大麻事件

1.薬物に関連する法律

日本国内で、薬物を取り締まる法律は、以下のような法律になっています。

薬物ごとに、規制される対象や法定刑が異なっており、複雑なものになっています。大麻事件については、これまでは大麻取締法によって規制されていました。現在は、法改正によって、「大麻草の栽培の規制に関する法律」によってその栽培が、「麻薬及び向精神薬取締法」によって輸入・輸出や譲り渡し・譲り受け、所持などが規制されています。

大麻取締法においては、大麻の使用そのものは処罰されていませんでしたが、現在は麻薬及び向精神薬取締法によって「施用」も処罰されます。また、大麻に関する事件を起こした際の罰則に厳罰化の傾向が見られます。例えば、大麻の所持の罰則はこれまで「5年以下の懲役(大麻取締法24条の2第1項)」でしたが、現在では「7年以下の懲役(麻薬及び向精神薬取締法66条1項)」とされています。

  1. 覚せい剤
    覚せい剤取締法(こちらをご覧ください)
  2. 大麻
    大麻草の栽培の規制に関する法律(ここで取り扱う法律です)など
  3. 麻薬(コカイン等)
    麻薬及び向精神薬取締法(こちらをご覧ください)
  4. 危険ドラッグ
    医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(こちらをご覧ください)

2.「大麻」とは?

一体どのようなものが大麻に当たるかは、法律に定義があります。

【大麻草の栽培の規制に関する法律2条2項】

この法律で「大麻」とは、大麻草(カンナビス・サティバ・リンネ)及びその製品をいう。ただし、大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く。)並びに大麻草の種子及びその製品を除く。

実際に大麻草を加工した製品としては、乾燥大麻・大麻樹脂などといった物があります。

3.大麻の危険性

大麻の薬理作用としては以下のものが挙げられます。

  1. 知覚機能への影響
    大麻を使用すると感覚が鈍くなったように感じ、物の細部がよく見え、音や色彩が鮮やかに感じられ、時間が遅く感じられたりします。また、使用時の状態によっては、不安感や恐怖に襲われパニック状態になることもあります。大量使用では、幻覚などを伴う精神病状態が現れることがあります。
  2. 短期記憶、学習機能への影響
    短期記憶を保持する海馬の機能が一時的に損なわれることで、学習能力に影響を及ぼします。とくに大量使用すると認知機能が著しく損なわれます。
  3. 運動機能への影響
    身体のバランスが取れなくなったり、資源に対する反応が遅れたりするので、機械の操作や車の運転、運動競技などに影響が現れます。大麻を使用して多幸感が消えた後も、8~12時間にわたって運動機能への影響は持続します。
  4. 身体的な影響
    大麻を喫煙することによって、心拍数が上昇したり、肺や呼吸器が損傷され、がんのリスクが高まると言われています。

4.大麻事件の刑罰について

大麻事件について、法律は以下のような刑罰を定めています。

  1. 大麻を所持・譲渡・譲り受けた場合
    →麻薬及び向精神薬取締法66条1項により、7年以下の懲役
  2. 営利の目的で、大麻を所持・譲渡・譲り受けた場合
    →麻薬及び向精神薬取締法66条2項により、1年以上10年以下の懲役に処し、又は情状により1年以上10年以下の懲役及び300万円以下の罰金
  3. 大麻を栽培した場合
    →大麻草の栽培の規制に関する法律24条1項により、1年以上10年以下の懲役
  4. 営利の目的で、大麻を栽培した場合
    →大麻草の栽培の規制に関する法律24条2項により、1年以上の有期懲役に処し、又は情状により1年以上の有期懲役及び500万円以下の罰金
  5. 大麻を輸入・輸出した場合
    →麻薬及び向精神薬取締法65条1項1号により、1年以上10年以下の懲役
  6. 営利の目的で、大麻を輸入・輸出した場合
    →麻薬及び向精神薬取締法65条2項により、1年以上の有期懲役に処し、又は情状により1年以上の有期懲役及び500万円以下の罰金

    ☆法改正に伴い、現在は大麻の「施用」についても処罰されるようになっています。罰則は7年以下の拘禁刑と定められています(麻薬及び向精神薬取締法66条の2第1項、同法27条1項)。

    5.大麻事件Q&A

    ①大麻事件の特徴はありますか?

    大麻は、覚せい剤にくらべ、末端価格が安く、比較的手を出しやすい薬物です。

    そのため、大麻事件で逮捕されるのは、比較的若年層が多くなっています。

    実際、2016年に京都で大麻を所持していたとして中学生が逮捕されるという事件がありました。

    大麻事件における量刑に影響を及ぼす事情としてはどのような事柄がありますか?

    同種前科の有無、量や常習性などの再販可能性の有無の他、監督者の存在や薬物犯罪を再びしないような環境が構築されているかが挙げられます。

    ~大麻事件に関する弁護活動~

    1 大麻事件で執行猶予

    初犯の事件の場合、再発防止策を講じることで執行猶予になる可能性はあります。しかし、繰り返し薬物犯罪を起こしている場合には、厳しい判決が予想されます。

    執行猶予判決の獲得へ向け、被疑者本人の真摯な反省や薬物依存症への治療、家族などの監督環境を整える等して、社会の中で更生するべきであることを説得的に主張していきます。一旦刑務所に入ってしまうと、刑期を終えた後の社会復帰に時間がかかることや、再就職が難しいなど不都合が生じます。実刑判決を避け、執行猶予を獲得したい場合には、すぐに弁護士へご相談ください。

    2.依頼者の方と相談しつつ、必要であれば矯正プログラムの検討とともに証拠提出の上、再犯防止に向けてサポート

    薬物事犯を起こした方には、再犯をされる方が多い傾向にあります。犯罪行為を辞めたいと思いながらも、自らをコントロールできずに繰り返してしまう方が多いです。このような場合には医療機関などの専門機関への受診と治療などを行い、根本からの改善を試みることもご提案いたします。

    3 大麻事件で事実を争う

    大麻事件は、故意犯です。そのため、犯行当時それが違法薬物であることの認識があったかどうかが重要なポイントになります。大麻などの薬物の存在に気づいていなかった・違法薬物であることを認識していなかった場合には,そのような事情を客観的な証拠に基づいて主張・立証します。こうした主張が認められた場合、大麻所持などの犯罪が成立しないとして不起訴処分や無罪判決を勝ち取ることができる可能性があります。不起訴処分を受けると、前科が付きませんので、早期に社会復帰することができます。

    大麻事件で逮捕・勾留されたらすぐに弁護士に相談してください。早期に弁護士に相談することで、事件の全体像を把握した上、適切な弁護方針を立て弁護活動を行います。

    4 大麻事件で身柄拘束を解く

    大麻事件の場合、逮捕から勾留、起訴、起訴後勾留と身柄拘束が長期化しやすいといえます。大麻の入手ルート、共犯者などについて証拠隠滅をしやすいことなどがその理由とされています。しかし、長期の身柄拘束は、その後の社会復帰にも悪影響を及ぼします。

    刑事事件の経験豊富な弁護士は、逮捕・勾留段階から不服申し立てを行い、また起訴後には、適宜保釈請求をするなど、早期に身柄拘束を解くための弁護活動を行います。

    大麻事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部へお問い合わせください。

    弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部では、刑事事件を専門的に取り扱う弁護士が、直接無料相談を行います。

    被疑者が逮捕された事件の場合、最短当日に、弁護士が直接本人のところへ接見に行く初回接見サービスもご提供しています。

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