Archive for the ‘少年事件’ Category

少年の在宅事件における弁護活動

2020-06-05

少年在宅事件における弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

~事例~
宮城県登米市に住む中学生のAくん(14歳)は、市内の商業施設で盗撮をしたとして、宮城県佐沼警察署から出頭要請を受けています。
AくんとAくんの両親は、今後の流れや取調べでどのように答えればよいのかわからず、不安で仕方ありません。
警察署に出頭する前に、少年事件専門弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)

少年の在宅事件における弁護活動

あなたが何らかの罪を犯したとしましょう。
事件が捜査機関に発覚し、どうやらあなたが行ったと疑うに足りる証拠も出てきました。
捜査機関は、あなたを刑事事件の被疑者として取調べるようになります。
捜査を行うにあたって、あなたが逃亡したり、証拠を隠滅してしまうようなおそれがあると判断される場合には、捜査機関はあなたを逮捕することがあります。
しかし、逮捕の理由も必要性もないのであれば、捜査機関はあなたの身柄を拘束しないまま事件の捜査を続けます。
被疑者の身柄を拘束しないまま行う捜査を「在宅捜査」、在宅捜査となる事件を「在宅事件」と呼びます。

被疑者が少年であっても、成人の場合と同様に、逮捕されることもありますし、在宅事件となることもあります。

身柄が拘束されていない在宅事件といえども、捜査機関による取調べなどの捜査は行われます。
在宅事件の場合、身柄が拘束されていないことや、捜査の進みが身柄事件よりも遅いこともあり、少年も保護者も事の重大さを実感していないことも少なくありません。
しかし、捜査機関による違法・不当な取調べや、自己に不利な供述をしてしまうおそれもあります。
また、少年事件は、原則すべての事件が家庭裁判所に送致されますので、捜査段階から環境調整を行う必要性もあります。

1.取調べ対応

少年であっても、被疑者として捜査機関から取調べを受けることになります。
そのため、黙秘権をはじめとする権利や供述調書の意味について、少年や保護者もしっかりと理解する必要があります。
例えば、作成された供述調書の内容を確認し、少年の供述内容と異なる供述調書が作成されていた場合には、署名押印を拒否すべきです。
基本的には、素直に取調べに応じるのが良いのですが、少年の意思に反した供述がとられることのないよう留意しなければなりません。
また、違法・不当な取調べを受けた場合には、捜査機関に対して毅然として争う必要があります。

2.逮捕の回避

出頭要請に応じていた場合でも、捜査の進展や取調べの状況などによって捜査機関が逮捕に踏み切ることもあります。
身体拘束によって少年が被る不利益は小さくありません。
逮捕の可能性が考えられる場合には、捜査機関に対して、逮捕の必要性がないことを説得的に主張し、逮捕の回避に努めなければなりません。

3.被害者対応

成人の刑事事件では、被害者への被害弁償や示談が成立している場合には、起訴猶予で事件が終了するということがあります。
しかし、少年事件では、そのような効果はなく、被害者対応をしている場合でも、捜査終了後には家庭裁判所に送致されます。
だからといって、被害者対応が少年事件において何の効果もないのかと言えばそうではありません。
近年、少年審判でも被害者の意向が重視される傾向にあります。
被害者への対応を行う中で、少年が如何に事件と向き合い、被害者の気持ちを理解しようと努めたのかといった点で重要であり、少年審判の審理対象でもある要保護性の解消との関係で重視されるのです。
ですので、捜査段階から、被害者対応に着手することが求められます。

4.環境調整活動

環境調整は、少年がきちんと更生することができるように少年の周囲の環境を整えることです。
環境調整は、少年審判で審理される要保護性の解消にも重要な役割を果たします。
少年の内省を促すことの他、被害者対応や家庭環境・学校環境の調整、交友関係の見直しなど行うことは多岐に渡ります。
家庭裁判所に送致された後からでは環境調整を行う十分な時間がないこともありますので、捜査段階から着手し、じっくり丁寧に環境調整活動を行うことは望ましいでしょう。

以上のような活動を、少年や保護者だけで行うことはそう容易なことではありません。
少年事件での対応にお困りであれば、少年事件に精通する弁護士にぜひご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
無料法律相談初回接見サービスに関するお問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までお気軽にお電話ください。

自販機に放火して窃盗未遂

2020-03-20

自販機に放火して窃盗未遂

仙台市内で少年2人が、自動販売機に火を付けて現金を盗もうとしたとして、窃盗未遂の容疑で書類送検される事件がありました。

自販機を燃やし 現金盗もうとした疑い…17歳の少年2人 書類送検〈仙台市・泉区〉
Yahoo!ニュース(仙台放送提供)

成立する犯罪などについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

~窃盗未遂罪~

少年2人は、自動販売機の中の現金を盗もうとして火を付けましたが、盗めずに終わったということで、窃盗未遂罪に問われています。

刑法235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第243条
第二百三十五条から第二百三十六条まで、第二百三十八条から第二百四十条まで及び第二百四十一条第三項の罪の未遂は、罰する。

少年事件の場合はそもそも刑事手続きや処遇が成人事件と異なりますが、成人の場合は窃盗未遂罪も条文上は懲役10年にすることもできる重い犯罪です。

~放火にはならない?~

少年らは自動販売機に火を付けています。
状況によっては、建造物等以外放火罪という犯罪が成立する可能性もありました。
条文を見てみましょう。

第110条1項
①放火して②前二条に規定する物以外の物③焼損し④よって公共の危険を生じさせた者は、一年以上十年以下の懲役に処する。

実際の条文には①~④の数字は振られていませんが、建造物等以外放火罪が成立するためには、①から④の条件を満たす必要があります。
今回の事件では満たすのか検討してみます。

