過失傷害事件で警察から呼出しを受けている

過失傷害事件で警察から呼出しを受けている

過失傷害事件で警察から呼出しを受けている場合について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【刑事事件例】

山形県米沢市内で過失傷害事件を起こしたAさんは,宮城県米沢警察署の警察官に数次にわたる任意出頭を求められていました。
しかし,Aさんは,逮捕といった強制捜査でなければ,このような任意捜査に応じる必要はないと考え,何の理由を述べることなく出頭しませんでした。
Aさんは,「今後自分は過失傷害罪の容疑で逮捕されてしまうことはあるのか」と疑問に考えています。
(フィクションです。)

【過失傷害罪とは】

刑法209条1項
過失により人を傷害した者は,30万円以下の罰金又は科料に処する。

過失傷害罪は,「過失」により人を「傷害」した者に成立する犯罪です。
過失傷害罪の「過失」とは,人に対する傷害という犯罪事実の認識又は認容のないまま,不注意によって傷害行為を行うことをいいます。
過失傷害罪の「傷害」とは,身体の生理機能の障害または健康状態の不良な変更のことをいいます。

これらの過失傷害罪の成立要件を満たすとき,Aさんには過失傷害罪が成立します。

【逮捕とは】

刑事訴訟法199条
1項:検察官,検察事務官又は司法警察職員は,被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは,裁判官のあらかじめ発する逮捕状により,これを逮捕することができる。
ただし,30万円…以下の罰金,拘留又は科料に当たる罪については,被疑者が定まつた住居を有しない場合又は正当な理由がなく前条の規定による出頭の求めに応じない場合に限る。
2項:裁判官は,被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があると認めるときは,検察官又は司法警察員(警察官たる司法警察員については、国家公安委員会又は都道府県公安委員会が指定する警部以上の者に限る。以下本条において同じ。)の請求により,前項の逮捕状を発する。
但し,明らかに逮捕の必要がないと認めるときは,この限りでない。

刑事訴訟法規則143条の3
逮捕状の請求を受けた裁判官は,逮捕の理由があると認める場合においても,被疑者の年齢及び境遇並びに犯罪の軽重及び態様その他諸般の事情に照らし,被疑者が逃亡する虞がなく,かつ,罪証を隠滅する虞がない等明らかに逮捕の必要がないと認めるときは,逮捕状の請求を却下しなければならない。

逮捕の要件は,刑事訴訟法199条,刑事訴訟規則143条の3に定められています。
具体的に,逮捕の要件としては,①被疑者の方が罪(刑事事件例で考えれば,過失傷害罪)を犯したことを疑うに足りる相当な理由,②逮捕の必要があることが規定されています。

この逮捕の要件のひとつである②逮捕の必要があることとは,被疑者の方(過失傷害事件の被疑者の方)が逃亡するおそれがあること,証拠を隠滅するおそれがあることをいいます(刑事訴訟法60条参照)。
ここで,数度の出頭要請とその拒否により,逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれが事実上高まることが考えられます。
この場合,逮捕の必要があるとして,被疑者(過失傷害事件の被疑者の方)の方が逮捕されてしまう可能性があります。

【過失傷害事件で警察から呼出しを受けている場合】

刑事事件例のように,当初は任意捜査として任意同行が求められていただけであったのに,途中で捜査が強制捜査に切り替わり,いきなり自宅に警察が逮捕状を持ってきて,過失傷害罪の容疑で逮捕されてしまうというような刑事事件例もあります。

そのため,刑事事件例のように,逮捕に至る前に任意捜査として任意同行が求められている場合,警察の取調べに応じるという判断をするのが賢明でしょう。
しかし,その際,警察により過失傷害事件の取調べにおいて,厳しい追及がなされないとも限りませんので,あらかじめ刑事弁護士を選任し,どのように警察による過失傷害罪の容疑での取調べを受ければよいか,法的助言を受けておくのが良いでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は,刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
過失傷害事件で警察から呼出しを受けている場合は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部までご相談ください。

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