個人情報をばらまき逮捕

個人情報をばらまき逮捕

生徒の個人情報が書かれた書類をばらまいて逮捕されたという事件がありました。

生徒の個人情報、街でばらまいた疑い 非常勤講師を逮捕
Yahoo!ニュース(朝日新聞)

この事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

~守秘義務違反~

この事件は、高校の非常勤講師の男性が、仙台市と名取市の路上や商業施設など計4カ所で、以前勤務していた県立高校の公文書の写し計7枚をばらまいて逮捕されたという事件です。
「資料が放置されている」という連絡が学校にあり、学校が警察に相談し、逮捕に至ったとのことです。

逮捕容疑は、地方公務員法違反(守秘義務違反)偽計業務妨害罪
まずは地方公務員法の条文を見てみましょう。

地方公務員法
第34条1項
職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする。

この条文によって、公務員が仕事で知った個人情報などを、外部に漏らしてはならないことになっています。
公務員を退職した後も、外部に漏らしてはいけないことになっています。
いわゆる「守秘義務」を定めた条文となっています。

もちろん、どんな情報であっても、外部に知らせてはいけないということではありません。
個人情報とは関係ないものであったり、一般の方にお知らせすべき情報も当然あります。

しかし、今回の事件でばらまかれた文書は、生徒指導に関する会議資料のコピーで、生徒の氏名などが記載されており、学校は持ち出しやコピーを禁じていたとのこと。
生徒の個人情報が書かれているものですので、守秘義務が課せられる内容だったといえるでしょう。

罰則は、1年以下の懲役または50万円以下の罰金となっています。

~偽計業務妨害罪~

続いて、偽計業務妨害罪の条文を見てみましょう。

刑法233条
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

今回の事件では、この条文の中の、
①「偽計を用いて」
②「人の…業務を妨害した者」
に該当するかが問題となります。

①「偽計を用いて」とは、人をだましたり、人がある情報を知らないことを利用することなどの、不正な手段を利用することを言います。
今回の事件の文書をばらまいた行為は、不正な手段といえるでしょう。
したがって、「偽計を用いて」に当たるわけです。

②「人の…業務を妨害した者」については、今回の内容の文書をばらまく行為は、学校が文書を回収したり、生徒・保護者に説明したり、警察と相談したりなど、余計な業務をしなければならなくなるものですから、該当するでしょう。

よって、偽計業務妨害罪が成立する可能性が高いわけです。

~弁護士にご相談ください~

逮捕された後の手続きについて、詳しくはこちらをご覧ください。
【刑事事件の流れ】

あなた自身やご家族が、何らかの犯罪で逮捕された、警察に呼び出されたといった場合、どんな罪に問われているのか、いつ釈放されるのか、どれくらいの刑罰を受けるのか、示談はどうやってすればよいのか、職場からの処分はどうなりそうかなど、わからないことが多いと思います。

事件の具体的な事情をもとに、最もいい事件解決のためにどう動いていくべきかをご説明致しますので、ぜひ一度弁護士にご相談いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
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