少年らは火を付ける行為をしたでしょうから、①放火してに該当するでしょう。
また、②前二条に規定する物以外の物とは、住居や建造物等以外の物のことを指すので、自動販売機も該当します。

しかし、③焼損とは、ある程度継続して火が燃え上がり続ける状態になることを言います。
たとえば今回、自動販売機に火を付けようとしたがそれほど燃上がらず、少し焦げたくらいで終わったのであれば、③焼損に該当しないでしょう。

また、④よって公共の危険を生じさせたとは、不特定または多数人の生命・身体・財産に対し脅威が及ぶ状態にしたことを言うとされています。
仮に今回、周りに燃え移るような建物や物がなく人もいなかったような場合や、ほとんど自動販売機が燃え上がらなかった場合には、このような脅威が生じたとはいえず、④よって公共の危険を生じさせたとは言えないことになるでしょう。

このような理由から、建造物等以外放火罪には問われていないものと思われます。

ただし、自動販売機が正常に使えない状態になっていれば、器物損壊罪は成立することになるでしょう。

第261条
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

~弁護士にご相談ください~

少年事件の手続などについて、詳しくはこちらをご覧ください。

少年事件で弁護士を雇うメリット【私選弁護人・付添人】

今回の事件の少年らは逮捕まではされていないようです。
警察が一通りの捜査を終えて、捜査資料を検察に送る書類送検の段階にあります。
この後は、検察官も必要な取調べをした後、事件は家庭裁判所に送られ、少年の処遇が決められるということになります。

もしあなたのお子さんが犯罪をしたとして逮捕されたり、警察の取調べを受けたといった場合には、今後のお子さんの人生に関わるところですので、ぜひ弁護士にご相談いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスを、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用をお待ちしております。

宮城県色麻町の少年が放火

2020-03-10

宮城県色麻町の少年が放火

色麻町で15歳の少年が自宅を放火し、家族2人が死亡した事件がありました。

少年「こんなことになるとは…」色麻町住宅全焼2人死亡 1階の少年の部屋が火元か〈宮城〉
Yahoo!ニュース(仙台放送提供)

この事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

~現住建造物等放火罪に~

この事件を知った皆さんは、少年が自宅へ放火した動機などが気になるところかと思います。
しかし、現時点では報道を見てもわからない状況なので、今回は法律的な解説をしていくことにします。

家族も住む自宅に放火して全焼させた少年には、現住建造物等放火罪が成立します。

刑法第108条
放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。

木造建築の多い我が国では、放火は人が死亡する危険も高い悪質な犯罪であるということで、殺人罪と同じ重い刑罰が定められています。

犯人が20歳以上の場合にはこの範囲内で刑罰を受けることになります。
しかし今回放火したのは15歳の少年
20歳未満の少年が犯罪をした場合には少年法が適用されるので、処分の内容や手続きが大きく異なってきます。

~少年事件の手続は?~

成人事件でも少年事件でも、犯罪をしたとして逮捕されると、警察が取調べをした後、身柄が検察庁に送られます。
リンク先の3月9日時点のニュースでも、少年は検察庁に送られた段階のようです。

この後、検察官の取調べを受けた後、成人事件の場合には地方裁判所において刑事裁判を受けるのが基本的な流れになります。

しかし少年の場合には家庭裁判所の管轄となり、全く別の手続が進んでいきます。
少年事件の場合、更生の可能性が高い、あるいは生育環境など外部的要因も大きいといった理由から、単に犯罪を責めるのではなく、環境を整えて更生させることを目指して別の制度が設けられているのです。

家庭裁判所に事件が送られると、最初に4週間程度、少年鑑別所に入れられて調査を受けることが想定されます。
少年鑑別所では、面接、心理検査、行動観察などが行われます。
その結果もふまえ、家庭裁判所調査官が中心となって、少年の非行の進み具合、家庭環境、更生のために必要な処遇等の判断が行われます。

調査官の判断をふまえ、少年審判を開くか否かの判断を、裁判官が行います。
比較的軽い事件であり、本人も反省しているなどの事情があれば、少年審判の不開始決定がなされ、前科も付かずにここで手続が終了となることもあります。
成人の事件における不起訴(起訴猶予)処分に近いものといえます。

そうでない場合は、少年審判が開始されます。

~少年審判の結果にはどんなものが?~

少年審判は、成人事件における刑事裁判にあたるものです。
少年審判
を経て、裁判官が審判結果を決めることになります。
審判結果としては以下のものが考えられます。

①不処分
少年審判が終わる頃には反省の態度が見られるようになり、再犯の可能性が低いような場合になされます。
審判不開始決定と同じく、成人事件における不起訴(起訴猶予)処分に近いものであり、ここで手続が終了となります。

②保護観察
保護観察所の指導・監督を受けつつ、少年を社会の中で生活させながら更生させていきます。
成人事件における執行猶予に近いものといえます。

③児童自立支援施設や児童相談所長などへの送致
非行性が②よりも進んでいる少年や、家庭環境に問題があるなどの事情により帰る場所がなく②の保護観察が行えない等の場合に、福祉施設に住ませつつ、社会の中で生活させ更生を目指すというものです。

④少年院送致
③よりも非行性が進んでいる少年について、原則として外出が許されない少年院で生活させ、更生させていくものです。
収容期間は刑法などの法律に書かれた懲役・禁錮の期間に拘束されません。
事件により異なりますが、平均すると1年ほどと言われています。

⑤検察官送致(逆送)
凶悪事件については、成人と同じ刑罰を受けさせるべきと判断されると、家庭裁判所から検察庁に事件が戻されます。
その後、追加の取調べなどの捜査がなされた上で、成人と同じ刑事裁判を受けるという流れになります。

