Archive for the ‘暴力事件’ Category

同時傷害で逮捕

2019-11-14

同時傷害で逮捕

傷害致死罪同時傷害の特例に基づき逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【事例】
岩手県奥州市に住むAさん。
バーで飲んだいたところ、偶然居合わせたVさんと口論になり、店の外に出てケンカを始めましたが、体力に勝るAさんはVさんに一方的に暴行を加える形になりました。
口論になったところを見ていた他の客Bさんが外に出たところ、Vさんが一方的にやられている様子を見て突如、
「こいつは最低な野郎だな」
などと言いながら、自らもVさんに暴行を加えました。
AさんもBさんも殺すつもりはありませんでしたが、Vさんは急性硬膜下血腫で死亡してしまいました。
打撲や切り傷などのケガはAさんの暴行とBさんの暴行の両方から生じていますが、死因となった急性硬膜下血腫が、AさんとBさんどちらの暴行によって生じたものなのかはわかりませんでした。
AさんとBさんは奥州警察署の警察官によって逮捕されました。
2人はどんな罪に問われることになるのでしょうか。
(事実をもとにしたフィクションです)

~まずは傷害罪が成立~

今回の事例は、AさんとBさんが共謀なしにそれぞれVさんに暴行を加えたが、死因がどちらの暴行から生じたのかわからないという特殊性があります。
これが成立する犯罪にどう影響してくるのでしょうか。

まずは両名とも、Vさんに暴行を加えて打撲や切り傷等の傷害を負わせているので、少なくとも傷害罪は成立することになります。

刑法第204条
人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

条文上、傷害罪だけでも最長で15年の懲役が科されうるということになります。
もちろん、前科があるか、暴行方法の悪質さ、被害者のケガの程度などによって、判決内容は大きく異なってきます。

~傷害致死罪にも問われる?~

次に、AさんやBさんに殺意があれば殺人罪の成立が問題となりますが、殺意のない今回の事例では、傷害致死罪が成立するかが問題となります。

第205条
身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、三年以上の有期懲役に処する。

これが傷害致死罪の条文です。
ここで、仮に今回の事例と違い、AさんとBさんが共謀の末にVさんに暴行を加え、Vさんを死亡させたのであれば、傷害致死罪の共同正犯が成立します。

第60条
二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。

そして共同正犯の場合、共犯者がした行為についても責任を負うことになっています(一部実行全部責任)。
したがって、死因となった急性硬膜下血腫を生じさせた暴行を共犯者が行った場合でも、死亡結果まで責任を負わせることができるので、傷害致死罪が成立します。

一方、今回のように共謀がない場合は、同時傷害に特例という規定が問題となります。

第207条
二人以上で暴行を加えて人を傷害した場合において、それぞれの暴行による傷害の軽重を知ることができず、又はその傷害を生じさせた者を知ることができないときは、共同して実行した者でなくても、共犯の例による。

これが同時傷害の特例と呼ばれる条文です。
今回の事例はまさに、「二人以上で暴行を加えて人を傷害した場合において、それぞれの暴行による傷害の軽重を知ることができず」に該当します。
したがって、「共同して実行した者でなくても」(すなわち共謀に基づいて犯罪をした場合でなくても)、「共犯の例による」(すなわち結局は上記の共同正犯と同様、全部の責任を負わせることができる)ということになります。

傷害致死罪の責任を免れるためには、死因となった急性硬膜下血腫が自らの暴行によって生じたのではないと証明する必要があるのです。
そうすると、AさんとBさんのどちらの暴行により死因を形成したかわからない本事例においては、両名とも傷害致死罪の責任を負うことになるでしょう。

~弁護士にご相談を~

逮捕された後の手続について、詳しくはこちらをご覧ください。
https://sendai-keijibengosi.com/keijijikennonagare/

逮捕されると、どのような罪を負うのか、どれくらいの刑罰を受けるのか、取調べにはどう受け答えしたらよいのかなど不安点が多いと思いますので、ぜひお早めにご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などから初回接見のご依頼をいただければ、拘束されている警察署等にて、ご本人に面会(接見)し、上記の不安点などについてご説明いたします。
接見後にその結果をご家族にご報告致しますので、報告を聞いていただいた上で、正式に弁護活動を依頼するかどうかを決めていただけます。

また、逮捕されていない場合やすでに釈放された場合には、弁護士事務所での法律相談を初回無料で行っております。

傷害致死罪などで逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひ一度ご連絡ください。

自殺を手伝い逮捕

2019-11-13

自殺を手伝い逮捕

自殺関与罪で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【事例】
宮城県大和町に住むAさん。
父親が寝たきり状態となり、Aさんが自宅で介護をしていました。
父親は、これ以上生きていても家族に迷惑をかけるだけだと思い、Aさんに自殺したいと申し出ました。
最初は聞き入れなかったAさんでしたが、何度も自殺したいと言われ、その意志の強さを感じたことから、自殺をさせることにしました。
Aさんは大量の睡眠薬を購入し、父親は自ら摂取して、死亡するに至りました。
その後、Aさんの通報により父親は病院に搬送され、医師により死亡が確認されました。
しかしその医師が不審に思いAさんに問いただしたところ、上記の事実が明らかになりました。
医師が警察に通報したことから、Aさんは大和警察署の警察官により逮捕されました。
Aさんはどうなってしまうのでしょうか。
(事実をもとにしたフィクションです)

