強制性交等未遂罪で逮捕【間接正犯】

強制性交等未遂罪で逮捕【間接正犯】

他の男性に、女子高生を襲わせたとして、強制性交等未遂の疑いで逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【参考事例】
「無理やり襲ってください」SNSで女子高校生になりすまし…男性に襲わせた疑い 26歳男を逮捕
Yahoo!ニュース(関西テレビ提供)

本当にこんな事件があるのかなと思ってしまうような事件のニュースが入ってきました。

この事件は、スポーツクラブのインストラクターが、教え子だった女子高生を、面識のない男性に襲わせようと考え、SNSで女子高生になりすまして「レイプしてください。無理やり襲ってください」などと書き込み、その書き込みを信じ込んだ男性に路上で女子高生に後ろから抱きつくなどして襲わせたというものです。

女子高生が抵抗したため、犯行は未遂に終わっています。
犯行理由は、デートを断られた復讐といった報道がなされています。

逮捕された被疑者自身は女子高生に襲いかかっていませんが、それでも強制性交等未遂の容疑で逮捕された理由を解説していきます。

~共犯として処罰される?~

一般に、自分自身が犯行自体を行わなくても処罰されるパターンには、①共同正犯②教唆犯③幇助犯の3つがあります。

①共同正犯(刑法60条)は、他人と共謀(相談)して犯罪をした場合、実際に手を下したのが他人であったとしても、自分にも犯罪が成立するというものです。
仮に今回の事件で、逮捕された男性(Aさんとします)と、実際に女子高生に襲った男性(Bさんとします)が共謀し、Bさんも女子高生が襲ってほしいと思っていないとわかった上で襲ったのであれば、AさんもBさんも強制性交等未遂罪が成立することになります。

②教唆犯(刑法61条)は、他人をそそのかして犯罪をさせた場合に成立するものです。
共同正犯よりも刑は軽くなる傾向にあります。

他人をそそのかすのと、①共同正犯が成立するための前提となる共謀との違いは難しいところですが、どれだけ犯行に主体的に関わっているかの違いといえます。
今回もAさんは最終的に②教唆犯で有罪になるということもありえなくはありませんが、デートを断られた復讐として行ったということであれば、犯行の根本的な原因はAさんにありますから、犯行に主体的に関わっているとして①共同正犯になる可能性の方が高いでしょう。

③幇助犯は、他人の犯罪を手助けした場合に成立するものです。
犯罪をそそのかしたのではなく、すでに犯行を決意している人の犯行を助けたにすぎないということで、②教唆犯よりも刑は軽くなります。
今回のAさんは、Bさんに犯行を決意させているので、③教唆犯にとどまる可能性はないでしょう。

このように見ていくと、Aさんは①共同正犯②教唆犯に問われる可能性はあります。
しかし①共同正犯は、AさんとBさんが犯罪を行う共謀をしたことが前提ですし、②教唆犯はそそのかされてBさんが犯罪を決意したことが必要です。
つまり①②どちらにしても、Bさん自身が今回の女子高生を襲うことが犯罪であると認識している必要があるわけです。

しかし、仮にBさんがSNSの書き込みを信じ、女子高生が本当に襲われたがっていると思っていたのであれば、Bさんには強制性交等罪という犯罪にあたるという認識がないことになります。
したがって、①共同正犯②教唆犯も成立しないことになります。

~間接正犯に問われうる~

しかし、Aさんを罪に問えないわけではありません。
間接正犯という理論により、罪に問える可能性があります。

間接正犯とは、他人を道具のように利用して犯罪を実現した者であれば、自ら犯罪を実行していなくても、他人と犯罪の共謀をしていなくても、罪に問えるという理論です。

たとえば、ピストルを撃って人を殺した場合、ピストルが殺人罪に問われるのではなく、ピストルを道具として利用した者が殺人罪に問われます。
ピストルは物ですし、殺人を思いとどまるということはできないからです。

これと同じように、たとえ物ではなくても、犯罪を思いとどまることができない他人を利用して犯罪を実現した場合には、他人を道具のように利用して犯罪を実現したとして、罪に問えることになるのです。

今回、BさんがSNSの書き込みを見て女子高生が本当に襲ってほしがっていると信じていた場合には、襲っても犯罪にならないと考えており、犯罪を思いとどまることができなかった可能性があります。
そうであれば、AさんはBさんを道具のように利用して、強制性交等未遂罪という犯罪を実現したことになり、罪に問うことができるのです。

~お困りの方はご相談を~

今後の捜査の結果、AさんとBさんの共謀があった、あるいはBさんが書き込みを信じていなかったのに犯行に及んだことがわかったような場合には、間接正犯の理論は使われずに終わるでしょう。
ただ、事実関係が特殊であり、理論的にも興味深い点がある事件だったのでご紹介いたしました。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
あなたやご家族が犯罪をしてしまったり、犯罪をしたと疑われてお困りの際はぜひご相談ください。

 

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