Archive for the ‘刑事事件’ Category

壁に落書きをして逮捕、壊さずに建造物等損壊罪となるケース

2023-10-04

壁に落書きをして逮捕、壊さずに建造物等損壊罪となるケース

建造物損壊罪と「損壊」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

参考事件

宮城県仙台市に住んでいるAさんは、同市内にあるマンションに来ていました。
Aさんは事前に用意していた落ちにくい黒色の塗料を取り出すと、マンションの壁に塗料で落書きしました。
Aさんはそのまま帰りましたが、マンションの住人が落書きに気付き、マンションの管理人に相談して被害届を提出することになりました。
その後、仙台東警察署の捜査でAさんの身元は特定され、建造物等損壊罪の容疑で逮捕されました。
(この参考事件はフィクションです。)

建造物損壊罪

刑法第260条には「他人の建造物又は艦船を損壊した者は、5年以下の懲役に処する。よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。」と定められており、これが建造物損壊罪及び同致死傷)の条文です。
この条文の建造物とは、屋根のある壁もしくは柱に支えられて土地に定着している、内部に人が出入りしうる家屋その他これに類似する建造物のことです。
そのため参考事件で被害にあったマンションは「他人の建造物」となります。
損壊についてですが、これは壊すことだけを指すものではありません。
建造物等損壊罪における「損壊」とは「物の効用を害する一切の行為」です。
そのためは破壊、破損させること以外に、心理的に使用できない状態にする、外観や景観を著しく損なわせることも「損壊」となります。
また、損壊の程度は原状回復が容易でない状態である必要があります。
このことからマンションの壁に落ちにくい塗料で落書きする行為は、壁の外観を損なわせ回復が容易でない状態に損壊させる行為となり、Aさんには建造物等損壊罪が適用されました。

示談交渉

参考事件のような建造物等損壊事件ではマンションの持ち主に対する示談交渉が重要になります。
示談交渉を締結させることができれば減軽が望め、執行猶予を取り付けたり不起訴処分を獲得したりできる可能性があります。
そのためには速やかな示談の締結が重要であるため、弁護士に相談し弁護活動を依頼することをお勧めします。
弁護士を通さずに被害者と直接会って示談交渉をする場合、かえってこじれてしまうケースもあるため、的確な対応をとるためには弁護士にアドバイスを受けることが大切です。
また、弁護士を通さなければ示談に応じてもらえないこともあり得るので、刑事事件に詳しい弁護士のサポートが早期の示談締結の鍵になります。

刑事事件の際は当事務所に相談を

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
当事務所のフリーダイヤル「0120-631-881」では、初回無料の法律相談逮捕・勾留された方のもとに弁護士が直接赴く初回接見サービスのご予約を受け付けております。
建造物損壊事件を起こしてしまった、またはご家族が建造物損壊罪で逮捕されてしまった際には、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部に、是非、ご連絡ください。

護身用のナイフを携帯 銃刀法違反で在宅捜査

2023-07-16

護身用のナイフを携帯していたとして、銃刀法違反で在宅捜査を受けている事件を参考に、銃刀法違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

参考事件

宮城県本吉郡に住んでいる無職のAさんは、新聞などで物騒な事件が報道されているために、普段から外出する際に、刃渡り7センチほどのサバイバルナイフを護身用としてカバンに入れて持ち歩いています。
そんなある日、友人と酒を飲んだ帰りに夜道を歩いていたAさんは、パトロールしていた南三陸警察署の警察官に呼び止められ、職務質問を受けました。
そしてカバンの中に入れていた護身用のサバイバルナイフが見つかってしまったのです。
Aさんは警察官に対して、護身用で持ち歩いているナイフだと説明しましたが、警察官から「護身用でも銃刀法違反に抵触する。」と言われて検挙されてしまい、その後は銃刀法違反の容疑で在宅捜査を受けています。
(この参考事件はフィクションです。)

