Archive for the ‘性犯罪’ Category

少年の在宅事件における弁護活動

2020-06-05

少年在宅事件における弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

~事例~
宮城県登米市に住む中学生のAくん(14歳)は、市内の商業施設で盗撮をしたとして、宮城県佐沼警察署から出頭要請を受けています。
AくんとAくんの両親は、今後の流れや取調べでどのように答えればよいのかわからず、不安で仕方ありません。
警察署に出頭する前に、少年事件専門弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)

少年の在宅事件における弁護活動

あなたが何らかの罪を犯したとしましょう。
事件が捜査機関に発覚し、どうやらあなたが行ったと疑うに足りる証拠も出てきました。
捜査機関は、あなたを刑事事件の被疑者として取調べるようになります。
捜査を行うにあたって、あなたが逃亡したり、証拠を隠滅してしまうようなおそれがあると判断される場合には、捜査機関はあなたを逮捕することがあります。
しかし、逮捕の理由も必要性もないのであれば、捜査機関はあなたの身柄を拘束しないまま事件の捜査を続けます。
被疑者の身柄を拘束しないまま行う捜査を「在宅捜査」、在宅捜査となる事件を「在宅事件」と呼びます。

被疑者が少年であっても、成人の場合と同様に、逮捕されることもありますし、在宅事件となることもあります。

身柄が拘束されていない在宅事件といえども、捜査機関による取調べなどの捜査は行われます。
在宅事件の場合、身柄が拘束されていないことや、捜査の進みが身柄事件よりも遅いこともあり、少年も保護者も事の重大さを実感していないことも少なくありません。
しかし、捜査機関による違法・不当な取調べや、自己に不利な供述をしてしまうおそれもあります。
また、少年事件は、原則すべての事件が家庭裁判所に送致されますので、捜査段階から環境調整を行う必要性もあります。

1.取調べ対応

少年であっても、被疑者として捜査機関から取調べを受けることになります。
そのため、黙秘権をはじめとする権利や供述調書の意味について、少年や保護者もしっかりと理解する必要があります。
例えば、作成された供述調書の内容を確認し、少年の供述内容と異なる供述調書が作成されていた場合には、署名押印を拒否すべきです。
基本的には、素直に取調べに応じるのが良いのですが、少年の意思に反した供述がとられることのないよう留意しなければなりません。
また、違法・不当な取調べを受けた場合には、捜査機関に対して毅然として争う必要があります。

2.逮捕の回避

出頭要請に応じていた場合でも、捜査の進展や取調べの状況などによって捜査機関が逮捕に踏み切ることもあります。
身体拘束によって少年が被る不利益は小さくありません。
逮捕の可能性が考えられる場合には、捜査機関に対して、逮捕の必要性がないことを説得的に主張し、逮捕の回避に努めなければなりません。

3.被害者対応

成人の刑事事件では、被害者への被害弁償や示談が成立している場合には、起訴猶予で事件が終了するということがあります。
しかし、少年事件では、そのような効果はなく、被害者対応をしている場合でも、捜査終了後には家庭裁判所に送致されます。
だからといって、被害者対応が少年事件において何の効果もないのかと言えばそうではありません。
近年、少年審判でも被害者の意向が重視される傾向にあります。
被害者への対応を行う中で、少年が如何に事件と向き合い、被害者の気持ちを理解しようと努めたのかといった点で重要であり、少年審判の審理対象でもある要保護性の解消との関係で重視されるのです。
ですので、捜査段階から、被害者対応に着手することが求められます。

4.環境調整活動

環境調整は、少年がきちんと更生することができるように少年の周囲の環境を整えることです。
環境調整は、少年審判で審理される要保護性の解消にも重要な役割を果たします。
少年の内省を促すことの他、被害者対応や家庭環境・学校環境の調整、交友関係の見直しなど行うことは多岐に渡ります。
家庭裁判所に送致された後からでは環境調整を行う十分な時間がないこともありますので、捜査段階から着手し、じっくり丁寧に環境調整活動を行うことは望ましいでしょう。

