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【ひったくり事件】逮捕前の弁護士への相談

2022-03-13

【ひったくり事件】逮捕前の弁護士への相談

ひったくり事件で問題となる罪と、取調べ前に無料相談を受ける意義について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説致します。

事例

宮城県黒川郡大和町在住のAは、黒川郡大和町内の飲食店でアルバイトをして生計を立てていました。
ある日、黒川郡大和町内において、夜半過ぎ、バイクに乗った加害者がVとのすれ違いざまに、Vのカバンを奪おうとしてこれを遂げなかったという事件が起きました。
黒川郡大和町を管轄する大和警察署の警察官は、捜査を行う過程でAが関与している可能性があるとして、上記事実について話を聞くため、Aに任意で出頭し、事情聴取をしたいと言いました。
Aは、出頭する前に日曜祝日でも相談ができる、刑事事件に強いと評判の弁護士に相談することにしました。
(本件は事実をもとにしたフィクションです。)

~ひったくり事件~

ひったくり事件に関しては、刑法における窃盗罪と強盗罪の双方の成立が考えられます。
ひったくり行為が(未遂を含む)窃盗罪すら成立しないというケースはほとんど考えられないため、ここではまず強盗罪が成立するかどうかを検討してみましょう。

(強盗)
第236条 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

本件では、AはVの(財物)を奪おうとしていることから、刑法236条の1項が問題となります。
強盗罪は、窃盗罪と異なり、(被害者の反抗を抑圧するに足る)「暴行」や「脅迫」を用いて「財物」を奪取する犯罪です。
強盗罪が成立するためには、図式的にいうと「暴行・脅迫→(被害者の)反抗抑圧→財物奪取」という関係が認められる必要があります。
そして、強盗罪にいう「暴行」や「脅迫」は、上記にいう財物奪取の手段として行われるのみならず、(被害者の)反抗を抑圧する手段として行われる必要がある点に注意が必要です。
つまり、「暴行」や「脅迫」が行われたとしても、これが直接財物奪取の手段として行われた場合には、刑法236条の強盗罪にいう「暴行」や「脅迫」には該当しないということになります。
したがって、本件のようなひったくり行為が、暴行を伴うものであっても、その暴行が被害者の財物を奪うことに直接的に向けられている場合には、暴行は被害者の反抗抑圧する手段として行われているものとはいえず、強盗罪は成立しないことになります。
したがって、本事例のようなひったくり行為の場合には、通常は窃盗(未遂)罪(刑法243条・235条)が成立するにとどまることになるでしょう。
もっとも、あらゆるひったくり行為が窃盗罪として処理されるわけではなく、強盗罪(場合によって強盗致傷罪)が成立しうるケースも存在することから、安易な即断は禁物といえます。

~任意取調べ段階からの弁護活動~

刑事事件というといわゆる身柄事件(逮捕・勾留されている事件)を想起される方も多いかと思いますが、現実には在宅事件(逮捕・勾留されていない事件)や水面下で捜査中の顕在化していない事件の方が多数を占めます。
特に身柄事件において刑事弁護が重要になることは間違いありませんが、法的なトラブルは早い段階で専門家である弁護士に相談すべきだということは刑事事件でも変わりはありません。
身体拘束がされていない段階での出頭要請は、捜査機関が身体拘束までは必要ないと判断しているケースもありますし、法定の要件が満たされれば逮捕に踏み切るというケースも当然あります。
逮捕・勾留といった身体拘束処分はそれ自体が刑罰ということはありませんが、外界からの遮断を前提とする身体拘束が事実上の不利益を生じさせるということには疑いがありません。
したがって、任意出頭が要請されている段階やそれ以前に弁護士に相談することが、上記のような不利益を最小限化するためには極めて重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、窃盗・強盗事件などを含む刑事事件を専門的に取り扱っている法律事務所です。
宮城県黒川郡大和町にて、ひったくり事件で任意出頭を要請されている方は、年中無休のフリーダイヤル(0120-631-881)まで今すぐご連絡ください。

宮城県石巻市の殺人未遂事件

2022-02-21

宮城県石巻市の殺人未遂事件

宮城県石巻市で起きた殺人未遂事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【刑事事件例】
宮城県石巻市に暮らす30代の会社員Aさんは、妻と激しい夫婦喧嘩になった際、あまりの怒りに理性を保てなくなり,衝動的に妻を殺害しようと台所にあった包丁を手に取って、妻の左胸部を突き刺して殺害してしまおうと包丁を振りかざしました。
しかし、妻の「殺さないで」と懇願し叫ぶ様子や、突然のことに子供が驚いて泣きわめく様子をみて,ふと我に返ったAさんは,自分は何をしているんだろうと思い自発的に犯行を思いとどまりました。
包丁を振りかざそうとしていた時の妻の通報によって駆け付けた宮城県警察石巻警察署の警察官によって,Aさんは殺人未遂の容疑でその場で逮捕されました。。
(この刑事事件例はフィクションです。)

