宮城県での公務執行妨害で逮捕
公務執行妨害罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
宮城県富谷市に住むAさん。
居酒屋で居合わせた客と口論になった末、店内で殴り合いのケンカとなってしまいました。
大和警察署の警察官が駆け付けて、いったんケンカは収まりました。
しかし警察官がAさんに対し、
「交番で事情を聞かせてもらうからちょっと来てくれるか」
と言ったところ、酔っぱらって怒りも治まらないAさんは、
「あっちが悪いんだ。何で行かなきゃいけないんだ」
と大騒ぎ。
しまいには、なだめて連れて行こうとする警察官を突き飛ばしてケガをさせてしまいました。
Aさんは公務執行妨害罪で現行犯逮捕されてしまいました。
(フィクションです)
~多くの犯罪が成立する可能性~
居酒屋店内でケンカをし、警察官を突き飛ばしたAさんには、多くの犯罪が成立する可能性があります。
時系列に沿って見ていきましょう。
まずはケンカ相手を殴ったことにより傷害罪が、あるいは相手がケガをしていなければ暴行罪が成立するでしょう。
刑法第204条(傷害)
人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第208条(暴行)
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
また、店内でケンカをしてしまったことにより、店の食器等が壊れていれば器物損壊罪が成立したり、店の営業に影響するようなものだったとして威力業務妨害罪が成立する可能性もあります。
第261条(器物損壊等)
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。
第233条(信用毀損及び業務妨害)
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第234条(威力業務妨害)
威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。
そして、警察官を突き飛ばしてケガをさせたことにつき、公務執行妨害罪と傷害罪が成立する可能性があります。
第95条1項
公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
店への影響もさほどなく、純粋にケンカをしただけであれば、逮捕までされなかった可能性も十分考えられますが、警察官にも暴行を働いてしまったことで、事態を悪化させてしまいました。
~刑事手続きの流れ~
逮捕されたAさんは、まずは最大で3日間、警察署等で身体拘束されます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるとして検察官が勾留(こうりゅう)を請求し、裁判官が許可すれば、さらに最大20日間の身体拘束がされる可能性があります。
その後、検察官が被疑者を刑事裁判にかけると判断すれば(起訴)、刑事裁判がスタートします。
そして裁判で無罪や執行猶予とならない限り、刑罰を受けることになります。
なお、途中で釈放されれば、自宅から警察署や検察庁に出向いて取調べを受けたり、裁判所に出向いて刑事裁判を受けるという流れになることが考えられます。
~弁護士の活動~
上述の手続の流れから考えると、まずは検察官が勾留請求しなければ、あるいは裁判官が勾留決定をしなければ、最初の3日間で釈放されます。
そこで弁護士としては、逃亡や証拠隠滅をする可能性が低いと言える理由を意見書にまとめ、検察官や裁判官に提出するなどして勾留を防ぎ、早期に釈放されることを目指していきます。
また、検察官が不起訴処分とすれば、前科も付かずに手続は終了となります。
不起訴処分とまではいかなくても、簡易な手続で罰金刑にする略式起訴をする場合もあります。
そこで、被害者と示談が成立していること、本人が反省していること、前科がないこと、家族の監督が期待できることなど、ご本人に有利な事情を出来る限り主張して、不起訴処分や略式起訴を目指していきます。
~弁護士に相談を~
逮捕されると、ご本人やご家族としては、どのような罪が成立するのか、どのくらいの刑罰を受けるのか、今後の刑事手続きはどうなるのか、取調べにはどのように受け答えしたらよいのかなど、不安点が多いと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
仮に逮捕されていない場合には、事務所での法律相談を初回無料で行っております。
接見や法律相談では、上記の不安点などにお答えいたします。
公務執行妨害罪や傷害罪などで逮捕された、捜査を受けたといった場合には、ぜひ一度ご相談ください。