仙台市内のスーパーで不審火【放火・器物損壊】
2020年1月1日深夜、仙台市宮城野区にあるイオン仙台幸町店で、屋外の荷台に積んでいた商品が燃えるという事件がありました。
YAHOOニュース(TBC東北放送提供)
仙台市内のスーパーマーケットで不審火
これが過失による火事(失火)ではなく、誰かが火をつけたものだった場合、いったいどんな罪が成立するのか、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
~現住建造物等放火罪は成立するか~
まず成立が考えられる犯罪としては、現住建造物等放火罪や、その未遂罪があげられます。
条文を見てみましょう。
刑法第108条
放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。
第112条
第百八条及び第百九条第一項の罪の未遂は、罰する。
当時、スーパーの店内には従業員がいたようですから、スーパーの建物は「現に人がいる建造物」にあたります。
しかし、今回は商品が燃えただけで、建物自体には燃え移っていないので、現住建造物等放火罪は成立しません。
ところが、現住建造物等放火未遂罪が成立する可能性はあります。
未遂罪は、建物まで燃え移る危険があったが、実際には燃えなかったような場合に成立します。
燃えた商品が建物から近い位置にあったのであれば、燃え移った危険性もあったと判断され、未遂罪が成立する可能性があります。
~建造物等以外放火罪は?~
仮に、建物に燃え移る危険性は低く、現住建造物等放火未遂罪も成立しないという場合でも、消火にあたった従業員などに危険が生じたなどの理由で、建造物等以外放火罪が成立する可能性もあります。
第110条1項
放火して、前二条に規定する物以外の物を焼損し、よって公共の危険を生じさせた者は、一年以上十年以下の懲役に処する。
「前二条に規定する物以外の物を焼損し」とは、建物以外の物を燃やしたという意味です。
今回は燃えた商品は建物以外の物ですので、これに当てはまります。
次に、「よって公共の危険を生じさせた」とは、人の生命・身体・財産に対する危険を生じさせることを言います。
従業員の身体などに危険が生じていれば、「よって公共の危険を生じさせた」と言えます。
よって、建造物等以外放火罪が成立しうるわけです。
~火の勢いが弱ければ器物損壊罪~
火の勢いが弱く、容易に消すことができ、建物や従業員の身体への危険もほぼなかったと言えるような場合は、器物損壊罪が成立するにとどまるでしょう。
第261条
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。
商品を叩き壊したような場合に器物損壊罪が成立するというのはわかりやすいと思います。
燃やしたという場合も、手段として火を使ったという違いこそあれ、物を使えない状態にしたという点は同じなので、器物損壊罪が成立する可能性があるのです。
~犯罪をしてしまったら弁護士に相談を~
犯罪をしてしまった場合、罰則を受けるなどの責任をしっかりとる必要があります。
しかし、やっていない犯罪について責任を取らされたり、長すぎる懲役刑となりかえって更生や社会復帰の足かせとなるようなことがないよう、弁護士の力を借りる必要があるでしょう。
また、ご家族の方にとっても、今後どうなってしまうのか不安な点が多いと思います。
ご自身やご家族が逮捕された、取調べを受けることになった、まだ発覚していないが犯罪をしてしまったといった場合には、ぜひ一度弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などから初回接見のご依頼をいただければ、拘束されている警察署等にて、ご本人に面会(接見)し、事件の内容を聴き取った上で、今後の見通しなどをご説明致します。
接見後には、接見の内容などをご家族にお伝え致しますので、それを聞いていただいた上で、正式に弁護活動を依頼するかどうかを決めていただけます。
また、逮捕されていない場合やすでに釈放された場合には、事務所での法律相談を初回無料で行っております。
逮捕されると一気に手続きが進んでいきますので、お早めにご連絡ください。
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