南三陸町で恐喝未遂罪
宮城県南三陸町在住の20代男性Aさんは、通りがかりのVさんを脅迫して現金3万円を脅し取ろうとしました。
Aさんから脅迫されたVさんは怖がらなかったものの、Aさんを憐れんで現金3万円を渡しました。
当初Vさんは警察に被害を届け出ることは考えていませんでしたが、家族に被害にあったことを話したところ、家族から被害届を出すように勧められて、宮城県南三陸警察署に被害届を提出しました。
恐喝未遂罪の容疑で逮捕されたAさんは、なぜ恐喝罪ではなく恐喝未遂罪なのか気になって、家族の依頼で初回接見に来た弁護士に尋ねました。
(フィクションです。)
~恐喝罪と恐喝未遂罪~
恐喝罪 刑法第二百四十九条
人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
恐喝罪は、恐喝、すなわち暴行や脅迫を手段として、人から金銭などの財産を脅し取った場合に成立する可能性のある罪です。
恐喝罪が成立するためには、①恐喝行為、②相手方の畏怖、③畏怖に基づく財産の移転という流れがあり、なおかつそれぞれが因果関係を持たなければなりません。
つまりは、①被害者を暴行・脅迫して金員を要求する → ②被害者が畏怖する(=怖がる)→ ③畏怖の念に基づいて被害者が金員を交付し犯人が金員を受け取る、という構図が成り立つ必要があります。
この内一つでも欠ける場合やそれぞれの行為に因果関係が存在しない場合は、恐喝罪は成立せず、恐喝未遂罪若しく暴行罪、脅迫罪にとどまる可能性が高いです。
上記事例では、AさんがVさんに対し、脅迫して現金3万円を脅し取ろうとしたものの、Vさんは怖がらずAさんを憐れんで現金3万円を渡しています。
Aさんは、①恐喝行為はおこなっているものの、②Vさんは畏怖していません。
Vさんが憐みから③Aさんに現金3万円を交付して結果的にAさんが金員を受け取っているものの、被害者であるVさんが畏怖して金員を交付したわけではないので、恐喝行為から財産の移転までに因果関係が欠けています。
そのため、恐喝罪の既遂に至らず、恐喝未遂罪が成立するにとどまると考えられます。
恐喝罪が成立しない他のケースとして、脅迫した後に被害者が自らお金を差し出した場合や暴行した後に被害者が自らお金を差し出した場合などがあります。
前者は脅迫罪、後者は暴行罪となり、恐喝罪とはなりません。
恐喝罪における「恐喝」とは、財産の交付に向けられた暴行または脅迫であって、一般人を畏怖させる、つまり恐怖心を覚えさせるものの、反抗を抑圧するには至らない程度のものを指します。
暴行または脅迫が相手方の反抗を抑圧するに足りる程度のものだった場合は、恐喝罪ではなく強盗罪が成立することになります。
強盗罪の方が、恐喝罪よりも重い罰となり、法定刑は5年以上の懲役と定められています。
暴行,脅迫の程度は用いた凶器の種類,被害者と加害者の体格差,犯行の時刻,場所等が考慮されます。
たとえば、激しい暴行を加えた、凶器を用いて脅迫したなどの事情があれば、反抗を抑圧するに至っているとして強盗罪と認定されやすくなります。
なお、強盗罪とはいえますが、強盗罪の中でも軽い案件で、示談が成立しているなど、被疑者被告人への処罰を軽くするべき事情がある場合、あえて恐喝罪で処分する場合もあります。
~恐喝未遂罪で処分を軽くするには~
恐喝未遂罪で起訴された場合も、恐喝罪と同じく10年以下の懲役が科せられる可能性があることには注意が必要です。
実際に恐喝未遂事件を起こしていた場合、処分が重くならないようにするためには、被害者への被害弁償及び示談交渉を行うことが急務になります。
弁護士を通じて被害弁償及び示談を成立させることで、警察未介入や不起訴処分によって前科をつけずに事件を解決する、逮捕・勾留による身柄拘束を回避して職場復帰や社会復帰する可能性を高めることができます。
恐喝未遂罪でお困りの場合は、刑事事件専門で示談交渉経験豊富な弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご用命ください。
初回法律相談:無料
宮城県南三陸警察署への初回接見費用:フリーダイヤル0120-631-881までお気軽にお尋ねください。