【中止未遂とは】

刑法43条
犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。ただし、自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。

このように刑法では未遂犯の刑について定めています。
「自己の意思により犯罪を中止した」場合(刑法43条後段)のことを、中止未遂(または中止犯)、これ以外の未遂は障害未遂と呼ばれます。

中止未遂(刑法43条後段)では、刑の減免について「できる」ではなく「する」との文言が使われています。
つまり、中止未遂(中止犯)にあたるとされれば必ず刑を減軽、又は免除されるということです。
中止未遂(中止犯)は刑の減免に与える効果がかなり大きいです。

「自己の意思により」とは、外部的な要因ではなく犯罪をやろうと思えばでき、中止するような事情がないにもかかわらず自発的に中止することを言います。
外部的な障害によらず、行為者が自発的意思により行動すれば、同条ただし書の「自己の意思による」ものといえます。この自発的意思についての解釈は様々ありますが、その判断基準としてフランクの公式というものがあります。これは「しようと思えばできたが、しなかった」場合は中止未遂となり、「したかったが、できなかった」場合は中止未遂とはならないというものです。

事例のAさんは、妻から「殺さないで」と懇願され、子供も泣き出したため、ふと我に返って、何をしているんだろうかと感じて自発的に犯行を思いとどまり、殺人未遂となっています。

すなわち殺人の実行を妨げるような外部の要因は一切ありません。

今回の刑事事件例と似た裁判例で、中止未遂(中止犯)にあたるとする裁判例に、
殺人の実行行為中に、被害者の子供が泣き出したため、殺してしまえばその子がかわいそうだし反省の気持ちも生じて中止し、殺人未遂となったという事例があります(福高判昭29・5・29高等裁判所刑事判決特報26・93)。

【殺人未遂を起こしてしまったら】

もし逮捕された場合、逮捕から勾留の決定が下されるまで原則として最大72時間は弁護人以外は、家族であっても面会は困難な状況になります。
また捜査機関の請求により、裁判所が接見禁止の決定を出せば、勾留中も外部と遮断された拘束が続きます。
こういう状態になってしまった場合,周囲の方々は不安な日々を送ることとなるでしょう。
しかし、弁護士は、逮捕直後からの接見・面会が可能で、例え接見禁止が付いていても関係なく接見・面会ができます。
そのため早期に弁護士に相談すれば,依頼者様と逮捕者様との連携が図ることができ,迅速かつ寛容な処分を得て,早期事件解決を目指すことができます。
弁護人法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、殺人未遂事件などの刑事事件に精通した刑事弁護人が在籍しています。
宮城県石巻市の殺人未遂事件でお困りの場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部までご相談ください。
フリーダイヤルは0120―631-881です。
今すぐお電話ください。

宮城県仙台市若林区のひき逃げ事件

2022-02-11

宮城県仙台市若林区のひき逃げ事件

宮城県仙台市若林区のひき逃げ事件についてあいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【刑事事件例】
宮城県仙台市若林区在住のAさんは内定が決まり,次の春から社会人として正社員として働き始める実家暮らしの大学四年生です。
ある日の明け方に気が向いて自分の運転で一人でドライブをしていました。
しかしながら長時間のドライブとなっていたために注意力散漫となってしまい,信号機のない横断歩行を横断している歩行者に気付かずに思いがけず轢いてしまい,歩行者に怪我を負わせました。
しかしながらAさんは,次の春から新社会人となって内定も決まっている今,自身のことで警察沙汰になってしまうことだけは避けたいと考え,横断していた歩行者の救護も110番通報もせずにそのままその場を立ち去ってしまいました。
後日,自宅の自室にいたところ若林警察署の署員がやってきて,その場で任意同行を求められその後逮捕されました。
(この刑事事件例はフィクションです。)

