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【事例解説】家出していた高校生を自宅に泊めて逮捕、未成年者誘拐罪における「誘拐」の定義
【事例解説】家出していた高校生を自宅に泊めて逮捕、未成年者誘拐罪における「誘拐」の定義
未成年者誘拐罪と親告罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
参考事件
宮城県富谷市に住んでいる会社員のAさんは、家出していた高校生であるVさんと知り合いました。
Vさんから事情を聞いたAさんは、「それなら家に泊めよう」と自宅にVさんを招きました。
数日後、Aさんの自宅に警察官が訪ねて来て、「未成年者誘拐の件でお話があります」とVさんを保護しました。
そしてAさんは大和警察署に未成年者誘拐罪の容疑で現行犯逮捕されました。
(この参考事件はフィクションです。)
未成年者誘拐罪
「誘拐」は子供を無理矢理連れ去るイメージがありますが、刑法での「誘拐」は一般の認識とは少し違う定義がされています。
刑法第224条には「未成年者を略取し、又は誘拐した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。」とあり、これが未成年者誘拐罪(および未成年者略取罪)を定めている条文です。
この場合の「未成年者」は18歳未満の者です。
AさんとVさんはお互いに同意の上でAさんの自宅に泊まっているため、一見すると「誘拐」には見えないかもしれません。
しかし未成年者誘拐罪における「誘拐」の定義とは、欺罔・偽計・誘惑・甘言などを用いて、未成年者に誤った判断をさせ、現在置かれている生活環境から離脱させ、自己もしくは第三者の事実的支配下に置くことを意味します。
この条文の保護法益は被害者の自由と安全だけでなく、親権者の保護監督権も含んでいます。
そのため参考事件のように被害者との同意があったとして、両親など保護者の同意がない場合も未成年者誘拐罪は成立します。
AさんはVさんに対して「それなら家に泊めよう」と提案しました。
これが誘惑、甘言であり、それによってVさんが保護者の同意なくAさんの自宅に泊まることを決めたため、AさんはVさんを「誘拐」したと判断されます。
また、同条文が定める未成年者略取罪の「略取」は、暴行や脅迫などが用いて未成年者の意思を抑制することを指しています。
親告罪
未成年者誘拐罪は「3月以上7年以下の懲役」のみを定めているため、罰金で事件を終わらせることはできません。
そのため未成年者誘拐罪で起訴されると正式な裁判を受けることになります。
しかし、刑法第229条は「第224条の罪及び同条の罪を幇助する目的で犯した第227条第1項の罪並びにこれらの罪の未遂罪は、告訴がなければ控訴を提起することができない。」と定められているため、未成年者誘拐罪は親告罪です。
そのため被害者が告訴を取り下げれば、起訴されることはありません。
告訴を取り下げてもらうためにも、被害者、この場合はその保護者と示談交渉を進める必要があります。
スムーズに示談を締結するためには、未成年者誘拐罪に詳しい弁護士に、弁護活動を依頼することが重要です。
未成年者誘拐罪に詳しい弁護士
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を中心に取り扱っている法律事務所です。
当事務所のフリーダイヤル「0120-631-881」では、初回無料の法律相談、逮捕された方のもとへ弁護士が直接伺う初回接見サービスをご予約いただけます。
平日はもちろん、土、日、祝日も、24時間ご予約を受け付けております。
未成年者誘拐罪で事件を起こしてしまった方、または未成年者誘拐罪の疑いでご家族が逮捕・勾留中の方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部へ、お気軽にご連絡ください。
コールセンターに無言電話を何度もかけたことで通報、偽計業務妨害罪となる行為にはどのようなものがあるか。
コールセンターに無言電話を何度もかけたことで通報、偽計業務妨害罪となる行為にはどのようなものがあるか。
偽計業務妨害罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
参考事件
宮城県柴田郡に住んでいる会社員のAさんは、タクシー会社に連絡した際、その対応が悪かったと感じました。
そしてAさんはタクシー会社のコールセンターに対して、500回以上無言電話をかけました。