以上のような活動を、少年や保護者だけで行うことはそう容易なことではありません。
少年事件での対応にお困りであれば、少年事件に精通する弁護士にぜひご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
無料法律相談初回接見サービスに関するお問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までお気軽にお電話ください。

親権者が娘に性交等をさせた場合②:児童福祉法違反

2020-05-29

親権者性交等をさせ児童福祉法違反が成立するケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

~事例~
宮城県多賀城市に住む会社員のAさんは、実の娘のVさんと同居していましたが、Vさんが幼い時から、口腔性交をさせており、Vさんにそれが当たり前のように思い込ませていました。
Vさんは、中学生になってもAさんから口腔性交を命じられ、それに応じていましたが、次第にそれが普通ではないことに気が付き、学校の先生に相談しました。
学校は、児童相談所に報告し、Vさんは保護されることになりました。
児童相談所からの連絡を受けたVさんは、「警察にも報告することになります。」と言われており、事実、その後、宮城県塩釜警察署から出頭要請の連絡が来ました。
Aさんは、自分の行為がどのような罪に当たるのか、今後どのような流れになるのか、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)

上記の事例では、親権者であるAさんが、同居しているのVさんに対し口腔性交をさせていました。
それが、幼少時からの性的な支配関係の中で行われた場合、監護者性交等罪が成立する可能性があることを前回のブログで説明しましたが、監護者性交等罪と児童福祉法違反が成立し得るため、今回は児童福祉法違反(児童に淫行をさせる罪)について解説します。

児童福祉法違反(児童に淫行をさせる罪)とは

児童福祉法は、児童の福祉を保障するための法律です。

児童福祉法は、その34条1項6号において、児童に淫行をさせる行為を禁止しています。

◇犯行の主体◇

本罪の犯行の主体には特に制限はなく、誰でも行えます。

◇犯行の対象◇

本罪の犯行の対象は「児童」です。
児童福祉法における「児童」とは、18歳未満の者です。

◇行為◇

本罪の実行行為は「淫行」を「させる」ことです。
「淫行」とは、児童の心身の健全な育成を阻害するおそれがあると認められる性交または性交類似行為であって、児童を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として取り扱っているとしか認められないような者を相手とする性交または性交類似行為を含みます。
性交・性交類似行為には、性交、手淫、口淫、素股、肛淫などを含みます。
また、判例では、バイブレーターを調達して児童に手渡し、自己の面前において、児童をしてこれを性器に挿入させる行為も該当するとしています。(東京高裁平成8年10月30日)
淫行を「させる」行為については、児童に働きかけて淫行をするよう仕向ける行為のことをいい、直接・間接を問わず、児童に対して事実上の影響力を及ぼして、児童が淫行をすることを助長し促進する行為を含みます。
強制や直接的な勧誘等がなくとも、雇用関係等があり、児童に対して影響力を及ぼしやすい場合には消極的な関与でも足り、特別な関係がない場合であっても、児童の淫行を容易にさせ、助長、促進する事実上の影響力がある行為があれば足ります。
また、自己を相手に性交等をさせる場合も、淫行を「させる」行為に当たります。

◇故意◇

対象が18歳未満であることの認識・認容がなくても、過失があれば、本罪は成立します。

これに対する罰則は、10年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはその併科です。

監護者性交等は、その保護法益を個人の性的自由とする犯罪であるのに対して、児童福祉法違反(児童に淫行をさせる罪)のそれは、社会における児童の福祉であり、異なる犯罪類型ではありますが、その適用要件は近似しており、児童に淫行をさせる罪の方が適用できる範囲は広くなっています。