銃刀法違反

Aさんが検挙された銃刀法とは、「鉄砲刀剣類所持等取締法」という法律の略称で、この法律では、銃砲、刀剣類等の所持、使用等に関する危害予防上必要な規制等について定められています。
参考事件の場合、Aさんの違反した銃刀法の条文は以下の通りです。

銃砲刀剣類所持等取締法第22条
何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、内閣府令で定めるところにより計つた刃体の長さが6センチメートルをこえる刃物を携帯してはならない。ただし、内閣府令で定めるところにより計つた刃体の長さが8センチメートル以下のはさみ若しくは折りたたみ式のナイフ又はこれらの刃物以外の刃物で、政令で定める種類又は形状のものについては、この限りでない。

この条文における「携帯」は直接手に持ったり身体に帯びたり、それに近い状態で現に携えている状態を言い、覚醒剤取締法等でいうところの「所持」の概念よりかは範囲が狭まりますが、Aさんのように、カバンの中に入れて持ち運んでいる行為は「携帯」と言えるでしょう。
また「業務」は、人が職業その他社会生活上の地位に基づいて、継続して行う事務又は事業のことを指します。
そして「正当な理由」とは社会通念上の正当な理由であり、例えば店で購入して自宅に持ち帰る途中や、修理に出すために持ち運んだりすることは、正当な理由と判断されるでしょうが、キャンプで使うからという理由で、常に車に入れていると、キャンプへの行き帰りの道中以外では、正当な理由と判断されない場合があるので注意が必要です。
参考事件でAさんは護身用と説明していますが、残念ながら街中で護身のために刃物を携帯する行為は正当な理由には当たらないと判断される可能性が高いでしょう。
そのため6センチ以上のサバイバルナイフを持ち歩いていたAさんは、銃刀法第22条に違反したことになるでしょう。
また、Aさんに適用される法定刑は「2年以下の懲役又は30万円以下の罰金」です(銃刀法第31条の18第2項第2号)。

銃刀法違反の弁護活動

参考事件のように銃刀法違反となってしまった場合に不起訴処分や減刑を獲得するためには、事件を起こしたことを深く反省していること、2度と同じことが起こらないように再発防止に努めていることなどを主張する必要があります。
また起訴を回避したい場合は、検察官が起訴することを決定する前に、弁護活動を始める必要があるため、銃刀法違反事件を起こしてしまった場合は、速やかに刑事事件に詳しい弁護士に相談することが必要です。

刑事事件に詳しい弁護士への相談

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を中心に取り扱っている弁護士事務所です。
当事務所では、初回無料の法律相談逮捕または勾留されている方のもとに弁護士を派遣する初回接見サービスのご予約を、フリーダイヤル「0120-631-881」で受け付けております。
銃刀法違反事件を起こしてしまった方、またはご家族が銃刀法違反により逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部に、お気軽にご連絡ください。

現住建造物等放火罪で起訴 裁判員裁判に強い弁護士

2023-07-07

現住建造物等放火罪で起訴された事件を参考に裁判員裁判について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

参考事件

宮城県岩沼市に住んでいる無職のAさんは、1ヶ月ほど前に、焼身自殺しようと企て、自分が住んでいるアパートのカーテンにライターで火を着けましたが、炎が部屋の壁に燃え移り煙が上がったことから、アパートの住民が119番通報し、駆け付けた消防隊員によってAさんは救出されました。
しかし火災はすぐには消火されず、最終的にアパートを半焼してしまい、Aさんは、搬送先の病院で治療を受けた後に、岩沼警察署現住建造物等放火罪の容疑で逮捕されました。      
そして、20日間の勾留を受けた後に現住建造物等放火罪で起訴されたAさんは、弁護人から、今後の刑事裁判が裁判員裁判となることを聞きました。(この参考事件はフィクションです。)