~自殺関与罪とは~

父親が自殺の意志を固め、その手伝いをしたAさん。
実質的に被害者がいないという考え方も出来ますが、犯罪が成立してしまいます。
条文を見てみましょう。

刑法第202条
人を教唆し若しくは幇助して自殺させ、又は人をその嘱託を受け若しくはその承諾を得て殺した者は、六月以上七年以下の懲役又は禁錮に処する。

この条文は、前半に自殺関与罪、後半に同意殺人罪が規定されています。
今回の事例では前半の自殺関与罪が問題となります。

自殺関与罪の中には、自殺教唆罪と自殺幇助罪があります。
自殺教唆罪は、自殺の意志がない人をそそのかして自殺の意志を固めさせ、自殺させた場合です。
自殺幇助罪は、自殺の意志をすでに固めた人の自殺を手助けした場合です。
今回は父親が自殺の意志を固めていたので、自殺幇助罪が成立することになります。

たしかに実質的な被害者がいないといっても、自殺は本来良くないことなので、自殺を止めるどころか手助けした場合には処罰されることになっているわけです。

なお、今回の事例では睡眠薬を父親自ら飲んで自殺していますが、たとえば父親から殺してほしいと頼まれ、睡眠薬を口に運んで飲ませたり、首を絞めて殺したといった場合には、同意殺人罪が成立することになります。

~殺人罪が成立する場合も~

これまでの話は、父親が真意に基づいて自殺を決意した場合の話です。
しかし、たとえばAさんが執拗に自殺するよう働きかけた結果、父親が自殺したくはなかったものの、やむを得ず自殺する旨申し出たといった場合には殺人罪が成立してしまうこともありえます。

第199条
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。

自殺関与罪や同意殺人罪は、あくまでも本人が真意に基づいて死を望んだ場合の規定ですので、真意に基づいていない場合には、普通に他人が殺したのと同じということで殺人罪が成立しうるわけです。

~弁護士にご相談を~

逮捕された後の手続について、詳しくはこちらをご覧ください。
https://sendai-keijibengosi.com/keijijikennonagare/

逮捕されると、どのような犯罪が成立しているのか、どれくらいの刑罰を受けるのかなど不安点が多いと思いますので、ぜひお早めにご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などから初回接見のご依頼をいただければ、拘束されている警察署等にて、ご本人に面会(接見)し、上記の不安点などについてご説明いたします。
接見後にその結果をご家族にご報告致しますので、報告を聞いていただいた上で、正式に弁護活動を依頼するかどうかを決めていただけます。

また、逮捕されていない場合やすでに釈放された場合には、弁護士事務所での法律相談を初回無料で行っております。

自殺関与罪などで逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひ一度ご連絡ください。

警察官が被疑者を殴り逮捕

2019-11-11

警察官が被疑者を殴り逮捕

特別公務員暴行陵虐致傷罪で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【事例】
警察官であるAさん。
被疑者として逮捕した者を取調べしていましたが、被疑者の態度があまりにも悪かったことから、カッとなって顔面をコブシで殴ってしまいました。
被疑者は鼻を骨折してしまい治療を受けるとともに、弁護士にも報告。
弁護士は暴行をした警察官を告訴する手続きを行ったほか、記者会見を開いて事態を世に知らしめました。
暴行の事実がニュースでも取り上げられ、このまま内部処理で済ますわけにいかなくなった県警は、暴行を行った警察官を逮捕しました。
(事実をもとにしたフィクションです)

~特別公務員暴行陵虐致傷罪~

最近ではあまりないと思われますが、昔は警察官などが被疑者に暴行を加えるという事案が度々あり、警察官に有罪判決が下ったこともあります。
具体的には、特別公務員暴行陵虐致傷罪という犯罪が成立してしまいます。

刑法第195条1項
裁判、検察若しくは警察の職務を行う者又はこれらの職務を補助する者が、その職務を行うに当たり、被告人、被疑者その他の者に対して暴行又は陵辱若しくは加虐の行為をしたときは、七年以下の懲役又は禁錮に処する。

これが特別公務員暴行陵虐罪の条文です。
「警察の職務を行う者」であるAさんは、取調べという「職務を行うに当たり」、「被疑者…に対して暴行…をした」ということになります。