コールセンターはこのままではいつまでも無言電話が続くと考えたため、警察に事件を通報しました。
大河原警察署の捜査によって無言電話をしていたのはAさんであることが分かり、偽計業務妨害罪の容疑でAさんは逮捕されました。
(この参考事件はフィクションです。)
偽計業務妨害罪
偽計業務妨害罪は刑法の条文に信用毀損罪とともに定められています。
「虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」と定められた刑法第233条がその条文です。
「虚偽の風説を流布」するとは、客観的な真実ではない情報(噂など)を不特定多数の人に伝播させることです。
例えば「あの店では賞味期限切れの商品を騙して売っている」など実際はそのような事実がないのに多くの人に言いふらす行為が該当します。
「偽計」は人の錯誤や不知を利用したり、人を欺いたりことを指します。
商品の代金を支払う気がない状態で架空の場所に配達させる、宿泊する気がないのにホテルの予約を取るなどが偽計と判断されます。
この刑法第233条における「人」は個人だけを指すものではなく、法人や団体も含まれます。
そのため特定の誰かの業務が妨害されたわけでなく、会社そのものの業務を妨害したとしても偽計業務妨害罪となる条件は満たされます。
会社の仕事は当然「業務」となりますが、この条文における業務は社会生活上の地位に基づいて行われる継続して従事している事務であるため、仕事ではない慣例、ボランティアも業務となります。
この業務の円滑な遂行を「妨害」した(またはそのおそれがある行為をした)場合、偽計業務妨害罪となります。
また、信用毀損罪となる人の信用を毀損する行為とは、人の社会的な評価のうち経済的信用を害する行為を意味します。
偽計業務妨害事件の示談交渉
偽計業務妨害罪は経済的な損失を被害者に与える犯罪です。
そのため被害を回復する形で示談を締結できれば、減刑や不起訴処分の可能性が高まります。
しかし、会社などが被害者である場合被害額も大きくなりやすく、示談交渉が難航する可能性が高いです。
スムーズに示談交渉を進めるためには、法律の専門家である弁護士のサポートが重要です。
減刑や不起訴処分を目指す上で重要となる宥恕条項の獲得や、被害届や告訴の取下げなど示談交渉の中で決めるためにも、弁護士に弁護活動の依頼することがお勧めです。
示談交渉に強い弁護士
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件または少年事件を中心に扱う法律事務所です。
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フリーダイヤルは土、日だけでなく、祝日もご利用いただけます。
偽計業務妨害事件の当事者となってしまった、またはご家族が偽計業務妨害罪の容疑で逮捕されてしまった方、このような時は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部へご連絡ください。
24時間体制で、お電話をお待ちしております。
コンビニに落書きをした建造物等損壊事件で逮捕、建造物等損壊罪における「損壊」の定義とは
コンビニに落書きをした建造物等損壊事件で逮捕、建造物等損壊罪における「損壊」の定義とは
建造物等損壊罪について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
参考事件
宮城県大崎市に住んでいる大学生のAさんは、近所にあるコンビニの看板にスプレーを使って落書きをしていました。
しかし、Aさんが落書きをしているところはコンビニの利用客が目撃していました。
現場を目撃した客は店員にそのことを伝え、店員はそのまま警察に通報しました。
そしてAさんが再度コンビニに訪れた際、張り込んでいた古川警察署の警察官が建造物等損壊罪の容疑でAさんを逮捕しました。
(この参考事件はフィクションです。)
建造物等損壊罪
落書きと聞くとイタズラのレベルと思う方もいるかもしれませんが、参考事件のようなケースには刑法が適用されてしまいます。
Aさんの逮捕要因である建造物等損壊罪とは、刑法第260条に「他人の建造物又は艦船を損壊した者は、5年以下の懲役に処する。よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。」と定められています。
この条文の後段、「よって死傷させた者」とは建造物等損壊致傷罪、および建造物損壊致死罪を指しています。