現住建造物等放火罪

現住建造物等放火罪は、「放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。」と刑法第108条に定められています。
建造物とは、屋根があり壁または柱によって支えられ土地に定着し、その内部に人が出入りし得る家屋、またはこれに類似する建造物と定義されています。
また現に人が住居に使用しているとは、犯人以外の人が起臥寝食の場所として日常使用することを意味し、放火犯人以外の人が日常起臥寝食に使用していれば、放火当時に人が現在していなくても現住建造物等放火罪が成立します。ちなみに現に人がいるとは、犯人以外の人間が建造物内に現存することを意味します。
ちなみに現住建造物等放火罪が既遂に達する「焼損」とは、火が媒介物を離れて、建造物などの一部が独立して燃え続ける状態(独立燃焼説)で、参考事件の場合だと、カーテンに火をつけただけではまだ既遂に達したとはいえず、カーテンにつけた火が、アパートの壁に燃え移って独立しても燃え始めた時点で現住建造物等放火罪の既遂に達します。

裁判員裁判

現住建造物等放火罪の法定刑は「死刑又は無期若しくは5年以上の懲役」であるため、起訴されると裁判員裁判が開かれます。
裁判員裁判ではランダムで選ばれた一般の国民が、裁判員として裁判に参加します。
一般の方が裁判員となる形式であるため、裁判官、検察官、弁護士は裁判の前に事件の争点を明確にする手続きをとります。
これを公判前整理手続といいます。
また、裁判員裁判では裁判員の選任手続にも弁護士は立ち合います。
これは裁判を公平に行うために裁判員候補者をチェックし、被告人に不利または不公平な裁判をするおそれのある裁判員の選出を阻止するためです。
このように裁判員裁判では通常の裁判とは異なった手続きがとられます。
参考事件のような裁判員裁判の対象となる事件の当事者となった場合、裁判員裁判の経験と知識を備えた弁護士に弁護活動を依頼することが重要です。

裁判員裁判に詳しい弁護士

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件を専門に取り扱っている弁護士事務所です。
当事務所では法律相談を初回であれば無料で申し込むことができます
また、逮捕されてしまった方のもとに弁護士が直接伺う初回接見サービスも実施しております。
放火事件を起こしてしまった方、または裁判員裁判の対象となる事件を起こしてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部にご相談ください。
0120-631-881」のフリーダイヤルで、ご連絡をお待ちしております。

中学生を自宅に泊め 未成年者誘拐罪で逮捕

2023-06-28

中学生を自宅に泊め 未成年者誘拐罪で逮捕

中学生を自宅に泊めたとして、未成年者誘拐罪で逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

参考事件

宮城県大崎市に住んでいる大学生のAさんは、SNSで知り合った中学生のVさんを自宅に招いていました。
帰りの時間が迫りVさんが帰ろうとすると、Aさんは「今日は家に泊まったらどう」と言って引き留め、Vさんを自宅に泊めました。
しかし、Vさんは両親に泊まることを連絡しなかったため、両親はVさんが帰ってこないことを心配し、警察に捜索願を出したようです。
その後、捜索していた古川警察署の警察官が大崎市内にある駅付近でAさんとVさんを発見し、Aさんを未成年者誘拐罪の容疑で現行犯逮捕しました。

未成年者誘拐罪

刑法第224条では「未成年者を略取し、又は誘拐した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。」と未成年者略取罪未成年者誘拐罪の二つの罪が定められており、両者を合わせて略取誘拐罪、または拐取罪と言うことがあります。
どちらも、未成年者を現状置かれている生活環境から離脱させ、自己または第三者の事実的支配下に置くことで成立する犯罪ですが、用いられる手段が異なります。
暴行や脅迫等の強制手段を用いるなど人の意思を抑制して行う場合が「略取」で、欺罔・誘惑・甘言など人に誤った判断をさせて行う場合が誘拐とされています。
参考事件のAさんの場合は、暴行・脅迫などを用いてVさんの意思を抑制していないので未成年者略取罪となる可能性は低いでしょうが、「今日は家に泊まったらどう」とVさんに言っているので、このAさんの言葉によってVさんが誤った判断をしている可能性があり、未成年者誘拐罪が成立する可能性は高いでしょう。
ちなみに、未成年者略取罪や、未成年者誘拐罪は、拐取された未成年者の自由と共に、親権者の保護監督権を保護法益とした法律です。ですから今回の事件のように、例えVさん(未成年者)の同意があったとしても、親の同意がなければ未成年者略取罪や誘拐罪が成立するので注意が必要です。

