商品券を偽造して逮捕【有価証券偽造罪】
地元商店街で使える商品券を偽造して逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
【事例】
宮城県内に住むAさん。
地元商店街が独自に発行している商品券を手にし、
「これくらいのやつなら自分で作れるんじゃないか」
と思い、カラーコピー機を使うなどして商品券を偽造しました。
「いい出来だ」
そう感じたAさんは、その偽造商品券を使って商店街で買い物を繰り返しました。
一見、本物に見えることから買い物した時にはバレませんでしたが、よく見るとインクがややにじんでいたり、紙質がわずかに違うという点があり、偽造されたものであることが発覚しました。
商店街の店主たちが警察に被害届を出し、捜査が進められたところ、Aさんの犯行が発覚。
Aさんは宮城県警の警察官により逮捕されました。
(事実をもとにしたフィクションです)
~有価証券偽造・同行使罪~
商品券を偽造して使ったAさん。
まずは有価証券偽造罪と、偽造有価証券行使罪に問われる可能性があります。
条文を見てみましょう。
刑法第162条1項
行使の目的で、公債証書、官庁の証券、会社の株券その他の有価証券を偽造し、又は変造した者は、三月以上十年以下の懲役に処する。
第2項
行使の目的で、有価証券に虚偽の記入をした者も、前項と同様とする。
第163条1項
偽造若しくは変造の有価証券又は虚偽の記入がある有価証券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者は、三月以上十年以下の懲役に処する。
第2項
前項の罪の未遂は、罰する。
Aさんの場合、赤く色付けした部分に該当します。
条文中の「有価証券」とは、簡単に言うと、財産上の権利が表示されており、その権利を行使するためにその券が必要となるものをいいます。
今回のような商品券の他、手形や小切手、クオカード、切符、宝くじ、馬券など多くの物がが該当します。
近年では、アイドルグループの握手券を偽造し、有価証券偽造で逮捕された例もありました。
握手券も、握手できるという財産的価値のある権利が紙に表示されており、握手するためにはその券を持って会場に行く必要があるので、有価証券に該当するわけです。
~詐欺罪も成立~
Aさんは、本物の商品券であると店員をあざむいて商品を受け取ったことになりますので、詐欺罪も成立してしまいます。
第246条1項
人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
結局、Aさんには有価証券偽造罪・同行使罪・詐欺罪の3つの犯罪が成立することになるでしょう。
これらの罪は、簡単に言うと、商品券の偽造やその行使という手段を用いて、詐欺という結果につなげたという関係にあります。
この場合、3つをまとめて裁判にかけられ、もっとも重い刑罰が定められている有価証券偽造罪と同行使罪の刑罰(3か月以上10年以下の懲役)の範囲内で罰せられることになるでしょう(単純に3つを足して30年以下の懲役となったりするわけではありません)。
第54条1項
一個の行為が二個以上の罪名に触れ、又は犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する。
~お早めのご相談を~
逮捕されると、ご本人はもちろん、ご家族も、刑事手続はどう進んでいくのか、どのくらいの刑罰を受けるのか、執行猶予は付かないのかなど、不安なことが多いと思いますので、ぜひ弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などから初回接見のご依頼をいただければ、拘束されている警察署等にて、ご本人に面会(接見)し、事件の内容を聴き取った上で、今後の見通しなどをご説明致します。
接見後には、接見の内容などをご家族にお伝え致しますので、それを聞いていただいた上で、正式に弁護活動を依頼するかどうかを決めていただけます。
また、逮捕されていない場合やすでに釈放された場合には、弁護士事務所での法律相談を初回無料で受けていただけます。
有価証券偽造罪や同行使罪、詐欺罪などで逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひご連絡ください。
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