Archive for the ‘財産事件’ Category
万引きで常習累犯窃盗
万引きで常習累犯窃盗となる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
~事例~
Aさんは、令和2年6月19日に、宮城県名取市のスーパーマーケット店内において、食料品5点を万引きしました。
Aさんには前科があり、窃盗の前科2つは、夜間に他人宅に工具を使用して忍び込み、現金を窃取するもので、1つはコンビニエンスストア内の万引きです。
Aさんは、店の通報を受けて駆け付けた宮城県岩沼警察署の警察官に、窃盗の容疑で逮捕されました。
しかし、その後の取調べでは、常習累犯窃盗に当たると取調官から言われ、厳しい処分が科されるのではないかと不安です。
(フィクションです。)
常習累犯窃盗とは
窃盗事件を起こした者を窃盗犯として検挙したが、その者が多数の類似の窃盗の前科があることが判明すると、窃盗罪ではなく、常習累犯窃盗罪が成立する可能性が出てきます。
常習累犯窃盗とは、窃盗罪や窃盗未遂罪にあたる行為を常習的に行う犯罪で、昭和5年施行の「盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律」(以下、「盗犯等防止法」といいます。)に規定されています。
第三条 常習トシテ前条ニ掲ゲタル刑法各条ノ罪又ハ其ノ未遂罪ヲ犯シタル者ニシテ其ノ行為前十年内ニ此等ノ罪又ハ此等ノ罪ト他ノ罪トノ併合罪ニ付三回以上六月ノ懲役以上ノ刑ノ執行ヲ受ケ又ハ其ノ執行ノ免除ヲ得タルモノニ対シ刑ヲ科スベキトキハ前条ノ例ニ依ル
とても古い法律ですので、なかなか読み辛いですね。
常習累犯窃盗は、常習として、窃盗罪、強盗罪、強盗利得罪、事後強盗罪、こん睡強盗罪、またはこれらの未遂罪を犯した者で、その行為の前の10年以内にそれらの罪またはこれらの罪と他の罪との併合罪で3回以上6月以上の懲役刑の執行を受けた、もしくはその執行を免除された場合に成立する罪です。
◇形式的要件◇
常習累犯窃盗の形式的要件は、「行為前の10年以内に、窃盗、窃盗未遂などについて、懲役6月以上の刑の執行を受けるなどしたことが3回以上あること」です。
「行為前の10年以内」というのは、窃取行為などが開始される前の10年以内という意味です。
Aさんは、令和2年6月19日にスーパーマーケット店内で万引きをしましたので、行為開始日は令和2年6月19日となり、「行為前の10年以内」は、平成22年6月19日以後ということになります。
「窃盗、窃盗未遂など」について、前科の内容として、幇助犯や教唆犯も含まれます。
また、窃盗、強盗、事後強盗、こん睡強盗の他に、常習累犯窃盗、強盗致死傷も含まれます。
「刑の執行を受け」たとは、10年以内の3回の刑のうち最初の刑の執行終了日が10年以内であれば足ります。
留意すべきは、懲役刑の執行猶予判決を受け、執行猶予期間を経過した場合や執行猶予期間中である場合には、刑の執行を受けたことにならず、執行の免除を受けたことにもならない点です。
◇実質的要件◇
常習累犯窃盗の実質的要件として、「常習として犯した」ことが必要です。
「常習として犯した」というのは、反復して窃盗罪などを犯す習癖を有するということです。
この要件については、行為者の前科前歴の内容、動機、手口や態様、犯行回数、性格などを総合的に考慮して判断されます。
常習累犯窃盗の実質的要件を満たしているかどうかを判断するにあたっては、前科の内容と本件犯行との間に手口や態様が類似している場合には、容易に常習性が肯定することができます。
しかし、手口や態様に類似性がない場合であっても、動機、犯行回数、犯行に及ぶ生活状況などを考慮し、窃盗の習癖に基づく犯行と認められれば、常習性が肯定されることになります。
Aさんの前科の内容について、2つは現金の侵入盗であるのに対して、本件犯行は店舗内での食料品の万引きです。
一見、その手口や態様において異なるように思えますが、容易に窃盗に及ぶ動機などが認められれば、本件犯行は窃盗を犯す習癖に基づくものと言えます。
また、Aさんには、コンビニエンスストアでの万引きの前科もあり、手口や様態も全く異なるものとは言えず、本件犯行が窃盗を犯す習癖に基づくものと認められるでしょう。
常習累犯窃盗の法定刑は、3年以上の有期懲役となっており、窃盗の法定刑よりも重くなっています。
常習性を否定する事情や被告人に有利な事情を収集し、出来る限り寛大な判決となるよう弁護活動する必要があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
ご家族が窃盗や常習累犯窃盗に問われお困りであれば、弊所の弁護士に今すぐご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスに関するお問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881へお電話ください。
弁護士事務所職員をかたり詐欺で逮捕
弁護士事務所職員をかたり詐欺で逮捕
弁護士事務所職員を装って300万円をだまし取った事件がありました。
弁護士事務所職員装い…90歳男性から300万円詐取 名古屋・瑞穂区
Yahoo!ニュース(CBCテレビ)
この事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説いたします。