この条文で言う「建造物」とは、家屋その他これに類似する建築物のことであり、屋根があって壁または柱により支持されて土地に定着し、少なくともその内部に人が出入りできるものを指しています。
また、「艦船」は人が出入りできる構造の軍船及び船舶のことで、船着場にとまっている漁船、小型のフェリーなどが「艦船」に当たると考えられています。
建造物等損壊罪における「損壊」には破壊する意味も含まれますが、その他の方法によって建造物・艦船の効用を低くしてしまう、またはなくしてしまうことも意味します。
景観や威容もそれらの効用に含まれているため、原状回復が容易ではない状態にすることは、破壊していなくとも効用を害したと言えます。
落書きはもちろんですが、ビラなどを大量に張り付ける行為も損壊と判断される可能性があります。
そのため参考事件のAさんには、建造物であるコンビニの看板に、落書きをして景観を原状回復が容易ではない状態に損壊させたことから、建造物等損壊罪が適用されました。
示談交渉の重要性
建造物等損壊罪で重要になるのは示談交渉です。
被害弁償を行い示談の締結をすることができれば、不起訴処分となる見込みもあります。
しかし、建造物等損壊事件による示談交渉は、損壊の程度によって支払うことになる示談金も変わってきます。
個人間でのトラブルから建造物等損壊事件に発展したケースの場合、修理費だけでなく慰謝料も含まれる金額を支払う必要も出てきます。
金額面でトラブルになってしまうと示談交渉が難航してしまい、示談が締結できなくなってしまうことも考えられます。
そのため示談交渉をお考えの際は、示談交渉に詳しい弁護士に依頼し、間に弁護士を入れた状態で示談交渉を進めることをお勧めいたします。
法律事務所へまずはご相談ください
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件に特化した法律事務所です。
当事務所は初回無料の法律相談、逮捕された方のもとに弁護士が直接赴く初回接見サービスのご予約を、フリーダイヤル「0120-631-881」にて受け付けております。
土・日・祝日も、24時間体制で対応可能です。
建造物等損壊事件を起こしてしまった方、またはご家族が建造物等損壊罪の容疑で逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部へ、是非、ご連絡ください。
起訴後勾留、保釈のための条件
起訴後勾留、保釈のための条件
勾留と保釈について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
参考事件
宮城県仙台市に住んでいる会社員のAさんは、刑事事件を起こしたことで仙台北警察署に逮捕されました。
その後Aさんは釈放されることなく検察官に起訴され、裁判を受けることになり起訴後勾留が続いています。
Aさんの家族はAさんの保釈を望んでおり、弁護士は裁判所に保釈を求めることにしました。
(この参考事件はフィクションです。)
勾留
警察から逮捕されると、警察で48時間以内に事件は検察に送致され、その後検察は24時間以内に裁判所へ勾留を求めるか決めます。
そこで裁判所が勾留を決めると10日間、延長されるとさらに10日間の合計20日間も身体拘束が続きます。
この間に検察は被疑者(犯人)を起訴するか決めますが、ここで警察官が起訴を決めてしまうと、釈放されない限り勾留がさらに長引いてしまいます。
被疑者は起訴されると、呼び方が被告人に変わります。
この被告人の勾留には期限がなく、初回の裁判が開かれるまでの間(およそ2カ月間)身体拘束が続くことになります。
裁判は複数回行われることもあり、勾留は1カ月ごとに更新が可能であるため、事件の内容次第では数年間勾留が続いてしまうこともあり得ます。
保釈
そのような事態を防ぐためには、保釈請求が行うことが考えられます。
保釈とは、一定の金額を裁判所に納付することで被告人を勾留から解放する制度です。
この納付する金額は事件の内容次第で変わり、裁判が終了すると返還されます(保釈中に問題を起こせばその限りではありません)。
保釈の請求は弁護士はもちろん、被告人本人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族もしくは兄弟姉妹が保釈請求可能(刑事訴訟法第88条第1項)ですが、法的な専門知識が必須であることから弁護士が行うことが一般的です。
保釈を進めるためには、お金の納付の前にまず裁判所に保釈が認められなければなりません。
勾留は被告人の証拠隠滅や逃亡を防ぎ、公判へ必ず出廷させることを目的として行われます。