【ひき逃げは何罪になるのか】

今回の刑事事件例ではAさんはいわゆる「ひき逃げ」をしたことになりますが,日本の法律上ひき逃げ罪というものはありません。
俗にいうひき逃げとは,自動車などの運転中に人身事故があった場合に、道路交通法第72条で定められた必要な措置である救護措置を講じることなく現場から逃亡することを指します。
また自動車同士が衝突して、負傷者が出ているのにも関わらず放置して逃げる場合も同様に該当します。
今回の刑事事件例でのひき逃げは①過失運転致死傷罪②道路交通法上の救護義務違反③報告義務違反と3つの罪に問われます。
①の過失運転致死傷罪とは,自動車の運転上必要な注意を怠ることによって交通事故を起こし、その結果人にけがを負わせてしまった場合をいい,7年以下の懲役もしくは禁錮又は100万円以下の罰金が科せられます。
②の道路交通法上の救護義務違反は先ほども述べたように,車両の運転中に人身事故,または負傷者を出す事故を起こしたにもかかわらず、負傷者を救護しなかった行為であり,10年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます。また救護義務は怪我の度合いに関係なく,たとえ膝を擦りむいただけだとしてもその義務は発生し,違反すれば同様の処罰がなされます。
 道路交通法第72条
  交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。この場合において、当該車両等の運転者(運転者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員。以下次項において同じ。)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(派出所又は駐在所を含む。以下次項において同じ。)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。

③の報告義務違反は道路交通法において定められている,事故を起こした際の警察への報告・通報の義務に違反するとして3月以下の懲役または5万円以下の罰金が科せられます。

【過失運転致死傷とは】

自動車運転処罰法第5条
  自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。
過失運転致死傷罪とは、自動車の運転上必要な注意を怠ることによって交通事故を起こし、その結果人にけがを負わせてしまった場合を言います。
過失による罪なので、故意がなく単なる不注意によって人を死傷させた場合にも本罪が成立する可能性があります。
過失とは自己の行為から、損害・被害が発生することを認識できたにもかかわらず、不注意でそれを認識しないことを言い,自動車運転中の過失としては,
 前方不注意,制限速度速度超過,信号無視,居眠り運転,飲酒運転,ながら運転
といったものが挙げられます。
今回の刑事事件例のようにこういった要因で事故を起こし,歩行者に怪我を負わせた場合は過失運転致傷罪に問われます。

【もし逮捕されたら】

救護義務違反や報告義務違反となるひき逃げは逮捕されると勾留され,起訴される可能性が非常に高いです。
また今回の刑事事件例の場合はひき逃げ事件であり,事故を起こした上現場から逃走しているために被害者の処罰感情が高まる可能性が高いです。
このような状況の中、ひき逃げ事件を起こしてしまった場合で事件を穏便に済ませ、寛大な処分を得たい場合、ひき逃げ事件をはじめ刑事事件の示談に精通した弁護士に依頼をし、ひき逃げ事件の被害者の方の処罰感情をなだめつつひき逃げ事件の被害者の方と示談を進めていくことが重要となります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所でひき逃げのような重大事件についても対応しています。
宮城県仙台市若林区のひき逃げ事件でお困りの場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部までご相談ください。
フリーダイヤルは0120―631-881です。

いざこざで傷害事件に発展

2022-02-01

いざこざで傷害事件に発展

宮城県仙台市青葉区の傷害事件について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

刑事事件例

Aさんは仙台市青葉区にある大学に通う大学三年生で,いつも同じ学部のVさんと行動を共にしていました。
ある日ささいなことがきっかけで,AさんとVさんは口論になってしまい,頭に血が上ったAさんはVさんを殴ってしまい,殴られたVさんは顔に全治二週間の傷を負いました。
殴ったAさんは周りにいた友人らに取り押さえられ,駆け付けた仙台中央警察署の警察官によって逮捕されました。
(この刑事事件例はフィクションです)

【傷害罪について】

今回の刑事事件例では傷害罪が適用される可能性が高いです。傷害罪と似たものに暴行罪があります。傷害罪と暴行罪の違いについても触れながら,今回の事件例について以下で解説していきます。

暴行罪
刑法208条
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処す。

傷害罪
刑法204条
人の身体を傷害した者は,十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

傷害罪が成立するためには①暴行の事実②暴行の故意③相手への傷害④暴行と傷害の関係が必要となってきます。
傷害罪の成立要件についてそれぞれ説明します。
①の暴行の事実について
刑法では暴行について暴行罪の項目において,「人の身体に対して向けられた不法な有形力の行使」と定めています。これは殴る蹴るといった直接身体接触をする行使を始め,着ている衣服を引っ張る,耳元で不快な音を鳴らすといった直接身体接触をしないものも該当します。
②の暴行の故意について
故意に関しては自分のしたことが暴力行為であるとの認識さえあれば成立し,その結果が相手にどのような影響をあたえるかといった認識は必要ありません。
③の相手への傷害について
傷害とは「人の生理的機能を害すること」と解されるため,今回の件では実際に暴力によって怪我を負わせていますが,嫌がらせなどによって精神的苦痛を与えた場合や病毒によって病気に感染させた場合にも傷害として解されます。
④暴行と傷害の関係について
この項目が一番重要となってきます。暴行を加えたものの被害が及ばなかった場合,また負っている怪我が暴行と無関係の場合は暴行罪が適用される可能性が高く,実際に暴行によって怪我を負うなどといった被害が及んだ場合には傷害罪が適用される場合が高いと判断できます。