未成年者誘拐罪の弁護活動

未成年者誘拐罪は親告罪であるため、被害者側の告訴がなければ検察官は起訴ができません(刑法第229条)。
そのため、未成年者誘拐罪の弁護活動で、重要になるのは被害者側との示談交渉です。
起訴されるまでの示談交渉で、被害者側に告訴を取り下げてもらうことができれば、必ず不起訴処分を獲得できるのですが、未成年者誘拐罪は被害者側の処罰感情が強い傾向にあるため、こういった刑事事件の弁護活動に強い弁護士に示談交渉を任せた方がよいでしょう。

未成年者誘拐罪に詳しい弁護士

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う弁護士事務所です。
当事務所では、初回無料の法律相談初回接見サービスのご予約を、フリーダイヤル「0120-631-881」にて年中無休、24時間受け付けておりますので、未成年者誘拐事件の当事者となってしまった、またはご家族が未成年者誘拐の容疑で逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部に、是非、ご連絡ください。

脅迫罪で書類送検(送致)されたら…今後はどうなるの?

2023-06-04

もし脅迫事件で書類送検されたら

脅迫事件書類送検された場合、その後の手続き等について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

刑事事件例

宮城県栗原市に住むAさんは,ネット掲示板において、特定のある芸能人に対して,「硫酸をかけるぞ」などと脅迫する文章を記載しました。
その後,Aさんは警察に「ネット掲示板に脅迫文を書いた件で話を聞きたい」と言われ,取調べを受けました。
数回の取調べを受けた後,Aさんは警察に「警察での取調べはこれで終わり。後は書類送検するから。」と言われました。
警察の取調べだけで終わると勘違いしていたAさんは,今後どうなってしまうのか不安となり,脅迫事件書類送検についてインターネットで調べています。
(刑事事件例はフィクションです。)

書類送検されたらどうなってしまうのか

書類送検とは,脅迫事件を捜査する担当者が警察官から検察官に代わることをいいます。
書類送検という名前の通り,脅迫事件に関する事件記録「書類」を,警察官から「検」察官に「送」り,脅迫事件の捜査を検察官に引き継いでもらう手続きとなります。

書類送検は,刑事訴訟法において「検察官への事件送致」(刑事訴訟法246条)という名前で規定されています。
今見た通り,書類送検は,それ自体が脅迫事件を起こしたことに対する刑罰ではなく,警察・検察内部の手続きといえます。

ところで,なぜ脅迫事件を捜査する担当者が警察官から検察官に代わるのかというと,脅迫事件の被疑者の方に刑罰を科そうと思ったときには,脅迫事件の被疑者の方を刑事裁判にかけて有罪判決を得なければなりませんが,その刑事裁判にかける権限(起訴権限)を持っているのは検察官だけであるからです。

そして,書類送検がされると,脅迫事件の捜査の担当者が脅迫事件を刑事裁判にかける権限を持っている検察官に代わるわけですから,脅迫事件で刑事裁判にかけられてしまう可能性があるといえます。

書類送検されても,弁護士を雇えば安心

以上のように,書類送検がされると,刑事事件の手続きが一つ進み,脅迫事件で起訴するのか(起訴処分),それとも起訴しないのか(不起訴処分)を決める検察官に捜査担当者が代わることになります。

脅迫事件で起訴されてしまうと,日本の司法制度では高確率で有罪判決が下り,いわゆる前科になってしまいますが,不起訴処分で事件が終われば前科は付かずに済みます。
そのため,この検察官によって行われる脅迫事件に関する捜査,取調べに適切に応じることができるかどうかということがとても重要になります。