~特殊詐欺で弁護士事務所も利用される~
この事件は、オレオレ詐欺や還付金詐欺などの特殊詐欺の1つです。
共犯者の1人が名古屋市内の90歳男性宅に電話し、息子を装って「親父、マスクあるけど、どうする」などと話を切り出した上で、「仮想通貨でもうかった」「脱税の処理に金が必要」などと言ってお金を用意させました。
そしてもう1人の共犯者が弁護士事務所職員を装って被害者の自宅を訪れ、現金300万円をだまし取ったとして逮捕されたものです。
お金を実際に受け取りに行く「受け子」役は、自治体職員や銀行員、警察官など様々な職業をかたってお金をだまし取りますが、弁護士事務所職員という弊所にとっても身近な存在を利用するケースもあるということなので、やるせないところです。
特殊詐欺をすると、当然ながら詐欺罪が成立します。
刑法第246条1項
人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
詐欺罪は条文にある通り懲役刑しか規定されておらず、罰金で済む可能性がありません。
また、特殊詐欺は被害が重大なものになる傾向があることから、初犯であっても執行猶予にならず、刑務所に入れられてしまうことが十分考えられます。
特殊詐欺は、同じ詐欺罪が成立する無銭飲食などと比べると、被害額が高くなりがちです。
今回の事例でだまし取られたのも300万円という大金です。
しかも、だまし取ったお金を使ってしまって、返還できないという例も多いです。
そこで判決も厳しいものになる傾向があるのです。
~刑事手続きの流れ~
犯罪をしたとして逮捕されると、最初に最大3日間、警察署等で身柄拘束され、取調べ等の捜査を受けます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるなどとして検察官が請求し、裁判官が許可すれば、さらに10日間、勾留(こうりゅう)と呼ばれる身体拘束がされる可能性があります。
この勾留期間はさらに10日間延長されることもあります。
その後、刑事裁判が始まります。
保釈が認められない限り、身柄拘束が続いてしまうことになります。
弁護士としては、勾留を防いだり保釈を認めてもらうことにより、ご本人が釈放されることを目指します。
ただし、被害金額が高かったり、共犯者がいるといった事例では、逃亡や証拠隠滅のおそれが高いと判断されて、なかなか釈放が認められない傾向にあります。
~判決を軽くするには~
前述のように特殊詐欺は被害が重大なので判決が重くなる傾向にあります。
少しでも軽い判決を得るためには、被害者にだまし取ったお金を返還して示談を結ぶことが重要です。
しかし、だまし取ったお金を使ってしまって本人が返還できない場合には、場合によってはご家族にご協力いただいて返還するという方法もあります。
もちろん、ご家族は法的には返還義務はありません。
しかし、ご家族が協力できる余裕がある場合には、代わりに返還することによって被害が回復できるので、被害者にとってもプラスですし、結果として判決が軽くなる可能性もあります。
~弁護士にご相談ください~
とはいえ、示談交渉はどうやって行えばよいのか、また釈放に向けてどう動けばよいのかなど、わからない方がほとんどだと思います。
あなたやご家族が何らかの犯罪をしたとして逮捕されたり、取調べを受けたといった場合にはぜひ一度、弁護士にご相談いただければと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスのご利用を、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用をお待ちしております。
コロナ詐欺相次ぐ
コロナ詐欺相次ぐ
新型コロナウイルスに関連した詐欺が相次いでいます。
ネット購入したマスク届かず…「コロナ詐欺」福岡で相次ぐ
Yahoo!ニュース(西日本新聞)
この事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
~マスクや治療薬開発をネタに~
新型コロナウイルスに絡めた詐欺が相次いでいるようです。
この記事によると、
・インターネットでマスクを注文して代金を支払ったが届かなかった
・実在の大手製薬会社や大手商社社員をかたる男から「新型コロナの治療薬開発のため社債を購入しませんか」という内容の電話や封書が届き、現金300万円の支払いを要求された
・「新型コロナで売り上げが落ちている会社に融資する」との不審な電話があった
といった事例があるようです。
一般の方々にとっては、こういった緊急事態に乗じた犯罪もあるということを認識しておく必要があります。
一方、こういった犯罪に関わってしまった、家族がこのような犯罪で逮捕されたといった方もいらっしゃると思います。
上記3つの事例のうち、代金を支払ったのにマスクが届かなかったケースでは詐欺罪が、残りの2つについてはお金をだまし取られずに済んだことから詐欺未遂罪が成立する可能性があります。
刑法246条1項
人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
第250条
この章の罪の未遂は、罰する。
未遂で終われば懲役の上限は半分の5年になる可能性がありますが、いずれにしろある程度長期間の懲役刑となる可能性があります。
