放置していて死体遺棄罪?
宮城県女川町在住の60歳女性Aさんは、同居の高齢の母親が死亡したのを放置していたとして宮城県石巻警察署に逮捕されました。
Aさんは、同じ敷地内の離れに暮らす母親と仲が険悪になり、数年間連絡を取らないまま生活していました。
Aさんの母親と連絡が取れないことを不審に思った町役場の職員がAさんの家を訪問に訪れて、亡くなっていたAさんの母親を発見しました。
Aさんは、家族の依頼で初回接見に来た弁護士に、自身の行為が死体遺棄罪に当たるのか、これからどうなるのか刑事事件に強い弁護士に相談しました。
(フィクションです。)
~ 死体遺棄罪 ~
死体遺棄罪は、刑法190条の「死体損壊等罪」に規定されています。
死体や遺骨などを、損壊したり、そのまま放置(遺棄)した場合には、刑法190条の死体損壊罪や死体遺棄罪に当たるとして、刑事処罰を受けることになります。
刑法190条 (死体損壊等)
「死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、三年以下の懲役に処する」
死体遺棄罪は、死体、遺骨、遺髪、納棺物を遺棄した場合に成立し、法定刑は、3年以下の懲役です。
今回のAさんは、母親の遺体を放置しただけで、積極的にどこかへ捨てに行ったわけではありませんが、「遺棄」に当たるのでしょうか。
「遺棄」とは、習俗上の埋葬と認められる方法によらないで放棄することをいいます。
死体遺棄罪は一般人の死体に対する信教上の信念を保護する犯罪ですので、宗教上の埋葬として認められない方法で放棄することが「遺棄」に当たることになるのです。
「遺棄」と聞くと「捨てる」行為をイメージするかと思いますが、そうではありません。
家族などの法律上葬祭をする義務を負う者については、単に死体を現場に放置する場合でも「遺棄」にあたります。
そのため、同居の親族が自宅で老衰や病気により死亡した場合に、その死体を死亡時の状態のまま放置すれば、死体遺棄罪が成立する可能性が高いです。
一方で、殺人犯人などが人に見つからない場所で人を殺して放置した場合でも、必ずしも死体遺棄罪には問われません。
死体遺棄罪は、殺人罪と併合罪になるケースが多く見られますが、殺人犯人などの場合、死体遺棄罪が成立するためには、死体を他の場所に移動させたり,隠したりする作為が必要となります。
今回のAさんのように同居の親族の死体を放置したと疑われている事件では、死体遺棄罪で依頼を受けた弁護士は事件状況を詳細に調べ上げます。
死体を放置したと疑われている方が葬祭義務を持つ者に当たるのか、その放置行為が「遺棄」に当たるのか等様々な事情を総合的に検討いたします。
放置を疑われている方が死体を放置(遺棄)するつもりはなかった等の事情がある場合、故意を否認する形での弁護活動をおこなうことが考えられます。
死体遺棄罪で起訴された場合には、3年以下の懲役が科されるおそれがあります。
しかし、判決で言い渡される刑罰が3年以下の懲役であれば、執行猶予が付されることがあります。
もちろん、執行猶予となれば犯罪自体は成立しますが、刑の執行が猶予されるため、実刑を回避できるので刑務所に行かなくて済みます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、死体遺棄事件をはじめとする刑事事件専門の法律事務所であり、多数の執行猶予判決を獲得してまいりました。
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逮捕されている事件では、弁護士が警察署まで接見(面会)に向かう、初回接見サービスのご利用もいただけます。
まずは、フリーダイヤル0120-631-881までお気軽にお問い合わせください。
(宮城県警察石巻警察署までの初回接見費用:43,200円)