今回の現住建造物等放火罪はかなり重い犯罪ですので、重い結果となることも考えられます。
しかし放火に至った原因やその後の反省の様子などをふまえ、柔軟に処遇が決められることになります。

~お困りの際はご相談を~

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
少年の更生に向けて最大限のサポートをしてまいりますので、少年が事件を起こしてお困りのご家族の方はぜひご相談ください。

傷害で少年が取調べ

2020-02-22

傷害で少年が取調べ

傷害の容疑で少年が取調べを受ける場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【事例】
宮城県仙台市に住む17歳の高校生Aくん。
同級生を殴ってケガを負わせてしまいました。
仙台中央警察署取調べを受けることになったAくん。
心配になった両親は、弁護士に相談することにしました。
(事実をもとにしたフィクションです)

~傷害罪などが成立~

同級生を殴ってケガを負わせてしまったAくん。
まずは傷害罪が成立することになるでしょう。

刑法第204条
人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

Aくんがいじめをしていた場合には、傷害罪のほかにも、脅し文句を言ったなどとして脅迫罪、嫌がることを無理やりさせたとして強要罪、脅してお金を奪ったとして恐喝罪などに問われる可能性もあります。

第222条1項(脅迫)
生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
第223条1項(強要)
生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。
第249条1項(恐喝)
人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。

~少年事件の手続は?~

子供同士のケンカであれば、加害者が被害者に謝り、学校内で処理されて大ごとにならずに済むケースも多いです。
しかし、悪質なケースなどでは警察が介入するなどの大ごととなる可能性もあります。

ここからは、警察が介入したが、逮捕まではされていないケースについて解説いたします。
※ 逮捕されたケースについてはこちらをご覧ください。

20歳未満の未成年が犯罪を行うと、まずは警察官の取調べなどの捜査を受け、続いて検察官の取調べを受けます。
ここまでの流れは、成人事件でも同じです。

その後、成人事件であれば地方裁判所や簡易裁判所での刑事裁判になりますが、少年の場合は家庭裁判所の担当となります。

家庭裁判所では、家庭裁判所調査官という人が少年と面談するといった方法により、少年の非行の進み具合、家庭環境、更生のために必要な処遇等の調査・判断が行われます。

これらの取調べや調査官面談は、日程調整の上、自宅から警察署や検察庁、家庭裁判所に出向いて受けることになります。

~少年審判の内容は?~

これらの取調べや調査官による調査の結果等をふまえ、裁判官が少年の処遇を決めることになります。

比較的軽い事件であり、本人も反省しているなどの事情があれば、少年審判の不開始決定がなされ、少年審判が開かれずに手続が終了となることもあります。
成人の事件における不起訴処分に近いものといえます。

そうでない場合は、少年審判が開始されます。
少年審判は、成人事件における刑事裁判にあたるものですが、非公開で行われます。
少年審判での審理の結果、事件によって以下のような判断がなされます。

①不処分
少年審判が終わる頃には反省の態度が見られるようになり、再犯の可能性が低いような場合になされます。
審判不開始決定と同じく、成人事件における不起訴(起訴猶予)処分に近いものであり、ここで手続が終了となります。

②保護観察
保護観察所の指導・監督を受けつつ、少年を社会の中で生活させながら更生させていきます。
成人事件における執行猶予に近いものといえます。

③児童自立支援施設や児童相談所長などへの送致
非行性が②よりも進んでいる少年や、家庭環境に問題があるなどの事情により帰る場所がなく②の保護観察が行えない等の場合に、福祉施設に住ませつつ、社会の中で生活させ更生を目指すというものです。

④少年院送致
③よりも非行性が進んでいる少年について、原則として外出が許されない少年院で生活させ、更生させていくものです。
収容期間は刑法などの法律に書かれた懲役・禁錮の期間に拘束されません。
事件により異なりますが、平均すると1年ほどと言われています。

⑤検察官送致(逆送)
凶悪事件については、成人と同じ刑罰を受けさせるべきと判断されると、家庭裁判所から検察庁に事件が戻されます。
その後、追加の取調べなどの捜査がなされた上で、成人と同じ刑事裁判を受けるという流れになります。

逮捕されていない事件は比較的軽い事件が多いでしょうから、④や⑤などの重い処分になる可能性は低いでしょう。

~弁護士にご相談ください~

お子様が事件を起こしたとして警察沙汰になってしまうと、逮捕されるのか、少年院に入れられるのか、刑事手続はどう進んでいくのか、被害者とどうやって示談がしたらよいのか、学校からはどのような処分が下されるのかなどなど、不安な点が多いと思います。

弁護士は、これらの不安に対するアドバイスのほか、捜査機関や家庭裁判所への対応を行い、お子様がしっかりとした人生を歩んでいけるようサポート致しますので、ぜひ一度ご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
無料法律相談を行っておりますので、ぜひご利用ください。
なお、すでに逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスをご利用ください。

窃盗で女子高生が逮捕【放火の疑いも】

2020-01-21

窃盗で女子高生が逮捕【放火の疑いも】

窃盗容疑で女子高生が逮捕され、現住建造物等放火罪の疑いもかけられている事件について、
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【参考事例】
窃盗容疑で女子高校生逮捕 連続放火に関連か
YAHOO!ニュース(KHB東日本放送提供)

この事件は、17歳の女子高生が仙台市泉区のコンビニで、オイル缶2本とライター2本、ガスボンベ1本を盗んだという窃盗罪の疑いで逮捕された事件です。
これらの商品が、付近の県営住宅で相次いでいた不審火の現場に落ちていたものと同じ物だったことから、放火にも関与しているのではという疑いをかけられています。