これらの要件を踏まえてもう一度刑事事件例を見てみると,AさんはVさんに向けて口論によって頭に血が上ったことによって殴り,それによってVさんは全治二週間の怪我を負っています。「暴行の事実」・「暴行の故意」・「相手への傷害」・「暴行と傷害の関係」とすべての成立要件を満たすので,今回の刑事事件例ではAさんは傷害罪となる可能性が高いです。もしもVさんが怪我を負わなかった場合は,Aさんは暴行罪となる可能性が高いです。
また傷害の程度が怪我だけにとどまらず,暴行をした相手が死亡してしまった場合は,より重い罪である傷害致死罪となります。

傷害罪では罰金刑が定められているものの,事件の状況次第によっては相手方との示談等も進めることができず,15年以下ではあるものの懲役刑を言い渡される可能性があります。
事態を有利に進めていくためには,傷害事件を始め刑事事件に精通した弁護士を雇うことが必要不可欠です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は,刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
宮城県仙台市青葉区で傷害事件でお困りの場合は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部までご相談ください。
フリーダイヤルは0120ー631-881です。
今すぐお電話ください。

宮城県仙台市泉区の事後強盗事件

2022-01-22

宮城県仙台市泉区の事後強盗事件

宮城県仙台市泉区で発生した事後強盗事件についてあいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【事件概要】
宮城県仙台市泉区在住のAさんは,結婚していて子供もいるものの正社員として雇用してくれる職場が見つからずにアルバイトを掛け持ちして何とか家族を養っているので,金銭的な面から一刻も早く安定した定職に就いて正社員として働きたいと思っていました。
そんなある日スーパーに買い物に出かけたAさんは,商品を選んでいる最中に自分の収入が少ないせいで家族に迷惑ばかりかけているから,たまにはいいものでも食べさせてあげたいと考え,一度だけならいいだろうと陳列されていた牛肉を万引きしました。
そのままAさんは店を出ようとしましたが,防犯カメラを見ていた店員に呼び止められると,咄嗟に店員を突き飛ばし逃走を図りましたが,近くにいた他の店員に取り押さえられ,駆け付けた泉警察署の警察官によって逮捕されました。
(この刑事事件例はフィクションです)

【万引きでも強盗になる】

今回の刑事事件例では事後強盗罪が適用される可能性が高いです。
一般的な万引きの場合,日本には万引き罪といったものは存在しないため,万引きは全て窃盗罪が適用されます。
しかし今回の刑事事件例の場合,単なる万引きではなく,万引きした後に声をかけてきた店員を突き飛ばしているため,事後強盗罪が適用される可能性が高いでしょう。

(窃盗罪)
刑法235条
  他人の財物を窃取した者は,窃盗の罪とし,十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
事後強盗罪
 刑法238条
  窃盗が,財物を得てこれを取り返されることを防ぎ,逮捕を免れ,又は罪跡を隠滅するために,暴行又は脅迫をしたときは,強盗として論ずる。

今回の刑事事件例ではAさんが万引きをしたがために捕まることを避けるために店員を突き飛ばして逃げようとしたと考えることができるので,やはり今回の刑事事件例では窃盗罪ではなく事後強盗罪が適用される可能性が高いと言えるでしょう。

【事後強盗と強盗の違い】

(強盗罪)
 刑法236条
  暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は,強盗の罪とし,五年以上の有期懲役に処する。

事後強盗罪の条文内に書かれている「暴行や脅迫」とは被害者の反抗を抑圧する程度のものであると考えられています。
今回の刑事事件例では被害者である店員を突き飛ばしているので,反抗を抑圧する程度の暴行と考えられ,事後強盗とされる可能性が高いです。
しかし仮に必要以上に店員を殴る蹴るなどの暴行を加えたり,凶器で危害をくわえたりなど,「被害者の反抗を抑圧する程度」を大きく超える場合には窃盗罪と暴行罪または傷害罪,脅迫罪が成立する可能性が高いです。
また暴行の内容が「被害者の反抗を抑圧する程度」に足りる場合であっても,その暴行や脅迫によって被害者が怪我を負った場合は強盗致傷罪,死亡させた場合は強盗致死罪とより重い罪が適用されることも十分に考えられます。

