傷害事件で審判不開始・不処分①

傷害事件で審判不開始・不処分①

宮城県七ヶ浜町の17歳高校生A君は、交際相手Vさんから別れ話を切り出された際、我を忘れてVさんを突き飛ばしてしまいました。
その結果、Vさんが加療1か月の怪我を負ってしまったため、A君は宮城県塩釜警察署傷害罪の容疑で取調べを受けており、いずれは事件が仙台家庭裁判所に送られると言われています。
A君は自分の行いを深く反省しています。
A君の両親が少年事件に詳しい弁護士に相談したところ、仙台家庭裁判所に事件が送られた後に審判不開始や不処分で事件が終結すれば、保護観察がつけられたり少年院に行ったりせずに済むと説明を受けました。
(フィクションです。)

~傷害罪~

傷害罪は、「人の身体を傷害した者は,15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」と規定されている罪です(刑法204条)
「傷害」とは,人の生理的機能に障害を生じさせたことを意味します。
暴力を振るって他人に怪我をさせる行為が傷害罪の「傷害」に当たる典型的な行為です。
法定刑にかなりの幅がある理由は、「傷害」には後遺症が生じるような重い結果もあれば,1,2週間で治る怪我も含むためです。
比較的軽い怪我なら,何かのはずみで傷害罪の加害者になってしまう場合もありえます。

~少年事件~

少年事件とは,A君のような20歳未満の者が犯した犯罪に関する事件をいいます。
成人が犯罪をした場合には,刑事裁判にかけられて法定刑の範囲内で刑罰が科されます。
しかし,少年に対しては,その未来や更生可能性を考慮し,健全な育成を目指すべく、保護観察や少年院送致といった「保護処分」が行われることになっています。
少年事件については、成人が受ける裁判とは異なる特別な手続きが少年法などで定められています。
主に、家庭裁判所という裁判所において手続きが進められることになります。

~少年事件の終局処分~

家庭裁判所に係属した少年事件は、終局決定によって終結します。
終局決定には、審判不開始、不処分、保護処分(少年院送致、保護観察等)、検察官送致などがあります。
その中でも今回と次回で、「審判不開始」と「不処分」について説明いたします。

「審判不開始」決定とは,家庭裁判所における調査の結果,審判に付することができない場合,もしくは,審判に付するのが相当ではない場合に,審判を開始しない旨の決定をすることをいいます(少年法第19条第1項)。
審判不開始決定となると、その時点で事件が終了するため、その後家庭裁判所における審判が開かれることはありません。
審判が開かれないということは、少年院送致などの保護処分を受けることがないということなので、少年にとって大きなメリットがあるといえるでしょう。
(なお、審判不開始決定が出される前に、少年やその保護者が調査官の調査のために家庭裁判所に呼ばれることはあります。)

審判不開始決定が出される場合の一つである,「審判に付することができない場合」とは、①審判条件が存在しない場合、②非行事実存在の可能性がない場合、③少年の所在不明・海外居住・疾病・心神喪失などにより調査・審判が法律上又は事実上不可能になった場合が考えられます。

「審判に付するのが相当でないとき」とは、審判条件や非行事実の存在が認められ,審判を行うことは可能であるが,保護処分等を行うことが妥当ではなく,裁判官による直接審理の必要もない場合です。
以下の3つに分類されています。
①保護的措置:調査官の訓戒,教育的指導や保護的措置、被害者の話を聞いて内省を求めるなどにより,少年の要保護性が既に解消した場合
②別件保護中:別の事件によって保護観察等の保護処分が行われているため、本件で新たな処分をする必要がないとき
③事案軽微:非行事実が極めて軽微で,すでに警察,家庭,学校等で適切な措置がとられたことで要保護性が解消し,再非行のおそれもなくなっている場合

審判不開始決定が出される場合,多くは審判に付するのが相当ではない場合だとされています。

弁護士に依頼して審判不開始を目指す場合、家庭裁判所に対して、事件が重大でないことや、これまでの少年の更生の様子、家庭環境や生活環境に問題がないまたは解消されたことなどを伝えて、審判不開始決定を出してもらえるように働きかけていきます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、これまで数多くの少年事件のご依頼をいただき、審判不開始決定や不処分決定を獲得してきました。
お子様の傷害事件が家庭裁判所に送られてお困りの場合は、まずはお気軽に無料法律相談をご利用下さい。
お子様が逮捕など身柄拘束を受けている場合は初回接見サービスのご利用をご検討下さい。
(宮城県塩釜警察署への初回接見費用:38,800円)

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