そのため保釈請求の際は「証拠隠滅と逃亡の危険はない」、「被害者や事件関係者に接触する危険はない」、「身元引受人が保釈後監督する」と言った点を主張することがポイントと言えます。
保釈が認められる可能性を高めるためにも、保釈請求をお考えであれば刑事事件に詳しく保釈請求の知識と経験が豊富な弁護士に依頼することが重要です。
刑事事件の知識と経験が法律事務所
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同時に発生、公務執行妨害罪と傷害罪
同時に発生、公務執行妨害罪と傷害罪
公務執行妨害罪と傷害罪、そして観念的競合について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
参考事件
宮城県石巻市に住んでいる会社員のAさんは、役所に訪れていました。
Aさんは書類の提出をするつもりでしたが、受付のVさんに書類の不備が見つかったため書き直して欲しいと言われました。
しかし、書き直すには些細なミスだと思ったAさんはVさんを説得しました。
Vさんが説得に応じないことに腹を立てたAさんは、Vさんの髪を引っ張るとさらに突き飛ばしそのまま帰りました。
その際にVさんは机にぶつかり怪我を負い、他の職員がAさんのことを警察に通報しました。
その後、Aさんは公務執行妨害罪と傷害罪の容疑で河北警察署に逮捕されました。
(この参考事件はフィクションです。)
公務執行妨害罪・傷害罪
参考事件のAさんは2つの罪で逮捕されており、この公務執行妨害罪と傷害罪はどちらも刑法に規定のある犯罪です。
まず、公務執行妨害罪は「公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。」と刑法第95条に定められています。
公務執行妨害罪と聞くと、警察官への暴力行為で逮捕されているケースを思い浮かべる人も多いと思われます。
しかし、条文の通り公務員を対象とした暴行・脅迫が対象であるため、市役所などで働いている職員も当然対象となります。
そのためAさんは職務中である公務員のVさんの髪を掴む、突き飛ばすといった暴行を加えているので、公務執行妨害罪となります。
そしてさらに、この暴行によってVさんが怪我を負っています。
暴行だけなら公務執行妨害罪のみが成立しますが、Vさんの怪我がAさんの暴行によって引き起こされたことから、傷害罪も成立してしまいました。
傷害罪は刑法第204条には「人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」と定められています。
参考事件の場合、Aさんの法定刑はどのように決まるのでしょうか。
観念的競合
職務中の公務員であるVさんを殴って怪我をさせたAさんは、暴行という行為で公務執行妨害罪と傷害罪を同時に成立させました。
このように1個の行為が2個以上の罪名に触れる時を、観念的競合と呼びます。
刑法第54条第1項には、観念的競合の刑罰は「その最も重い刑により処断する。」と定められています。
つまり参考事件の場合、Aさんに適用される法定刑は、より重いと判断される傷害罪の「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」が科せられることになります。
公務執行妨害罪の詳しい条文も観念的競合も、あまり一般的に知られているわけではありません。
2つ以上の罪で逮捕、捜査されているといった際に状況を正しく把握するためにも、弁護士からアドバイスを受けることをお勧めします。
刑法に詳しい弁護士に相談
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件および少年事件を中心に取り扱っている弁護士事務所です。
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どちらのご予約もフリーダイヤル「0120-631-881」で受け付けており、土曜日と日曜日だけでなく、祝日も24時間対応しております。
ご家族が公務執行妨害罪で逮捕されてしまった方、または傷害事件の当事者となってしまった方、もしくはその両方でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部のへご相談ください。
特殊な裁判となる現住建造物等放火罪
特殊な裁判となる現住建造物等放火罪
現住建造物等放火罪と裁判員裁判について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
参考事件
