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現住建造物等放火罪での逮捕と弁護

2022-09-15

放火事件を起こしてしまった場合の刑事事件の手続きと刑事責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【刑事事件例】

宮城県富谷市に住んでいる会社員であるAさんは、食事のためとある飲食店に訪れていました。
Aさんは店員の対応に不満があったため、帰宅後に可燃性の液体を持参し、店舗の壁にかけて、ライターを使って火を付けました
火は気付いた従業員によって消火されました。
警察の捜査によって、防犯カメラなどから身元が割れたAさんは、現住建造物等放火罪の容疑で大和警察署逮捕されました。

(報道された事件の一部事実を改変しています。)

【現住建造物等放火罪とは】

上記の刑事事件例で、Aさんは現住建造物等放火罪の疑いで逮捕されています。
現住建造物等放火罪は、刑法108条で規定されています。

刑法208条 現住建造物等放火
放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。

ここでいう建造物とは、家屋その他これに類似する建築物をいい、屋根があって壁または柱によって支持され土地に定着し、少なくともその内部に人が出入りしうるものを指しています。

現に人が住居に使用する建造物とは、犯人以外の人が起居の場所として日常使用する建造物等のことを言います。
現に人がいる建造物とは、犯人以外の人が放火の際に現在する建造物等を言います。

焼損とは火が媒介物を離れ目的物、つまり建造物の一部独立して燃焼を継続しうる状態になることをいいます。
建造物の一部とは、容易には取り外すことのできない状態にあるもののことです。

上記の刑事事件例でAさんは、現に人がいる建造物である飲食店の壁に可燃性の液体をかけて火を付けているため、現住建造物等放火罪が成立します。

【現住建造物等放火の刑罰】

現住建造物等放火罪の法定刑は死刑又は無期若しくは5年以上の懲役と定められています。
これは殺人罪(刑法199条)と同じ罪の重さであり、いかに放火という行為が危険なものであるかが読み取れます。

現住建造物等放火罪は、裁判員裁判の対象となる重大事件として扱われています。
裁判員裁判は一般的な裁判とは異なる手続きが取られるため、それらに詳しい弁護士に依頼することが重要です。

現住建造物等放火罪でご家族が逮捕されてしまいお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部をご利用ください。

刑事事件を専門に扱う弁護士が逮捕、勾留中の方の留置先に直接伺う初回接見サービスを実施しております。
また、法律相談は初回無料で行っております。

放火事件などの刑事事件でお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の電話番号0120ー631ー881に是非ご連絡ください。

宮城県の痴漢事件による逮捕

2022-09-12

痴漢事件を起こしてしまった場合の刑事事件の手続きと刑事責任について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【刑事事件例】

宮城県石巻市に住んでいる会社員のAさんは、同市にある駅のホームで電車を待っていました。
Aさんは電車を待っている際に、近くにいた女性を見つけると、スカートの上から女性の臀部を手で触りました。
しかし事件を目撃していた駅員がすぐさまAさんを取り押さえ、警察に通報しました。
その後、石巻警察署から駆け付けた警察官に、Aさんは痴漢の疑いで現行犯逮捕されました。

(報道された事件の一部事実を改変しています)

【痴漢の扱い】

いわゆる迷惑行為防止条例は各自治体がそれぞれ定めているもので、一般に痴漢と呼ばれる行為はこの迷惑行為防止条例で処罰されることが多いです。
上記の刑事事件例は宮城県内で起きた事件であるため、いわゆる痴漢行為となった場合は宮城県の迷惑行為防止条例が適用されます。

宮城県の迷惑行為防止条例の第3条の2の1項の柱書には「何人も、公共の場所にいる人又は公共の乗物に乗っている人に対し、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような次に掲げる行為をしてはならない。」と記載されています。

そして第3条の2の第1項1号には「衣服その他の身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から又は直接人の身体に触れること。」と記載されています。

上記の刑事事件例でAさんは公共の場所である駅のホームで女性に対し、衣服等の上から身体に触れています。
一般にこのような行為は人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為にあたるため、宮城県の迷惑行為防止条例が適用されます。