(強盗致死傷罪)
刑法240条
 強盗が,人を負傷させたときは無期又は六年以上の懲役に処し,死亡させたときは死刑又 は無期懲役に処する。

【事後強盗の早期解決を目指すなら】

万引きは初犯であれば不起訴になる可能性もありますが,事後強盗となると起訴される可能性が非常に高まります。
また今回の刑事事件例の場合は万引きに加え,店員が突き飛ばされるといった被害も受けているため,被害者ならびに被害店舗の処罰感情が高まる可能性が高いです。
このような状況の中、事後強盗事件を起こしてしまった場合で事件を穏便に済ませ、寛大な処分を得たい場合、事後強盗事件をはじめ刑事事件の示談に精通した弁護士に依頼をし、事後強盗事件の被害者の方の処罰感情をなだめつつ、事後強盗事件の被害者ならびに害店舗の方と示談を進めていくことが重要となります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所で事後強盗事件のような重大事件についても対応しています。
宮城県仙台市泉区の事後強盗事件でお困りの場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律
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宮城県仙台市宮城野区の盗撮事件

2022-01-12

宮城県仙台市宮城野区の盗撮事件

宮城県仙台市宮城野区の盗撮事件について弁護士法人あいち刑事事件法律事務所仙台支部が解説します。

【刑事事件例】
宮城県仙台市宮城野区在住で、同じ宮城県仙台市宮城野区にある会社に勤務するAさんは、同じ会社の同部署に勤務するVさんにひそかに好意を抱いていました。
ある日どうしても衝動を抑えきれなかったAさんは、隠し持った小型カメラでVさんのスカートの中を盗撮してしまいました。
盗撮していたところを他の社員に見つかり、駆け付けた宮城県仙台東警察署の警察官によって現行犯逮捕されました。
(この刑事事件例はフィクションです。)

【盗撮は何罪?】

日本の刑法には盗撮罪というものはなく、多くの場合は該当する都道府県の迷惑行為防止条例違反、または軽犯罪法違反で処罰されることが一般的です。
今回は宮城県仙台市宮城野区でおきた刑事事件例ですので、宮城県の迷惑行為防止条例が適用されるとして今回の刑事事件例を見ていきましょう。
宮城県の迷惑防止条例施行規則を見ると、第1条の目的において「この条例は、人に著しく迷惑をかける行為を防止し、もつて県民生活の平穏を保持することを目的とする。」としています。
これより盗撮は「著しく迷惑をかける行為」と考えることができ迷惑行為防止条例違反となります。
さらに宮城県の迷惑行為防止条例において

第三条
三、人の下着等を撮影し、又は撮影する目的で写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下「写真機等」という。)を向け、若しくは設置すること。

と、盗撮等について詳しく定めており、今回の刑事事件例においては、これに違反することがわかりますので、迷惑行為防止条例違反で逮捕される可能性が高いです。

【盗撮で示談】

盗撮は初犯で且つ処分前にしっかりと被害者対応等の弁護活動を行うことができれば、あれば不起訴になる可能性が高いです。

しかし盗撮は性犯罪であるために被害者の処罰感情が高まる可能性が高いです。
さらに今回の刑事事件例ではAさんとVさんは同じ会社の同部署に勤務する同僚であり、関係性が近いためにAさんは例え初犯であっても、なかなか釈放されない可能性が高いです。
このような状況の中、盗撮事件を起こしてしまった場合で事件を穏便に済ませ、寛大な処分得たい場合、盗撮事件をはじめ刑事事件の示談に精通した弁護士を雇って、盗撮事件の被害者の方の処罰感情をなだめつつ、盗撮事件の被害者の方と示談を進めていくことが重要となります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所で性犯罪も多く取扱い,不起訴処分を多く獲得しています。
宮城県仙台市宮城野区の盗撮事件でお困りの場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部までご相談ください。
フリーダイヤルは0120―631-881です。
今すぐお電話ください。

宮城県仙台市泉区の少年事件(後編)

2021-12-30

宮城県仙台市泉区の少年事件(後編)

宮城県仙台市泉区の少年事件(後編)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説致します。
この記事は,宮城県仙台市泉区の少年事件(前編)の続きとなります。

