宮城県での窃盗共犯事件で逮捕
窃盗共犯事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
宮城県内に住むAさん。
名取市の民家に忍び込み、金品を盗む計画を立てました。
忍び込んでいる最中に民家の周辺で見張りや送迎をする人が必要だと考えたAさんは、高校時代の後輩のBさんに見張り役を頼みました。
Bさんは乗り気ではなかったものの、先輩のいう事に逆らえず、引き受けることになりました。
犯行当日、Bさんが車で被害者宅の近くまでAさんを送り届け、Aさんが忍び込んでいる最中は外で家主が帰ってこないか見張っていました。
やがて盗んだ物を持ってAさんが戻ってきたことから、2人で現場を後にしました。
後日、AさんとBさんは、窃盗の容疑で岩沼警察署の警察官により逮捕されました。
(フィクションです)
~Aさんには住居侵入罪と窃盗罪が成立~
この事例は住居侵入窃盗の共犯事件ですが、AさんとBさんはそれぞれどのような罪に問われるのでしょうか。
まず、自ら民家に忍び込んで物を盗んできたAさんには、当然ながら住居侵入罪と窃盗罪が成立します。
刑法
第130条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
第235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
なお、住居侵入罪と窃盗罪は、窃盗をするために住居侵入したという「手段と結果」の関係にあることから、「牽連犯」(ケンレンパン)という扱いになり、最も重い罪の法定刑によって処罰されます。
住居侵入罪より窃盗罪の方が重いので、窃盗罪の10年以下の懲役または50万円以下の罰金の範囲で処罰されるということになります。
第54条1項
一個の行為が二個以上の罪名に触れ、又は犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する。
~Bさんは共同正犯か幇助犯か~
Bさん自身は民家に忍び込んでいませんし、金品も盗み出していません。
しかし、共同正犯としてBさんにも住居侵入罪と窃盗罪が成立する可能性があります。
第60条
二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。
たしかに住居侵入と窃盗そのものは行っていませんが、見張りや送迎という、Aさんが犯行をする上で重要な役割を果たしていたことから、「二人以上共同して犯罪を実行した」として、Bさんも共同正犯として住居侵入罪と窃盗罪の責任を負う可能性があることになります。
もちろん、果たした役割などの違いによって、懲役の期間や罰金の額などに違いが生じることはあります。
一方で、BさんはAさんと一緒になって犯行をしたというよりは、Aさんの犯行を助けたにすぎず、幇助犯(ホウジョハン)が成立するにとどまる可能性もあります。
第62条1項
正犯を幇助した者は、従犯とする。
第63条
従犯の刑は、正犯の刑を減軽する。
幇助犯(条文上は従犯(ジュウハン)とも言います)であれば、正犯の刑を半分に減軽した範囲内で処罰されることになります。
Aさんが10年以下の懲役または50万円以下の罰金でしたので、Bさんは5年以下の懲役(下限は半月以上)または25万円以下の罰金(下限は5000円以上)となります。
Bさんが共同正犯と幇助犯のどちらになるかは、様々な事情を総合的に考慮して判断されます。
Bさんは乗り気ではなかったことの他、Bさんの協力がなければAさんが犯行出来なかったと言えるか、Bさんが報酬としてAさんからどれくらいもらったか、などの事情を考慮して判断されます。
~お早めにご相談ください~
逮捕された後の手続についてはこちらをご覧ください。
https://sendai-keijibengosi.com/keijijikennonagare/
弁護士としては、まずは勾留されずに早期に釈放されるよう活動します。
また、被害者と示談を締結したり、Bさんについては幇助犯にとどまると主張するなどして、出来るだけ軽い刑罰で済むよう、弁護活動をしてまいります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
仮に逮捕されていない場合には、事務所での法律相談を初回無料で行っております。
住居侵入罪や窃盗罪の共犯として逮捕された、取調べを受けたといった場合には、ぜひ一度ご相談ください。