しかし,検察官による脅迫事件に関する捜査,取調べにどのように応じればよいのか,不起訴処分にしてもらうにはどのような話をすればよいのか,示談はした方がよいのかなど,刑事事件にあまり接点のない被疑者の方にとっては分からないことがたくさんあると思います。

そんなご不安を取り除くのが弁護士です。
弁護士は,検察官による捜査,取調べが行われる前に,どんなことが聞かれるのか,どう答えればよいのか,自分からはどんな話を積極的にすればよいのかなど,脅迫事件の被疑者の方に詳しく助言し,検察官による捜査,取調べに安心して臨むことができるようにサポートします。
その他にも,示談についてなど,脅迫事件に関するご質問を受けた場合は,丁寧に,かつ,速やかにご回答します。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は,刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
もし脅迫事件書類送検されたら,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部までご相談ください。

SNSのデマ投稿 問われる刑事責任は…?

2023-05-18

インターネットの利用が当たり前となった現代では、若者からお年寄りまで、幅広い年齢層の人たちがSNSを利用しています。
そんな世の中で大きな社会問題となっているのが、利用者のモラルです。
今回のコラムでは、SNSのデマ投稿にスポットをあて、SNSのデマ投稿をした場合に問われる刑事責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
なお本日のコラムは、5月18日の讀賣新聞朝刊を参考にしています。

ネット上の誹謗中傷

皆さんご存知のとおり、SNSの普及で、ネット上の誹謗中傷被害は深刻になっています。
何かSNS上で注目を浴びてしまうと、すぐに個人情報が特定されて、真実であるか否かを問わずに様々な情報が飛び交います。
つい最近では、プロ野球のホームランボール巡るトラブルで当事者の男性が、SNS上で個人情報を晒さるといった事件が発生したばかりです。
こういったネット上の誹謗中傷が刑事事件に発展した場合に適用される法律が、脅迫罪や、名誉毀損罪、侮辱罪です。

刑法第222条1項(脅迫罪)
生命、身体、自由、名誉又は財産に対して害を加える旨を告知して人を強迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。

刑法第230条1項(名誉毀損罪)
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀き損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。

刑法第231条(侮辱罪)
事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

各法律を見ていただいたら分かるように、どの法律が適用されるかによって科せられる刑事責任が異なっています。
侮辱罪については、ネット上の誹謗中傷が注目を浴びるようになってから厳罰化されており、それまでは「拘留又は科料」と非常に軽いもので、なかなか刑事事件化されることがありませんでしたが、今はそうではなく、逆に積極的に刑事事件化されているようです。

刑事責任だけでなく民事責任も

こういったネット上での誹謗中傷が問題となってから侮辱罪が厳罰化されたように、民事手続きに関する法律も改正されており、これまで非常に複雑だった発信者を特定するための手続きが簡略化されています。
そのため投稿者に対しては、刑事責任だけでなく、損害賠償金を請求される可能性もあるので、デマ投稿や誹謗中傷は絶対にやめましょう。

宮城県内の刑事事件に関するご相談は

刑事事件を専門に扱っている弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部では、刑事事件に関するご相談を初回無料で承っております。
無料法律相談をご希望の方は フリーダイヤル 0120-631-881 までお気軽にお問い合わせください。

窃盗罪(万引き)で略式命令~罰金納付の注意点など

2023-05-15

窃盗罪と略式命令につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

石巻市に住むAさん(70歳)は、普段よく買い物をするスーパーで、食料品3点を万引きしたとして保安員に現行犯逮捕され、その後身柄を宮城県河北警察署の警察官に引き渡されました。その後、Aさんは万引きの前歴2回を有していたことなどから窃盗罪で略式起訴され、裁判所から罰金20万円の略式命令を言い渡されました。その後、正裁裁判申立期間が過ぎ、Aさんには前科1犯がつきました。

(フィクションです)

窃盗罪(万引き)

万引きは窃盗罪(刑法235条)に当たる立派な犯罪です。

刑法235条
 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

そして、窃盗罪で起訴され裁判で有罪とされれば、懲役刑、罰金刑を科されます。
では、「前科」はどのような経緯で付くのでしょうか?