しかも今回は、被疑者がケガをしてしまったので、より重い特別公務員暴行陵虐致傷罪が成立することになります。

第196条
前二条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

「傷害の罪と比較して、重い刑により処断する」とありますが、特別公務員暴行陵虐罪と傷害罪の条文で定められた刑罰を比べて、上限も下限も重い方を基準とするということです。すなわち、特別公務員暴行陵虐罪は7年以下の懲役または禁錮、傷害罪は15年以下の懲役または50万円以下の罰金です。
そうすると、上限は最長15年の傷害罪が重く、下限は罰金刑がない特別公務員暴行陵虐罪が重いです。
したがって、15年以下の懲役ということになります。

ちなみに検察官が殴った場合も同じ条文で処罰されることになります。
また、刑務所の刑務官などの場合は、刑罰の重さは同じですが、195条2項が適用されます。

第195条2項
法令により拘禁された者を看守し又は護送する者がその拘禁された者に対して暴行又は陵辱若しくは加虐の行為をしたときも、前項と同様とする。

~刑事手続きの進み方~

暴行をしてしまったAさんは詳しいでしょうが、Aさんのご家族にとってはどのような手続が進んでいくのか不安なところかもしれません。

逮捕をされたAさんは、最初に最大で3日間、警察署の留置所等に入れられます。
そして、証拠隠滅や逃亡のおそれがあるとして検察官が勾留(こうりゅう)を請求し、裁判官が許可すれば、さらに最大20日間の身体拘束がされる可能性があります。

その後、検察官が、被疑者を刑事裁判にかけると判断すれば(起訴)、刑事裁判がスタート。
無罪執行猶予とならない限り、刑罰を受けることになります。

なお、途中で釈放されれば、自宅から警察署や検察庁に出向いて取調べを受けたり、裁判所に出向いて刑事裁判を受けるという流れになることが考えられます。

~まずはご相談を~

このようなニュースで大きく取り上げられる可能性のある事件では、刑事手続の他、マスコミ対策なども必要となる場合があり、荷が重いところと思います。
一度お早めに弁護士に相談した方がいいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などから初回接見のご依頼をいただければ、拘束されている警察署等にて、ご本人に面会(接見)し、上記の不安点などについてご説明いたします。
接見後にその結果をご家族にご報告致しますので、報告を聞いていただいた上で、正式に弁護活動を依頼するかどうかを決めていただけます。

また、逮捕されていない場合やすでに釈放された場合には、弁護士事務所での法律相談を初回無料で行っております。

特別公務員暴行陵虐致傷罪などで逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひご連絡ください。

建造物侵入罪で逮捕

2019-11-02

建造物侵入罪で逮捕

宮城県仙台市若林区に住むAさん。
友人との飲み会で泥酔し、帰り道の途中にある建物のガラスを叩き割って侵入するという行為に出てしまいました。
その様子を見ていた通行人からの通報で、若林警察署の警察官が現場に到着。
Aさんは建造物侵入罪で現行犯逮捕されました。
(事実をもとにしたフィクションです)

~建造物等侵入罪とは~

酔っぱらってガラスを割り、建物に入り込んだAさん。
逮捕容疑となった建造物侵入罪の条文を見てみましょう。

刑法130条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

住居侵入罪と一緒に規定されています。
住居として利用されていない、会社や店舗等の建物に勝手に入り込んだ場合には、建造物侵入罪が成立することになります。

~建造物等損壊罪や器物損壊罪も~

Aさんはガラスを叩き壊しているので、建造物等損壊罪や器物損壊罪も成立するでしょう。

第260条
他人の建造物又は艦船を損壊した者は、五年以下の懲役に処する。よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。
第261条

前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

Aさんが割ったガラスが、小さな窓などであれば器物損壊罪にとどまる可能性もありますが、たとえばコンビニのガラスなどのように、容易に取り外せず壁として重要な機能を有しているようなガラスであれば、より重い建造物等損壊罪が成立する可能性が高くなるでしょう。

~2つの犯罪成立で刑罰はどうなる?~

Aさんには建造物侵入罪と建造物等損壊罪または器物損壊罪が成立しています。
この場合、これらの条文に定められた刑罰(法定刑)をそのまま足すのではなく、併合罪という処理がなされます。
刑法45条以下に規定がありますが、簡単に言うと、

①両方の罪で懲役刑にする場合→最も重い罪の1.5倍の期間を上限とする
②片方を懲役、もう片方を罰金とする場合→法定刑通りの範囲内で両方受ける
③両方の罪で罰金にする→法定刑通りの範囲内で両方受ける

ということになります。

たとえば、建造物等損壊罪の懲役刑は5年以下、建造物侵入罪の懲役刑は3年以下ですので、①のパターンを選択する場合には、7年半以下の懲役ということになります。

裁判所が①②③のどれを選ぶかは、犯行の具体的内容、反省態度、前科の有無、被害者との示談締結の有無などによってくることになります。

~刑事手続きの流れ~

現行犯逮捕をされたAさんは、最初に最大で3日間、警察署の留置所等に入れられます。
そして、証拠隠滅や逃亡のおそれがあるとして検察官が勾留(こうりゅう)を請求し、裁判官が許可すれば、さらに最大20日間の身体拘束がされる可能性があります。