つまり、窃盗罪現住建造物等放火罪という2つの罪の責任を負う可能性があるということになります。
条文を見てみましょう。

刑法235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第108条
放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。

235条の窃盗罪は、最高で10年の懲役となる可能性が理論上はありえます。
しかし今回の被害金額は2000円程度だったようなので、これだけであれば重い判決が下るとは考えにくいです。

ところが、今回は県営住宅という「現に人が住居に使用し」ている「建造物」「放火」しているので、現住建造物等放火罪が成立することが予想されます。
命の危険が伴う犯罪であり、死刑を含めた重い刑罰が規定されていることから、一般的には重い判決となることが予想されます。

※1月23日追記
上記ニュースには県営住宅での不審火である旨が書かれていましたが、より正確には、県営住宅内にある廃棄物集積用のカゴの中の木片などにライターで火を付け、隣接する工事現場の事務所を焼いたとのことでした。
女子高生は、現住建造物等放火罪再逮捕されました。

万引き容疑の女子高校生「放火容疑」で再逮捕
YAHOO!ニュース(KHB東日本放送提供)

火が燃え移った工事現場の事務所は人が住んでおらず、放火当時に中に人もいなかったとして、少し刑罰が軽い現住建造物等放火罪での再逮捕となったのでしょう。

第109条1項
放火して、現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物、艦船又は鉱坑を焼損した者は、二年以上の有期懲役に処する。

~被疑者が未成年者の場合~

今回の事件は被疑者が17歳であり、少年法が適用される「少年」ということになります。
少年の場合、大人の事件とは大きく異なる手続がとられます。

まず、警察検察が事件を捜査する点は同じです。
その後、成人事件では地方裁判所簡易裁判所が判決を下す流れになることが1つのパターンとして考えられます。
一方、少年事件では家庭裁判所が、様々な調査の末に少年の処遇を決めることになります。

処遇の内容も、必ずしも懲役刑を受けさせるのではなく、少年院送致児童福祉施設に送るなど、各少年に合わせた様々な処遇がなされることになります。

少年事件の手続や、弁護士をどうするかといった点について、詳しくはこちらをご覧ください。
少年事件で弁護士を雇うメリット【私選弁護人・付添人】

~ぜひ弁護士にご相談ください~

少年が更生の道を歩んでいくためには、被害者に謝罪・賠償する他に、少年が抱えている生きづらさなどを取り除いていくことが重要となります。
弁護士はこれらのことについてサポートしてまいりますので、ぜひ一度ご相談いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では、ご家族などから初回接見のご依頼をいただければ、拘束されている警察署等にて、ご本人に面会(接見)し、事件の内容を聴き取った上で、今後の見通しなどをご説明致します。
接見後には、接見の内容などをご家族にお伝え致しますので、それを聞いていただいた上で、正式に弁護活動を依頼するかどうかを決めていただけます。

また、逮捕されていない場合やすでに釈放された場合には、事務所での法律相談を初回無料で行っております。

0120-631-881まで、ご連絡をお待ちしております。

身内が逮捕されたら

2020-01-04

身内が逮捕されたら

家族や親戚などの身内が逮捕された場合の対応について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【事例】
宮城県内に住むAさん。
ある日、宮城県警警察官が自宅を訪れ、
「息子さんに話を聞きたい」
と言われました。
自宅にいた息子が玄関に出てきたところ、逮捕状を示され、そのまま連れて行かれました。
また、数名の警察官が息子の部屋などを捜索していきました。
寝耳に水のAさんは、今後どうなってしまうのか心配でたまりません。
(事実をもとにしたフィクションです)

~家族にとっては突然やってくる~

弊所は刑事事件少年事件を専門としている弁護士事務所です。
弊所に依頼いただくのは、犯罪をしてしまったご本人の場合もあります。
しかし、本人が逮捕されていたり、本人が少年の場合などは、ご家族からご依頼いただくことも多いです。

本人は、犯罪をしてしまった認識を持っていることが多いですが、ご家族にとっては、警察が家に来て本人が逮捕されたり、家宅捜索をされたタイミングで初めて知ることも多いです。
全く予兆も感じずに逮捕されてしまうことも多いことから、
「まさか自分の家族が…」
と驚いたり、悲しみや不安が一気に襲ってくることになります。

~心配が尽きない~

ご家族としては、本人が悪いことをしてしまったのであれば、しっかり罪を償わなければならないことはわかりつつも、本当はやっていないんじゃないか、きつい取調べをされるんじゃないか、やったことに釣り合わない重い刑罰を受けるのではないかなど、不安は尽きない状態になってしまいます。

また、職場に解雇されるのか、学校は退学になるのか、今後の生活はどうなってしまうのか、といった心配も強いでしょう。

本人が国家資格を取ろうとしている、あるいは資格を使って仕事をしているという場合には、資格を取れなかったり、取り消される心配も出てきます。

薬物性犯罪万引きなど、一部の犯罪では依存症のような状態になってしまっており、再犯を防ぐことにも気を配る必要が出てきます。

被害者がいる犯罪では、どうやって謝罪したらいいのか、示談交渉はどうやって行えばいいのか、示談金はいくらにしたらよいのか、そもそも示談に応じてくれるのか、といった心配も出てきます。

~弁護士に相談を~

これらすべての心配事に対し、ご家族のみで対応するのは難しいでしょう。
ぜひ、専門家である弁護士にご相談いただければと思います。

本人が逮捕されている事件では、国の費用で弁護士を付けてもらえる国選弁護人の制度がありますので、こちらを利用するのも良いでしょう。

もし、万全を尽くしたい、セカンドオピニオンを聞きたいといった場合には、弊所の初回接見サービスをご活用ください。
拘束されている警察署等にて、ご本人に面会(接見)し、事件の内容を聴き取った上で、今後の見通しなどをご説明致します。
接見後には、接見の内容などをご家族にお伝え致しますので、それを聞いていただいた上で、正式に弁護活動を依頼するかどうかを決めていただけます。