宮城県登米市に住んでいる会社員のAさんは、同市内にある会社を解雇されることになりました。
Aさんは最後の出社日に、オフィスに火を付けて帰りました。
しかし、会社に残っていた従業員が火事になっていることに気付き、消火器で消し止めました。
その後、火を消し止めた従業員が会社に報告し、事件は警察に通報されました。
そしてAさんが火を付けた犯人であることがわかり、登米警察署は現住建造物等放火罪の疑いでAさんを逮捕しました。
(この参考事件はフィクションです。)
放火の罪
現住建造物等放火罪は「放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。」と刑法第108条に定められています。
「現に人が住居に使用」している状態とは、人(犯人を除く)が起臥寝食の場所として日常的に使用していることを意味しています。
そのため放火時点で中に人がいなくとも、住居であるならばその時点で現住建造物等放火罪となります。
住居以外の建造物等であれば、「現に人がいる」、つまり建物内にまだ人がいる状態で放火されると、この条文の要件を満たします。
Aさんの場合は現に従業員が残っていた会社に放火しているため、現住建造物等放火罪となりました。
また、刑法には現住建造物等放火罪の他にも放火の罪が定められています。
もしもAさんが放火した時点で会社が全くの無人であれば、「放火して、現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物、艦船又は鉱坑を焼損した者は、2年以上の有期懲役に処する。」と定められた刑法第109条第1項の非現住建造物等放火罪が適用されていました。
非現住建造物等放火罪による事件であれば通常の裁判となりましたが、現住建造物等放火罪は「死刑又は無期若しくは5年以上の懲役」であるため裁判員裁判が開かれることになります。
裁判員裁判制度
ランダムに国民の中から選ばれた人が裁判員となり、裁判に参加するのが裁判員裁判の形式です。
そのため通常の事件とは勝手が違う裁判になります。
裁判員裁判での弁護士は、まず裁判員の選任手続きに立ち会わなければなりません。
これは弁護士のチェックを通すことで、不平等な裁判とならないように裁判員を選ぶことが目的です。
また、裁判の前に検察官・裁判官と共に事件の争点を確認する手続きもとります(これは公判前整理手続と呼ばれます)。
こういった対応もスムーズに行えるよう、裁判員裁判となる事件では裁判員裁判に詳しい弁護士に弁護活動を依頼することがお勧めです。
裁判員裁判にも詳しい弁護士
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ご家族が現住建造物等放火罪の疑いで逮捕されてしまった、または放火の罪などで裁判員裁判が開かれることになった際は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部のへ、是非、お電話ください。
銃刀法違反、「正当な理由」とは何か
銃刀法違反、「正当な理由」とは何か
銃刀法違反について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
参考事件
宮城県仙台市に住んでいる大学生のAさんは、飲み会の帰りに警察に職務質問を受けました。
持ち物を検査されることになり、Aさんは応じてバックを見せました。
バックには8センチメートルほどのサバイバルナイフが入っており、警察が質問したところ、数日前にキャンプに行った際からそのままにしていたとAさんは説明しました。
そしてAさんはそのまま銃刀法違反の容疑で、仙台南警察署に連行されることになりました。
(この参考事件はフィクションです。)
銃刀法違反
銃刀法とは略称であり、正しくは「鉄砲刀剣類所持等取締法」という法律を指しています。
この法律は銃砲、刀剣類等の所持、使用等に関する危害予防上必要な規制について定めているものです。
Aさんに該当する銃刀法違反は、「何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、内閣府令で定めるところにより計つた刃体の長さが6センチメートルをこえる刃物を携帯してはならない。ただし、内閣府令で定めるところにより計つた刃体の長さが8センチメートル以下のはさみ若しくは折りたたみ式のナイフ又はこれらの刃物以外の刃物で、政令で定める種類又は形状のものについては、この限りでない。」と規定された銃刀法第22条の条文だと考えられます。
