示談強要で逮捕

示談強要で逮捕

宮城県仙台市に住むAさん。
先日、傷害事件を起こし、逮捕こそされなかったものの、警察や検察の捜査を受けています。
取調べの際、被害者と示談を締結すれば不起訴処分もありうる旨を言われたことから、被害者のVさんに会うことにしました。
AさんはVさんに対し示談締結をお願いしましたが、いまいちAさんに反省態度が見えないことから、Vさんは拒否しました。
するとAさんは、
「被害者だからと言って大きな態度とるなよ。突っぱねたらまた痛い目にあうぞ。示談書にハンコを付け」
などと言いました。
怖くなったVさんは、示談書にハンコを押しましたが、Aさんが帰った後に警察に連絡し、Aさんは仙台中央警察署の警察官によって逮捕されました。
(フィクションです)

~示談の重要性~

犯罪を行ってしまった時に、すみやかに被害者に弁償をし、示談を締結することはとても重要です。

刑事事件では、検察官が被疑者を裁判にかけるか(起訴)、かけないか(不起訴)を判断します。
比較的軽い事件では、被疑者の反省態度や示談締結の有無なども考慮した上で、不起訴処分としたり、簡易な手続で罰金刑にする略式起訴を選択することもありえます。

起訴されても、示談が締結されていれば、罰金や執行猶予など、軽めの判決がなされる可能性が上がります。

しかし、被害者は加害者に恐怖心を持っていることも多く(特に性犯罪など)、会ってくれないことも多いです。
会ってくれたとしても、謝罪の意思を伝えた上で、適切な内容の示談書を作成し、適切な金額を賠償して示談することは難しいこともあります。
場合によっては、被害者をさらに脅してしまい、新たな犯罪が成立してしまうこともあります。

~成立する犯罪~

Aさんの行為には、強要罪強談威迫罪(ごうだんいはくざい)が成立する可能性があります。

まずは強要罪の条文から。

刑法第223条1項
生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。

本ケースでは、傷害罪を起こしたAさんが「突っぱねたらまた痛い目にあうぞ」などと言って、本来Vさんの自由意志で決められるはずの示談締結をさせています。
したがって、「身体…に対し害を加える旨を告知して脅迫し…人に義務のないことを行わせ」たとして、強要罪が成立するでしょう。

次に、強談威迫罪の条文を見てみましょう。

第105条の2
自己若しくは他人の刑事事件の捜査若しくは審判に必要な知識を有すると認められる者又はその親族に対し、当該事件に関して、正当な理由がないのに面会を強請し、又は強談威迫の行為をした者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

Vさんは、Aさんの傷害事件の被害者なので、Aさんにとって「自己…の刑事事件の捜査若しくは審判に必要な知識を有すると認められる者」に当たります。

そして「強談」とは、言葉を使って無理やり自己の要求に応ずるよう迫る行為をいいます。
また「威迫」とは、言語・動作・態度で気勢を示し、相手に不安・困惑を生じさせる行為をいいます。
Aさんが強い言葉で示談を迫った行為は、強談及び威迫に該当するでしょう。
したがって強談威迫罪も成立するでしょう。

なお、1つの行為に2つの犯罪が成立する場合、重い方の罪の法定刑の範囲内で刑罰が決められるので、今回は強要罪の法定刑(3年以下の懲役)の範囲内で刑罰が決まります。

第54条1項
一個の行為が二個以上の罪名に触れ、又は犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する。

~弁護士にご相談を~

逮捕されたAさんに対しては、下記ページ記載の刑事手続が進んでいきます。

刑事事件の流れ
https://sendai-keijibengosi.com/keijijikennonagare/

逮捕されるとご本人やご家族は、どんな罪が成立するのか、刑事手続はどのように進んでいくのか、取調べにはどう受け答えしたらいいのか等々、不安点が多いと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
また、既に釈放されている場合は、事務所での法律相談を初回無料で受けていただけます。
接見や法律相談では、上記の不安点などにお答えいたします。

強要罪強談威迫罪などで逮捕された、捜査を受けているといった場合、あるいは犯罪をしてしまい被害者と示談したいといった場合には、ぜひ一度ご相談ください。

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