アパート放火で重罰
宮城県亘理町のとあるアパートに住むAさん。
同じアパートに住むVと長年のトラブルがあり、恨みが募っていました。
ある日、再びVと喧嘩になり、暴言を浴びせられたAさん。
カッとなって、Vが死んでしまえばいいと思い、アパートに放火してしまいました。
幸いVら住人は逃げることができ、けが人もいませんでしたが、アパートは全焼してしまいました。
Aさんは亘理警察署の警察官によって逮捕されました。
~成立する罪~
Aさんの行為には、現住建造物放火罪と殺人未遂罪が成立するでしょう。
刑法第108条(現住建造物等放火)
放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。
第199条(殺人)
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。
第203条(未遂罪)
第百九十九条及び前条の罪の未遂は、罰する。
現住建造物等放火罪は、人が死亡する可能性が十分に考えられる危険な行為であることから、殺人罪と同じ刑罰が定められています。
また、放火することによって人を殺そうという意図があったのであれば、現住建造物等放火罪に加えて、実際に人が死亡すれば殺人罪が、死亡しなければ殺人未遂罪も成立します。
Aさんにも重い刑罰が下されることが予想されます。
~現住建造物等でなければ?~
仮にAさんが放火したのが、現住建造物等以外の建物や物であったらどうなるでしょうか。
たとえばVさんが所有している倉庫などの建物に放火した場合、放火時に中に人がいなければ、非現住建造物放火罪が成立します。
第109条1項(非現住建造物等放火)
放火して、現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物、艦船又は鉱坑を焼損した者は、二年以上の有期懲役に処する。
人が死亡する可能性が低くなる分、定められている刑罰(法定刑)は軽くなっています。
ちなみに有期懲役とは、原則として最大20年です(12条1項参照)。
また、Vさんの車などの物に放火した場合には、建造物等以外放火罪または器物損壊罪が成立します。
第110条1項(建造物等以外放火)
放火して、前二条に規定する物以外の物を焼損し、よって公共の危険を生じさせた者は、一年以上十年以下の懲役に処する。
第261条(器物損壊等)
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。
両者は、「公共の危険」を生じさせたか否かによって区別されます。
公共の危険とは、不特定または多数人の生命・身体・財産に脅威を及ぼす状態をいいます。
簡単に言えば、車以外に延焼する可能性がなければ、被害や危険性の大きさが車を叩き壊した場合と同じなので器物損壊罪に、延焼する可能性があれば危険性が大きいので建造物等以外放火罪になります。
~弁護士に接見を依頼する~
逮捕された場合、最大23日間の身体拘束がされた後に、刑事裁判を受けることが考えられます。
刑事裁判が始まると、保釈が認められない限り、さらに身体拘束が続くことになります。
また、現住建造物等放火罪や殺人罪、殺人未遂罪では裁判員裁判となります。
逮捕されると、本人やご家族は、今後どのような刑事手続きが進んでいくのか、どの程度の刑罰を受ける可能性があるのか、取調べにはどう受け答えしたらよいのか等々、わからないことが多く不安だと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする弁護士事務所です。
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仮に逮捕されていない場合には、事務所での法律相談を初回無料でお受けいただけます。
接見や法律相談では、上記の不安点にお答えいたします。
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