強制性交等事件の被害者参加制度③
強制性交等事件の被害者参加制度③について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
この記事は強制性交等事件の被害者参加制度②の続きとなります。
【被害者参加制度での被害者保護】
刑事訴訟法316条の39第1項(付添い)
裁判所は,被害者参加人が第316条の34第1項(同条第五項において準用する場合を含む。第四項において同じ。)の規定により公判期日又は公判準備に出席する場合において,被害者参加人の年齢,心身の状態その他の事情を考慮し,被害者参加人が著しく不安又は緊張を覚えるおそれがあると認めるときは,検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き,その不安又は緊張を緩和するのに適当であり,かつ,裁判官若しくは訴訟関係人の尋問若しくは被告人に対する供述を求める行為若しくは訴訟関係人がする陳述を妨げ,又はその陳述の内容に不当な影響を与えるおそれがないと認める者を,被害者参加人に付き添わせることができる。
刑事訴訟法316条の39第4項(被告人との間の遮へい措置)
裁判所は,被害者参加人が第316条の34第1項の規定により公判期日又は公判準備に出席する場合において,犯罪の性質,被害者参加人の年齢,心身の状態,被告人との関係その他の事情により,被害者参加人が被告人の面前において在席,尋問,質問又は陳述をするときは圧迫を受け精神の平穏を著しく害されるおそれがあると認める場合であつて,相当と認めるときは,検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き,弁護人が出頭している場合に限り,被告人とその被害者参加人との間で,被告人から被害者参加人の状態を認識することができないようにするための措置を採ることができる。
刑事訴訟法316条の39第5項(傍聴人との間の遮へい措置)
裁判所は,被害者参加人が第316条の34第1項の規定により公判期日に出席する場合において,犯罪の性質,被害者参加人の年齢,心身の状態,名誉に対する影響その他の事情を考慮し,相当と認めるときは,検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き,傍聴人とその被害者参加人との間で,相互に相手の状態を認識することができないようにするための措置を採ることができる。
公判廷内で自身のプライバシーが守られない場合があっては,被害者の方が被害者参加制度を積極的に利用することができません。
そこで,被害者参加制度では,付添い(刑事訴訟法316条の39第3項)や遮へい措置(刑事訴訟法316条の39第4項,5項)をとることができるとされています。
刑事事件例の強制性交等事件においても,付添いや遮へい措置といった強制性交等事件の被害者の方のプライバシーを守るための措置がなされる可能性があります。
【被害者のよる心情意見陳述制度とは】
刑事訴訟法292条の2(心情意見陳述制度)
1項:裁判所は,被害者等又は当該被害者の法定代理人から,被害に関する心情その他の被告事件に関する意見の陳述の申出があるときは,公判期日において,その意見を陳述させるものとする。
2項:前項の規定による意見の陳述の申出は,あらかじめ,検察官にしなければならない。
この場合において,検察官は,意見を付して,これを裁判所に通知するものとする。
被害者による心情意見陳述制度は,被害者の方の心情や事件に関する意見を述べることができる制度です。
刑事事件例の強制性交等事件で考えれば,「強制性交等事件の加害者は絶対に許せない。厳罰に処してほしい。」などと,具体的に強制性交等事件の被害に関する心情や意見を陳述するこができると考えられます。
6項:第157条の4,第157条の5及び第157条の6第1項及び第2項の規定は,第1項の規定による意見の陳述について準用する。
被害者による心情意見陳述制度では,付添い(刑事訴訟法157条の4)や遮へい措置(刑事訴訟法157条の5),ビデオリンク方式(刑事訴訟法157条の6第1項,2項)をとることができ,被害者の方のプライバシーに配慮がなされています。
9項:第1項の規定による陳述又は第7項の規定による書面は,犯罪事実の認定のための証拠とすることができない。
被害者による心情意見陳述は,犯罪事実の認定のための証拠とすることはできません。
しかし,量刑資料とすることはできると考えられているため,加害者に対する厳罰を求めたい被害者の方にとっては,重要な制度となっています。
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