特に詐欺に成功したケースでは、被害金額などにもよりますが、だまし取ったお金を使ってしまい返還できないことも多く、初犯でも執行猶予も付かずに刑務所に入れられる可能性も上がってしまいます。
~刑事事件の手続きの流れ~
犯罪をしたとして逮捕されると、最初に最大3日間、警察署等で身体拘束され、取調べ等の捜査を受けます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるなどとして検察官が請求し、裁判官が許可すれば、さらに10日間、勾留(こうりゅう)と呼ばれる身体拘束がされる可能性があります。
この勾留期間はさらに10日間延長されることもあります。
弁護士としては、勾留を防いで早期に釈放されるよう、逃亡や証拠隠滅のおそれがないといえる理由をまとめた意見書を提出するなどの弁護活動を行います。
釈放されれば、自宅から警察署や検察庁に出向いて取調べを受けるという流れになるでしょう。
勾留された場合はその期間の最後に、勾留されなかった場合は捜査が終わり次第、検察官が被疑者を刑事裁判にかけるか(起訴)、かけないか(不起訴)の判断をします。
比較的軽い事件や示談が成立した事件などでは検察官が不起訴処分として、前科も付かずに刑事手続が終わる場合があります。
今回は大目に見てもらうということです。
しかし前述のように詐欺事件では初犯でも実刑判決になるケースもありますので、不起訴処分を得るのは容易ではないでしょう。
~弁護士にご相談ください~
あなたやご家族が何らかの犯罪をしたとして逮捕されたり、取調べを受けたといった場合、今後の流れがわからずに不安だと思います。
ぜひ一度、弁護士にご相談いただければと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスのご利用を、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用をお待ちしております。
窃盗症で刑罰が軽くなる?
窃盗症で刑罰が軽くなる?
万引きがやめられない窃盗症であることを理由として刑罰が軽くなったという事件がありました。
保釈中の万引き、異例の減刑 窃盗症による心神耗弱認定
Yahoo!ニュース(朝日新聞提供)
この事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
~窃盗症(クレプトマニア)とは~
覚せい剤や大麻などの薬物やアルコールなどは、依存症になると自分の意志ではやめることが難しくなり、病院での治療などが必要になってくるという話は聞いたことがある方も多いと思います。
これと同じように、窃盗についても依存症のような状態になってしまい、簡単にはやめられなくなってしまうケースがあります。
窃盗症やクレプトマニアと呼ばれており、精神疾患の1つとされています。
窃盗症になると、経済的に困っているわけではなくても万引きを繰り返してしまうのです。
悪いことだとはわかっていても、成功した時に感じる達成感などが忘れられず、犯行を繰り返してしまいます。
窃盗症は薬物依存症と同じく、専門的な治療を行っている病院に通ったり、窃盗症で悩んでいる方々が集うグループミーティングに通うなどの対策が必要となってきます。
~刑罰が軽くなった判決~
通常、犯罪を繰り返すと、受ける刑罰は重くなっていきます。
万引きの場合も、最初は不起訴処分や罰金刑、次は執行猶予付きの懲役刑、それでも再びしてしまった場合には実刑判決などというように、判決が重くなっていくのが通常です。
しかし今回のニュースの東京地裁判決は、重度の窃盗症による心神耗弱(シンシンコウジャク)状態にあったことを理由に刑を軽くしました。
求刑懲役1年6か月に対し、実刑判決ではあるものの、懲役4カ月という軽い判決を下したのです。
心神耗弱というのは、①物事の善悪を判断し、②その判断に従って行動する能力が弱まっている場合に、刑罰を軽くするというものです(刑法39条2項)。
単に①②の能力が弱まっているのではなく、どちらかが完全に欠いていれば、心神喪失により刑罰は免除されます(刑法39条1項)。
精神疾患などにより犯罪をしないという選択が難しい、あるいはできない場合には、後で責めてもしょうがないから、刑務所には入れずに病院で治療を受けさせた方がいいといった判断がされるということです。
よく重大犯罪のニュースで聞かれる、「裁判で責任能力が争われている」というのは、心神喪失や心神耗弱の状態にあったのではないかと争われているということです。
今回の判決は、窃盗症であることのみを理由として減刑されたという珍しい判決でした。
~社会の中で更生させる~
窃盗症の人は、万引きを繰り返すわけですから、今回の判決に対しては、犯罪を繰り返す人ほど刑罰が軽くなってしまうという反対意見もあるでしょう。
しかし、万引きを繰り返しているということは、それだけ適切な治療を受けなければ回復が難しいとも言えます。
もちろん刑務所の中でも治療が受けられないわけではありません。
しかし、依存症の治療には、社会の中に身を置き、犯行をやろうと思えばやれる環境の中で、いかに思いとどまるかという訓練をする必要があるとも言われています。
刑務所に長期間入れたとしても、単にその期間中に万引きできなくなるだけであり、必ずしもベストな治療が受けられるわけではないから、真に更生させるためには、刑罰以外の方法によるべき、という考え方を強く押し出したのが今回の判決ということになります。