宮城県の迷惑行為防止条例の17条第1項1号に、第3条の1の第1項1号にあたる行為の罰則は「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」と記載されています。

【痴漢事件の弁護活動】

逮捕されてしまった場合、警察官は最大で48時間被疑者を拘束弁解録取を行います。
その際に釈放にならなければ、警察官は検察官に被疑者を送致し、検察官は24時間以内に被疑者を釈放するか裁判官に勾留請求するかを決定します。
裁判官への勾留請求が認められると、被疑者は10日間留置所で身体拘束されます。
勾留が延長されると最大で20日間の身体拘束を受けることになります。

それを回避するためには、例えば、家族に身元引受人になってもらい,、釈放してほしい旨を記載した書面を弁護士が提出するなどの弁護活動が考えられます。

国選の弁護人は勾留の決定がされると付きますが、私選の弁護人であれば逮捕の段階から弁護活動を行うことが可能です。
そのため勾留の決定を回避し、早期の釈放を望む場合は、私選の弁護士に依頼することが必要です。

上記のような痴漢事件をはじめとする刑事事件でお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部にご相談ください。
ご家族の方が逮捕されてしまった場合、弊所で実施している弁護士が逮捕された方のもとに直接伺う初回接見サービスをご利用いただけます。

法律相談も初回は無料となっておりますので、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までお気軽にお電話ください。

博物館への無断侵入

2022-09-09

建造物侵入事件が起きた場合の刑事事件の手続と刑事責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【刑事事件例】

大学生であるAさんは、宮城県気仙沼市に観光の目的で訪れていました。
観光地にある博物館に行くつもりだったAさんは、諸事情で博物館の閉館時間に間に合いまでんでした。
しかし博物館の施錠がされていなかった事に気付いたAさんは、そのまま開いたドアから博物館に侵入しました。
その後Aさんは警備員に取り押さえられ、Aさんは気仙沼警察署建造物侵入の疑いで連行されてしましました。

(報道された事件の一部事実を改変した事例です。)

【建造物侵入罪の刑事責任】

刑法130条の前段には、正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入した者は3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処すると記載されています。

刑法 第130条 建造物侵入罪
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

人の住居に侵入する場合は住居侵入罪となり、それ以外の建造物に侵入した場合は建造物侵入罪となります。

ここでいう“建造物”とは、住居・邸宅以外の建物を指し、建造物が建てられている塀や堀で囲まれた敷地(“囲繞地”と呼ばれる)も含まれます。

看守”とは建物などを事実上管理、支配するための人的、または物的な設備を施すことを言います。
侵入”とは、居住者や管理者の意思に反して人の住居や建造物に立ち入ることを意味します。
正当な理由がない”とは“違法”にという意味なので、住居者等の意思に反して警察官が令状をもって捜査を目的に立ち入る場合は住居侵入罪には当たりません。

刑事事件例でAさんは、閉館後の博物館に許可なく侵入ししているため、建造物侵入罪が成立します。

【弁護活動の必要性】

逮捕された場合、警察官は被疑者を釈放するか事件を検察官に引き継ぐ“送致”をするかを48時間以内に決定します。
送致を受けた検察官は、同じく被疑者を釈放するか裁判官への勾留を申請するかの決定を24時間以内に行います。
さらに裁判官が勾留を決定すると、留置所で10日間身体を拘束されることになります。
勾留は検察官が請求すれば、身体拘束を原則として最大20日間に延長することが可能となっています。
そのため逮捕されると最大で23日間行動を制限されることになります。

そうならないためには、検察官及び裁判官に勾留を行わないように働きかける必要があります。
逮捕されてしまった場合でも、証拠隠滅の恐れや逃亡の恐れがないことなどを主張し、勾留決定を付けさせずに釈放を目指すことができます。
ただしこれらの働きかけは弁護士を通じてしか行うことができません。
勾留決定までの時間は短く、いかに素早い対応ができるかが鍵になります。
そのため刑事事件の知識と経験が豊富な弁護士への依頼を、速やかに行う必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は刑事事件を専門に扱っている弁護士事務所です。

