ワンクリック詐欺事件の保釈

ワンクリック詐欺事件の保釈

宮城県名取市に住むVさんは、スマートフォンの操作中に出会い系サイトの「18歳以上」と書かれたリンクを押したところ、「有料会員登録完了。以下の金額を振り込んでください。」等の情報が表示されました。
慌てたVさんは、表示されていた電話番号に電話して退会できないか尋ねたところ、Aさんから「退会手続きのためには、すでに発生している利用料金を支払う必要がある」などと言われました。
信用したVさんはAさんから指定された口座に現金を振り込みましたが、後日、今回の件がワンクリック詐欺であると家族から指摘されて、宮城県岩沼警察署に被害届を提出しました。
捜査の結果、Aさんは詐欺罪の容疑で宮城県警察岩沼警察署逮捕され、のちに起訴されました。
Aさんは、どうにかして保釈されないか、刑事事件の弁護活動を専門とする弁護士に相談することにした。
(フィクションです。)

(フィクションです。)

~ワンクリック詐欺~

ワンクリック詐欺とは、Webサイトや電子メールに記載されたURLを一度クリックしただけで、一方的に、サービスへの入会などの契約成立を宣言され、多額の料金の支払いを求められるという詐欺です。
ワンクリック詐欺の手口には、以下の特徴があるそうです。
・利用者の興味を引きそうな電子メールや電子掲示板などを利用して、利用者をおびき寄せる。
アダルト系、出会い系などを装った内容であることが多い。
・いかにも正当な契約手続きが完了しているかのように見せかけ、利用料を不正に請求する。多くのWebサイトでは利用者が間違って契約してしまったように思わせる仕組みや、わざとわかりにくいところに利用規約などを表示して、利用者が気付きにくいような細工をしています。
・料金請求の際、携帯電話の個体識別番号や、パソコンの固有識別番号、利用しているインターネットサービスプロバイダの情報などを表示させ、利用者の個人情報が“複雑な技術によって”特定されたように見せかける。
・期限内に支払わない場合、延滞料が加算される、法的措置を講ずるといった脅迫的な内容で、利用者に支払いを迫る。
(「総務省安心してインターネットを使うために 国民のための情報セキュリティサイト」より。)

「有料会員登録完了。以下の金額を振り込んでください。」等と書かれた請求画面が表示されると、サービスの利用契約が結ばれたかのようにみえますが、本当に契約されているのでしょうか。
契約は、「契約の申込みの意思表示」と「契約の承諾の意思表示」、そして「両者の意思表示の合致」によって成立します。
ワンクリック詐欺のうち今回のVさんのように、単に「18歳以上」と書かれたリンクを押しただけの場合は、そもそも「有料の会員登録をする」という契約の申込もの意思表示をしていると認められません。
契約の申込みの意思表示がない以上、契約は成立しておらず、Vさんは利用料金を支払う必要がないでしょう。

今回の事例では、ワンクリック詐欺を行った詐欺罪の疑いでAさんが逮捕されています。

詐欺罪」は、人をだまして他人のお金等(財物や利益)を交付させた場合に成立する犯罪です。

【詐欺罪(刑法246条)】
 (1項)
 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

詐欺罪の成立には、①欺く行為②錯誤③処分行為④財物、財産上の利益の移転⑤財産上の損害が必要です。
Vさんは、表示された請求画面とAさんとの電話により、本来支払う必要のない利用料金を支払わなければならないと誤信して、料金を支払っていることになります。
AさんはVさんを「欺いて」、これによってVさんを錯誤に陥れ、「財物を交付させた」ことから、詐欺罪が成立する可能性が高いです。

~保釈~

保釈とは、身柄を拘束されている被告人を、保釈金を納付することや決まった住所に住むこと等の条件付きで釈放してもらう制度のことをいいます。
保釈は、起訴された後になってはじめて請求することができます。
保釈が許可された場合、被告人はもとの生活を送りながら裁判に向けて準備をすることができますので、保釈の獲得は刑事弁護において重大な目標の一つとなります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、詐欺事件における保釈獲得のための刑事弁護活動も多数承っております。
保釈などの身柄解放についてお困りの方は、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください
(宮城県岩沼警察署への初回接見費用:38,400円)

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