外国人の売春防止法違反(周旋)
仙台市青葉区のX国籍のAさんは、風俗店を持たず、風俗嬢を派遣する事業形態であるデリバリーヘルス(通称デリヘル)を経営しており、オプションとして本番行為ありのサービスを打ち出して、売春を行った従業員から売春の利益の一部を受け取っていました。
Aさんは、従業員に売春の客を周旋していたとして売春防止法違反の疑いで宮城県仙台中央警察署に逮捕されました。
Aさんと同じくX国籍を有するAの夫は、Aの日本語があまり流暢ではないことを心配しており、今後もAさんとともに日本で生活を送るためにはどうしたらよいか、刑事事件専門の弁護士に相談をすることにしました。
(フィクションです。)
~売春防止法違反~
売春防止法は、売春をすること、及び、その相手方となることを禁止しています(売春防止法第3条)。
「売春」とは、対償を受け、又は受ける約束で、不特定の相手と性交することをいいます。
売春をする事も買春をする事も違法な行為となります。
しかし、単なる売春・買春を行うことに対する罰則は定められていないため、刑罰が科されることはありません。
その理由は、売春に陥った者は、刑事罰よりも福祉の救済を必要とする者であるという観点で本法が立法されていること、判断能力を十分に備えた者の性に関する行為はあえて刑罰の対象としなくてよいと考えられることなどが言われています。
売春防止法において、処罰対象となる行為には、売春を助長する行為等です。
・公衆の目に触れる方法での売春勧誘
・売春の周旋
・困惑等により売春をさせる行為やそれによる対償の収受
・売春をさせる目的での利益供与
・人に売春をさせることを内容とする契約を結ぶ行為
・売春を行う場所の提供
・人を自己の管理下において売春をさせることを業とする行為
・売春場所の提供を業とすること
・管理売春業のために資金等を提供する行為
などがあります。
今回の事例で、Aさんが疑われている売春の周旋は、同法6条で禁止されています。
「周旋」とは、仲立ちをして取り持つこと、間に入ってやり取りをスムーズにさせることを言います。
今回の場合、売春をする人と買春をする人の間を取り持つことを言います。
売春防止法に違反して売春の周旋を行うと、2年以下の懲役又は5万円以下の罰金となります(売春防止法6条1項)。
~外国人による刑事事件~
今回の事例のAさんは、X国籍をもつ外国人です。
逮捕された方が外国人であっても、刑事手続きは日本人に対するものと同様に進められます。
日本の刑事手続はすべて日本語で行われるため、外国人が逮捕されて取調べを受ける場合、大きな問題となるのが言葉です。
日本語がある程度話せる方ならそれほど問題にはなりませんが、今回の事例のAさんの夫は、Aさんの日本語があまり流暢ではないことを心配しています。
警察官や検察官の取調べにおいては、捜査機関の付した通訳もしくは通訳なしで進められます。
通訳が付されたとしても、捜査機関が付した通訳では公平な立場から通訳がされている保証はありません。
被疑者が手続きを理解するためや取調べにあたって、通訳が適切になされることは非常に重要であり、一言一句毎に正確に通訳される必要があります。
正確に通訳されなければ、被疑者の主張が正しく伝えられないことになってしまいます。
そもそも、外国人に限らず、ほとんどの方にとって、逮捕されて取調べを受けることはなかなか経験することではありません。
まして外国人の場合、母国と日本の文化や刑事手続きの違いに戸惑うことも多いでしょう。
言葉の問題以外にも、外国人の刑事事件の場合、在留資格や退去強制が問題となります。
刑罰法令違反により一定以上の有罪判決を受けた場合、退去強制手続に付され、いわゆる強制送還されることとなる可能性があります。
外国人事件で有罪判決が見込まれる場合で、かつ、事件後も日本での生活を望んでいる場合には、この退去強制手続に付されるか否か、在留資格の更新ができるかが非常に重大な問題となります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、日本語でのコミュニケ―ションに不安がある方に対して、通訳人を手配して通訳をお付けすることが可能です。
初回接見をご依頼いただいた場合、弁護士が通訳人とともに逮捕された方のもとへと接見に伺うことも可能です。
逮捕されている方が外国人の場合でも、まずはフリーダイヤル0120-631-881までお問い合わせください。
(宮城県仙台中央警察署への初回接見費用:34,100円)