また、逮捕されていない在宅事件の場合や、すでに釈放された場合には、裁判が始まるまでは国選弁護人の制度が使えませんので、弁護士の力を借りる場合には、自費で弁護士を雇う必要が出てきます。
しかし、いきなり依頼するのもご心配でしょうから、ぜひ初回無料の法律相談をご予約ください。

ご本人やご家族のその後の生活に大きく関わってくるところですので、ぜひ弁護士を最大限活用していただければと思います。

【関連リンク】
刑事手続の流れや、国選弁護人との違いなどについて、詳しくはこちらをご覧ください
逮捕事件で弁護士を雇うメリット【私選弁護人】
在宅事件で弁護士を雇うメリット【私選弁護人】
少年事件で弁護士を雇うメリット【私選弁護人・付添人】

少年事件で弁護士を雇うメリット【私選弁護人・付添人】

2019-12-29

少年事件で弁護士を雇うメリット【私選弁護人・付添人】

20歳未満の者が犯罪をした少年事件の場合には、成人よりも更生の可能性が高く保護の必要性があるなどの理由により、手続の流れや処分内容などに違いがあります。
今回は少年事件の手続の流れや、少年事件で弁護士を雇うメリット・デメリットについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

~少年事件の手続の流れ~

少年が犯罪を行い逮捕されると、まずは最大3日間、警察署等に拘束され、警察官や検察官から取調べ等の捜査を受けます。
その後、逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断されれば、さらに最大20日間、勾留と呼ばれる警察署等での身体拘束期間が続く可能性があります。

ここまでの流れは、成人事件でも同じです。

ただし少年事件では、勾留の代わりに、少年鑑別所に入れられ、少年の非行の原因の調査や、更生に向けていかなる措置を採るべきかといった調査(観護措置)がなされることもあります。

その後、事件の処理は家庭裁判所の担当に移ります。
最初に4週間程度、少年鑑別所に入れられて調査を受けることが想定されます。
その結果も踏まえ、家庭裁判所調査官が中心となって、少年の非行の進み具合、家庭環境、更生のために必要な処遇等の調査・判断が行われます。

なお、逮捕されていない少年や途中で釈放された少年については、日程調整の上で警察署・検察庁家庭裁判所に出向いて、取調べや調査官面談を受けるといった流れになります。

また、少年の中でも14歳未満の場合には、家庭裁判所ではなく児童相談所での手続きに移され、福祉的措置がとられることもあります。
さらに、犯罪そのものではなくても、家出をしたり交友関係に問題があるなどの場合にも、「虞犯少年」(グハンショウネン)として、児童相談所や家庭裁判所の手続に乗せられることもあります。

~少年審判とは?~

調査官等による調査の結果をふまえ、裁判官が少年の処遇を決めることになります。
比較的軽い事件であり、本人も反省しているなどの事情があれば、少年審判の不開始決定がなされ、前科も付かずにここで手続が終了となることもあります。
成人の事件における不起訴(起訴猶予)処分に近いものといえます。

そうでない場合は、少年審判が開始されます。
少年審判は、成人事件における刑事裁判にあたるものです。
少年審判の結果としては以下のものが考えられます。

①不処分
少年審判が終わる頃には反省の態度が見られるようになり、再犯の可能性が低いような場合になされます。
審判不開始決定と同じく、成人事件における不起訴(起訴猶予)処分に近いものであり、ここで手続が終了となります。

②保護観察
保護観察所の指導・監督を受けつつ、少年を社会の中で生活させながら更生させていきます。
成人事件における執行猶予に近いものといえます。

③児童自立支援施設や児童相談所長などへの送致
非行性が②よりも進んでいる少年や、家庭環境に問題があるなどの事情により帰る場所がなく②の保護観察が行えない等の場合に、福祉施設に住ませつつ、社会の中で生活させ更生を目指すというものです。

④少年院送致
③よりも非行性が進んでいる少年について、原則として外出が許されない少年院で生活させ、更生させていくものです。
収容期間は刑法などの法律に書かれた懲役・禁錮の期間に拘束されません。
事件により異なりますが、平均すると1年ほどと言われています。

⑤検察官送致(逆送)
凶悪事件については、成人と同じ刑罰を受けさせるべきと判断されると、家庭裁判所から検察庁に事件が戻されます。
その後、追加の取調べなどの捜査がなされた上で、成人と同じ刑事裁判を受けるという流れになります。

以上のように、警察・検察の取調べや家庭裁判所調査官の調査を経て、少年の処分が決まっていくという流れになります。

~当番弁護・国選弁護人・国選付添人~

犯罪をして捜査を受けると、わからないことが多いので、弁護士に相談したい・弁護してもらいたいという方が多いと思います。
弁護士に依頼する費用がご心配な場合には、以下の制度を利用することができます。

まず、逮捕直後の3日間は、弁護士会が運営する当番弁護という制度を利用することができます。
1度の逮捕で1回しか利用できませんが、弁護士が本人のいる警察署等に面会に行き、無料で今後の刑事手続きや予想される処分の説明、取調べを受ける際のアドバイスなどをしてくれます。

その後、勾留が付いて身体拘束が続けば、国選弁護人の制度を利用することができます。
国の費用で弁護人を付けてもらうことができ、釈放や軽い処分・判決を目指して弁護活動をしてもらえます。

事件が家庭裁判所に移った後も、事件によっては引き続き国の費用で弁護士を付けてもらえます(事件が家庭裁判所に移った後は「国選付添人」という呼び方に変わります)。
審判不開始や不処分などの軽い処分・判決を目指して、弁護活動をしてもらえます。