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盗撮事件で逮捕、宮城県の迷惑行為防止条例

2022-09-06

盗撮事件を起こしてしまった場合の刑事事件の手続きと刑事責任について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【刑事事件例】

宮城県登米市に住んでいる会社員のAさんは、スマートフォンを動画モードにして高校の通学路に置き、女子生徒のスカートの中を撮影する行為を繰り返していました。
しかし、路上に置かれたスマートフォンに気付き、動画モードになっていたことを確認した高校生が警察に通報しました。
警察の捜査の結果、スマーフォンに映っていた動画や防犯カメラの映像などの情報からAさんの身元が割れ、Aさんは登米警察署に逮捕されました。
(報道された事件の一部事実を改変しています)

【盗撮の刑罰について】

刑法には盗撮罪というものは記載されておりません。
盗撮行為は、各自治体が定めている、いわゆる迷惑行為防止条例で処罰されることが多いです。

上記の刑事事件例は宮城県内で起きた事件であるため、宮城県の迷惑行為防止条例が適用されます。

盗撮に関する禁止規定は、宮城県の迷惑行為防止条例の第3条の2の柱書と、第3条の2の第1項3号に記載されています。

宮城県迷惑行為防止条例
第3条の2

何人も、公共の場所にいる人又は公共の乗物に乗っている人に対し、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような次に掲げる行為をしてはならない。
第3条の2 第1項3号
人の下着等を撮影し、又は撮影する目的で写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下「写真機等」という。)を向け、若しくは設置すること。

上記の刑事事件例でAさんは下着を撮影する目的で、写真機等に該当する動画モードのスマートフォンを公共の場所である路上に設置しているため、宮城県の迷惑行為防止条例が適用されます。

宮城県の迷惑行為防止条例の16条第1項によれば盗撮行為の罰則は1年以下の懲役又は100万円以下の罰金と定められています。

【盗撮で逮捕された場合の弁護活動】

盗撮事件において重要な弁護活動の1つに被害者との示談交渉があります。
被害者との示談が締結していれば、刑事処分が軽くなったり、場合によっては不起訴処分を獲得することも可能です。

しかし、事件を起こした立場の方から被害者に連絡を取ることは事実上不可能です。
なぜなら被害者と連絡を取るには被害者の連絡先を聞かなければならないため、加害者側に連絡先を教えることをほとんどの被害者は躊躇うからです。
そのため示談交渉には被害者と加害者の間に入る弁護士が必須になります。
示談を成立させるためにも,盗撮事件をはじめとする刑事事件の専門的な知識や経験が豊富な弁護士に速やかに示談交渉の依頼をすることが重要です。

上記のような盗撮事件をはじめとする刑事事件でお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部にご相談ください。
また、ご家族の方が逮捕されてしまった方は,弊所で実施している初回接見サービスをご検討ください。
弁護士が逮捕された方のもとに直接伺いますので、まずは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までお電話ください。

飲み会トラブルから恐喝事件の発生

2022-09-03

恐喝事件が起きた場合の刑事事件の手続と刑事責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【刑事事件例】

宮城県石巻市に住んでいる大学生のAさんは、友人と飲み会をしている際に友人の1人であるVさんと口論になり、VさんはAさんを殴ってしまいました。
後日、AさんはVさんに対して「被害届を出されたくなかったら慰謝料を払え」と脅し、AさんはVさんから現金10万円を受け取りました
Vさんは友人に相談し、その後警察に被害届を出したため、Vさんは河北警察署恐喝罪の容疑で逮捕されました。

(報道された事件の一部事実を改変した事例です)

【恐喝罪の成立要件と強盗罪との差異】

上記の刑事事件例で、Aさんは恐喝罪の疑いで逮捕されています。
恐喝罪については、刑法249条1項、2項で定められています。

(恐喝)
刑法 第249条

1項 人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

恐喝とは相手方に対して暴行又は脅迫を手段として相手を畏怖させ、畏怖した心理状態で財物を交付させることを言います。

このうち脅迫とは、相手方を畏怖させるような害悪の告知することを指します。

恐喝における暴行又は脅迫は、被害者の反抗を抑圧する程度にいたらない、抵抗できないほどではないものを指します。
この暴行又は脅迫相手方の反抗を抑圧するに足りうる程度の強度のものになると、強盗罪(刑法236条)が適用されることになります。