上の事例において、Aさんは、同居しているとの間で、経済的な依存・被依存の関係にあるだけでなく、幼少時から口腔性交をさせ、これを当たり前のように思い込ませ精神的に支配していたという影響力に基づいて、Vさんに口腔性交をさせています。
これより、Vさんは「現に監護される者」であり、かつ「児童」でもあり、経済的・精神的依存・被依存関係に基づく影響力によってVさんに口腔性交をさせているのため、「現に監護する者であることに乗じて」、かつ「事実上の影響力を行使して」性交等をしていると言え、Aさんは、監護者性交等罪と児童福祉法違反(児童に淫行をさせる罪)の罪責を負うことになります。
この場合、両者は観念的競合(1個の行為が2個以上の罪名に触れる場合)となり、処罰については、その最も重い刑により処断されることとなります。
つまり、5年以上の有期懲役の範囲内で刑が科されます。

以上のように、親権者性交等をさせた場合には、監護者性交等罪と児童福祉法違反の両方が成立することがあります。
その場合、両者は観念的競合となり、重い方の監護者性交等罪の法定刑の範囲内で刑罰が科されることになります。
非常に重い刑が科される可能性がありますので、容疑を認めている場合には、より軽い刑となるよう弁護する必要がありますし、えん罪であれば無罪を証明するため動くことになります。
どちらにせよ、早い段階から刑事事件に強い弁護士に相談・依頼することをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
刑事事件・少年事件を起こし対応にお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。

秋田県で盗撮規制が強化

2020-04-25

秋田県で盗撮規制が強化

秋田県の迷惑行為防止条例が改正され、盗撮規制が強化されました。

秋田県警作成リーフレット

改正内容について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説いたします。

~処罰対象となる場所や行為が追加~

盗撮は各都道府県が制定する迷惑行為防止条例で規制されています。
秋田県でも従来から、

①電車やお店など不特定の人が利用する公共の場所や公共の乗物
②住居、浴場、更衣場、便所など、通常、人が衣服の全部または一部を着けない状態でいる可能性がある場所

において、衣服等で覆われている下着や身体を盗撮した場合は処罰の対象となっていました。

しかし昨年、秋田県内の中学校の教室で臨時講師が女性教師のスカート内を盗撮した事件で、臨時講師を処罰することができませんでした。
学校の教室は上記②には当たりませんし、特定の人しか入ることができないため、①不特定の人が利用する「公共の場所」に当たるとも言い切れないと判断されたからです。

そこで令和2年4月1日から、

③事務所、教室、貸切バスなど、特定かつ多数の人が集まる場所や乗物での盗撮

も処罰対象に含まれることになりました。
これにより同じ事件が起きた場合には処罰することができるようになります。

他にも、これまでは衣服等で覆われている下着や身体を実際に盗撮した場合にのみ処罰の対象とされていました。
しかし今回の改正で、盗撮するためにカメラを向けたり設置した時点で、処罰対象になりました。
たとえば、隠しカメラを設置したが、下着や身体を盗撮する前にカメラを発見されて盗撮できなかった場合にも処罰の対象となるわけです。

罰則は、盗撮の非常習者は従来から6か月以下の懲役または50万円以下の罰金でした。
今回の改正で、前科があるなど盗撮の常習者として扱われるとより重く、1年以下の懲役または100万円以下の罰金という処罰を受けることになりました。

前述の中学校の盗撮事件では、被疑者の自宅を捜索・差押えした結果、公共の場所で盗撮したデータも見つかり、そちらで処罰することができました。
しかし今後は余罪のあるなしに関わらず、学校の教室などでの盗撮も処罰されることになります。

~刑事事件の手続きの流れ~

盗撮などの犯罪が警察に発覚した場合も、逃亡や証拠隠滅のおそれまではないと判断されれば逮捕されず、自宅から警察署や検察庁に出向いて取調べを受けるという在宅事件として扱われる可能性があります。

一方、逮捕された場合は最初に最大3日間、警察署等で身体拘束され、取調べ等の捜査を受けます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるなどとして検察官が請求し、裁判官が許可すれば、さらに10日間、勾留(こうりゅう)と呼ばれる身体拘束がされる可能性があります。
この勾留期間はさらに10日間延長されることもあります。