【少年法5条1項の例外はないのか】

もっとも、上記で説明した場合の例外が、少年法5条2項に定められています。

少年法 第5条2項

家庭裁判所は、保護の適正を期するため特に必要があると認めるときは、決定をもつて、事件を他の管轄家庭裁判所に移送することができる。

少年法5条2項は、現在少年事件が係属している家庭裁判所で調査・審判が行われるよりも、他の家庭裁判所で調査・審判が行われた方が適切である場合には、その他の家庭裁判所に少年事件を移す(移送する)ことを認める規定です。
この少年法5条2項は「保護の適正を期するため特に必要があると認めるとき」に適用されることになり、実際には、親と一緒に住んでいる少年の事件の場合には、親の住所を管轄する家庭裁判所に少年事件が移送されることが多いです。

これを少年事件例で説明すると、現在高校3年生で普段は神戸市内で両親と暮らしているAさんの調査・審判を、仮に仙台家庭裁判所が行うことになるとすると、神戸市に住むAさんやAさんの両親にとって負担が大きいです。
少年事件例においては、Aさんが普段両親と暮らしている神戸市を管轄とする神戸家庭裁判所に、Aさんの強要児童ポルノ法違反事件を移送した方が適当であると言えるでしょう。
そのため、Aさんの強要児童ポルノ法違反事件は、仙台家庭裁判所から神戸家庭裁判所へと移送される可能性が高いと言えます。

【少年事件が移送された場合に不都合はないのか】

少年事件例のように、仙台家庭裁判所から神戸家庭裁判所へと少年事件が移送された場合、同じ弁護士による法的な援助を受けることが難しくなるというデメリットが考えられます。
少年事件例では、仙台市の泉警察署に逮捕された時にAさんに対して法的なアドバイスをしてくれた弁護士がいた場合、その弁護士が神戸市まで出張して付き添ってくれるとは限りません。
従って、Aさんが仙台市の泉警察署で拘束されている段階では、仙台市の弁護士にAさんの強要児童ポルノ法違反事件の対応を依頼し、Aさんの強要児童ポルノ法違反事件が神戸家庭裁判所に移送された段階では、別の神戸市の弁護士に改めてAさんの強要児童ポルノ法違反事件の対応を依頼する可能性が十分にありえます。
この場合、同じ弁護士による法的な援助を受けることが出来ず、少年の調査や審判において不利益になる危険性があります。
 
その点、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、そのようなデメリットを乗り越え、当初から一貫した方針で少年事件を対処することが可能であります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、札幌、仙台、千葉、東京(新宿・八王子)、埼玉、横浜、名古屋、京都、大阪、堺、神戸、福岡の全国12都市、計13か所に事務所を構える少年事件刑事事件専門の法律事務所です。
そして、弊所に在籍している弁護士は、少年事件刑事事件に精通している弁護士ばかりです。
そのため、少年事件例のように神戸市に住む高校生のお子さんが、仙台市の警察署に強要児童ポルノ法違反の疑いで逮捕されて連れて行かれたという場合でも、仙台市に在籍する弁護士と神戸市に在籍する弁護士が連携して、強要児童ポルノ法違反事件に対処することが可能になり、当初から一貫した方針で強要児童ポルノ法違反事件に対処することが可能であります。

高校生のお子さんが、いきなり現在の住所から遠く離れた仙台市の警察署に逮捕され、連れて行かれてしまってお困りの方は、いち早く、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部まで御相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は,刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
宮城県仙台市泉区の少年事件でお困りの場合は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部までお電話ください。

宮城県仙台市泉区の少年事件(前編)

2021-12-28

宮城県仙台市泉区の少年事件(前編)

宮城県仙台市泉区の少年事件(前編)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説致します。
この記事は,宮城県仙台市泉区の少年事件(前編)となります。

【少年事件例】

兵庫県神戸市内で両親と一緒に住んでいる高校3年生のAさん(17歳)は、SNS上で仲良くなった宮城県仙台市泉区在住の中学2年生のVさん(14歳)に対して、裸の画像を送ってもらうよう要求しました。
Aさんに好意を抱いていたVさんは、Aさんの求めに応じて自身の裸の写真をAさんに送りました。
これに味を占めたAさんは、もっと多くのVさんの裸の画像を要求しました。
Vさんは、これ以上の画像を送ることが怖くなってしまったので、この要求を断ると、Aさんは新たに裸の画像を送らなければ、これまで送ってもらったⅤさんの裸の画像をネット上で公開するぞとⅤさんにメッセージを送りました。
怖くなったVさんは両親に相談し、Vさんの両親は泉警察署に被害届を提出しました。
その後、泉警察署の警察官が、神戸市にあるAさんの自宅を訪れ、Aさんを逮捕しました。
(この少年事件例はフィクションです。)