その後、検察官が、被疑者を刑事裁判にかけると判断すれば(起訴)、刑事裁判がスタート。
無罪や執行猶予とならない限り、刑罰を受けることになります。

なお、途中で釈放されれば、自宅から警察署や検察庁に出向いて取調べを受けたり、裁判所に出向いて刑事裁判を受けるという流れになることが考えられます。

~弁護活動の内容~

上記の手続に関し、弁護士は以下のような弁護活動を行います。

まず、検察官が勾留請求しなければ、あるいは裁判官が勾留決定しなければ、最初の3日間以内に釈放されます。
そして、本人が反省している、前科がない、家族の監督が見込める、弁護士を通しての示談が見込めるといった事情があれば、勾留されない可能性も上がってきます。
そこで弁護士としては、検察官や裁判官に対し、これらの事情を主張するなどして勾留を防ぎ、早期に釈放されることを目指します。

また、検察官が起訴しないという判断(不起訴処分)をすれば、刑事手続はそこで終わり、釈放される上に前科も付かないことになります。
特に初犯で、弁償して示談が成立したといった事情があれば、不起訴処分となることも十分ありえます。
また、起訴するとしても、簡易な手続で罰金刑にする略式起訴を選ぶ場合もあります。
そこで、被害者に賠償をして示談を締結するなどの活動をし、不起訴処分や略式起訴で済むことを目指していきます。

~弁護士にご相談を~

逮捕されると、ご本人やご家族は、いつ釈放されるのか、どのくらいの罰則を受けるのか、取調べにはどう受け答えしたらいいのかなど、不安点が多いと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などから初回接見のご依頼をいただければ、拘束されている警察署等にて、ご本人に面会(接見)し、上記の不安点などについてご説明いたします。
接見後にその結果をご家族にご報告致しますので、報告を聞いていただいた上で、正式に弁護活動を依頼するかどうかを決めていただけます。

また、逮捕されていない場合やすでに釈放された場合には、弁護士事務所での法律相談を初回無料で行っております。

建造物侵入罪建造物等損壊罪器物損壊罪で逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひご相談ください。

宮城県での器物損壊で少年が逮捕

2019-10-29

宮城県での器物損壊で少年が逮捕

器物損壊罪で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【事例】
宮城県石巻市の住む高校2年生のAくん。
リサイクルショップで購入した物が思いのほか品質の低いものであったことから、返品をお願いしたところ、相手にされませんでした。
頭に来たAくんは後日、店を訪れ、いくつかの商品に汚れを付けるなどの行為をしました。
後日、石巻警察署の警察官がAくんの家を訪れ、Aくんは逮捕されました。
(フィクションです)

~器物損壊罪~

腹いせから、お店の商品を汚すという行為に出てしまったAくん。
この行為には、器物損壊罪が成立してしまう可能性があります。

刑法261条
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

この条文のうち、「他人の物を損壊し」にあたれば、器物損壊罪が成立するということになります。

※ちなみに「傷害した」というのは、動物にケガをさせたり死亡させた場合に成立する動物傷害罪の規定です。

「損壊」とは、物の効用を害するすべての行為を指します。
したがって、叩き壊すなどの行為はもちろんのこと、事実上使えない状態にすれば、物としての効用を発揮できないわけですから、「損壊」に該当します。
古くは、食器に放尿した行為について、心理的に使うことができなくなったとして「損壊」に当たるとした判例もあります。

今回のAくんの場合、商品に汚れを付けました。
一瞬で消せる程度の汚れであれば、物としての効用を害したとまでは言えないという場合もあるかもしれませんが、基本的には「損壊」に該当すると考えた方がよいでしょう。

~少年事件の手続の流れ~

少年事件の手続の流れはこちらをご覧ください
https://sendai-keijibengosi.com/syounensinpan/

大人の事件と同様、まずは最大で23日間身体拘束がされ、取調べ等の捜査を受ける可能性があります。
また、勾留の代わりに少年鑑別所での観護措置が採られ、少年の非行の原因の調査や、更生に向けていかなる措置を採るべきかといった調査がなされることもあります。

その後、家庭裁判所調査官による面談等により、さらにいかなる処遇にすべきか調査がなされます。
その結果、軽微な事件で、少年が反省しているといった事情があれば、少年審判が開始されずに、ここで手続が終了することもあります(成人事件での不起訴処分に近いものです)。

一方、少年審判が開かれた場合、どのような処分結果が予想されるかについてはこちらをご覧ください。
https://sendai-keijibengosi.com/syounen_syuukyoku/