勾留された場合はその期間の最後に、在宅事件では必要な捜査が終わり次第、検察官が被疑者を刑事裁判にかけるか(起訴)、かけないか(不起訴)の判断をします。

起訴されると罰金刑や懲役刑(執行猶予の場合もある)を受ける流れになるでしょう。
一方、比較的軽い事件や示談が成立した事件などでは不起訴処分となり、裁判を受けずに前科も付かずに刑事手続が終わる場合があります。
今回は大目に見てもらうということです。

弁護士とはしては、まずは逃亡や証拠隠滅のおそれがない理由を検察官や裁判官に主張するなどして、勾留されずに早期に釈放されることを目指します。
早期釈放が実現すれば、たとえば会社に出勤できずに逮捕されたことが発覚して解雇されるといった事態を避けられるかもしれません。

また、被害者の方に謝罪・賠償して示談を締結して不起訴処分や罰金などの軽い結果となるように弁護活動をしてまいります。
示談が成立した場合などには意外と不起訴処分となる例はよくあります。

~ご相談ください~

あなたやご家族が何らかの犯罪をしたとして逮捕されたり、取調べを受けたといった場合、いつ釈放されるのか、どれくらいの処罰を受けるのか、被害者との示談はどうやって行えばよいのか、解雇されるのかなど、分からないことが多く不安だと思います。

事件の内容をお聞き取りした上でご説明いたしますので、ぜひ一度、弁護士にご相談いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスを、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談をご利用ください。

東北各県からの事件に対応しておりますので、ご連絡をお待ちしております。

中学校教師が児童買春で逮捕

2020-04-04

中学校教師が児童買春で逮捕

中学校の教師が児童買春で逮捕されたという事件がありました。

女子高生とみだらな行為 買春容疑で教諭逮捕 神奈川県警
Yahoo!ニュース(産経新聞提供)

この事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

~児童売春防止法違反に~

この事件は、中学校教諭がSNSで知り合った高校1年生に対し、2万円を渡してみだらな行為をしたというものです。

売春や買春は売春防止法で禁止された行為ですが、同法では売春や買春それ自体について罰則が定められていません。
しかし、18歳未満の者を相手にした買春は、児童買春・ポルノ禁止法という別の法律でも禁止されており、罰則も定められています。

児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律
第4条
児童買春をした者は、五年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。

児童の同意があるとはいえ、売春が児童の今後の人生に及ぼす影響を考え、重い刑罰が定められています。

~容疑を一部否認~

逮捕された教師は、「年齢をちゃんと確認したかどうかは覚えていません」と供述し、容疑を一部否認しているとのことです。
これはどういう意味でしょうか、

児童買春の罪は、相手が18歳未満であると知らなかった場合には成立しません
ただし、「18歳未満だと知らなかった」というのは、18歳未満ではないと確信しているような状態を言います。
したがって18歳未満であることをはっきりとわかっていた場合はもちろん、18歳未満かもしれないと半信半疑だった場合にも犯罪が成立することになります。

今回の事件では、仮に年齢確認していれば、女子高生側が偽の身分証明書を持っていたといった事情のない限り、18歳未満であることは完全に認識できたはずです。
したがって年齢確認をしたと言い切ると、18歳未満であることを認識していたということになり、有罪になってしまうから、言葉を濁しているのかもしれません。

もちろん、容疑を一部否認しているといった情報は警察が発表したものですから、最終的に裁判で有罪となるまでは何とも言えないところです。

~補導がきっかけで発覚~

今回の事件は、女子高生が補導されて事情を聞かれ、SNSのやり取りなどから教師の関与が発覚したとのことです。

女子高生がどのような理由で補導されたかはわかりませんが、よくあるのは、売春相手の募集している旨のSNSへの書き込みが警察に見つかったり、他の人との売春行為が警察に発覚して芋づる式に発覚したり、あるいは深夜徘徊など児童買春とは直接の関係はない理由であったりします。