このような考え方などに基づき、すでに刑の一部執行猶予という制度も出来ています(刑法27条の2以下)。
これは一度刑務所に入れるものの、その期間を短くして、残りの期間を執行猶予とし、社会の中で更生を目指していくというものです。
薬物犯罪などで利用されています。
今回の判決がこのまま確定するかわかりませんが、今後、心神耗弱や刑の一部執行猶予の判決が増えていくかもしれません。
~弁護士にご相談ください~
窃盗症からの更生および軽い判決を目指すためには、専門的な治療や被害店舗に謝罪・賠償して示談を結ぶといった対応が必要となってきます。
しかし、あなたやご家族が万引きをしてしまった場合、具体的にどのように対応して行けばよいのかわからないと思います。
事件に応じたアドバイス及びサポートをさせていただきますので、ぜひ一度弁護士にご相談いただければと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では初回接見のご利用を、逮捕されていない場合やすでに釈放された場合には、事務所での無料法律相談のご利用をお待ちしております。
警察官が腕時計を盗む
警察官が腕時計を盗む
警察官が検視現場で高級腕時計を盗み、占有離脱物横領罪で執行猶予判決を受けた事件がありました。
検視現場から腕時計持ち去り 元巡査部長に猶予判決 宇都宮地裁
(下野新聞)
この事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
~警察官が盗みを働く~
この事件は、元巡査部長の男性が、遺体の検視で訪れた宇都宮市内のマンションから、約350万円相当の高級腕時計を持ち去ったというものです。
元巡査部長は占有離脱物横領罪に問われ、懲役1年、執行猶予3年の判決を受けました。
なお「検視」とは、主に病院以外で人が死亡した場合に、事件性がないかどうか、ご遺体を確認することをいいます。
物を盗み去ったわけですから、窃盗罪が成立するのではないかと思われるかもしれませんが、今回は占有離脱物横領罪という犯罪に問われました。
なぜでしょうか。
まずは両罪の条文を見てみましょう。
刑法第235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第254条
遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金若しくは科料に処する。
占有離脱物横領罪が定められた254条を見ると、遺失物など、他人の占有を離れた物を盗った場合の規定であることがわかるかもしれません。
落とし物などを持ち去るネコババなどを処罰する条文ということになります。
一方、235条の窃盗罪の方は、他人が占有している物を盗った場合の規定ということになります。
万引きや住居に忍び込んで物を盗んだ場合に成立する犯罪です。
どちらも犯罪であることに変りはありませんが、落とし物を持ち去るよりも、万引きや住居侵入窃盗などの方が悪質なので、窃盗罪の方が刑罰も重くなっているわけです。
~腕時計は誰の占有にもなかった~
今回の事件で、腕時計が誰かの占有に属していたのであれば、窃盗罪に問われていたはずです。
しかし占有離脱物横領罪に問われたということは、腕時計は誰の占有にもなかったと判断されたことになります。
報道からは詳しい事情まではわかりませんが、元警部補は現場となったマンションを検視で訪れています。
ということは、腕時計の持ち主がすでに死亡しており、持ち主の占有から離れてしまったのでしょう。
それでも同居人や、その部屋を管理している親族などがいれば、その人に占有が移ったことになり、窃盗罪に問われていたでしょう。
しかし今回はそういった事情もなく、腕時計を含めその部屋の中にある物が誰の占有にも属していなかった状態だったのだろうと思われます。
このような理由により窃盗罪ではなく占有離脱物横領罪に問われたのでしょう。
物を落とした場合だけでなく、持ち主が死亡した場合にも、物の占有が人から離れたと解釈される可能性があるわけです。
~犯罪に問われたら弁護士に相談を~
あなたやご家族が隣人トラブルなどで何らかの犯罪を起こしたとして警察に逮捕されたり、取調べを受けているといった場合には、いつ釈放されるのか、どんな犯罪でどれくらいの刑罰を受けるのか、被害者との示談はどうしたらよいのかなど、わからないことが多いと思いますので、ぜひ一度弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスのご利用を、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用をお待ちしております。
福島県での万引きで逮捕【窃盗罪】
福島県での万引きで逮捕【窃盗罪】
万引きをして窃盗罪で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
【事例】
福島県福島市に住むAさん。
コンビニやスーパーなどで万引きを繰り返していました。
ある日、いつものように商品をカバンに入れ、会計をせずに店を出ようとしたAさん。
しかし店員に呼び止められ、
「お客さん、会計してないでしょ!?」
と言われてしまいました。
事務所に連れて行かれ、駆け付けた福島県福島警察署の警察官によって逮捕されました。
(事実をもとにしたフィクションです)
~窃盗罪が成立~
いつものように万引きをしようとしたAさん。
