SNSの普及による侮辱罪の厳罰化

名誉に対する罪の刑事事件の手続と刑事責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【刑事事件例】

宮城県黒川郡在住のAさんは、旧友と飲み会をしていました。
そこでAさんは、昔仲の悪かったVさんが結婚したことを知りました。
その後、帰宅したAさんはSNSを開くと、自身のアカウントでVさんのことを「カス」等と呼称して、「結婚できたことが不思議でならない。」といった言葉を書き込み、投稿しました。
後日Aさんの自宅に、侮辱罪のことで話を聞かせてもらうという旨で、泉警察署の警察官が訪れました。

(この刑事事件例はフィクションです。)

【侮辱罪について】

上記の刑事事件例で、Aさんは侮辱罪の疑いがかけられています。
侮辱罪について、刑法231条は「事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。」と定めています。

刑法 第231条(侮辱)
事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、一年以下の懲役若しくは禁錮若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

公然とは不特定または多人数が知ることのできる状態のことを言います。
また、他の人の電波によって不特定多数が認識しうる可能性があれば、聞き手側が少人数であっても公然性が認められるとされています。

ここでいう侮辱とは、具体的な事実ではなく、抽象的な評価を表示する動作、態度で実行されたものを指します

刑事事件例でAさんは、不特定多数が認識しうる可能性が極めて高いSNS上で、Vさんのことを具体的な事実ではない言葉で侮辱しているため、侮辱罪が成立するでしょう。

【侮辱罪の法定刑引き上げ】

令和4年の6月13日に、「刑法等の一部を改正する法律」(令和4年法律第67号)が成立し、侮辱罪の法定刑の引上げが令和4年7月7日に施行されました。
改定前の条文は「事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留または科料に処する。」との記載でした。
拘留とは30日未満の身体拘束であり、科料は1万円以下を払わせる財産刑です。

比較的軽微であった侮辱罪の法定刑の引き上げは、昨今のインターネット上に書き込まれる誹謗中傷が、社会問題となっていることがその背景にあります。
そのような誹謗中傷を抑止するための対処が、侮辱罪の厳罰化です。
最大で1年の懲役または30万円の罰金は、決して軽いものではありません。

侮辱事件を起こしてしまった場合に刑事処罰を回避するための手段の1つは、被害者との示談交渉です。
侮辱罪は親告罪(刑法232条1項)であるため、被害者が被疑者に刑事処罰を求める意思がなければ、処罰されることはありません
そのため示談を締結して、告訴の回避もしくは告訴の取り下げなどで、不起訴処分を目指していくことが重要です。

ですが被害者は精神的なダメージを受けたことで、被疑者に対して強い処罰感情を抱いていることがほとんどです。
そのため示談交渉を進めるためには弁護士の存在は必須と言えます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、侮辱罪をはじめとする様々な刑事事件を専門に扱う弁護士事務所です。

弊所の法律相談は初回無料で実施しており、お申し込みは24時間体制で受け付けております。

侮辱罪などの刑事事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所ご連絡ください。

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