なお、途中で釈放された場合には、自宅から家庭裁判所に出向いて、調査官の面談や少年審判を受ける流れになります。

~少年の更生のためにご相談を~

弁護士としては、早期釈放や軽い処分になるよう弁護活動を致します。
警察・検察への対応、家庭裁判所での調査・審判に向けた対応の他、少年に何らかの処分を行う可能性のある学校への対応などを行うこともあります。
今後の少年の人生に大きく関わりますので、ぜひ一度弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、少年事件や刑事事件を専門に扱っている弁護士事務所ですので、経験豊富な弁護士が対応いたします。

ご家族などから初回接見のご依頼をいただければ、拘束されている警察署等にて、ご本人に面会(接見)し、上記の不安点などについてご説明いたします。
接見後にその結果をご家族にご報告致しますので、報告を聞いていただいた上で、正式に弁護活動を依頼するかどうかを決めていただけます。
また、逮捕されていない場合やすでに釈放された場合には、弁護士事務所での法律相談を初回無料で行っております。

器物損壊罪などで逮捕された、捜査を受けているといった場合には、お早めにご連絡ください。

宮城県での強要・恐喝で逮捕

2019-10-20

宮城県での強要・恐喝で逮捕

強要罪や恐喝未遂罪などで逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【事例】
宮城県松島町で建設業を営むAさん。
下請け会社の社員が小さなミスをし、建築資材の到着が遅れるという事態が発生しました。
工事への影響はほとんどなかったものの、Aさんは下請け会社の社長とミスをした社員を呼び出し、激しい口調で罵倒した上、
「元請けに迷惑かけるとは何事だ。土下座しろ」
と言って土下座をさせた上、
「これで済むと思うなよ、誠意を示せ」
などと言って、金銭を要求しました。
普段からAさんの態度に困っていたこともあり、これ以上付き合いきれないと判断した下請け会社の社長は、警察に被害届を提出しました。
Aさんは、塩釜警察署の警察官によって逮捕されました。
(フィクションです)

~強要罪~

下請けのミスに乗じて、強い態度に出てしまったAさん。
もちろんモラル面でも問題となりますが、その前に立派な犯罪となってしまいます。
まず、土下座をさせたことについて、強要罪が成立するでしょう。

第223条1項
生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。

Aさんは、「元請けに迷惑かけるとは何事だ。土下座しろ」と言っています。
元請けと下請けという関係からすると、このような発言をされれば下請けとしては、契約を切られるのではないかと恐れることが多いでしょう。
下請けにとっては大きな財産的損失となりかねません。

したがって、Aさんの行為は、「財産に対し害を加える旨を告知して脅迫」して、土下座をするという「義務のないことを行わせ」たとして、強要罪が成立する可能性があるわけです。

~恐喝未遂罪~

さらにAさんは、「これで済むと思うなよ、誠意を示せ」などと言って、金銭を要求しました。
この行為には、恐喝未遂罪が成立するでしょう。

第249条1項
人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
第250条
この章の罪の未遂は、罰する。

契約打ち切りをちらつかせて恐れさせ金銭を要求したことは、恐喝行為に当たりうるものです。
したがって恐喝未遂罪が成立する可能性があるでしょう。
もちろん、実際に金銭を受け取るところまで行ったら、恐喝罪ということになります。

~刑事事件の手続き~

逮捕されたAさんは、まずは最大で3日間、警察署等で身体拘束され、取調べ等の捜査を受けます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるなどとして検察官が勾留(こうりゅう)を請求し、裁判官が許可すれば、さらに10日間の身体拘束がされる可能性があります。
この勾留期間はさらに10日間延長されることもあります。
犯行を否認していたり、前科がある場合などには、逃亡や証拠隠滅のおそれが高いので勾留するという判断がされやすくなります。

その後、検察官が被疑者を刑事裁判にかけると判断すれば(起訴)、刑事裁判がスタートします。
起訴された場合には、裁判で無罪や執行猶予とならない限り、刑罰を受けることになります。

弁護士としては、勾留を防いで早期に釈放されることを目指した上で、下請け会社側と示談を締結するなどし、執行猶予などの軽い結果となるよう弁護活動をしてまいります。

~弁護士にご相談を~

逮捕されると、ご本人やご家族は、いつ釈放されるのか、どのくらいの罰則を受けるのか、取調べにはどう受け答えしたらいいのか等々、不安点が多いと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
また、逮捕されていない場合やすでに釈放されている場合は、事務所での法律相談を初回無料でお受けいただけます。

強要罪や恐喝(未遂)罪などで逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひ一度ご相談ください。

宮城県での信用毀損で逮捕

2019-10-16

宮城県での信用毀損で逮捕

信用毀損罪などで逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【事例】
宮城県大河原町に住むAさん。
長年、個人商店を営んでいましたが、近隣に大型スーパーが出来たことから売り上げが激減。
なんとか店を存続させようと努力してきましたが限界を迎え、閉店することになりました。
大型スーパーが出店してきたことに対する不満が消えないAさん。
同スーパーで購入した食品に自ら異物を混入して写真を撮り、その画像をインターネットに上げて、虚偽の異物混入を訴えました。
その結果、その商品が販売停止になるという事態にまで至りました。
スーパーや商品を製造したメーカーが調査しましたが原因がわからない上、スーパーやメーカーがAさんに話を聞いた際に不審な点があったことから、Aさんのでっち上げではないかと推測。
スーパーやメーカーが警察に相談し、大河原警察署の警察官らがAさんに事情を聞いたところ、自作自演であったことを自白。
Aさんは逮捕されました。
(フィクションです)

