青少年深夜連れ出しで検挙
30代男性Aさんは,援助交際する目的で出会い系サイトを通じて15歳のVさんと出会い,深夜午前1時に宮城県丸森町内のコンビニエンスストアで待ち合わせして合流しました。
Vさんを乗せてAさんが車を運転していたところ、宮城県角田警察署の警察官から職務質問を受けて、18歳未満のVさんを深夜連れ出し同伴した容疑で宮城県青少年健全育成条例違反(深夜同伴の罪)として検挙されました。
宮城県角田警察署からの取調べを控えているAさんは、刑事事件に強い弁護士に無料法律相談を申し込みました。
(フィクションです。)
~青少年深夜連れ出しによる刑事処罰とは~
青少年深夜連れ出し事件においては、各都道府県の制定する青少年健全育成条例や、刑法の「未成年者略取誘拐罪」が成立するおそれが考えられます。
宮城県においては、青少年の深夜連れ出し等の禁止について宮城県青少年健全育成条例で以下のように規定しています。
【宮城県青少年健全育成条例 第36条2項 (深夜外出の制限)】
何人も、保護者の委託を受けないで、又は同意を得ないで前項に規定する時間中に青少年を連れ出し、同伴し、又はとどめてはならない。ただし、正当な理由がある場合は、この限りでない。
上記の条文中の「青少年」とは「6歳以上18歳未満の者(婚姻により成年に達したものとみなされる者を 除く。)のことをいいます。
「前項に規定する時間」とは午後11時~翌日午前4時の時間帯をいいます。
「正当な理由がある場合」とは,本人又は保護者の急な病気や事故等により保護者に確認することが不可能な場合,青少年が親の虐待を受けており直ちに保護の必要がある場合、事件や事故等に遭遇した青少年を助ける等偶発的な理由により結果として同伴することになった場合等が挙げられます。
同伴とは青少年と同一の行動を取っていることをいいます。
上記の条文に違反して、保護者の委託を受けないで、又は同意を得ないで6歳以上18歳未満の者を午後11時~翌日午前4時に連れ出し、同伴し、又はとどめた者は、宮城県であれば「10万円以下の罰金又は科料」という刑事処罰を受けます。
なお、36条1項は保護者に対して,「保護者は,特別の事情がある場合のほか、午後十一時から午前四時までの間 青少年を外出させないように努めなければならない。」と規定していますが、深夜に青少年を外出させないよう努力義務を定めたもので,罰則はありません。
青少年の深夜外出が制限された理由は,青少年を援助交際などの児童買春,児童ポルノ,淫行などの犯罪から守り,青少年の健全な育成を図るためです。
「10万円以下の罰金又は科料」という罰則ですので、罰則自体は,他の犯罪と比べたら比較的軽微ですが,発覚すれば逮捕・勾留されるおそれはもちろんあります。
今回の事例のVさんは15歳ですので、宮城県青少年健全育成条例の青少年に該当し,Aさんの連れ出し行為は36条2項に該当する可能性が高そうです。
なお、暴行・脅迫や欺罔・誘惑を手段として、未成年者を連れ出した場合には、「未成年者略取略取罪」か「未成年者誘拐罪」が成立する可能性があります。
刑事罰はいずれも「3月以上7年以下の懲役」という法定刑です。
また、青少年との性行為や性交類似行為があった場合には、宮城県青少年健全育成条例違反(みだらな性行為又はわいせつな行為の禁止)に当たるとして、「2年以下の懲役又は100万円以下の罰金」という刑事処罰を受ける可能性があります。
対償を供与し、又はその供与の約束をして、18歳未満の児童に対し、性交等をした場合は、児童買春の罪として「5年以下の懲役又は300万円以下の罰金」という刑事処罰を受ける可能性があります。
青少年深夜連れ出し事件で検挙された場合、検挙前に当該青少年・児童と淫行,児童買春をしているケースがあります。
その場合、青少年深夜連れ出し事件の検挙がきっかけで,淫行・児童買春等他の罪の立件,逮捕につながることがあります。
余罪捜査で,児童買春,児童ポルノ,淫行等他の罪にあたる事実が発覚すれば逮捕,勾留されるおそれが高まるので注意が必要です。
青少年深夜連れ出しに関する罰則は軽微ですが、児童買春,児童ポルノ,淫行の罪の発覚のきっかけとなりかねません。
不安な場合は、軽い犯罪だと思って甘くみずに刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士に一度ご相談されることをご検討ください。
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(宮城県角田警察署への初回接見費用:44,200円)