(強盗)
刑法 第236条

1項 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。
2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

事件例でAさんは、被害届を提出する、すなわち場合によってはVさんが逮捕されたり刑事処罰を受けることを仄めかして脅迫を行っています。
なおAさんはVさんに暴力を振るわれているため、本来であれば暴行罪で被害届を出すことは可能です。
しかし告知した害悪の内容がそれ自体違法でなくても財物を交付させる不当な手段として用いる時は恐喝行為となります。

【恐喝事件の刑事弁護】

上記のように恐喝罪の法定刑には罰金刑の定めはありません
そのため起訴されてしまうと必ず刑事裁判を受けることになり、実刑判決が下されれば、執行猶予が付かない限り、刑務所に服役することになってしまいます。

そのような事態を避けるためには被害者との示談交渉が必要になってきます。
金銭的な被害がある場合は、被害額の弁償などを内容として、検察官が処分を決定する前に示談を速やかに締結することが重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、恐喝罪をはじめとして、様々な刑事事件を専門に扱っている弁護士事務所です。

弊所では弁護士が被疑者のもとに直接赴く初回接見サービスを実施しております。

初回接見サービスの申し込みは24時間体制で受け付けておりますので、ご家族が逮捕されてしいお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部にご連絡ください。

背任罪における刑事弁護

2022-08-31

背任事件が起きた場合の刑事事件の手続と刑事責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【刑事事件例】

宮城県本吉郡在住で信用組合の理事をしているAさんは、友人が経営する会社に対し、十分な担保を取らないまま、貸付限度額を超えた高額の融資を行いました。
その後、融資先の会社は経営状況が悪化してしまい、十分な担保が設定されていないこともあり、融資額の回収は困難になってしまいました。
不適切な融資が発覚して組合から被害届が出されたことで、Aさんは南三陸警察署に連行され、背任罪の容疑で逮捕されてしまいました。

(実際に報道された事例を基にしています)

【背任罪の法定刑と成立要件】

上記の刑事事件例で、Aさんは背任罪の容疑で逮捕されています。
背任罪については、刑法247条にて定められています。

刑法 第247条
他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

他人のためにその事務を処理する者とは、一定の信任関係に基づき、他人の事務をその他人のために処理する者を指します。

背任罪の成立には、自己若しくは第三者の利益を図る目的または、本人に損害を加える目的(図利加害目的)も必要です。
もっぱら本人の利益を図る目的であった場合は、財産上の損害が生じても背任罪は成立しません。
本人の利益を図る目的と図利加害目的が併存する場合は、図利加害目的が主たる目的と判断された場合に、背任罪が成立します。

任務に背く行為について、判例は、代理権濫用の法律行為に限定されず、事実行為も含めて信任関係を害する行為を含むと解釈しています。

事件例のAさんは、信用組合の理事という他人のためにその事務を処理する者にあたります。
友人が経営する会社に対し、条件を満たさない融資を行っているため、もっぱら第三者の利益を図る目的も認められます。
適切な担保の設定や貸付限度額の遵守といった、組合の利益を図るために理事として求められる手続を踏んでいないため、任務に背く行為が認められ、融資額の回収困難という財産上の損害をもたらしています。

【背任罪と関連する犯罪】

取締役や執行役など、特に権限のある者が背任に及んだ場合、より法定刑が重い特別背任罪が適用されます。
特別背任罪は刑法ではなく、会社法の960条1項に規定があります。

(取締役等の特別背任罪)
会社法 960条1項
次に掲げる者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は株式会社に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、当該株式会社に財産上の損害を加えたときは、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