児童買春はどんなルートから発覚するかわからず、非常にリスクが高いと言えます。

~警察に発覚したら~

警察に児童買春が発覚すると、逮捕されるのか任意で事情聴取されるのかは事件にもよります。
いずれの場合であっても処罰を軽くするためには、警察官・検察官・裁判官に対し、なぜ児童買春がいけない行為なのかを認識できていることや、深く反省していることを示す必要があります。
また、相手の児童側に対し謝罪し、示談を締結することが重要です。

しかし、取調べでどのように受け答えしたらよいのか、何と言って示談をお願いしたらよいのか、示談金はいくらにしたらよいのか、示談書の文言はどうしたらよいのかなど、わからないことが多いと思います。

また、性犯罪では被害者が加害者に直接連絡先を教えることは心理的に行いづらく、直接会って交渉することも拒否されるのが通常です。
弁護士が間に入って初めて示談交渉が出来る可能性が出てくるパターンが多いということになります。

弁護士は、取調べへの対応方法や、示談締結に向けた動きなどについてアドバイス致します。
正式に依頼するかどうかはともかく、まずは一度ご相談いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では初回接見のご利用を、逮捕されていない場合やすでに釈放された場合には、事務所での無料法律相談のご利用をお待ちしております。

警察官がストーカーで書類送検

2020-04-01

警察官がストーカーで書類送検

警察官がストーカーで書類送検されたという事件がありました。

栃木県警警部補がストーカー疑いで書類送検 捜査で知り合った女性に
Yahoo!ニュース(産経新聞提供)

この事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

~警察官がストーカー~

この事件は、警察官が事件の相談に訪れた女性と交際をはじめ、関係が破綻した後に、家に複数回押しかけたというものです。
女性から警察に相談があり、逮捕こそしなかったものの警察の捜査が進められ、捜査書類が検察官に送られた(書類送検された)という段階になっています。

今後、検察官がさらに取調べなどの必要な捜査をした上で、刑事裁判にかけるか(起訴)、今回は大目に見て不起訴処分にするかという判断がなされます。
起訴されれば裁判の末、無罪判決や執行猶予判決とならない限り、刑罰を受けることになります。

なお、この警察官は減給6か月の懲戒処分を受けた上で、依願退職したとのことです。

~ストーカー規制法の内容~

今回問題となっているストーカー規制法は内容が複雑なのでご説明いたします。

恋愛感情やその裏返しの恨みなどを原因として、つきまといや待ち伏せをしたり、拒まれても電話やメール送信などを繰り返し行うことを、ストーカ規制法では「つきまとい等」と呼んでいます(2条1項・2項参照)。
このような「つきまとい等」を行い、今後も違反を続けるおそれがある場合、警察がやめるよう警告したり、公安委員会が禁止命令を出すことができます(4条1項・5条1項)。

また、「つきまとい等」を繰り返すことを「ストーカー行為」と呼んでいます(2条3項)。
公安委員会からつきまとい等の禁止命令を出されたが、それでもやめずに「ストーカー行為」に至った場合、2年以下の懲役または200万円以下の罰金を科される可能性があります。

さらに、「つきまとい等」を繰り返して「ストーカー行為」に至っていれば、警告や禁止命令をせずに逮捕したり、裁判にかけて刑罰を科すこともできます。
この場合の刑罰は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金となります。

今回の事件では捜査関係者が、「現職の警察官であることを重くみて、行為への禁止命令や警告ではなく、厳正に対処した」と話しているとのことです。
このコメントが正しければ、警告や禁止命令の前にいきなり罰則を与えるパターンで進んでいるということになります。

~お早めにご相談ください~

もしあなたやご家族がストーカー規制法違反で逮捕されたり、取調べを受けているといった場合で、判決などを軽くするためには、被害者に謝罪賠償して示談するなどの対応が重要となってきます。

