妻が夫を刺殺して逮捕
妻が夫を刺したとして逮捕された事件がありました。
果物ナイフで刺され夫死亡、妻を殺人未遂容疑で逮捕
Yahoo!ニュース(TBS)
この事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
~殺人未遂罪での逮捕~
この事件は、夫婦で営んでいた製本業に関して口論となり、妻が夫の胸を果物ナイフで刺して死亡させたというものです。
取り調べに対し妻は、
「力や言葉では夫に勝てないので、刺すしかないと思った」
と供述しているとのことです。
被害者が死亡しているのに殺人罪ではなく殺人未遂罪で逮捕されているのは、現行犯逮捕した時点で夫が死亡していなかった、あるいは死亡が確認できていなかったからだと思われます。
今後の捜査は殺人の容疑で進められ、裁判でも殺人罪で審理がなされることが予想されます。
このように途中で容疑が変わるのはよくあることです。
~容疑を否認している~
逮捕された妻は、「殺そうとするつもりはありませんでした」と容疑を一部否認しているとのことです。
殺人罪は殺すつもりで犯行をしていないと成立しません。
「殺意」や「殺人の故意」がない場合は成立しないという言い方もできます。
もし殺意がなかった場合には、傷害致死罪が成立するにとどまります。
殺人罪は死刑、無期懲役、5年以上20年以下の懲役となります。
一方、傷害致死罪であれば3年以上20年以下の懲役となります。
死刑や無期懲役の可能性がなくなりますし、下限も2年短くなっています。
したがって殺意の有無は極めて重要な問題となります。
~殺意の有無の判断方法~
犯人自ら殺意があったと供述していれば、殺意があったと認められる可能性が高いでしょう。
ただ、殺意の有無は犯行時の内心のことですから、後から裁判で客観的に判断することは難しいところがあります。
そこで、外部から判断できる事情を総合的に考慮して、殺意があったかどうかが判断されます。
たとえば、犯行に使われた凶器が殺傷能力の高いもの(大きなナイフやピストルなど)であれば、命への危険性が高い行為をしていたわけですので、殺意が認められやすくなります。
今回の果物ナイフの大きさは報道からはわかりませんが、ある程度殺傷能力があるといえるでしょう。
また、刺した部位が命にかかわりやすい場所であれば、殺すつもりだったのだろうと判断されやすくなります。
今回は夫の胸を刺したとのことですので、殺意を認める根拠となる大きな事情と言えます。
また今回、妻は夫を何回刺したかはわかりませんが、仮に何回も刺していたのであれば、やはり殺すつもりだったのだろうと判断されやすくなります。
今後、殺人罪に問われるのか、はたまた傷害致死罪にとどまるのかは注目かもしれません。
~弁護士にご相談を~
殺人や傷害致死に問われる場合はもちろんですが、もっと軽い犯罪を含めて、あなたやご家族が逮捕されたり取調べを受けたという場合には、どんな犯罪が成立し、どれくらいの刑罰を受けるのかなど、不安な点が多いと思います。
事件の内容をお聴き取りし、今後の見通しをご説明致しますので、ぜひ一度ご相談いただければと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
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