさんが窃盗罪で逮捕される可能性はないと思われます。

まずは弁護士に相談を

このコラムをご覧の方で、刑事事件に強い弁護士をお探しの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件を専門に扱っている法律事務所で、初回の法律相談を無料で承っております。

アルバイト先の盗難事件 自首すべきか…②

2023-04-09

~前回の続き~

「自首」と「出頭」は違う

「出頭」とは、犯罪事実や容疑者がすでに発覚している状態で、犯人自ら警察に出向くことをいい、法律的な手続きが存在するわけではありませんし、自首のような減軽措置が定められているわけでもありません。
ただし、出頭することで反省があるとして情状面で考慮される結果、刑が軽くなる可能性があります。

自首が成立するには

自首が成立するには少なくとも以下の条件が必要とされています。

①捜査機関に発覚前の事件を申告すること

自首が成立するのは

  • 犯罪事実が捜査機関に発覚していない場合
  • すでに犯罪事実が発覚していても犯人が割り出されていない場合

です。

②自己の犯罪事実を告げること

捜査機関の自己の処分に委ねることを意味します。
このことから、申告の内容が犯行の一部を殊更に隠すものであったり、自己の責任を否定するものであったりするときは、自首とはいえません。

③自発的に行われること

捜査機関の取調べを受けて自白することは自首にはなりません。
ただし、ある犯罪について取調べをされている際に、捜査機関に発覚していない他の犯罪事実を申告することは自首に当たります。

④捜査機関に対する申告であること

ここでの捜査機関というのは、検察官や司法警察員を意味します。
自主の方法は、口頭でも書面などによる場合でも構いませんし、直ちに捜査機関の支配下に入る状況にある時は、電話による自首も有効であると考えられています。

自首すべきですか

ここまでで解説したように、自首の大きなメリットは、その後の刑事罰が減刑されることです。
逆に、警察が捜査しても犯人を特定できない可能性がある場合は、自首することにって犯行を認めることになるので、減軽されるとはいえ何らかの刑事罰を受ける可能性があることがデメリットではないでしょうか。(ただし不起訴処分となった場合は刑事罰を免れることができる。)
ただ警察が捜査を開始した以上、「いつ警察に犯人であることが発覚するのか・・・」「警察に逮捕されるのでは・・・」等と不安な日々を過ごすことを考えれば自首することによって、そういった不安からは解消されるでしょう。

まずは弁護士に相談

自分の起こした事件で警察が捜査を開始したことから、自首を検討しておられる方は、刑事事件に強い弁護士に事前に相談することをお勧めします。
せっかく警察署に自ら出頭しても、状況によっては自首と認められない場合もあるので注意しなければなりませんし、絶対的に逮捕を免れるとも限りません。
宮城県登米警察署への自首を検討しておられる方は、警察署に出頭する前に刑事事件に強いと評判の「弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部」にご相談ください。

アルバイト先の盗難事件 自首すべきか…①

2023-04-07

アルバイト先の盗難事件が警察沙汰になった場合…自首すべきかどうかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

参考事件

Aさんは、登米市の居酒屋でアルバイトをしています。
Aさんは、1カ月ほど前から、他の従業員やアルバイトが更衣室として利用している事務室において、従業員、アルバイトの財布や、売り上げを保管している手提げ金庫から現金を抜き取る窃盗事件を起こしていました。
Aさんは発覚しないように、1回に盗み出すお金は少額を留めていたのですが、ある日、手提げ金庫の現金が盗まれていることに気付いた店長が、警察に通報したことから、宮城県登米警察署盗難事件として捜査を開始したようです。
Aさんは、警察に自首するべきか悩んでいます。
(フィクションです)

Aさんの行為

刑法第235条(窃盗罪)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

人の財布や、お店の手提げ金庫から現金を抜き取るAさんの行為は窃盗罪に該当するでしょう。

警察の捜査

このような事件の場合、犯行現場が従業員やアルバイト等のお店の関係者しか立ち入ることができない場所でしょうから、まず関係者以外の第三者が事務所に侵入している形跡を調べるでしょう。
おそらく事務所の鍵の管理や、店内の監視カメラの映像を捜査して、その結果、第三者の介入はないと判断すれば、その後は、内部犯行に絞って捜査が行われるでしょう。
犯行(被害)日時が特定できれば、その時間帯に事務所に出入りした人が事情聴取の対象となるでしょうが、日時の特定が困難な場合は、従業員やアルバイト全員が警察の捜査対象となり、順番に事情聴取が行われると思われます。

「自首」について

自らの犯罪行為を捜査機関に申告すれば「自首」となることは広く知られていますが、この様な行為の全てが自首として認められるわけではありません。

刑法第42条(自首)
罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減刑することができる。

この条文のとおり、自首が成立すると、裁判官の裁量により刑が減刑されることがあります。これを、任意的減刑といいます。
この様な、任意減軽の規定を設けている主な理由は

  • 犯人の悔い改めによる非難の減少
  • 犯罪の捜査及び犯人の処罰を容易にして訴訟手続きの円滑な運用に寄与

です。
そもそも自首とは、犯罪事実が捜査機関に発覚する前に、捜査機関に対して自発的に自己の犯罪事実を申告して、訴追を求めた者を意味します。
犯罪事実が発覚していても、犯人が発覚していなければ自首は成立しますが、単に所在不明であった場合には自首は成立しません。

~次回に続く~

同僚から現金を恐喝 恐喝罪ってどんな罪?