前科が付くまでの流れ

逮捕されてから「前科」が付くまでの流れは以下のとおりです。

逮捕 → 捜査 → 起訴(正式,略式) → 裁判(正式,略式) → 「有罪」 → 確定 → 前科

正式裁判を受けた場合は、その裁判で有罪とされ、被告人側、検察側の双方が不服申し立てができなくなった(つまり「確定」した)後付きます。
略式裁判を受けた場合は、略式命令を言い渡された後(正式に略式命令謄本の交付を受けた後)、正式裁判申し立て期間(14日間)が経過した後付きます。

罰金の納付方法と注意点 

ちなみに、言い渡された罰金は国に納付します。
具体的方法は、検察庁の「徴収係」という窓口で直接納付してもいいですし、納付書を使って最寄りの金融機関などで納付することができます。
通常、略式命令を受けた直後から納付することができます。しかし、これは仮納付といって正式な納付ではありません。仮納付期間は正式裁判申し立て期間と同様14日間とされますが、正式な納付ではないため、この期間に納付しなくても問題はありません。
問題は、略式裁判が確定した後です。この後は正式な納付となるため、納付をほったらかしにしていると身柄を拘束されるおそれもありますから注意が必要です。通常、期間は14日間とされますが、係に申し出れば期間の延長を認められることもあります。
なお、身柄を拘束されると刑事施設(刑務所など)に収容されます。これを労役場留置といいます。通常は、金5000円を1日と見立て、罰金額を除してでた日数(罰金20万円の場合は200000÷5000=20日)刑務所に収容されることになります。
罰金の分割納付は原則認められていません。

前科をを回避するには?

現実的なのは

検察官の起訴を回避すること(不起訴を獲得する)

ではないでしょうか?
検察官の起訴を回避する、すなわち、不起訴処分を獲得することができればそもそも刑事裁判を受ける必要はなく、裁判で有罪の判決を受けるおそれもないからです。
そして、不起訴処分を獲得するには、まずは被害者に精神誠意謝罪し、被害弁償、示談に向けた話し合いを進めていく必要があります。そして、被害者に被害弁償するなどして示談を成立させることができればあなたにとって有利な情状として考慮され、不起訴処分を獲得できる可能性が高くなるでしょう。

被害弁償、示談は弁護士に依頼を 

もちろん事件の当事者間でも被害弁償、示談交渉をすることはできます。
しかし、事件当事者というだけあって、感情のもつれなどから被害弁償、示談交渉がなかなかうまく進まない場合もございます。
そんなときは弁護士が力になれます。
示談交渉に関する経験、知識が豊富な弁護士であれば、適切な内容・形式で示談を成立させることができます。

逮捕の後、勾留された場合、私選の弁護士を選任していない限り国選の弁護士が選任されます。国選の弁護士も私選同様、示談交渉に当たってくれるでしょう。
しかし、特に、当初から在宅事件の場合、逮捕から勾留までに釈放された場合は注意が必要です。その場合は国選の弁護人は選任されませんから、ご自身で示談交渉を行っていただく必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、万引きをはじめとする窃盗罪などの窃盗事件をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。ご家族が窃盗罪などの刑事事件で逮捕され、前科が付くのを回避したいとお考えの方、その他でお困りの方は、フリーダイヤル0120-631-881までお気軽にお電話ください。土日・祝日を問わず、専門のスタッフが24時間、無料法律相談、初回接見のご予約を承っております。

父親の財布から現金を窃取 父親が被害届を提出…

2023-05-06

同居する父親の財布から現金を窃取して、父親が被害届を提出した場合の刑事責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

参考事件

宮城県岩沼市の実家で暮らしているAさん(35歳)は、2年ほど前に仕事を辞めてから無職の状態が続いており、最近は同居する両親からも早く仕事をするように口うるさく言われています。
そんなある日、知人から飲みに行く誘いを受けたAさんは、両親から飲み代を貸してもらうこともできず、父親の財布から現金(約5万円)を盗んだのです。
この時Aさんは、泥棒に入られたことを装うために、部屋の中を荒らしました。
そうしたところ泥棒に入られたと思った父親は、宮城県岩沼警察署に窃盗の被害を届け出たのです。
(フィクションです。)