今回は店員に見つかり失敗に終わった上、逮捕されてしまいました。
失敗に終わってはいますが、窃盗未遂罪ではなく窃盗罪が成立することになるでしょう。
刑法第235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
「窃取」(セッシュ)というなじみのない言葉が使われていますが、簡単に言うと、他人が占有している物を自分の占有下に移すことをいいます。
どの時点で自分の占有下に移ったと言えるかは状況によることになります。
たとえば、あまり大きくない商品であれば、カバンに入れてしまえば未会計の商品が入っていることはわかりませんから、そのまま持ち帰ることも容易です。
したがってカバンに入れた時点で自分の占有下に移ったとして、窃盗罪が成立してしまうでしょう。
その後に店員に声をかけられて失敗に終わったとしても、窃盗罪がすでに成立した後の事情にすぎません。
なお、理論的には、万引きしようとして商品を手に取った時点ですでに、商品の占有が店から犯人に移る危険が生じているため、窃盗未遂罪が成立するでしょう。
第243条
第二百三十五条から第二百三十六条まで、第二百三十八条から第二百四十条まで及び第二百四十一条第三項の罪の未遂は、罰する。
未遂にとどまれば、後述の検察官による起訴不起訴の判断や裁判所の判決が軽くなる可能性があります。
しかし万引きの場合、あとで会計するつもりだったという言い逃れを許さないため、店を出たあたりで店員や万引きGメンが声をかけることが多いので、捕まった時点では窃盗罪が成立していることが多いです。
~刑事事件の手続きの流れ~
犯罪をしたとして逮捕されると、最初に最大3日間、警察署等で身体拘束され、取調べ等の捜査を受けます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるなどとして検察官が請求し、裁判官が許可すれば、さらに10日間、勾留(こうりゅう)と呼ばれる身体拘束がされる可能性があります。
この勾留期間はさらに10日間延長されることもあります。
弁護士としては、勾留を防いで早期に釈放されるよう、逃亡や証拠隠滅のおそれがないといえる理由をまとめた意見書を提出するなどの弁護活動を行います。
釈放されれば、自宅から警察署や検察庁に出向いて取調べを受けるという流れになるでしょう。
勾留された場合はその期間の最後に、勾留されなかった場合は捜査が終わり次第、検察官が被疑者を刑事裁判にかけるか(起訴)、かけないか(不起訴)の判断をします。
このうち起訴には①正式起訴と②略式起訴があります。
①正式起訴されると刑事裁判が開かれ、事件によって懲役刑の実刑判決や執行猶予判決、罰金刑の判決を受けたり、まれに無罪判決がなされることになります。
一方、②略式起訴は比較的軽い事件でなされることが多いです。
法廷での刑事裁判は開かれず、簡単な手続で罰金を納付して終わるということになります。
さらに、より軽い事件や示談が成立した事件などでは検察官が不起訴処分として、前科も付かずに刑事手続が終わる場合があります。
今回は大目に見てもらうということです。
万引きの場合、たとえば初犯だと不起訴処分や罰金処分、2回目が執行猶予付きの懲役刑、3回目が実刑判決といったように、だんだんと重い結果となっていくことが多いです。
弁護士としては示談締結に向けて被害店舗と示談交渉する他、窃盗がやめられない依存症的な状態(クレプトマニア)になっているのであれば、専門的な治療を行っている病院を紹介し、更生に向けて動き出していることを主張するなどして、不起訴処分などの軽い結果を目指して弁護活動をしてまいります。
~弁護士にご相談ください~
あなたやご家族が何らかの犯罪をしたとして逮捕されたり、取調べを受けたといった場合、今後の流れがわからずに不安だと思います。
ぜひ一度、弁護士にご相談いただければと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスを、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談をご利用ください。
福島県の事件にも対応しておりますので、ご連絡をお待ちしております。
自販機に放火して窃盗未遂
自販機に放火して窃盗未遂
仙台市内で少年2人が、自動販売機に火を付けて現金を盗もうとしたとして、窃盗未遂の容疑で書類送検される事件がありました。
自販機を燃やし 現金盗もうとした疑い…17歳の少年2人 書類送検〈仙台市・泉区〉
Yahoo!ニュース(仙台放送提供)
成立する犯罪などについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
~窃盗未遂罪~
少年2人は、自動販売機の中の現金を盗もうとして火を付けましたが、盗めずに終わったということで、窃盗未遂罪に問われています。
刑法235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第243条
第二百三十五条から第二百三十六条まで、第二百三十八条から第二百四十条まで及び第二百四十一条第三項の罪の未遂は、罰する。
少年事件の場合はそもそも刑事手続きや処遇が成人事件と異なりますが、成人の場合は窃盗未遂罪も条文上は懲役10年にすることもできる重い犯罪です。
~放火にはならない?~
少年らは自動販売機に火を付けています。
