弁護士事務所職員をかたり詐欺で逮捕
弁護士事務所職員を装って300万円をだまし取った事件がありました。
弁護士事務所職員装い…90歳男性から300万円詐取 名古屋・瑞穂区
Yahoo!ニュース(CBCテレビ)
この事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説いたします。
~特殊詐欺で弁護士事務所も利用される~
この事件は、オレオレ詐欺や還付金詐欺などの特殊詐欺の1つです。
共犯者の1人が名古屋市内の90歳男性宅に電話し、息子を装って「親父、マスクあるけど、どうする」などと話を切り出した上で、「仮想通貨でもうかった」「脱税の処理に金が必要」などと言ってお金を用意させました。
そしてもう1人の共犯者が弁護士事務所職員を装って被害者の自宅を訪れ、現金300万円をだまし取ったとして逮捕されたものです。
お金を実際に受け取りに行く「受け子」役は、自治体職員や銀行員、警察官など様々な職業をかたってお金をだまし取りますが、弁護士事務所職員という弊所にとっても身近な存在を利用するケースもあるということなので、やるせないところです。
特殊詐欺をすると、当然ながら詐欺罪が成立します。
刑法第246条1項
人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
詐欺罪は条文にある通り懲役刑しか規定されておらず、罰金で済む可能性がありません。
また、特殊詐欺は被害が重大なものになる傾向があることから、初犯であっても執行猶予にならず、刑務所に入れられてしまうことが十分考えられます。
特殊詐欺は、同じ詐欺罪が成立する無銭飲食などと比べると、被害額が高くなりがちです。
今回の事例でだまし取られたのも300万円という大金です。
しかも、だまし取ったお金を使ってしまって、返還できないという例も多いです。
そこで判決も厳しいものになる傾向があるのです。
~刑事手続きの流れ~
犯罪をしたとして逮捕されると、最初に最大3日間、警察署等で身柄拘束され、取調べ等の捜査を受けます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるなどとして検察官が請求し、裁判官が許可すれば、さらに10日間、勾留(こうりゅう)と呼ばれる身体拘束がされる可能性があります。
この勾留期間はさらに10日間延長されることもあります。
その後、刑事裁判が始まります。
保釈が認められない限り、身柄拘束が続いてしまうことになります。
弁護士としては、勾留を防いだり保釈を認めてもらうことにより、ご本人が釈放されることを目指します。
ただし、被害金額が高かったり、共犯者がいるといった事例では、逃亡や証拠隠滅のおそれが高いと判断されて、なかなか釈放が認められない傾向にあります。
~判決を軽くするには~
前述のように特殊詐欺は被害が重大なので判決が重くなる傾向にあります。
少しでも軽い判決を得るためには、被害者にだまし取ったお金を返還して示談を結ぶことが重要です。
しかし、だまし取ったお金を使ってしまって本人が返還できない場合には、場合によってはご家族にご協力いただいて返還するという方法もあります。
もちろん、ご家族は法的には返還義務はありません。
しかし、ご家族が協力できる余裕がある場合には、代わりに返還することによって被害が回復できるので、被害者にとってもプラスですし、結果として判決が軽くなる可能性もあります。
~弁護士にご相談ください~
とはいえ、示談交渉はどうやって行えばよいのか、また釈放に向けてどう動けばよいのかなど、わからない方がほとんどだと思います。
あなたやご家族が何らかの犯罪をしたとして逮捕されたり、取調べを受けたといった場合にはぜひ一度、弁護士にご相談いただければと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
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