教員によるわいせつ行為
教員わいせつ、再犯防げず 18年度最多282人 処分歴の共有に「穴」
毎日新聞
この記事について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説いたします。
~過去最多を記録~
この記事では、公立学校の教師がわいせつ行為などにより処分された件数(2018年)が、過去最多になったことが紹介されています。
発覚すると懲戒免職になることは覚悟しなければなりません。
しかし、教員を採用する際、他の自治体で教員をしていた時の処分歴があるかどうかを正確に把握することが難しく、教員として再任用されるケースもあるとのことです。
教員が生徒にわいせつ行為をした場合、どのような犯罪が成立するか見ていきましょう。
【強制わいせつ罪】
刑法176条
十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
強制わいせつ罪は、よく耳にする犯罪だと思います。
被害者が13歳以上の場合は、強い暴行・脅迫がなければ成立しない犯罪です。
しかし被害者が13歳未満の場合には、暴行・脅迫がなくても、わいせつな行為さえすれば成立します。
【強制性交等罪】
第177条
十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
レイプまでしてしまった場合には、強制性交等罪が成立します。
強制わいせつ罪と同じく、被害者が13歳未満の場合には、暴行や脅迫を使わなくても犯罪が成立してしまいます。
【青少年健全育成条例違反】
生徒・児童の同意があったとしても、わいせつな行為をした場合には青少年健全育成条例に違反する可能性があります。
宮城県・青少年健全育成条例
第31条1項
何人も、青少年に対しみだらな性行為又はわいせつな行為をしてはならない。
第41条1項
第三十一条第一項の規定に違反して、青少年に対しみだらな性行為又はわいせつな行為をした者は、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
【児童ポルノ禁止法違反】
わいせつ行為をしている場面を撮影したり、児童にわいせつ画像を送らせると、児童ポルノ禁止法に違反し、3年以下の懲役または300万円以下の罰金となることもあります。
送るよう要求した時点で、宮城県の青少年健全育成条例により30万円以下の罰金または科料になるおそれもあります。
【迷惑行為防止条例違反】
学校内で、生徒・児童の下着や着替えの様子、トイレなどを盗撮した場合には、迷惑行為防止条例違反になる可能性があります。
宮城県・迷惑行為防止条例違反
第3条の2第3項
何人も、正当な理由がないのに、住居、浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所で当該状態にある人を撮影し、又は撮影する目的で写真機等を向け、若しくは設置してはならない。
第4項
何人も、正当な理由がないのに、集会場、事務所、教室その他の特定かつ多数の者が利用するような場所において、人の下着等を撮影してはならない。
罰則は、撮影に成功してしまった場合、盗撮の非常習者は1年以下の懲役または100万円以下の罰金、盗撮の前科があるなど常習者として扱われると2年以下の懲役または100万円以下の罰金となります。
~ご相談ください~
リンクした記事によると、教師がわいせつ行為で検挙される確率は、日本全体に比べると1.5倍近くあるようです。
教師は人格的にわいせつ行為をしやすいということではなく、閉鎖された環境下で教師と児童の支配関係があるという状況自体によって、わいせつ行為が増えていると分析されています。
もし、あなたやご家族が性犯罪など何らかの罪を犯して逮捕されたり、取調べを受けたといった場合には、今後どうなってしまうのか不安だと思いますので、弁護士にご相談いただければと思います。
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