状況によっては、建造物等以外放火罪という犯罪が成立する可能性もありました。
条文を見てみましょう。
第110条1項
①放火して、②前二条に規定する物以外の物を③焼損し、④よって公共の危険を生じさせた者は、一年以上十年以下の懲役に処する。
実際の条文には①~④の数字は振られていませんが、建造物等以外放火罪が成立するためには、①から④の条件を満たす必要があります。
今回の事件では満たすのか検討してみます。
少年らは火を付ける行為をしたでしょうから、①放火してに該当するでしょう。
また、②前二条に規定する物以外の物とは、住居や建造物等以外の物のことを指すので、自動販売機も該当します。
しかし、③焼損とは、ある程度継続して火が燃え上がり続ける状態になることを言います。
たとえば今回、自動販売機に火を付けようとしたがそれほど燃上がらず、少し焦げたくらいで終わったのであれば、③焼損に該当しないでしょう。
また、④よって公共の危険を生じさせたとは、不特定または多数人の生命・身体・財産に対し脅威が及ぶ状態にしたことを言うとされています。
仮に今回、周りに燃え移るような建物や物がなく人もいなかったような場合や、ほとんど自動販売機が燃え上がらなかった場合には、このような脅威が生じたとはいえず、④よって公共の危険を生じさせたとは言えないことになるでしょう。
このような理由から、建造物等以外放火罪には問われていないものと思われます。
ただし、自動販売機が正常に使えない状態になっていれば、器物損壊罪は成立することになるでしょう。
第261条
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。
~弁護士にご相談ください~
少年事件の手続などについて、詳しくはこちらをご覧ください。
今回の事件の少年らは逮捕まではされていないようです。
警察が一通りの捜査を終えて、捜査資料を検察に送る書類送検の段階にあります。
この後は、検察官も必要な取調べをした後、事件は家庭裁判所に送られ、少年の処遇が決められるということになります。
もしあなたのお子さんが犯罪をしたとして逮捕されたり、警察の取調べを受けたといった場合には、今後のお子さんの人生に関わるところですので、ぜひ弁護士にご相談いただければと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスを、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用をお待ちしております。
セルフレジでの万引きで逮捕
セルフレジでの万引きで逮捕
セルフレジで一部の商品の会計をせずに商品を持ち帰って逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
【事例】
宮城県塩釜市に住む女性Aさん。
コンビニのセルフレジで万引きをしようと考えました。
カゴに入れた商品すべてのバーコードを読み取ったかのように装い、実は一部の商品のバーコードを読み取らずに買い物袋に入れ、そのまま店を後にしました。
売上金額と商品の数が合わないことから、店側と警察が防犯カメラを調べたところ、女性客が一部の商品のバーコードを読み取らせていない様子が写っていました。
さらなる捜査の結果、その女性客がAさんであることも判明。
Aさんは、宮城県塩釜警察署の警察官によって逮捕されました。
(事実をもとにしたフィクションです)
~セルフレジ万引き~
人手不足が叫ばれている昨今、セルフレジを導入する店が増えてきました。
そこで心配されるのが万引きの増加。
万引き対策として商品の重量を図り、バーコードを読み込んだ商品と袋に入れた商品が一致しているかチェックする機能を有するレジもあります。
しかし、こういった機能があるかないかに関わらず、店員がレジ対応をする場合よりも、その場では気づかれずに万引きする余地が増えているかもしれません。
とはいえ、犯行後に防犯カメラでセルフレジ利用者の不審な動きをチェックすることもできるので、店や警察に最後までバレずに万引きがしやすい状況になったとまでは言い切れないでしょう。
結局、窃盗罪で後日逮捕される可能性が十分考えられるわけです。
刑法第235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
~刑事事件の手続~
犯罪をしたとして逮捕されると、最初に最大3日間、警察署等で身体拘束され、取調べ等の捜査を受けます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるなどとして検察官が請求し、裁判官が許可すれば、さらに10日間、勾留(こうりゅう)と呼ばれる身体拘束がされる可能性があります。
この勾留期間はさらに10日間延長されることもあります。
弁護士としては、勾留を防いで早期に釈放されるよう、逃亡や証拠隠滅のおそれがないといえる理由をまとめた意見書を提出するなどの弁護活動を行います。
釈放されれば、自宅から警察署や検察庁に出向いて取調べを受けるという流れになるでしょう。
勾留された場合はその期間の最後に、勾留されなかった場合は捜査が終わり次第、検察官が被疑者を刑事裁判にかけるか(起訴)、かけないか(不起訴)の判断をします。
このうち起訴には①正式起訴と②略式起訴があります。
①正式起訴されると刑事裁判が開かれ、事件によって懲役刑の実刑判決や執行猶予判決、罰金刑の判決を受けたり、まれに無罪判決がなされることになります。