~信用毀損罪とは~

長年営んできたAさんの店が閉店に追い込まれたことはかわいそうな面もあるかもしれません。
しかしAさんのやってしまったことは立派な犯罪であり、大ごとになってしまいました。
Aさんの行為には、信用毀損罪偽計業務妨害罪が成立する可能性があります。

第233条
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

まずは信用毀損罪から解説します。
「虚偽の風説を流布」とは、ウソの噂を流すことをいいます。
また、「偽計を用いて」とは、人を欺くなどの不正な手段を用いることをいいます。
Aさんは、異物が混入したという虚偽の事実をインターネットに投稿しました。
これはウソの噂を流したとして「虚偽の風説を流布」に該当しうるものです。
また、スーパーやメーカー、消費者を欺く不正な手段を用いたとして、「偽計を用いて」にも該当しうるでしょう。

次に、「人の信用」とは、人の支払能力に対する社会的な信頼や、商品の品質に対する社会的な信頼をいいます。
このような信頼を失わせるような行為をすれば、「人の信用」を「毀損」したということになります。
Aさんは、食品に異物が入っていたとの噂を流して、販売停止に追い込んだわけですから、商品の品質に対する社会的な信頼を失わせるような行為をしたとして、「人の信用を毀損」したといえるでしょう。

よって信用毀損罪が成立することになるでしょう。

~偽計業務妨害罪~

信用毀損罪と同じ条文に、偽計業務妨害罪も規定されています。
Aさんの「虚偽の風説を流布し、又は偽計を用い」た行為により、商品が販売停止となり、スーパーやメーカーは原因の調査などの本来不要だった業務をせざるを得なくなりました。
したがって、「業務を妨害した」として、偽計業務妨害罪も成立する可能性があります。

ただし、理論上は両方の罪に該当したとしても、実際には条文の記載通りの刑罰(3年以下の懲役または50万円以下の罰金)の範囲内で罰せられることになるでしょう。

~弁護士に相談を~

今後の刑事手続きの流れについてはこちらをご参照ください。
https://sendai-keijibengosi.com/keijijikennonagare/

逮捕されたAさん本人やご家族は、いつ釈放されるのか、どのくらいの罰則を受けるのか、取調べにはどう受け答えしたらいいのか等々、不安点が多いと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
また、逮捕されていない場合やすでに釈放されている場合は、事務所での法律相談を初回無料でお受けいただけます。

逮捕されると一気に手続が進んでいきます。
信用毀損罪偽計業務妨害罪などで逮捕された、取調べを受けたといった場合には、ぜひお早めにご相談ください。

宮城県での名誉毀損で逮捕

2019-10-13

宮城県での名誉毀損で逮捕

名誉毀損罪で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【事例】
宮城県内に住むAさん。
今度行われる県議選の候補者Bさんに当選してほしくないと思い、
「Bは前科がある」
「Bは不倫常習犯だ」
「警察が収賄で捜査している」
などの虚偽の内容の書き込みをインターネットで行ったり、ビラを作って選挙区内の住居のポストに入れるなどの行為をしました。
Bが被害届を提出し、宮城県警が捜査した結果、Aさんの犯行が発覚。
Aさんは逮捕されました。
(フィクションです)

~名誉毀損罪~

Aさんの行った行為には、名誉毀損罪が成立しないか問題となります。
まずは条文を見てみましょう。

第230条1項
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。

「公然」とは、不特定または多数人が認識できる状態をいいます。
ネットへの書き込みやビラの投函といった手段は、その内容を不特定または多数人が認識できますから、「公然」という要件をみたします。

また、単に「バカ」などの誹謗中傷をしたのではなく、前科や不倫、収賄といった事実を書いているので、「事実を摘示し」たといえます。
この「事実」は、人の社会的評価を下げるものであればよく、たとえ内容が真実であっても名誉毀損罪が成立しうるのが原則です。

しかし表現の自由への行き過ぎた制約とならないよう、以下のように刑法には例外規定が設けられています。

~名誉毀損罪が成立しない条件~

それでは条文を見てみましょう。

第230条の2
第1項
前条第一項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。
第2項
前項の規定の適用については、公訴が提起されるに至っていない人の犯罪行為に関する事実は、公共の利害に関する事実とみなす。
第3項
前条第一項の行為が公務員又は公選による公務員の候補者に関する事実に係る場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。