親族相盗例

刑法235条の窃盗罪で起訴された場合、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられるおそれがあります。
しかし、刑法第244条には、親族間に関する特例として親族相盗例が定められています。
親族相盗例とは、配偶者、直系血族又は同居の親族との間で、窃盗罪、不動産侵奪罪またはこれらの未遂を犯した者については、刑を免除することです。
また、上記の親族以外の親族との間で犯した前記の罪については、親告罪となります。
親族相盗例「法は家庭に入らず」という思想に基づき設けられている特例ですので、適用されるのは、親族関係にある本人のみで、共犯者には適用されません。
ちなみに、親族とは、民法上の親族と同じで、6親等以内の血族、配偶者、3親等以内の姻族です。

親族関係の錯誤

親族相盗例は「一身的刑罰阻却事由」に過ぎません。
そのため、親族関係の錯誤は犯罪の成否に影響を及ぼさないという考えが一般的です。
つまり、父親のお金と思って盗んだが、実は、他人のお金だったというように、Aさんが親族関係を錯誤していた場合は、親族相盗例が適用されません。
今回の事件の場合、親族相盗例が適用されるのでAさんが窃盗罪で逮捕される可能性はないと思われます。

まずは弁護士に相談を

このコラムをご覧の方で、刑事事件に強い弁護士をお探しの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件を専門に扱っている法律事務所で、初回の法律相談を無料で承っております。

保釈請求が却下された 私選弁護人に切り替えを検討

2023-04-30

お兄さんの保釈請求が通らない・・・そんな方からのご相談を参考に、保釈について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

相談内容

覚醒剤の営利目的所持事件で起訴されている兄の保釈請求が通りません。
兄は、3ヶ月ほど前に覚醒剤取締法違反(使用・営利目的所持罪)で起訴されて、現在は、拘置所に起訴後勾留され、先日、1回目の裁判がありました。
一部容疑を否認しているため、今後も裁判が長引くようです。
現在、国選弁護人に兄の弁護活動を任せていますが、これまで2回、保釈請求を却下されています。
私選に切り替えたら、保釈請求が通りますか?
(実際に起こった事件を参考にしたフィクションです。)

保釈とは

保釈とは、起訴後勾留されている被告人を、一時的に釈放する制度です。
保釈は、基本的に、被告人の弁護人が裁判所に対して請求して、裁判官が審査して、保釈を認めるかどうかを判断します。
裁判官が保釈を認めると、その際に決定する保釈金を裁判所に納付すれば、その日のうちに、起訴後勾留されている被告人は釈放されます。
釈放の期間は、刑事裁判で判決が言い渡されるまでで、一審の場合、刑事裁判で実刑判決が言い渡されると、その場で、再び身体拘束を受けますが、控訴審の場合は、控訴審で実刑判決が言い渡されても、すぐにその場で身体拘束を受けることはなく、後日届く召喚状に従って出頭してから身体拘束を受けることになります。(控訴審の場合でも、判決の言い渡しと共に身体拘束を受ける場合もある。)

保釈金

保釈金とは、分かりやすく言うと、保釈後の刑事裁判を滞りなく進めるための担保のようなものです。
保釈金の額は、保釈を許可する裁判官が決定します。
通常であれば150万円~250万円くらいとなる事が多いようですが、場合によっては一千万円近い金額が設定されることもあります。
ちなみに保釈金を、自身で用意できない場合は、日本保釈支援協会を利用すれば保釈金を立て替えてくれたり、全国の弁護士協同組合連合会が行っている保釈保証書発行事業を利用することもできます。