2023-03-10

同僚から現金を恐喝した事件を参考に、恐喝罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

参考事件

佐沼市に住むAさんの息子(25歳)が恐喝罪逮捕されました。
Aさんが警察官から聞いた事件の内容は、息子が会社の同僚にお金を貸していたが、全く返してもらえないので、返済を迫り、同僚の家に友人と押しかけて「一週間以内に全額返済しなければこの家に火をつけてやる。会社にもいれなくしてやる。」などと言って脅し、同僚から貸していたお金を恐喝した容疑のようです。

恐喝罪

恐喝罪は刑法249条に規定されている法律で、人から金品を脅し取ることで成立する犯罪です。

第249条(恐喝罪) 
1 人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

この条文によるとの恐喝罪の成立要件は

  • 恐喝
  • (相手方の)財物の交付

という要素から成り立っていることが分かります。

ここでいう「恐喝」とは、人に財物を交付させる手段として、人を畏怖させるような行為をすることをいいます。
恐喝罪の恐喝行為は、脅迫、すなわち人を畏怖させるような害悪を告げる行為(害悪の告知)の他、暴行を用いて相手を畏怖させる場合もありますが、暴行を用いた場合は、その程度によって強盗罪となることもあるので注意が必要です。

また恐喝罪でいうところの脅迫は、脅迫罪(刑法222条)の脅迫と異なり、生命・身体・自由・名誉・財産に対する害悪の告知に限りません。
また、脅迫それ自体で相手方を畏怖させるに足りるものでなくても、恐喝者の職業、相手方との関係性、脅迫に至るまでの経緯等に照らし、畏怖させることができる内容であればよいと解されています。

また、脅迫というためには、相手方を畏怖させたこと、すなわち、脅迫畏怖との間に因果関係が存することも必要です。

恐喝罪の罰則

恐喝罪の法定刑は「10年以下の懲役」です。
罰金刑の規定がないのが特徴です。
事実を認めている恐喝事件の弁護活動は、まずは起訴されないように活動することとなり、起訴されてしまった場合は、執行猶予の獲得を目指すようになるでしょう。
不起訴執行猶予を獲得するには、被害者との示談や、被害弁償が必至となるので、恐喝事件逮捕された方の弁護活動は、示談交渉に強い弁護士に任せるとよいでしょう。

恐喝事件に強い弁護士

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、恐喝罪をはじめとする刑事事件専門の法律事務所です。
刑事事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。

横領罪とは?横領罪の種類や窃盗・背任罪との違い~②~

2023-02-22

~昨日からの続き~

横領罪と背任罪の違い

次に、背任罪横領罪の違いは、委託者と受託者の間にある委託信頼関係を破って委託者に損害を与える行為の際に「どのような方法で損害を与えたか」です。
委託者の財物を勝手に処分(領得)する行為で損害を与えた場合は横領罪委託された職務に背いた行為で損害を与えた場合は背任罪が成立します。

例えば、友人から借りた本を勝手に売却すれば、委託者の財物を勝手に処分して委託者に損害を与えているため、横領罪が成立します。
一方で、販売担当している勤務先の会社で、会社が決めている値段よりも安い金額で商品を友人に売れば、委託された職務に背いた行為で委託者(会社)に損害を与えているため、背任罪が成立します。

横領罪の種類

横領罪とは広義的な意味であり、具体的には、単純横領罪・業務上横領罪・遺失物等横領罪の3種類に分けられます。

①単純横領罪
単純横領罪は、刑法第252条で「自己の占有する他人の財物を横領した者」に対し、「5年以下の懲役に処する」と規定されています。
前述したような、友人から借りた本を勝手に売却するような行為が、単純横領罪に該当します。

②業務上横領罪
業務上横領罪は、刑法第253条で「業務上自己の占有する他人の財物を横領した者」に対し、「10年以下の懲役に処する」と規定されています。
前述したような、会社の経理担当が会社から預かっているお金を着服するような行為が、業務上横領罪に該当します。

③遺失物等横領罪
遺失物等横領罪は、刑法第254条で「遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者」に対し、「1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する」と規定されています。
「占有を離れた他人の物」とは、路上に落ちている財布といった落とし物などを指します。
 例えば、道路に落ちていた財布を警察に届けずにネコババしようとする行為が、遺失物等横領罪に該当します。

今回の刑事事件では、Aさんは経理担当として勤務していた会社の預貯金口座から約57万円を着服しているので、横領罪の中でも業務上横領罪が成立するということになります。

横領罪の刑事弁護活動

今回の刑事事件では、Aさんは被害者である会社と示談を締結できたこともあり、結果として不起訴処分が下されて裁判にかけられないことになりました。
ただ、Aさんと会社が示談締結できたことは、Aさんが事前に刑事事件専門の弁護士に依頼して、弁護士が会社に対して示談交渉をしていたことが大きく影響しています。

当事者間では、加害者に対する怒りなどを理由に被害者は示談に応じてくれないことがほとんどです。
弁護士が介入することで示談交渉を円滑に進めることができるので、横領罪で示談交渉をする際は弁護士に依頼することをお勧めします。

宮城県の刑事事件に強い弁護士

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、横領罪による刑事事件で被害者との示談を締結して不起訴処分を獲得したり事件化を阻止した実績がある経験豊富な弁護士が在籍しています。
横領罪による刑事事件でお困りの方は、刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が提供している初回無料法律相談をご検討ください。

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