【Aさんは今後どうなってしまうのか】

Aさんの行為は、強要罪児童ポルノ法違反(所持・製造)に当たる可能性が高いです。
20歳未満の少年が、強要罪児童ポルノ法違反といった犯罪に当たる可能性が高い行為をしてしまった場合、通常は以下のような流れで少年事件が進むことになります。

まず、被害届の受理などによって警察が少年事件を認知した場合、警察による捜査が開始されることになります。
そして、警察から、その警察署の管轄に対応する検察庁に少年事件が送致されます。
その後さらに、少年事件の送致を受けた検察庁と同じ管轄の家庭裁判所に少年事件が送致されることになり、その家庭裁判所で調査、審判が開始されることになるのが通常です。

これを少年事件例で説明すると、Aさんの強要児童ポルノ法違反事件の捜査を担当しているのは、被害届を受理している仙台市にある泉警察署です。
泉警察署による捜査の後は、Aさんの強要児童ポルノ法違反事件は泉警察署の管轄に対応している仙台地方検察庁に送致されることになります。
仙台地方検察庁にAさんの強要児童ポルノ法違反事件が送致された後は、仙台地方検察庁と管轄が対応する仙台家庭裁判所に、Aさんの強要児童ポルノ法違反事件が送致されることになるでしょう。

【神戸市に住むAさんの少年事件がどうして仙台家庭裁判所へと送致されるのか】

少年事件例において、仙台地方検察庁から仙台家庭裁判所に少年事件が送致されるのは、少年法5条1項の規定によるものです。

少年法5条1項

保護事件の管轄は、少年の行為地、住所、居所又は現在地による。

少年法5条1項の「現在地」とは、少年が現在いる場所のことを言います。
そのため、普段は神戸市に住むAさんが、仙台市にある泉警察署逮捕されて泉警察署に留置されている場合は、Aさんの「現在地」は仙台市ということになります。
そのため、Aさんの強要児童ポルノ法違反事件は、仙台地方検察庁から仙台家庭裁判所へと送致されることになります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は,刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
宮城県仙台市泉区の少年事件でお困りの場合は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部までお電話ください。

この記事は,宮城県仙台市泉区の少年事件(後編)に続きます。

暴行に加担した共犯事件

2021-12-23

暴行に加担した共犯事件

暴行に加担した共犯事件について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【刑事事件例】

Aさんは,常日頃,Bさんから「Vさんが嫌いだ。機会があったらやってやろうと思う。」と聞かされていました。
ある日,Aさんがいつも通り,たむろ場(宮城県多賀城市内)に向かうと,BさんがVさんに対して暴行を加えているのも目撃しました。
Vさんの怪我を見て,Aさんはいち早く事態の成り行きを察知し,自らもこれに加担する意思で,Bさんと共謀して,Vさんに対して暴行を加えました。
その結果,Vさんは,Aさんが加担する前の暴行によって怪我を負いました。
後日,Aさんは,Vさんから宮城県塩釜警察署に被害届を出すと聞きました。
AさんはVさんと示談をして,暴行事件を穏便に済ませたいと考えています。
(刑事事件例は,大阪高等裁判所判決昭和62年7月10日を参考に作成したフィクションです。)

【暴行罪の共犯(共同正犯)になる】

Aさんは,Bさんと共謀して,Vさんに対して暴行を加えています。
このように,共犯者(刑事事件例ではBさん)と共謀して,その共謀に基づいて,共犯者それぞれ(刑事事件例ではAさんとBさん)が犯罪行為を行った場合,共犯(実行共同正犯)が成立します。

暴行罪共犯(共同正犯)が成立する場合,共犯者(刑事事件例ではAさん)は暴行罪の罪責を負います。
暴行罪の刑事罰は「2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」(刑法208条)ですので,共犯者(刑事事件例ではAさん)には「2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」という刑事罰が科されることになります。

【加担前の怪我について】

以上のように,Aさんは,Bさんと共謀して,Vさんに対して暴行を加えていますが,Vさんは,Aさんが加担する前にBさんがした暴行によって,怪我を負っています。
この場合,Bさんが傷害罪の罪責を負うのは当然ですが,Aさんに対しても,Aさんが加担する前のBさんの暴行によって生じた傷害の結果の責任を負うのかどうかという点が問題となります。

この点に,加担したAさんには,被害者の方であるVさんに暴行を加えること以外の目的はありませんでした。
また,そもそも1つの暴行行為によって1つの傷害罪が成立するので,AさんはBさんによる(怪我を負わせる原因となった)暴行行為そのものに加担したとはいえません。
よって,Aさんは,Bさんとの共謀が成立した後の行為に対してのみ,共犯関係が成立したとして,暴行罪共犯(共同正犯)の罪責を負うことになります。

