いざこざで傷害事件に発展
宮城県仙台市青葉区の傷害事件について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
刑事事件例
Aさんは仙台市青葉区にある大学に通う大学三年生で,いつも同じ学部のVさんと行動を共にしていました。
ある日ささいなことがきっかけで,AさんとVさんは口論になってしまい,頭に血が上ったAさんはVさんを殴ってしまい,殴られたVさんは顔に全治二週間の傷を負いました。
殴ったAさんは周りにいた友人らに取り押さえられ,駆け付けた仙台中央警察署の警察官によって逮捕されました。
(この刑事事件例はフィクションです)
【傷害罪について】
今回の刑事事件例では傷害罪が適用される可能性が高いです。傷害罪と似たものに暴行罪があります。傷害罪と暴行罪の違いについても触れながら,今回の事件例について以下で解説していきます。
暴行罪
刑法208条
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処す。
傷害罪
刑法204条
人の身体を傷害した者は,十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金若しくは科料に処する。
傷害罪が成立するためには①暴行の事実②暴行の故意③相手への傷害④暴行と傷害の関係が必要となってきます。
傷害罪の成立要件についてそれぞれ説明します。
①の暴行の事実について
刑法では暴行について暴行罪の項目において,「人の身体に対して向けられた不法な有形力の行使」と定めています。これは殴る蹴るといった直接身体接触をする行使を始め,着ている衣服を引っ張る,耳元で不快な音を鳴らすといった直接身体接触をしないものも該当します。
②の暴行の故意について
故意に関しては自分のしたことが暴力行為であるとの認識さえあれば成立し,その結果が相手にどのような影響をあたえるかといった認識は必要ありません。
③の相手への傷害について
傷害とは「人の生理的機能を害すること」と解されるため,今回の件では実際に暴力によって怪我を負わせていますが,嫌がらせなどによって精神的苦痛を与えた場合や病毒によって病気に感染させた場合にも傷害として解されます。
④暴行と傷害の関係について
この項目が一番重要となってきます。暴行を加えたものの被害が及ばなかった場合,また負っている怪我が暴行と無関係の場合は暴行罪が適用される可能性が高く,実際に暴行によって怪我を負うなどといった被害が及んだ場合には傷害罪が適用される場合が高いと判断できます。
これらの要件を踏まえてもう一度刑事事件例を見てみると,AさんはVさんに向けて口論によって頭に血が上ったことによって殴り,それによってVさんは全治二週間の怪我を負っています。「暴行の事実」・「暴行の故意」・「相手への傷害」・「暴行と傷害の関係」とすべての成立要件を満たすので,今回の刑事事件例ではAさんは傷害罪となる可能性が高いです。もしもVさんが怪我を負わなかった場合は,Aさんは暴行罪となる可能性が高いです。
また傷害の程度が怪我だけにとどまらず,暴行をした相手が死亡してしまった場合は,より重い罪である傷害致死罪となります。
傷害罪では罰金刑が定められているものの,事件の状況次第によっては相手方との示談等も進めることができず,15年以下ではあるものの懲役刑を言い渡される可能性があります。
事態を有利に進めていくためには,傷害事件を始め刑事事件に精通した弁護士を雇うことが必要不可欠です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は,刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
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