第1項によると、表現行為が、

①公共の利害に関する事実に係り、
②表現行為の目的が専ら公益を図ることにあり、
③内容が真実であると証明される、

という条件を満たせば、名誉毀損罪は成立しないことになります。

さらに第3項を見ると、「公務員又は公選による公務員の候補者に関する事実に係る場合」には、真実であることの証明さえあれば、名誉毀損罪は成立しないことになります。
 ※「公選による公務員の候補者」とは選挙の候補者のことです。

候補者に関する表現行為は、第1項に書かれた3つの条件のうち、①を満たすことは明らかです。
また、このような表現行為は民主主義にとって極めて重要であることを考えると、②公益目的というのも満たされていってよいでしょう。
したがって、刑事裁判において①や②について検討しなくても、③真実であることさえ証明されれば名誉毀損罪は成立しないとして、選挙に関する表現行為を守っているわけです。

~Aさんは犯罪成立~

ここまでお読みいただいてもうお分かりかと思いますが、今回の事例のAさんは、Bさんに関する虚偽の内容の書き込み等をしており、真実であることの証明ができませんので、名誉毀損罪が成立してしまうことになります。

逮捕されると、ご本人やご家族は、いつ釈放されるのか、どのくらいの罰則を受けるのか、取調べにはどう受け答えしたらいいのか等々、不安点が多いと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
また、逮捕されていない場合やすでに釈放されている場合は、事務所での法律相談を初回無料でお受けいただけます。

名誉毀損罪などで逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひ一度ご相談ください。

宮城県での略取・監禁で逮捕

2019-10-12

宮城県での略取・監禁で逮捕

わいせつ目的略取罪や監禁罪で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【事例】
宮城県石巻市に住むAさん。
好意を寄せていた女性に交際を申し込みましたが、断られました。
逆恨みしたAさんは、わいせつな行為をしてやろうと考え、帰宅途中の女性を待ち伏せし、自らの車に無理やり押し込んでAさんの自宅まで連れていき、部屋に施錠して閉じ込めました。
しかし女性は、Aさんが一瞬目を離した隙に窓から逃げ出しました。
逃げ出した際に女性は足にケガをしました。
その後Aさんは、女性からの通報を受けて駆け付けた石巻警察署の警察官によって逮捕されました。
(フィクションです)

~わいせつ目的略取罪~

逆恨みからわいせつ行為をする目的で女性を車に押し込んで拉致したAさん。
わいせつ目的略取罪が成立するでしょう。

第225条
営利、わいせつ、結婚又は生命若しくは身体に対する加害の目的で、人を略取し、又は誘拐した者は、一年以上十年以下の懲役に処する。

「略取」とは、暴行・脅迫を用いて他人を生活環境から離脱させ、自己または第三者の事実的支配下に置く行為をいいます。
Aさんは「わいせつ…目的で」、女性を車に押し込むという暴行を用いて「略取」したということになります。
なお、暴行・脅迫ではなく、だましたり誘惑などの手段を用いた場合を「誘拐」といいます。

~監禁致傷罪~

Aさんは女性を自室に閉じ込め、逃げようとした女性がケガをしたことから、監禁致傷罪も成立するでしょう。

第220条
不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、三月以上七年以下の懲役に処する。
第221条
前条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

「監禁」とは、人が一定の区域から出ることを不可能または著しく困難にして、行動の自由を奪うことをいいます。
今回は結果的に女性が逃げ出すことができていますが、少なくとも自室に施錠して女性が部屋から出ることを著しく困難にしたとして、「監禁」に当たる可能性は十分考えられます。

刑罰は監禁罪(220条)と傷害罪(204条)を比較して、上限も下限も重い方が基準となります。
傷害罪は15年以下の懲役または50万円以下の罰金ですので、結局、監禁致傷罪は、3カ月以上15年以下の懲役ということになります。

なお、自動車に押し込んで車を発進させると、女性が隙を見て逃げ出そうとしても大怪我のおそれがあります。
そうするとこの時点で、自動車という一定の区域から出ることを著しく困難にしたという余地があります。
したがって、仮に部屋に閉じ込める前に女性が逃げることができたとしても、監禁罪が成立する可能性もあるでしょう。

~逮捕後の手続~

逮捕されたAさんは、まずは最大で3日間、警察署等で身体拘束され、取調べ等の捜査を受けます。
そして逃亡や罪証隠滅のおそれがあるなどとして検察官が勾留(こうりゅう)を請求し、裁判官が許可すれば、さらに10日間の身体拘束がされる可能性があります。
この勾留期間はさらに10日間延長されることもあります。

その後、検察官が被疑者を刑事裁判にかけると判断すれば(起訴)、刑事裁判がスタートします。
そして裁判で無罪や執行猶予とならない限り、刑罰を受けることになります。

弁護士としてはまず、逃亡や証拠隠滅をする可能性が低いと言える理由を意見書にまとめ、検察官や裁判官に提出するなどして勾留を防ぎ、早期に釈放されることを目指していきます。
ただし、決して軽い罪ではないことから、刑罰から逃れるために逃亡のおそれがあると判断されたり、被害者を脅迫して供述を変えさせるなどの行為(供述証拠隠滅の一種)をする可能性があると判断され、勾留が続いてしまう可能性も高いです。