また、国選付添人の対象外の事件では、日本弁護士連合会が運営する少年保護事件付添援助という制度を利用することができます。
国から弁護士費用を出してもらう代わりに、弁護士会が出してくれるというものですので、費用面が心配な方は積極的に利用されるとよいでしょう。

~当番・国選のデメリットは?~

当番弁護や国選弁護人・国選付添人の制度は、自己負担なしで弁護士を利用できるという大きなメリットがあります。

しかし、デメリットもあります。

【デメリット1】
当番弁護士は勾留を防ぐための弁護活動はしてもらえません

逮捕直後に利用できる当番弁護士は、アドバイスをしてくれますが、実際に弁護活動をしてくれるわけではありません。
ですので、逃亡や証拠隠滅のおそれがないという理由を裁判官や検察官に具体的に示すなどの弁護活動をしてもらえば、勾留されずに逮捕から3日以内に釈放されたのに、弁護活動を受けられなかったので勾留され、身体拘束が長引くということもあります。
弁護活動をしてもらいたい場合には、ご家族が自費で弁護士と契約する必要があります。

また、勾留が付いてしまった後に、勾留決定を取消すための不服申し立ての手続き(準抗告)を国選弁護士にしてもらい、釈放を目指すということもできます。
しかし勾留される前の弁護活動よりもワンテンポ遅れるため、当然ながら釈放も遅れてしまいます。
その間に、学校や勤務先などに事件のことが知れてしまい、処分を受けてしまうということもありえます。

【デメリット2】
国選弁護人や国選付添人は、どの弁護士に頼むかを選ぶことはできません

国選弁護人や国選付添人は、少年や家族が好きな弁護士を選ぶことはできません。
多くの弁護士はしっかり弁護活動をしてくれると思いますが、中には不満を感じる場合もあるでしょう。

また、土日祝日や長期連休中には動かないと決めている弁護士もいます。
働き方改革が叫ばれている現代において、そのことが悪いこととは言い切れませんが、休日に動かない分、弁護活動が遅れてしまい、釈放されるのも遅くなってしまうという可能性もあります。

【デメリット3】
当番・国選は、対象事件が限られています

家庭裁判所に送致される前の段階についての制度である当番弁護士や国選弁護人は、逮捕されている事件でしか利用できません。
比較的軽い事件で、逮捕されずに在宅捜査となった場合には、弁護士のアドバイスを受けられない状態で、取調べなどに対応していかなければならなくなります。

家庭裁判所に移った後の国選付添人は、逮捕されていない事件であっても利用できる場合がありますが、死刑や無期懲役、または上限が3年を超える懲役・禁錮が定められた犯罪をした場合で、かつ裁判所が必要と認めた時に付けてもらえるといった制限があります。
付添人を付けたい場合には、自費で弁護士と契約するか、少年保護事件付添援助制度を利用して弁護士に依頼する必要があります。

少年事件において家庭裁判所は、成人事件と比べて、本人の非行の進み具合や反省度合い、生育環境等を重視する傾向があり、犯した罪の重さと処分が必ずしも比例しません。
特に、今回犯したのが軽い罪であっても、何度も犯罪や非行を繰り返していれば、少年院送致などの重い処分となる可能性が上がります。
したがって、国選付添人が付かない軽い事件であっても、付添人が不要というわけではありません。

また、子供は大人の話に合わせてしまうことが多く、警察官などの取調べにおいて誘導に乗ってしまうような形になり、真実よりも不利な内容の調書を取られてしまう可能性もあります。

したがって、弁護士によるアドバイスがとても重要となってきます。

~私選弁護人・付添人のメリット・デメリット~

自費で自ら選んだ弁護士に依頼することのメリットは、上記の裏返しとなりますが、勾留前に動いてもらえる、少年事件に詳しい弁護士に頼める、土日祝日などにも動ける弁護士を選んで頼める、といったことがあげられます。

逆にデメリットとしてはやはり、弁護士費用を用意する必要があるという点になります。
特に家庭裁判所送致前は、少年保護事件付添援助制度も受けられませんので、負担が大きくなってしまいます。

~まずは一度ご相談ください~

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
刑事事件・少年事件に特化した事務所ですので、経験豊富な弁護士が対応いたします。

ご家族などから初回接見のご依頼をいただければ、拘束されている警察署等にてご本人と面会(接見)し、事件の内容を聴き取った上で、今後の見通しなどをご説明致します。
接見後には、事件や接見の内容をご家族にお伝え致します。
合わせて、弁護士費用等についてもご説明いたしますので、それを聞いていただいた上で、正式に弁護活動を依頼するかどうかを決めていただけます。
また、逮捕されていない事件では、事務所での法律相談を無料で行っております。

今後の少年の人生に大きく関わるかもしれませんので、まずは一度、0120-631-881までご連絡ください。

凶器準備集合・結集罪で逮捕

2019-11-15

凶器準備集合・結集罪で逮捕

凶器準備集合罪や凶器準備結集罪で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【事例】
宮城県仙台市に住むAさんは、暴走族のリーダーを務め、暴力団事務所にも出入りしています。
他の暴走族のメンバーから因縁を付けられたことをきっかけとして、復讐しなければならないと考え、自分の暴走族メンバーに、凶器を持って勾当台公園に集まるよう指示しました。
これに応じたメンバーのBさんらは、鉄パイプなどの凶器を持って集まりました。
間もなく相手方となる暴走族のメンバーが到着する時間になりましたが、公園内の不審な様子を見た通行人からの通報を受けて駆け付けた宮城県警の警察官がAさんらに職務質問
そのまま現行犯逮捕されました。
(フィクションです)