ここでいう「携帯」とは、自宅などの住居以外で刃物を手に持っている状態や、刃物を身体に帯びるなど身辺に置いてすぐに使用できるようにしている状態(かつその状態が持続している)を意味します。
業務ではない場合の「正当な理由」には、刃物の購入や修理のために持ち歩いている、キャンプで使用するために持ち歩いている、などの理由があげられます。
人に見せるなどの目的は当然「正当な理由」にはなりませんが、身を守るため目的も「正当な理由」にはならず、銃刀法違反となってしまいます。
Aさんはキャンプで使用したサバイバルナイフをバックに入れていました。
一見すると正当な理由があったようにも思えますが、キャンプ当日ではないためもう「正当な理由」で携帯しているとは言えないため、Aさんは銃刀法違反となりました。
こういったケースの場合は、銃刀法31条の18第2項第2号の規定により「2年以下の懲役又は30万円以下の罰金」が法定刑として科せられます。
弁護士に相談
警察署に連行された場合、その警察署で事情聴取(いわゆる取り調べ)を受けることになります。
事情聴取は短時間で終わることもありますが、事件の内容次第で長時間に及んだり、複数回に分けて行われたりすることもあります。
当然ながら事情聴取に慣れている人はあまりいないため、事情聴取の際にどう受け答えをすればいいかわからないことがほとんどです。
そのため警察からの事情聴取を受ける前に弁護士からアドバイスを受け、適切な対応を知っておくことが重要です。
その後の動きについても、弁護士に弁護活動を依頼すればよりスムーズに対応することができます。
銃刀法に詳しい弁護士
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銃刀法違反の疑いで事件を起こしてしまった方、またはご家族が逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部へ、是非、ご相談ください。
人の自宅に入り、住居侵入罪で逮捕
人の自宅に入り、住居侵入罪で逮捕
参考事件
宮城県伊具郡に住んでいる会社員のAさんは、仕事の同僚であるVさんに好意を持っていました。
Vさんに会いたいと思っていたAさんはVさんの自宅に行きました。
家にVさんはいませんでしたが、Aさんは家の鍵が開いていたことに気付きました。
Aさんは家の中に入りましたが、帰ってきたVさんにその場面を目撃されてしまい、AさんはVさんに通報されました。
その後、角田警察署の警察官がやってきて、Aさんは住居侵入罪の容疑で逮捕されました。
(この参考事件はフィクションです。)
住居侵入罪
刑法第130条には「正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。」と定められています。
この条文の後段は不退去罪を指しており、前段がAさんの逮捕要件となった住居侵入罪(及び建造物侵入罪)を指しています。
住居侵入罪は性的姿態等撮影罪や、同じく刑法に定められた窃盗罪など、別の犯罪行為の手段として用いられることの多い犯罪です。
住居侵入罪でいう「住居」とは、人が起居のため、起臥寝食のために日常的に使用している場所を指しています。
また、「建造物」は、住居及び邸宅以外の建物を意味し、建造物そのものだけでなく、建造物が建てられている塀や堀で囲まれた敷地(「囲繞地」と呼ばれます)もここに含まれています。
侵入時に人がその場にいる必要まではなく、また、一時的に使用はしているだけの場所でも住居侵入罪の適用範囲となります。
「侵入」とは、居住者(及びその場所の管理者)の意思に反して、規定された場所に立ち入ることを指します。
そのためVさんの意思に反して自宅に許可なく侵入したAさんは、住居侵入罪となります。
身柄解放活動
警察に逮捕されてしまった場合、取調べのために身体拘束されることになります。
この身体拘束は裁判所で勾留されることになると、最大で23日間も続くことになります。
しかし身柄解放の弁護活動を行うことで早期の釈放を求めることができます。
警察が逮捕するには一定の条件が必要であり、その条件の中には逃亡、罪証隠滅(証拠隠滅)を防ぐためというものがあります。
そのため身元引受人を立て、逮捕しなくとも監督できる環境があることを主張することで、釈放の可能性を高めることができます。
逃亡などの危険がないことを捜査機関に伝え、逮捕の必要性がないと主張するためには弁護士のサポートが不可欠です。
参考事件のAさんのように逮捕されてしまった場合、速やかに弁護士に弁護活動を依頼することが重要です。
まずは弁護士事務所に連絡を
