宮城県での脅迫で逮捕
脅迫罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
宮城県仙台市に住むAさん。
ご当地アイドルとして活動する女性に対し、SNSのダイレクトメッセージで好意を伝え、プライベートで会いたい旨のメッセージを送るという行為を繰り返していました。
女性は無視していましたが、Aさんは、
「なんで返信くれないんだ」
「俺のこと嫌いなのか」
などと送るようになり、しまいには、
「俺を無視するならアイドルとして活動できなくしてやるぞ」
「家はわかってるんだ」
「ナイフ持っていくぞ」
などとメッセージを送りました。
女性が仙台北警察署に被害届を提出したことから、Aさんは脅迫の容疑で逮捕されました。
(フィクションです)
~アイドルへの脅迫~
近年、アイドルとファンの距離が近くなったことからなのか、アイドルと適切な距離感を維持することができなくなるファンもいるようです。
アイドルとファンとのトラブルといえば、元NGT48の山口真帆さんの事件が記憶に新しいですが、最近も同じくNGT48の加藤美南さんへの脅迫で逮捕者が出ましたし、秋葉原でアイドル活動をしていた女性が刃物で刺された事件もありあした。
本事例のAさんの場合も、まずは脅迫罪が成立する可能性があります。
刑法第222条1項
生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
「ナイフ持っていくぞ」などの発言が、「生命、身体…に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した」に該当する可能性が高いわけです。
また、プライベートで会いたい旨を繰り返し迫っていたことから、強要未遂罪が成立する可能性もあります。
第223条1項
生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。
第2項 省略
第3項 前二項の罪の未遂は、罰する。
Aさんの一連の発言が、「生命、身体…に対し害を加える旨を告知して脅迫し」、プライベートで会うという「義務のないことを行わせ」ようとしたとして、223条3項の強要未遂罪が成立する可能性があるわけです。
また、Aさんの行為によりアイドル活動に制限が出る可能性もあることから、234条の威力業務妨害罪が成立する可能性もあります。
第233条
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第234条
威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。
さらには、ストーカー規制法にも違反する可能性があります。
すなわちAさんの行為は、同法2条1項2号の「その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと」、同3号の「面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求すること。」、同4号の「著しく粗野又は乱暴な言動をすること。」に該当する可能性があります。
そうすると、警察から警告を受けたり(4条)、公安委員会から禁止命令を受ける可能性がありますし(5条)、場合によっては即、刑罰の対象となる可能性もあります(18条・19条)。
ストーカー規制法について詳しくはこちらをご覧ください。
https://sendai-keijibengosi.com/sutokakoui_houritu/
~今後の刑事手続~
逮捕されると、最初に最大3日間、警察署等で身体拘束され、取調べ等の捜査を受けます。
そして逃亡や罪証隠滅のおそれがあるなどとして検察官が勾留(こうりゅう)を請求し、裁判官が許可すれば、さらに10日間の身体拘束がされる可能性があります。
この勾留期間はさらに10日間延長されることもあります。
弁護士としては、まずは勾留請求や勾留決定を防ぎ、早期に釈放されるよう、逃亡や証拠隠滅のおそれがないといえる理由をまとめた意見書を検察官や裁判官に提出するなどの活動を行います。
釈放されれば、自宅から警察署や検察庁に出向いて取調べを受けるという流れになるでしょう。
その後、検察官が被疑者を刑事裁判にかけると判断(起訴)すれば、刑事裁判がスタートします。
そして裁判で無罪や執行猶予とならない限り、刑罰を受けることになります。
事件によっては、検察官が不起訴処分として前科も付かずに手続が終わる場合があります。
また、起訴するとしても、簡易な手続で罰金刑にする略式起訴とする場合もあります。
弁護士としては、被害者と示談を締結するなどして、少しでも軽い処分となるように活動していきます。
~一度ご相談ください~
逮捕されると、ご本人やご家族としては、どのような罪が成立するのか、どのくらいの刑罰を受けるのか、今後の刑事手続きはどうなるのか、取調べにはどのように受け答えしたらよいのかなど、不安点が多いと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
仮に逮捕されていない場合には、事務所での法律相談を初回無料で行っております。
接見や法律相談では、上記の不安点などにお答えいたします。
脅迫罪などで逮捕された、取調べを受けたといった場合には、ぜひ一度ご相談ください。