~最近は少ない犯罪ですが~

今回のような事例では、凶器準備集合罪や凶器準備結集罪という犯罪が問題となります。
これらの犯罪は、凶器を持って集まるあるいは集めさせることを罰するものです。
主に学生運動が盛んであった頃によく適用されていた条文です。
最近では適用されるケースは少ないですが、事例のような暴走族や暴力団絡みの事件で問題となりえますし、政治運動に関する事例で検挙者が出るということも今後またあるかもしれません。

条文を確認してみましょう。

刑法第208条の2第1項
二人以上の者が他人の生命、身体又は財産に対し共同して害を加える目的で集合した場合において、凶器を準備して又はその準備があることを知って集合した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
第2項
前項の場合において、凶器を準備して又はその準備があることを知って人を集合させた者は、三年以下の懲役に処する。

まず、凶器を準備して集合したBさんらには、第1項の凶器準備集合罪が成立するでしょう。
凶器を準備せず、他のメンバーが準備していることも知らずに集まった場合は該当しませんが、Bさんらは自ら「凶器を準備して」集まっているのでこの条文に該当するわけです。

次に、凶器を準備させてメンバーを集めたAさんには、第2項の凶器準備結集罪が成立します。
集合させたリーダー格の人物にはより重い責任があるということで、1項と比べて罰則の上限が1年長くなり、罰金刑で済む可能性もなくなっています。

このように、まだ相手に殴りかかってさえいない段階であっても、凶器を持って集合したり、集合させた場合には、被害を未然に防ぐために逮捕され、罰せられる可能性があるわけです。

~刑事手続きの進み方~

逮捕をされたAさんらは、最初に最大で3日間、警察署の留置所等に入れられます。
そして、証拠隠滅や逃亡のおそれがあるとして検察官が勾留(こうりゅう)を請求し、裁判官が許可すれば、さらに最大20日間の身体拘束がされる可能性があります。
弁護士は事件を受任すると、まずは弁護士の意見書やご家族の上申書を裁判所や検察庁に提出するなどして、勾留を防ぎ早期釈放を目指すことになります。

釈放された場合もされない場合も、その後検察官が被疑者を刑事裁判にかけると判断すれば(起訴)、刑事裁判がスタートします。
そして無罪や執行猶予とならない限り、刑罰を受けることになります。
比較的軽い事件では、検察官が不起訴処分とし、前科も付かずに事件が終了することもあります。
起訴するとしても、凶器準備集合罪の場合には、簡易な手続で罰金刑にする略式起訴がなされることもあります。

弁護士としては、ご本人が反省していること、前科がない(少ない)こと、計画性に乏しい犯罪だったこと、重い結果となるとご本人の将来への影響が大きすぎる事情などを主張して、出来るだけ軽い結果となるよう活動していきます。

なお、Aさんらが20歳未満だった場合には手続きが異なってきますので、詳しくはこちらをご覧ください。
https://sendai-keijibengosi.com/syounensinpan/

~すぐに弁護士にご相談を~

逮捕されると、いつ釈放されるのか、前科が付いてしまうのか、どれくらいの刑罰を受けるのか、取調べにはどう対応したらよいのかなど、不安点が多いと思います。
逮捕されると手続きも一気に進んでいきますので、ぜひお早めにご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などから初回接見のご依頼をいただければ、拘束されている警察署等にて、ご本人に面会(接見)し、上記の不安点などについてご説明いたします。
接見後にその結果をご家族にご報告致しますので、報告を聞いていただいた上で、正式に弁護活動を依頼するかどうかを決めていただけます。

また、逮捕されていない場合やすでに釈放された場合には、弁護士事務所での法律相談を初回無料で行っております。

凶器準備集合・結集罪などで逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひ一度ご連絡ください。

宮城県での器物損壊で少年が逮捕

2019-10-29

宮城県での器物損壊で少年が逮捕

器物損壊罪で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【事例】
宮城県石巻市の住む高校2年生のAくん。
リサイクルショップで購入した物が思いのほか品質の低いものであったことから、返品をお願いしたところ、相手にされませんでした。
頭に来たAくんは後日、店を訪れ、いくつかの商品に汚れを付けるなどの行為をしました。
後日、石巻警察署の警察官がAくんの家を訪れ、Aくんは逮捕されました。
(フィクションです)

~器物損壊罪~

腹いせから、お店の商品を汚すという行為に出てしまったAくん。
この行為には、器物損壊罪が成立してしまう可能性があります。

刑法261条
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

この条文のうち、「他人の物を損壊し」にあたれば、器物損壊罪が成立するということになります。

※ちなみに「傷害した」というのは、動物にケガをさせたり死亡させた場合に成立する動物傷害罪の規定です。

「損壊」とは、物の効用を害するすべての行為を指します。
したがって、叩き壊すなどの行為はもちろんのこと、事実上使えない状態にすれば、物としての効用を発揮できないわけですから、「損壊」に該当します。
古くは、食器に放尿した行為について、心理的に使うことができなくなったとして「損壊」に当たるとした判例もあります。

今回のAくんの場合、商品に汚れを付けました。
一瞬で消せる程度の汚れであれば、物としての効用を害したとまでは言えないという場合もあるかもしれませんが、基本的には「損壊」に該当すると考えた方がよいでしょう。

~少年事件の手続の流れ~

少年事件の手続の流れはこちらをご覧ください
https://sendai-keijibengosi.com/syounensinpan/

大人の事件と同様、まずは最大で23日間身体拘束がされ、取調べ等の捜査を受ける可能性があります。
また、勾留の代わりに少年鑑別所での観護措置が採られ、少年の非行の原因の調査や、更生に向けていかなる措置を採るべきかといった調査がなされることもあります。