次に掲げる者には取締役執行役支配人などが列挙されています。

なお、横領罪(刑法252条)も信任関係に背く財産犯であることなど、背任罪との共通点がありますが、財産上の利益に対しては背任罪しか成立しない、といった相違点もあります。

成立しうる犯罪が横領罪なのか背任罪なのかといった区分を正確に行うのは困難であるため、犯罪となってしまう疑いがある場合は、速やかに弁護士に相談することが重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門的に扱う法律事務所であり、背任事件をはじめとする刑事事件の経験が豊富な弁護士が対応いたします。

背任事件などの刑事事件でお困りの方、及び家族が逮捕されてしまいお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部に、是非ご連絡ください。

キャッシュカードの不正利用【電子計算機使用詐欺罪】

2022-08-28

電子計算機使用詐欺事件を起こしてしまった場合の刑事事件の手続と刑事責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説いたします。

【刑事事件例】

宮城県大崎市に住んでいる会社員のAさんは、自宅の周辺に落ちていた財布を拾いました。
財布にはキャッシュカードとそのパスワードのメモが入っていたため、Aさんは銀行のATMを使い、自身の口座に送金を行いました
後日、財布の持ち主であるVさんが口座の残高が減っていることに気付き、古川警察署に被害届を出しました。
古川警察署の捜査によって身元が割れたAさんは、電子計算機使用詐欺罪の疑いで逮捕されました。

(この刑事事件例はフィクションです。)

【電子計算機使用詐欺罪の成立】

刑事事件例のAさんは電子計算機使用詐欺罪の疑いで逮捕されています。
※刑事事件例の場合、Aさんは遺失物等横領罪(刑法254条)も適用されますが、ここでは割愛しています。

電子計算機使用詐欺罪刑法246条の2で定められています。

第246条の2(電子計算機使用詐欺)
前条に規定するもののほか、人の事務処理に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与えて財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電磁的記録を作り、又は財産権の得喪若しくは変更に係る虚偽の電磁的記録を人の事務処理の用に供して、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者は、十年以下の懲役に処する。

前条とは刑法246条の詐欺罪を指しています。

第246条(詐欺)
1項 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

詐欺罪を欺く場合に適用されるので人以外には適用されません
そのため計算や演算などを電気信号を用いて電子回路、記憶素子などで処理する機械である、コンピューターなどの電子機器を使った詐欺には電子計算機使用詐欺罪が適用されます。

電磁的記録とは記録の作出や変更が直接に財産権の得喪や変更を生じさせるようなものを指し、虚偽の情報とは真実に反する情報のことです。

刑事事件例のAさんは、拾った財布の中に入っていたキャッシュカードを警察に届け出ずにATMに使用し、自身をVさんと偽って送金を行っているので、Aさんは電子計算機使用詐欺罪が成立します。

【電子計算機使用詐欺罪の弁護活動】

電子計算機使用詐欺罪の法定刑は、懲役刑のみが定められています。
そのため、初犯であったとしても検察官に起訴されてしまうと、必ず刑事裁判を受けることになり、実刑判決が下されれば刑務所に服役することになります。
そういった事態を避けるためには不起訴処分を獲得する、起訴されてしまったとしても執行猶予を勝ち取って実刑を回避する必要があります。

上記の刑事事件例のような被害者がいる事件では、被害額の弁償をはじめとする示談交渉を進めることが重要です。
示談を速やかに締結するためには、刑事事件に精通した経験豊富な弁護士に依頼することが必要です。

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宮城県内で電子計算機使用詐欺事件などの刑事事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部をご相談ください。
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無賃乗車を行い詐欺罪で逮捕

2022-08-25

無賃乗車を起こしてしまった場合の刑事事件の手続と刑事責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【刑事事件例】

宮城県刈田郡に住んでいる無職のAさんは、仙台方面に移動するつもりでタクシーに乗りました。
もっとも、Aさんは所持金がほとんどない状態でした。
目的地に到着し、タクシーの運転手はAさんにタクシー代を請求しましたが、Aさんはその分のお金を持っていなかったためタクシー代を払えませんでした。
タクシーの運転手がその場で警察に通報したため、Aさんは仙台中央警察署から駆け付けた警察官に、詐欺罪の疑いで逮捕されました。