一方、②略式起訴は比較的軽い事件でなされることが多いです。
法廷での刑事裁判は開かれず、簡単な手続で罰金を納付して終わるということになります。
さらに、より軽い事件などでは検察官が不起訴処分として、前科も付かずに刑事手続が終わる場合があります。
今回は大目に見てもらうということです。
~軽い処分・判決と更生を目指して~
被害金額にもよりますが、一般的に万引き事件では、初犯だと警察による注意のみで終わる(微罪処分)、あるいは不起訴処分で終わり、再犯すると罰金刑、さらに再犯すると執行猶予の付いた懲役刑の判決、最後に実刑判決というように、だんだんと重い処分・判決がなされる傾向にあります。
いずれにしろ出来るだけ軽い処分や判決を目指すには、被害店舗に謝罪・賠償して示談が締結できている、万引きがやめられない依存症のような状況(クレプトマニア)なのであれば治療をはじめた、といった事情があることが重要です。
弁護士は示談交渉を行ったり、クレプトマニアの治療を行っている病院を紹介するなどして、軽い処分・判決を目指すとともに更生に向けたお手伝いを致します。
ぜひ一度ご相談いただければと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では、ご家族などから初回接見のご依頼をいただければ、拘束されている警察署等にて、ご本人に面会(接見)し、事件の内容を聴き取った上で、今後の見通しなどをご説明致します。
接見後には、接見の内容などをご家族にお伝え致しますので、それを聞いていただいた上で、正式に弁護活動を依頼するかどうかを決めていただけます。
また、逮捕されていない場合やすでに釈放された場合には、事務所での法律相談を初回無料でご利用いただけます。
0120-631-881まで、ご連絡をお待ちしております。
バスの無賃乗車で取調べ
バスの無賃乗車で取調べ
バスの無賃乗車を繰り返し、警察の取調べを受ける場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
【事例】
宮城県仙台市に住むAさん。
バスに乗車した際、運転手に対し、
「財布を忘れてしまって…」
などとウソをつき、
「今度ちゃんと払ってくださいね」
などと言ってもらって、料金の支払いを免れる行為を繰り返していました。
同じ運転手に対し同じ手を使ったことから怪しまれるようになり、バス会社の中で情報共有がなされるように。
再びAさんが同じ手口を使おうとしたとき、運転手が気が付き、
「いつも払ってないよね?身分証見せてもらえる?」
と言いました。
「ついに見つかったか」
と観念したAさん。
素直に身分証を提示し、その日はバスを降ろされました。
後日、相談を受けた仙台中央警察署からAさんに電話があり、取調べのために警察署に来るよう言われました。
(事実をもとにしたフィクションです)
~詐欺罪が成立~
バスで運転手をだまし、無賃乗車を繰り返していたAさん。
詐欺罪が成立することになるでしょう。
条文を見てみます。
刑法246条1項
人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
第2項
前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
第1項が、物をだまし取った場合の規定で、第2項が人をだまして財産上の利益を得た場合の規定です。
今回は物をだまし取ったのではなく、運転手をだまして乗車料金を免れるという財産上不法の利益を得たパターンなので、2項が成立することになります。
罰則は10年以下の懲役なので、条文上は長期間の懲役の可能性もある立派な犯罪になってしまうわけです。
~今後の展開は?~
今回のように逮捕されずに捜査が進められる事件を在宅事件と言います。
在宅事件では、警察からの呼び出しに応じて警察署に出向き、取調べや現場検証などの捜査を受けます。
一通りの捜査が終わると、捜査書類が警察から検察に送られます(書類送検)。
書類送検を受けた検察官は、さらに取調べなどの捜査をした上で、その犯罪をしたと疑われている被疑者を、刑事裁判にかけるか(起訴)、かけないか(不起訴)の判断をします。
このうち起訴には①正式起訴と②略式起訴があります。
①正式起訴されると刑事裁判が開かれ、事件によって懲役刑の実刑判決や執行猶予判決、罰金刑の判決を受けたり、まれに無罪判決がなされることになります。
一方、②略式起訴は比較的軽い事件でなされることが多いです。
法廷での刑事裁判は開かれず、簡単な手続で罰金を納付して終わるということになります。
さらに、より軽い事件などでは検察官が不起訴処分として、前科も付かずに刑事手続が終わる場合があります。
今回は大目に見てもらうということです。
~軽い結果を目指すには~
前述のように、条文上は長期間の懲役もありえます。
しかし、特殊詐欺などに比べると今回のような無賃乗車は被害金額も少ないでしょうし、前科の有無などにもよりますが、不起訴処分や略式起訴で罰金に終わる可能性も十分考えられます。
ただ、軽い結果を目指すうえでは、バス会社に謝罪・弁償して示談することも重要となってきます。
示談を締結できたか否かによって結果が変わってくることも多くあります。