また、裁判においては、執行猶予などの比較的軽い判決となるように、被害者と示談交渉をするなどの弁護活動をしていくことになります。

~弁護士にご相談を~

Aさんの罪は軽くないかもしれませんが、弁護士が間に入ることによって被害者に賠償して示談を締結することができ、罪が軽くなる事情の1つとなる場合もあります。
当事者双方にとって良い結果となるよう、一度弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
また、逮捕されていない場合やすでに釈放されている場合は、事務所での法律相談を初回無料でお受けいただけます。

略取や誘拐、監禁などで逮捕された、取調べのために警察に呼び出されたといった場合には、ぜひご相談ください。

宮城県での保護責任者遺棄で逮捕

2019-10-11

宮城県での保護責任者遺棄で逮捕

保護責任者遺棄等罪で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【事例】
宮城県七ヶ浜町に住む男性Aさん。
子供がいる女性Bさんと結婚しました。
しかし、Bさんの連れ子の存在がうとましくなり、殴ってケガをさせたり、食べ物を与えないなどの虐待行為に出るようになりました。
Bさんは虐待をやめさせたいと考えていましたが、Aさんからの暴力をおそれ、止めることができずにいました。
ある日、その子供がやせ細り、体にアザが出来ていることに学校の先生が気付き、警察や児童相談所に相談。
児相の職員がAさんやBさんに事情を聞くなどの対応に出ました。
しかし虐待が止まる様子がなかったことから、子供は児童相談所に保護されるとともに、Aさんは塩釜警察署の警察官により逮捕されました。
(フィクションです)

~虐待で成立する犯罪~

子供を虐待すると、様々な犯罪が成立する可能性があります。

まず、食事を与えず、健康状態を害することになれば、保護責任者遺棄等致傷罪が成立する可能性があります。

刑法第218条(保護責任者遺棄等)
老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、三月以上五年以下の懲役に処する。
第219条(遺棄等致死傷)
前二条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

Aさんは、義理ではあるものの子供の父親の立場にあるわけなので、「幼年者」である子供を「保護する責任のある者」にあたることになるでしょう。
しかし、食事を与えるという「生存に必要な保護をしなかった」として、保護責任者遺棄等にあたることになります。
その結果、子供に健康被害が出れば、人に傷害を与えたということになります。
219条の「死傷」とは死亡または傷害という意味ですので、「前二条の罪を犯し、よって人を死傷させた」ということになります。
したがって保護責任者遺棄致傷罪が成立するわけです。

刑罰は、「傷害の罪と比較して、重い刑により処断する」とありますが、傷害罪と保護責任者遺棄等罪の刑罰と比較して、上限も下限も重い方となるという意味です。
結局、3カ月以上15年以下の懲役ということになります。

Aさんはもちろん、Aさんの暴力をおそれて子供を保護できなかったBさんも、同じ罪に問われる可能性もあります。

~傷害罪も~

Aさんは子供を殴ってアザが出来るなどの傷害を負わせているので、別途、傷害罪にも問われる可能性があります。

第204条
人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

Bさんも暴行を止めなかったことから、Aさんが暴行をするのが容易になったとして、傷害罪の幇助犯に問われる可能性が考えられます。

第62条1項
正犯を幇助した者は、従犯とする。
第63条
従犯の刑は、正犯の刑を減軽する。

幇助犯の場合は実行犯の人よりも刑が半分に減軽されるので、7年半以下の懲役または25万円以下の罰金となります。
しかし、保護責任者遺棄等致傷罪と合わせると3カ月以上22年半以下の懲役ということになってしまいます。

~今後の刑事手続きの流れ~

逮捕されたAさんは、まずは最大で3日間、警察署等で身体拘束され、取調べ等の捜査を受けます。
そして逃亡や罪証隠滅のおそれがあるなどとして検察官が勾留(こうりゅう)を請求し、裁判官が許可すれば、さらに10日間の身体拘束がされる可能性があります。
この勾留期間はさらに10日間延長されることもあります。

その後、検察官が被疑者を刑事裁判にかけると判断すれば(起訴)、刑事裁判がスタートします。
そして裁判で無罪や執行猶予とならない限り、刑罰を受けることになります。

弁護士としては、罰金刑や執行猶予などの軽い結果となるよう弁護活動をしてまいります。

~弁護士にご相談を~

逮捕されると、ご本人やご家族は、いつ釈放されるのか、どのくらいの罰則を受けるのか、取調べにはどう受け答えしたらいいのか等々、不安点が多いと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
また、逮捕されていない場合やすでに釈放されている場合は、事務所での法律相談を初回無料でお受けいただけます。

保護責任者遺棄等致傷罪などで逮捕された、捜査を受けているといった場合には、ぜひ一度ご相談ください。

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