怖くなって逃げてしまったら~ひき逃げ~
人をひいて、怖くなって逃げてしまった場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
逮捕の男(64)直後に洗車か 死亡ひき逃げ事件〈宮城・石巻市〉
YAHOO!ニュース(仙台放送提供)
この事件は、自動車で人をひいてそのまま逃走し、自動車を洗車したというものです。
この逮捕された方が、人をひいたことに気付いていたのか、気付いていたとしたらどういう理由で逃げたのか、なぜ事故直後に洗車したのかはわかりません。
しかし、たとえ怖くなって冷静な判断ができなくなり、逃げてしまったという場合であっても、すぐに被害者を助けた場合と比べると、重い責任を負うことになってしまいます。
~人を死亡させた点について~
まず、自動車で人をひき、死亡させたことについては、少なくとも過失運転致死罪が成立するでしょう。
自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律
第5条(過失運転致死傷)
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。
さらに、ひいてしまった原因が飲酒運転やスピード違反などで、特に悪質なケースでは、より重い危険運転致死罪が成立する可能性も考えられます。
第2条(危険運転致死傷)
次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。
一 アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為
二 その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為
(以下略)
~逃げた点について~
さらに、被害者を救助せず逃げてしまった場合、道路交通法に定められた①被害者を救護する義務と、②警察官への報告義務に違反したことになります。
それぞれ以下のような刑罰が定められています。
①救護義務違反(道路交通法72条1項前段・117条2項)
→10年以下の懲役または100万円以下の罰金
②報告義務違反(道路交通法72条1項後段・119条1項10号)
→3か月以下の懲役または5万円以下の罰金
仮に、単純に気が動転して逃げたのではなく、飲酒運転の発覚をおそれて逃げてしまった場合には、過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪という犯罪が成立する可能性もあります。
自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第4条
アルコール又は薬物の影響によりその走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で自動車を運転した者が、運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた場合において、その運転の時のアルコール又は薬物の影響の有無又は程度が発覚することを免れる目的で、更にアルコール又は薬物を摂取すること、その場を離れて身体に保有するアルコール又は薬物の濃度を減少させることその他その影響の有無又は程度が発覚することを免れるべき行為をしたときは、十二年以下の懲役に処する。
このように、ひき逃げをすると様々な犯罪が成立し、重い処罰を受ける可能性が出てきてしまいます。
~免許取消しも~
上記の刑事処罰とは別に、救護義務違反(ひき逃げ)の違反点数が35点ですので、一発で免許取消しとなります。
また、欠格期間が3年ですので、免許再取得も3年間はできないことになります。
詳しくはこちらのページをご覧ください
交通違反点数制度と一覧表
~お早めにご相談を~
ひき逃げなどで逮捕されると、いつ釈放されるのか、どのくらいの罰則を受けるのか、取調べにはどう受け答えしたらいいのか等々、ご本人やご家族は不安な点が多いと思います。
また、被害者のご遺族に謝罪・賠償できれば、罪が軽くなる可能性があります。
弁護士はこのような不安点に対するアドバイスや、謝罪・賠償に向けたサポートをすることができますので、ぜひ一度ご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などから初回接見のご依頼をいただければ、拘束されている警察署等にて、ご本人に面会(接見)し、事件の内容を聴き取った上で、今後の見通しなどをご説明致します。
接見後には、接見の内容などをご家族にお伝え致しますので、それを聞いていただいた上で、正式に弁護活動を依頼するかどうかを決めていただけます。
また、逮捕されていない場合やすでに釈放されている場合は、事務所での法律相談を初回無料を行っております。
逮捕されると一気に手続が進んでいきますので、ぜひお早めにご相談ください。