(報道された事件の一部事実を改変しています)

【詐欺罪の成立】

上記の刑事事件例で、Aさんは詐欺罪の疑いで逮捕されています。
詐欺罪について刑法246条1項は、「人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。」と定めています。
また、刑法246条2項では「前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。」と定められています。

刑法 第246条
第1項

 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
第2項
 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

刑法246条2項に該当する場合は、特に2項詐欺と呼ばれます。

財物とは有体物のことであり、財産上の利益は財物を除いた全ての財産を指し、財産的情報や企業秘密などがこれにあたります。

ここでいう欺くとは人に錯誤(思い違い・勘違い)を生じさせる行為のことです。

刑事事件例でAさんはタクシーの運転手に行き先を告げることで、代金を支払う意思と資力があると欺き、錯誤が生じた状態のタクシー運転手が目的地に向かっているため2項詐欺が成立します。

【詐欺罪の弁護】

警察官は被疑者を逮捕した場合、被疑者を釈放するか検察官に送致するかを48時間以内に決定します。
そして警察官から被疑者の送致を受けた検察官は、同じく被疑者を釈放するか裁判官への勾留を申請するかを24時間以内に決定します。
さらに裁判官が勾留を決定すると、留置所で10日間身体を拘束されることになります。
勾留は検察官が請求することにより、追加で更に最大10日間身体拘束を延長することが可能となっています。

このように、逮捕・勾留されてしまうと最大で23日間も身体拘束が続くことになり、外部との連絡も制限され連日の取調べにより多大な精神的苦痛も被ることになります。

そうならないためにも、早期に刑事事件の経験と実績が豊富な弁護士に依頼し、1日でも早い釈放を求める身柄解放の活動が重要になります。

勾留やその延長が決定するまでの期間が限られているため、釈放を求めるための書面や身元引受人の準備など、弁護士を通じて速やかに対応することが求められます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、無賃乗車をはじめとする詐欺事件など、多種多様な刑事事件の経験豊富な弁護士による速やかな対応が可能です。

詐欺事件によりご家族が逮捕されてお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご連絡ください。

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喫煙トラブルによる暴力犯罪

2022-08-22

喫煙トラブルから暴行罪や傷害罪などの暴力犯罪になってしまった場合の刑事手続と刑事責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説いたします。

【刑事事件の例】

宮城県栗原市に住んでいる会社員のAさんは近所にある誰もいない公園で煙草を吸っていました。
そこに偶然通りかかったVさんが「公園で煙草を吸うのはやめてほしい」と注意をしました。
Aさんは注意をされたことに怒り、Vさんに殴るなどの暴行を加えました。
その後、近隣の住民が通報したことでAさんは暴行罪の疑いで若柳警察署に連行され、取調べを受けることになりました。

(報道された事例を一部、個人情報等の関係から修正した事例です)

【暴力犯罪の取り扱い】

上記の刑事事件例でAさんは暴行罪の疑いで捜査を受けることになりました。
暴行罪について、刑法208条は「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。」と定めています。

刑法 第208条
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

暴行罪における暴行とは、人または物に対する有形力(物理力)の行使を言います。
また、傷害とは、人の生理的機能に障害を与えることと、健康状態を不良にすることを指します。

暴行を加えられた相手が怪我をしてしまった場合は傷害罪に問われる可能性もあります。
傷害罪について、刑法204条は「人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」と定めています。

刑法 第204条
人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

刑事事件例でのAさんはVさんに殴るなどの暴行を加えているため、暴行罪が成立します。
ですが、VさんがAさんの暴行によって怪我をしていればより重い罪である傷害罪に問われる可能性もあります。
実際に、当初は暴行罪で捜査されていた事件が後に傷害事件に切り替わることもあります

【暴行事件の刑事弁護】

このような暴力行為による刑事事件の場合に不起訴処分を勝ち取るためには、被害者との示談の締結が重要になります。
なぜなら検察官が処分を決めるにあたって、被害者の処罰感情は重要な事情として扱われるからです。