【暴行に加担した共犯事件の示談について】

暴行に加担した共犯事件の示談は,共犯者に就いた刑事弁護士が相互に連絡を取り合い,それぞれが負う罪責に応じて,被害弁償金(示談金)を按分することになるのが通常です。
刑事事件例では,Aさんは暴行罪共犯(共同正犯)の罪責を負うので,その暴行に対応する被害について,被害弁償金(示談金)を支払ったり,示談書を締結したりすることになると考えられます。
ただし,共犯者の方の資力状況や被害者の方に処罰感情に応じて,示談条件が変動する可能性があります。

暴行に加担した共犯事件で示談をしたい場合には,刑事弁護士によく事情を説明して,示談を進めてもらうのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は,刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
暴行に加担した共犯事件でお困りの場合は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部までご相談ください。

窃盗事件で責任能力を争いたい

2021-12-21

窃盗事件で責任能力を争いたい

窃盗事件責任能力を争いたい場合について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【刑事事件例】

Aさんは,宮城県塩釜市内において窃盗事件を起こしてしまい,窃盗罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんの逮捕の連絡を受けたAさんの家族は,Aさんに統合失調症の症状がみられたことから,責任能力を争いたいと考え,責任能力に詳しい刑事弁護士を探しています。
刑事事件例はフィクションです。)

【責任能力とは】

物事の良し悪しを判断できない者が違法な行為をしたからといって,その者に違法な行為を行ったことに対する道義的な非難を加えることはできません。
なぜなら,そのような者には,物事の良し悪しを判断して違法な行為をしないという期待ができない(期待可能性がない)からです。

そのため,違法な行為に対して道義的な非難を与えるためには,その大前提として,行為者に人格的な適性がなければならないと考えられています。
その人格的な適性とは,自分の行為が違法であることを意識し,そのような行為をしないように自分を律することができる能力(責任能力)を有することをいい,具体的には,精神の障害がないこと(刑法39条)であり,また,刑事未成年者でないこと(刑法41条)ということになります。

刑法39条
1項:心神喪失者の行為は,罰しない。
2項:心神耗弱者の行為は,その刑を減軽する。

刑法39条1項が定める「心神喪失者」とは,精神の障害により,行為が違法であることを認識する能力がない,又は,この認識に従って行動する能力がない状態にある者のことをいいます。
また,刑法39条2項が定める「心神耗弱者」とは,精神の障害により,行為が違法であることを認識する能力が著しく減退しているか,又は,この認識に従って行動する能力が著しく減退している状態にある者のことをいいます。

【どのような場合に責任無能力,限定責任能力が認められるか】

犯罪精神医学の慣例では,統合失調症や急性アルコール中毒,慢性アルコール中毒のうちアルコール精神病,アルコール痴呆,覚せい剤中毒などが,「心神喪失者」や「心神耗弱者」にあたり,責任無能力者又は限定責任能力者として扱われることがあるとされています。

また,犯罪精神医学上では,アルコール単純酩酊状態にあったり,病的性格(単なる性格の異常)の持ち主であったりしても,完全な責任能力があるとして考えています(通説)。

ただし,「心神喪失者」や「心神耗弱者」にあたるか否かについて,精神障害の有無に関しては専門家である精神医学者の意見を十分に尊重しなければならないと考えられていますが,最終的な判断は裁判所に判断に委ねられています。

【精神鑑定について】

責任能力が争われるような刑事事件では,検察官により簡易鑑定(精神診断)又は鑑定嘱託が行われるのが通常です。

簡易鑑定(精神診断)とは,精神の障害や薬物中毒が疑われる被疑者の方について,被疑者の方の承諾を得て,精神科医によって行われる簡単な精神鑑定のことをいいます。

鑑定嘱託とは,捜査官が精神科医(などの特別の学識経験のある第三者)に対し,その学識経験に基づいた報告をすることを嘱託することをいいます。
被疑者の方の鑑定にあたり,被疑者の方を病院等に留置する必要がある場合には,鑑定留置がなされることがあることが特徴です。

【責任能力を争いたい場合】

責任能力を争いたい場合のうち,明らかに責任能力がないと思われる場合には,検察官に対して不起訴処分をするように訴えていくことになると考えられます。
また,その他に,責任能力の有無や軽重について争いたい場合は,不起訴処分となった場合を除き,法定で本格的に争っていくことになると考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は,刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
窃盗事件責任能力を争いたい場合は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部までご相談ください。

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