保釈の判断基準

ところで、裁判官は何を考慮して保釈決定を判断しているのでしょうか。
ここではその一部を紹介します。
保釈決定に大きく影響する事情は

①起訴事実を認めているかどうか
②共犯者がいるかどうか
③身元引受人が存在するかどうか

等です。

①起訴事実を認めているかどうか
これは、保釈が認められるかどうかの大きな判断基準の一つです。
否認している事件は、罪証隠滅や、逃走のおそれがあると判断されがちですので保釈がなかなか認められない場合があります。

②共犯者がいるかどうか
共犯者がいる事件は、裁判が始まるまで共犯者同士が口裏を合わせるおそれがあるとして、保釈がなかなか認められない傾向にあります。

③身元引受人が存在するかどうか
保釈後に、被告人が逃走してしまえば、これから始まる刑事裁判に大きな影響が出るので、保釈中の被告人を監視する身元引受人が絶対的に必要になります。
身元引受人がいない場合は、ほぼ保釈は認められないと言っても過言ではありません。

保釈に強い弁護士

起訴後勾留されている方の保釈を希望する方は、是非一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部にご相談ください。
保釈は、判決が言い渡されるまでであれば何度でも申請することができます。
保釈が認められやすい環境をつくりあることで保釈が認められることもありますので、まずは、弁護士にご相談ください。

児童買春事件で起訴 刑事裁判における情状弁護について

2023-04-27

児童買春事件で起訴された方の刑事裁判における情状弁護について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

参考事件

無職のAさんは、2カ月ほど前に児童買春の容疑で仙台北警察署逮捕され、10日間の勾留後に起訴公判請求されました。
Aさんは起訴事実を認めており、現在は、保釈によって身体拘束が解かれています。
Aさんは、今後の刑事裁判において、起訴事実を争わず、情状弁護による減軽を望んでいます。
(フィクションです。)

児童買春事件の刑事裁判

検察官は、逮捕、勾留した被疑者の取調べを行った上で、警察が集めた証拠を精査し、有罪を立証することができると判断すると被疑者を起訴します。
そして起訴された場合には刑事裁判に発展します。
起訴された方の弁護人は、まずは起訴された内容を精査し、それが事実なのか否か確認する必要があり、事実について争うかどうかを判断します。

逆に起訴した側の検察官(公判担当検事)は、警察等や捜査担当検事が収集した証拠をふまえ、被告人が起こした事件について立証していきます。

最終的に、裁判官が検察側・弁護側が出した証拠を踏まえ、これまでの裁判での量刑も参考にして判決を言い渡すことになります。

情状弁護について

弁護側は、判決を言い渡される前に、認めの事件であれ否認事件であれ情状弁護を行っていく必要があります。
情状には、罪体に関する情状と、それ以外の情状とに大別することができます。
罪体に関する情状は、検察官が立証する事実について、例えば動機や犯行態様についての主張です。
その他の情状は、被害者との示談状況や贖罪寄付の説明、被告人の内省(反省の状況)状況の説明、家族の監督状況の説明、報道や失職などによる社会的制裁の状況の説明などが挙げられます。
これらは弁号証というかたちで証拠書類として提示することもありますし(書証)、被告人質問や人証(情状証人質問)によって情状弁護(人証)を行うことが考えられます。
情状弁護は決まった形式があるわけではないので、個々の事件で弁護人が検討する必要があります。

情状弁護は起訴されてから考えるのではなく、起訴前から検討して行く必要があります。
そして、たとえば保釈された場合には、生活状況の改善や脱依存症プログラムへの参加・治療を行う、被害者と接触しないために転居するなどの対応を行った上で公判に臨むことが求められます。
ゆえに、刑事裁判になる可能性がある事件を起こしてしまった場合、裁判での情状弁護をも見越して、早期に刑事事件を専門とする弁護士に弁護活動を依頼することをお勧めします。

刑事裁判に強い弁護士

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は刑事事件を専門にしている法律事務所です。
これまで数多くの刑事事件を扱ってきた実績がございますので、起訴されて刑事裁判に強い弁護士、情状弁護を得意とする弁護士をお探しの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部にご相談ください。

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