宮城県登米市の刑事事件で逮捕 被害者の同意があっても未成年者誘拐罪に?
20代男性Aさんは、宮城県登米市在住の家出中の15歳の女子中学生Vさんを誘拐したなどとして、未成年者誘拐罪の容疑で宮城県警察佐沼警察署に逮捕されました。
Aさんは、家出していた女子中学生が数日泊めてほしいと言ったため、Aさんを3日間家に泊めたのちに解放しました。
無断外泊が続いたことを心配したVさんの両親が、宮城県警察佐沼警察署に捜索願を出したことから、Vさんの行方が捜索されていました。
(フィクションです)
~未成年者誘拐罪と未成年者の同意~
未成年者を誘拐した場合に成立する犯罪を「未成年者誘拐罪」といいます。
「誘拐」とは、欺罔又は誘惑を手段として、他人を従来の生活環境から離脱させ、自己又は第三者の事実的な支配下に置くことを意味します。
「欺罔」は、虚偽の事実で人を錯誤に陥れることを意味します。
「誘惑」は、欺罔の程度には至らないものの、甘言によって人を惑わし判断を誤らせることを意味します。
しかし、ここまでお読みの方の中には、未成年者が同意していたのであれば未成年者誘拐罪にならないんじゃないかと疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。
判例(大判明43・9・30)では、未成年者誘拐罪の保護法益は、被拐取者の事由、及び被拐取者が要保護状態にある場合は親権者等の保護監督権を含むとする立場をとっています。
そのため、未成年者を誘拐する際に未成年者の同意があった場合でも、その親権者等が同意していない場合には未成年者誘拐罪が成立する可能性があるのです。
未成年者誘拐罪の法定刑は、3か月以上7年以下の懲役となっており、正式裁判となって有罪の場合には、執行猶予付き判決か実刑判決のどちらかが言い渡されることになります。
しかし、未成年者誘拐罪は親告罪であるため、被害者等の告訴がない場合は不起訴処分となります。
事件を認めている場合の弁護活動としては、被害者の保護者と示談をすることで告訴を取下げてもらう方法が重要となります。
ただし、未成年者誘拐罪においては、加害者が直接被害者の親権者等と示談交渉することはお勧めできません。
加害者が被害者の親権者等の連絡先を知らない場合は、そもそも連絡を取ることが難しいことに加えて、被害者の親権者等は加害者に対して強い憤りを感じている事が多いため、当事者同士で示談交渉をすることは被害者の親権者等の処罰感情をかえって強めることにもなりかねないためです。
示談交渉には、第三者であり法律の専門家である弁護士が介入し、被害者の親権者等の気持ちに配慮しつつ、交渉を進めていくことが有効です。
宮城県登米市の未成年者誘拐事件などの親告罪の事件で被害者と示談をしたいとお困りの場合は、数多くの示談をまとめ上げてきた刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
(宮城県警察佐沼警察署への初回接見費用:フリーダイヤル0120-631-881までお気軽にお問い合わせください。)