その後、家庭裁判所調査官による面談等により、さらにいかなる処遇にすべきか調査がなされます。
その結果、軽微な事件で、少年が反省しているといった事情があれば、少年審判が開始されずに、ここで手続が終了することもあります(成人事件での不起訴処分に近いものです)。

一方、少年審判が開かれた場合、どのような処分結果が予想されるかについてはこちらをご覧ください。
https://sendai-keijibengosi.com/syounen_syuukyoku/

なお、途中で釈放された場合には、自宅から家庭裁判所に出向いて、調査官の面談や少年審判を受ける流れになります。

~少年の更生のためにご相談を~

弁護士としては、早期釈放や軽い処分になるよう弁護活動を致します。
警察・検察への対応、家庭裁判所での調査・審判に向けた対応の他、少年に何らかの処分を行う可能性のある学校への対応などを行うこともあります。
今後の少年の人生に大きく関わりますので、ぜひ一度弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、少年事件や刑事事件を専門に扱っている弁護士事務所ですので、経験豊富な弁護士が対応いたします。

ご家族などから初回接見のご依頼をいただければ、拘束されている警察署等にて、ご本人に面会(接見)し、上記の不安点などについてご説明いたします。
接見後にその結果をご家族にご報告致しますので、報告を聞いていただいた上で、正式に弁護活動を依頼するかどうかを決めていただけます。
また、逮捕されていない場合やすでに釈放された場合には、弁護士事務所での法律相談を初回無料で行っております。

器物損壊罪などで逮捕された、捜査を受けているといった場合には、お早めにご連絡ください。

宮城県の強盗少年が逮捕

2019-09-30

宮城県の強盗少年が逮捕

少年による強盗事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【事例】
宮城県東松島市
に住むAくん。
スーパーで万引きをしようとして商品をカバンに入れ、店を出ました。
しかし追いかけてきた警備員から、
「待ちなさい」
と声をかけられました。
逃げ出そうとしたAくんでしたが、警備員から腕を掴まれました。
捕まるわけにいかないと考えたAくんは、警備員を殴って骨折の大ケガをさせ、そのすきに逃げ出しました。
しかし、防犯カメラの映像等からAくんの犯行が発覚。
Aくんは石巻警察署の警察官によって逮捕されました。
(事実をもとにしたフィクションです)

~事後強盗致傷罪に~

Aくんの行為は、商品をカバンに入れて店を出た時点では、窃盗罪が成立する程度のものでした。

刑法第235条(窃盗)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

もちろん窃盗罪も、重い犯罪ではあります。
しかし、警備員を殴ってケガをさせたAくんには、さらに重い事後強盗致傷罪が成立してしまいます。

第238条(事後強盗)
窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。
第240条(強盗致死傷)
強盗が、人を負傷させたときは無期又は六年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。

Aくんの行為はまさに、238条の事後強盗罪に該当します。
そしてケガをさせてしまったので、さらに重い240条の強盗致傷罪に該当してしまうのです。

~少年事件の手続きの流れ~

逮捕されたAくんは、まずは最大3日間拘束され、取調べ等の捜査を受けます。
その後、逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断されれば、さらに最大20日間、勾留と呼ばれる身体拘束期間が続く可能性があります。
勾留の代わりに、少年鑑別所での観護措置が採られ、少年の非行の原因の調査や、更生に向けていかなる措置を採るべきかといった調査がなされることもあります。

その後、家庭裁判所に送られ、家庭裁判所調査官が中心となって、さらに少年の非行の進み具合、家庭環境、更生のために必要な処遇等の調査を行います。

なお、逮捕されていない少年や途中で釈放された少年についても、家庭裁判所に出向いて家庭裁判所調査官による面談を受けるなどの調査が行われます。

~少年審判とは?~

調査官等による調査の結果、比較的軽い事件であり、本人も反省しているなどの事情があれば、少年審判の不開始決定がなされ、前科も付かずにここで手続が終了となることもあります。
成人の事件における不起訴(起訴猶予)処分に近いものといえます。

そうでない場合は、少年審判が開始されます。
少年審判は、成人事件における刑事裁判にあたるものです。
これまでの前科・前歴や反省態度、家庭環境等によりますが、Aくんの場合、少年審判の結果としては以下のものが考えられます。

①不処分
少年審判が終わる頃には反省の態度が見られるようになり、再犯の可能性が低いような場合になされます。
審判不開始決定と同じく、成人事件における不起訴(起訴猶予)処分に近いものであり、ここで手続が終了となります。

②保護観察
保護観察所の指導・監督を受けつつ、少年を社会の中で生活させながら更生させていきます。
成人事件における執行猶予に近いものといえます。

③児童自立支援施設や児童相談所長などへの送致
非行性が②よりも進んでいる少年や、家庭環境に問題があるなどの事情により②の保護観察が行えない等の場合に、福祉施設に住ませつつ、社会の中で生活させ更生を目指すというものです。

④少年院送致
③よりも非行性が進んでいる少年について、原則として外出が許されない少年院で生活させ、更生させていくものです。
収容期間は刑法などの法律に書かれた懲役・禁錮の期間に拘束されません。
事件により異なりますが、平均すると1年ほどと言われています。

~少年の将来のためにご相談を~

弁護士は、早期釈放や軽い審判結果を目指しつつ、少年の更生に向けた環境作りのために活動してまいります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件や刑事事件を専門に扱っている弁護士事務所ですので、経験豊富な弁護士が対応いたします。
今後の少年の人生に大きく関わりますので、初回接見無料の法律相談をぜひ一度ご利用ください。

« Older Entries Newer Entries »

keyboard_arrow_up

0120631881 問い合わせバナー LINE予約はこちら