親族宅への窃盗で共犯が逮捕

親族宅への窃盗で共犯が逮捕

親族宅への窃盗で共犯の1人が逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【事例】
宮城県仙台市に住むAさん。
10年前に亘理町の実家を家出同然で飛び出し、その後、両親とは疎遠になっています。
生活に困ったAさんは、実家から金目の物を盗むことにし、友人Bさんと共に亘理町に向かいました。
実家に到着後、両親が外出している様子だったので、持っていた鍵を使って家に忍び込み、Bさんと共に現金などを盗んで逃げました。
Aさんの両親から被害届の提出を受けた亘理警察署が捜査した結果、Aさんの犯行ではないかと考え、Aさんから事情聴取をしたところ、Aさんは犯行を認めました。
また、この事情聴取により、Bさんも犯行に加わったことも判明。
結果、Bさんのみが逮捕されました。
(フィクションです)

~本来は住居侵入窃盗が成立~

Aさんの実家に忍び込んで現金などを盗んだAさんとBさん。
本来は住居侵入罪窃盗罪に問われることになります。

刑法130条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
第235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

ただしAさんに関しては、実家ですから、住居侵入罪は成立しない可能性もなくはありません。
130条の「侵入」とは、管理権者の意思に反する立ち入りをいいます。
管理権者である両親としては、子供が戻ってくること自体は望ましいと考えている可能性もあり、鍵を使って勝手に入ってきても、意思に反する立ち入りとまではいえないかもしれません。
一方で、お金を盗む目的であれば、いくら実の子供とはいえ許せないので、意思に反する立ち入りといえるかもしれません。

したがって、Aさんの住居侵入に関しては、両親との関係や両親の意思によって、成立するか否かが変わってくるでしょう。

~Bさんのみが逮捕された理由~

Aさんに住居侵入が成立するかは微妙ですが、両親の現金を盗んだことは確かであり、窃盗罪が成立します。
しかし、今回はBさんのみが逮捕されました。
これは以下のような規定があるからでしょう。

第244条1項
配偶者、直系血族又は同居の親族との間で第二百三十五条の罪、第二百三十五条の二の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯した者は、その刑を免除する。
第2項
前項に規定する親族以外の親族との間で犯した同項に規定する罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
第3項
前二項の規定は、親族でない共犯については、適用しない。

Aさんと両親は244条1項の「直系血族」に当たります。
したがって235条の窃盗罪を犯しても、刑罰が免除されるのです。
この規定を「親族相盗例」(しんぞくそうとうれい)といいます。
家族間の問題は家族内で解決した方がよいといった考えから、このような規定があるのです。

したがって、Aさんは窃盗罪で処罰できず、住居侵入罪が成立するかも微妙ということで逮捕されなかったと言えるでしょう。

一方で、Bさんは244条3項の「親族でない共犯」であり、刑が免除されないので、逮捕されたということになります。

~弁護士に相談を~

今後の刑事手続きの流れについてはこちらをご参照ください。
https://sendai-keijibengosi.com/keijijikennonagare/

逮捕されたBさん本人やご家族は、いつ釈放されるのか、どのくらいの罰則を受けるのか、取調べにはどう受け答えしたらいいのか等々、不安点が多いと思います。
また、Aさんも、自分が逮捕されないか、Bさんがどうなってしまうのか心配だと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
また、逮捕されていない場合やすでに釈放されている場合は、事務所での法律相談を初回無料でお受けいただけます。

住居侵入罪窃盗罪などで逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひ一度ご相談ください。

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