しかしご自身やご家族では、相手に何と言って示談をお願いすればいいのか、示談金額をいくらにしたらよいのか、示談書の文言はどうしたらよいのかなど、わからないことも多いと思います。
また、警察の取調べではどんなことを聞かれるのかなど、不安も強いと思います。
そこでぜひ一度、弁護士にご相談いただければと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
無料法律相談を行っておりますので、ぜひご利用ください。
なお、すでに逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスをご利用ください。
恐喝で取調べ
恐喝で取調べ
自動車事故の被害者が、加害者への恐喝の疑いで警察から取調べを受ける場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
【事例】
宮城県七ヶ浜町に住むAさん。
自動車を運転中に後ろから追突されました。
比較的軽くぶつかったということもあり、ケガはありませんでしたが、車両後部がへこんでしまいました。
いい機会だから、ふんだくってやろうと考えたAさん。
後日、実際に修理費を大きく上回る金銭を要求し、払わない場合はうちの若い者に取り立てに行かせるなどと言って、支払わせました。
相手が警察に相談したことから、塩釜警察署からAさんの下に連絡が入り、取調べを受けに来るよう言われました。
逮捕されないか心配になったAさんは、取調べの前に弁護士に相談することにしました。
(事実をもとにしたフィクションです)
~被害者でも恐喝罪~
車をぶつけられたAさん。
修理費など実際に生じた損害について賠償請求する権利はあるわけですが、それを超える金銭を支払わせると、恐喝罪が成立する可能性があります。
条文を見てみましょう。
刑法第249条1項
人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
仮に、ナイフを突きつけるなど、相手が全く抵抗できないような強い態様での脅迫や暴行をして物を奪った場合は強盗罪となります。
そこまでは至らないが、相手方が怖がるような脅迫や暴行をして、金銭や物などの財物を交付させると、この恐喝罪が成立するわけです。
たとえば、示談交渉の場で、単に適切な価格よりも高い金額を提示しただけでは、恐喝罪や恐喝未遂罪は成立しません。
しかし、今回のAさんのように、「うちの若い者に取り立てに行かせる」という発言は、Aさんの風貌や口調などその時の状況にもよりますが、手荒なことをされるのではないかという恐怖を感じさせることになるでしょう。
そうすると、この時点で恐喝未遂罪が成立する可能性がありますし、実際に金銭を受け取れば、恐喝罪が成立してしまう可能性が高いわけです。
~刑事手続きは?~
今回のように、被疑者を逮捕せずに捜査を進める事件を在宅事件と言います。
在宅事件では、警察からの呼び出しに応じて警察署に出向き、取調べや現場検証などの捜査を受けます。
一通りの捜査が終わると、捜査書類が警察から検察に送られます(書類送検)。
書類送検を受けた検察官は、さらに取調べなどの捜査をした上で、その犯罪をしたと疑われている被疑者を、刑事裁判にかけるか(起訴)、かけないか(不起訴)の判断をします。
このうち起訴には①正式起訴と②略式起訴があります。
①正式起訴されると刑事裁判が開かれ、事件によって懲役刑の実刑判決や執行猶予判決、罰金刑の判決を受けたり、まれに無罪判決がなされることになります。
一方、②略式起訴は比較的軽い事件でなされることが多いです。
法廷での刑事裁判は開かれず、簡単な手続で罰金を納付して終わるということになります。
さらに、より軽い事件などでは検察官が不起訴処分として、前科も付かずに刑事手続が終わる場合があります。
今回は大目に見てもらうということです。
~逮捕の可能性も~
ここまでは在宅事件の手続きについて説明いたしましたが、取調べの結果、容疑が固まったとして逮捕される可能性も否定できません。
逮捕されると、最初に最大3日間、警察署等に収容され、取調べ等の捜査を受けます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるなどとして検察官が請求し、裁判官が許可すれば、さらに10日間、勾留(こうりゅう)と呼ばれる身体拘束がされる可能性があります。
この勾留期間はさらに10日間延長されることもあります。
その後は、起訴・不起訴の判断がなされるのは在宅事件の場合と同じです。
逮捕された場合に弁護士は、勾留を防いだり、保釈による釈放を目指しつつ、裁判に備えることなります。
~軽い結果を目指すには~
今回の事例では、ある程度悪質な事案なので、不起訴処分を狙うのは難しいかもしれません。
それでも、出来るだけ軽い結果になるためには、相手に謝罪・弁償して示談するといったことが重要です。
しかし相手にとって、恐喝した本人と示談交渉をするのは心理的負担が大きく、スムーズに進まない可能性もあります。
仮に逮捕されていれば示談交渉はできません。
お困りの場合はぜひ一度、弁護士にご相談いただければと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
無料法律相談を行っておりますので、ぜひご利用ください。
なお、すでに逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスをご利用ください。