ただし、被害者に対しての示談金の提示や具体的な示談条件の設定などを行うには、専門的な知識が不可欠です。

被害者との早期かつ確実な示談締結のためには、刑事事件の知識と経験が豊富な弁護士に依頼することが望ましいです。

刑事事件を専門に扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、示談交渉にあたっての要点をはじめとして、弁護士が懇切丁寧にご説明いたします。

初回の相談は無料で行っておりますので、暴行罪傷害罪などの刑事事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部に是非ご相談ください。

落とし物を拾って占有離脱物横領罪に。弁護士による早期の対応

2022-08-19

占有離脱物横領事件を起こしてしまった場合の刑事事件の手続と刑事責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説いたします。

【刑事事件例】

宮城県栗原市に住んでいる会社員のAさんは、仕事終わりの帰宅途中に道に落ちているバッグを見つけました。
Aさんはバッグを拾いましたが交番には向かわず、中にあった財布から現金を引き抜き、バッグは途中で捨ててしまいました。
数週間後、付近の防犯カメラ映像が証拠となり、Aさんは占有離脱物横領罪の疑いで、築館警察署に取調べのため呼ばれることになりました。

(報道された事例を一部、個人情報等の関係から修正した事例です)

【占有離脱物横領罪の成立と窃盗罪との相違点】

上記の刑事事件例で、Aさんは占有離脱物横領罪の容疑で捜査を受けることになりました。
占有離脱物横領罪は、遺失物等横領罪とも呼ばれます。
刑法254条では「遺失物漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。」と定められています。

刑法 第254条
遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

遺失物はいわゆる落とし物のことで、持ち主の意思によらずに占有を離れ、誰の占有にも属さない物を指します。
漂流物はそれらの中でも特に水面、または水中に存在する物を表します。
いずれも占有を離れた他人の物の一例となります。

横領とは不法領得の意思をもって占有離脱物を自己の事実上の支配下に置くことを指します。

同じ財産犯である窃盗罪(刑法235条)とは、領得した物に占有が及んでいるかどうかで区別がされます。
占有が及んでいれば占有離脱物横領罪ではなく窃盗罪が成立します。

例えば、ホテルにスマートフォンが置き忘れてあった場合、ホテルの側に排他的支配性が認められると考えることができるため、これを領得すれば占有離脱物横領罪ではなく窃盗罪が成立します。

刑事事件例でのAさんは、路上に置き忘れて所有者の占有が及ばなくなったバッグを拾っています。
その後、警察に届け出ることなく、中にあった現金を自分の物にしようとしたため、Aさんには占有離脱物横領罪が成立します。

【占有離脱物横領罪の弁護活動】

先ほども確認したとおり、占有離脱物横領罪の法定刑は「1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。」とされており、窃盗罪10年以下の懲役又は50万円以下の罰金)などと比較すると、軽い部類にはなります。
そのため、刑事事件例のAさんのように、いきなり逮捕まではされず、まずは任意で取調べに呼ばれることもあります。

もっとも、たとえ逮捕されなくても、流れに任せているだけでは、いずれ検察官によって処分を受けるリスクがあります。
Aさんの場合、バッグの中にあった現金を盗ってしまって、いまだ弁償できていないため、不起訴処分にならず、前科がついてしまう可能性も否定できません。

検察官による処分を軽くするためには、例えばバッグの落とし主である被害者と示談をすることが考えられますが、弁護士がついていない場合、警察官や検察官から落とし主の連絡先を教えてもらえず、示談ができないおそれがあります。

そのため、たとえ逮捕がされなかったとしても、早い段階で弁護士に相談を行い、示談対応などの依頼を行うことが重要となります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、占有離脱物横領罪をはじめとして、様々な刑事事件を専門的に扱う弁護士事務所です。

落とし物を拾って刑事事件となってしまいお困りの方は、是非ともあいち刑事事件総合法律事務所の無料相談をご利用ください。

相談予約は24時間体制で受付けておりますので、お悩みの場合はまずは弊所までご連絡ください。

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