宮城県での傷害致死事件で逮捕
傷害致死罪で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
宮城県大衡村に住むAさん。
会社の部下Bさんが挨拶をしっかりせず、反抗的な態度を見せることがあるので、不満を募らせていました。
ある日、Bさんが仕事でミスをしたことからAさんが注意すると、Bさんは謝るどころか、
「うるせーなー」
と言いました。
その態度に激高したAさんは、Bさんを会社の建物の外に連れ出し、殴る蹴るの暴行を加えました。
当たり所が悪かったこともあり、Bさんは外傷性クモ膜下出血を発症。
搬送先の病院で死亡しました。
Aさんは大和警察署の警察官により逮捕されました。
(フィクションです)
~傷害致死罪~
Bさんに暴行を加えて傷害を負わせ、死亡に至らせたAさんには傷害致死罪が成立する可能性があります。
刑法第205条
身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、三年以上の有期懲役に処する。
有期懲役は、余罪がない場合には上限が20年となります(12条1項参照)。
殺すつもりがなくても、死亡という重大な結果が生じていることから、重い刑罰が科される可能性もあるわけです。
~殺人罪の可能性も?~
AさんがBさんを殺すつもりまではなかったのであれば、傷害致死罪が成立するにとどまります。
しかし、殺すつもりがあった場合はもちろん、死ぬかもしれないがそれでも構わないなどと死亡することを容認していた場合にも、殺人の故意があるとして、殺人罪が成立することになります。
第199条
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。
殺人の故意があるかどうかは内心のことなので、客観的に判断することは難しいところがあります。
実際には、被疑者の供述の他、どのくらいの強さで、体のどの部分を、何回殴ったり蹴ったりしたのかという客観的事情から、被疑者の内心を推測していくことになります。
Aさんの暴行態様がかなり強い・悪質なものであったとすれば、Aさん自身が殺すつもりはなかったと供述しても、殺人の故意があると判断されて殺人罪となってしまう可能性も否定はできません。
~一命をとりとめた場合は?~
もし、Bさんが死亡は免れていた場合、殺人の故意があれば殺人未遂罪、故意がなければ傷害罪が成立することになります。
第199条
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。
第203条
第百九十九条及び前条の罪の未遂は、罰する。
第204条
人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
殺人罪は最高が死刑、最低が5年の懲役です。
しかし殺人未遂罪になると、最高が無期懲役、最低が2年半の懲役となる可能性があります(刑法43条・68条参照)。
被害者が一命をとりとめたか、殺人の故意があったか、という点はAさんへの判決に大きな影響があるわけです。
~今後の刑事手続~
逮捕されると、最初に最大3日間、警察署等で身体拘束され、取調べ等の捜査を受けます。
そして逃亡や罪証隠滅のおそれがあるなどとして検察官が勾留(こうりゅう)を請求し、裁判官が許可すれば、さらに10日間の身体拘束がされる可能性があります。
この勾留期間はさらに10日間延長されることもあります。
その後、検察官が被疑者を刑事裁判にかけると判断(起訴)すれば、刑事裁判がスタートします。
そして裁判で無罪や執行猶予とならない限り、刑罰を受けることになります。
弁護士としては、証拠隠滅や逃亡のおそれがないといえる事情を裁判官に主張して、保釈が認められるように活動することが考えられます。
そして、Aさんが真に行ってしまった犯罪よりも重い犯罪で裁かれることのないよう、弁護活動をしてまいります。
~ご相談ください~
逮捕されると、ご本人やご家族としては、どのような罪が成立するのか、どのくらいの刑罰を受けるのか、今後の刑事手続きはどうなるのか、取調べにはどのように受け答えしたらよいのかなど、不安点が多いと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
仮に逮捕されていない場合には、事務所での法律相談を初回無料で行っております。
接見や法律相談では、上記の不安点などにお答えいたします。
傷害致死罪や殺人罪などで逮捕された、取調べを受けたといった場合には、ぜひ一度ご相談ください。