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件および少年事件を中心に取り扱う弁護士事務所です。
当事務所では、逮捕された方のもとに弁護士が直接伺う初回接見サービスを実施しております。
また、法律相談も初回であれば無料で受けることができます。
どちらもフリーダイヤル「0120-631-881」でご予約を受け付けておりますので、住居侵入事件を起こしてしまった方、またはご家族が住居侵入罪で逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部へご連絡ください。
付きまといでストーカー規制法違反
付きまといでストーカー規制法違反
ストーカー規制法について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
参考事件
宮城県栗原市に住んでいる会社員のAさんは、交際していたVさんと別れることになりました。
しかしよりを戻したいと思っていたAさんは、「会いたい」と連絡したりプレゼントを渡そうとしたりしました。
Vさんは別れたのだからやめて欲しいと思っており、仕方がないので警察に相談しました。
そしてAさんはストーカー行為についての警告を築館警察署の警察官から受けました。
しかし、Aさんは職場に行くことはやめましたが、Vさんの自宅を見張るようになりました。
その後、Vさんの友人が自宅付近にいるAさんに気付き警察に通報したため、Aさんはストーカー規制法違反の容疑で現行犯逮捕されることになりました。
(この参考事件はフィクションです。)
ストーカー規制法
Aさんの違反したストーカー規制法は、正しくは「ストーカー行為等の規制等に関する法律」と呼ばれます。
Aさんはまず会う要求やプレゼントを受け取る要求をしていますが、これはストーカー規制法第2条第1項第3号の「面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求すること。」になる可能性があります。
Vさんの自宅を見張る行為もストーカー規制法第2条第1項第1号の「つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校その他その現に所在する場所若しくは通常所在する場所(以下「住居等」という。)の付近において見張りをし、住居等に押し掛け、又は住居等の付近をみだりにうろつくこと。」に該当する可能性が高いです。
ストーカー規制法第18条には、「ストーカー行為をした者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。」と刑罰が定められています。
また、最初の行為でAさんは警察官から警告を受けています。
この警告はストーカー規制法に規定されており、ストーカー行為をされたと相談があった場合、警察はストーカー行為を続ける可能性があると判断すれば、警告や禁止命令を出すことが可能です。
もしも禁止令を受けてもストーカー行為を続けた場合、ストーカー規制法第19条により「2年以下の懲役又は200万円以下の罰金」が科せられます。
参考事件は禁止令ではなく警告であるため、Aさんの場合法定刑は「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」となります。
逮捕可能性と弁護士の必要性
ストーカー規制法違反は親告罪であった時期もありましたが、今は非親告罪です。
そのため被害者による告訴がなくとも刑事裁判になってしまうこともあり、楽観視はできない事件です。
ストーカー行為があった場合、参考事件のように警察はまず警告や禁止命令をだします。
そして禁止命令や警告を無視してストーカー行為を続けてしまうと逮捕されてしまう可能性も高くなってしまいます。
また、状況次第では警告や禁止命令が出ていなくとも、そのまま逮捕されるといったこともあり得ます。
どのような状況にあるのか詳しく知るためには、専門的な知識が必要不可欠です。
そのためストーカー行為で警告を受けた場合はすぐに弁護士に相談し、今後のアドバイスを受けることをお勧めします。
専門的知識を持つ弁護士
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件と少年事件を中心に扱う弁護士事務所です。
当事務所はフリーダイヤル「0120-631-881」にて、初回であれば無料の法律相談や弁護士が直接事情を伺いに逮捕された方のもとに行く初回接見サービスご予約を受け付けています。
また、事件化する前段階で弁護士に依頼する、「顧問契約」という事件対応も実施しています。
