過失運転致傷罪で逮捕2
~前回からの続き~
宮城県川崎町の国道で起きたタクシーや乗用車、バイク計4台が絡み計5人が負傷した交通事故で、宮城県大河原警察署に過失運転致傷罪の疑いで現行犯逮捕されたタクシー運転手Aさんは、Aさんの妻の依頼で来た刑事事件専門の弁護士の初回接見を受けています。
Aさんは、被害者と示談することで何とか刑事処分や量刑を軽くできないか、複数の被害者との示談交渉をおこなってもらえるのか、弁護士に尋ねました。
(フィクションです。)
~過失運転致傷罪~
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた場合には過失運転致死傷罪(「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(略称自動車運転死傷処罰法)」の第5条)が成立します。
起訴されて有罪となると、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処されます。
過失運転致死傷事件の刑事処分や量刑については、被疑者の被疑事実の認否、被疑者の自動車運転における注意義務違反(過失)の程度、被害者の人数と負傷の程度、任意の自動車保険の付保の有無や、示談成立の有無、保険金以外での謝罪金や寄付金の有無等によって、大きく異なります。
近年の交通事故の厳罰化により、被害者が死亡している事案や怪我の程度が重い事案については、たとえ初犯の場合であっても、執行猶予のつかない実刑判決を受ける可能性があります。
Aさんのように職業運転手である場合は、通常のドライバーに比べると重い注意義務が課せられていると考えられるが故に、過失の程度は相当重いと裁判で認定されてしまう傾向があります。
過失運転致傷罪の成立について争いがなく、刑事処分や量刑を軽くしたい場合は、被害者に対する謝罪と被害弁償に基づく示談を行い、被害者から許しを得る弁護活動が考えられます。
「被害弁償」とは、被害金額に相当するものをお支払いした場合や慰謝料相当額をお支払いした場合を指し、単に被害者の方が被った被害を埋めることを言います。
他方、「示談」とは、単に損害の填補にとどまらない効果を有します。
被害弁償に加え、告訴や被害届を取り下げてもらったり、被害者から処罰を望まないという宥恕の言葉をいただき、被害感情の慰謝を目的とする側面があります。
刑事処分は、被害者の処罰感情も参考にして決定されるため、示談締結によって刑事処分に対する被害者の意見をもらえることは刑事処分に大きく影響します。
そのため、被害者への被害弁償の際に、示談締結をすることが重要なこととなります。
交通事故事件の場合、保険会社が被害者と加害者の間に入って損害賠償(被害弁償)の交渉をしていることも少なくありません。
しかし、保険会社に任せきりにしていると、損害賠償(被害弁償)自体はできても、過失運転致傷事件の刑事処分や量刑を軽くする形での被害者対応ができていない場合もあります。
実際に弊所では、交通事故の被害者への対応を保険会社に任せきりにしていたところ、「謝罪の気持ちが感じられない」と被害者から言われて話がこじれてしまったため、被害者に謝罪と示談をしたい、という方からご依頼いただいたことがあります。
被害者対応を保険会社に任せきりにして大丈夫か不安になった場合は、一度弁護士に相談してみるとよいでしょう。
また、Aさんのケースの場合、被害者が複数存在します。
その場合、示談交渉を同時に何件も行わなければならず、迅速に示談を進める必要もあります。
被害者が複数名いる刑事事件では、たとえ一部の被害者としか示談成立ができなかったとしても、刑事処分や量刑を軽くする効果がないわけではありません。
一部の被害者との示談成立にとどまる場合でも、示談成立や被害者の方からの宥恕、被告人の具体的な運転の態様、過失の程度などから有利な事情を主張立証することによって、刑事処分や量刑を軽くすることを目指すのは可能です。
しかし、複数名いる被害者全員と示談を締結できていることによって、より刑事処分や量刑を軽くできる可能性が高まります。
被害者が複数いる刑事事件では、より複雑で困難な示談交渉になるため、刑事事件専門で示談交渉経験豊富な弁護士に相談・依頼することが望ましいでしょう。
過失運転致傷事件で逮捕されてお困りの場合は、弁護士法人あいち経緯事件総合法律事務所までご用命ください。
初回無料法律相談、初回接見サービスのご予約は、0120-631-881にて24時間受付しております。
(宮城県大河原警察署への初回接見費用:41,600円)