こちらは警察介入前でも弁護士からアドバイスを受けることができる他、逮捕された場合に初回接見サービスをすぐに受けられる形の契約になっています。
ストーカー規制法違反で警察に呼び出された、又はご家族がストーカー規制法違反の容疑で逮捕されてしまった際には、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部へ、お気軽にご連絡ください。
放火事件で器物損壊罪、その理由は
放火事件で器物損壊罪、その理由は
器物損壊罪と建造物等以外放火罪について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
参考事件
宮城県遠田郡に住んでいる会社員のAさんは、市内にある公園に来ていました。
そしてAさんは持ってきたマッチを使って、公園にあるゴミ箱の中に火を付けました。
離れた場所でAさんは火を眺め、人が集まって消火するのを見届けるとそのまま帰りました。
その後、遠田警察署の捜査によってAさんが火を付けたことがわかり、Aさんは器物損壊罪の疑いで逮捕されました。
(この参考事件はフィクションです。)
放火行為による逮捕
Aさんの逮捕容疑は器物損壊罪でした。
火を付けたことで逮捕されたため、放火に関する罪でないことに違和感を覚えるかもしれません。
しかし放火行為があっても状況次第で成立する罪は変わるため、参考事件をもとにその違いを説明していきたいと思います。
器物損壊罪と放火の罪は、どちらも刑法に定められています。
まず器物損壊罪ですが、これは刑法第261条が「前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。」と定めています。
損壊とは「物の効用を害する一切の行為」を意味し、物理的な破壊だけでなく、隠す、汚すといった行為も含まれています。
傷害はペット等の動物を傷付けた場合を指します。
前3条とは、公務所(官公庁その他公務員が職務を行う所)で使用される文書または電磁的記録を毀棄する第258条の「公用文書等毀棄罪」、法的な権利や義務を証明する文書または電磁的記録を毀棄する第259条の「私用文書等毀棄罪」、建造物等を損壊する第260条の「建造物等損壊罪(及び同致死傷罪)」をそれぞれ指しています。
そしてこの3条に含まれない物を損壊すると器物損壊罪になります。
次に放火に関する罪ですが、第108条には人が住居にしている又は人がいる建造物等に放火する「現住建造物等放火罪」が、第109条には人か住居に使用せずかつ人のいない建造物等に放火する「非現住建造物等放火」が定められています。
そして第110条には「放火して、前2条に規定する物以外の物を焼損し、よって公共の危険を生じさせた者は、1年以上10年以下の懲役に処する。」と建造物等以外放火罪が定められており、参考事件が放火の罪に問われる場合はこの建造物等以外放火罪が適用となった可能性が高いと言えます。
器物損壊罪と建造物等以外放火罪
参考事件で器物損壊罪が適用された背景には「公共の危険」の有無があります。
公共の危険とは不特定多数の人の生命及び身体、他の建造物及び財産に対する危険のことです。
例えば自動車が放火された場合、周りの自動車や建物に延焼する危険性があれば建造物等以外放火罪が成立する可能性が高くなります。
逆に周りに自動車や建物がなく延焼する危険性がないなら、器物損壊罪が成立する可能性が高まります。
そのためAさんはゴミ箱に放火しましたが、周りに何もない、もしくは延焼の危険がないと判断されたため、建造物等以外放火罪にならず器物損壊罪となったと考えられます。
このように状況次第で適用される条文は変わり、事件の扱いも一般的なイメージとは異なることがあります。
刑事事件を起こしてしまった際に正しく事態を把握するためにも、弁護士に相談して専門的なアドバイスを受けることが重要です。
刑事事件に詳しい弁護士事務所
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件と少年事件を中心に扱う弁護士事務所です。
当事務所では初回であれば無料の法律相談及び逮捕または勾留中の方のもとに直接弁護士が伺う初回接見サービスのご予約を、フリーダイヤル「0120-631-881」で受け付けております。
器物損壊罪で事件を起こしてしまった、又はご家族が建造物等以外放火罪の容疑で逮捕されてしまった、そういった時には弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部へ、是非、ご連絡ください。