しかし性犯罪などでは、被害者の方々が、加害者やその家族に対して連絡先を教えたくない、あるいは直接交渉したくないということも当然ながら多く、弁護士が間に入って示談するしかない場合も多いです。

そこでぜひ一度、弁護士にご相談いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では初回接見のご依頼を、逮捕されていない場合やすでに釈放された場合には、事務所での無料法律相談をご利用いただけます。
ぜひお早めのご連絡をお待ちしております。

検察事務官が痴漢で懲戒処分

2020-03-30

検察事務官が痴漢で懲戒処分

検察事務官が痴漢をしたとして懲戒処分を受けた事件がありました。

停職3ヵ月の懲戒処分 検察事務官が女性の尻を触る【岩手】
FNN PRIME online

この事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説いたします。

~検察事務官とは~

この事件は岩手県内を走行中のJR東北本線の車内で、検察事務官の男性が、隣に座る女性の尻を手の甲で触った疑いが持たれたというものです。

この検察事務官というのはどんな仕事なのでしょうか。

一般に、犯罪が起こるとまずは警察が捜査します。
一通り警察の捜査がされた後、今度は検察官に事件が送られ(送検)、さらに検察官が取調べ等の捜査を行い、犯罪をしたと疑われている被疑者を刑事裁判にかけるか(起訴)、かけないか(不起訴)の判断をします。
起訴して裁判が始まると、検察官は被告人が犯罪を行った証拠を示し、しっかり処罰してほしいと主張する役割を担います。

検察事務官というのは、この検察官の仕事をサポートする事務職員(公務員)です。
犯罪の捜査に携わっている検察事務官が痴漢の疑いをかけられたということです。

~迷惑行為防止条例違反に問われた~

痴漢をした場合、各都道府県が制定する迷惑行為防止条例違反に問われたり、特に悪質な態様の場合には刑法の強制わいせつ罪に問われたりします。

岩手県の条例と刑法の条文を見てみましょう。

岩手県・公衆に著しく迷惑をかける行為等の防止に関する条例
第8条
何人も、公共の場所又は公共の乗物において、他人を著しく羞恥させ、又は他人に不安を生じさせ、若しくは嫌悪の情を催させる方法で、卑わいな行為であって次に掲げるものをしてはならない。
(1) みだりに他人の胸部、臀(でん)部、下腹部等(以下「胸部等」という。)の身体の一部に触れること(着衣の上からこれらの身体の一部に触れることを含む。)。
第12 条1項
第8条又は第9条の規定に違反した者は、6月以下の懲役又は50 万円以下の罰金に処する。
第2項
常習として第8条又は第9条の規定に違反した者は、1年以下の懲役又は100 万円以下の罰金に処する。
刑法176条
十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

この男性事務官は、岩手県の迷惑防止条例違反の疑いで書類送検されました。
書類送検というのは、前述の送検の中でも、逮捕されていない事件、または逮捕されたが逃亡や証拠隠滅のおそれがないとして裁判の前に釈放された事件で、警察から検察に捜査書類が送られ、捜査の担当が検察に移るパターンのことを言います。

しかし最終的に男性事務官は不起訴処分となりました。
刑事裁判にかけられず、前科も付かずに刑事手続が終了したということです。

不起訴処分がなされるのは、犯罪をした証拠がない、あるいは証拠が不十分な場合や、行った犯罪が比較的軽いものであったり、被害者に謝罪賠償して示談が成立しているもの、被害者が犯人を処罰してほしいという感情が弱い事件などが考えられます。

今回の事件がどのような理由で不起訴処分となったのかはわかりませんが、男性事務官は刑事裁判を受けず、前科も付かずに終わったということになります。

~懲戒処分に~

一方で、男性事務官は、職場である検察庁から停職3か月の懲戒処分を受けたとのことです。
偶然、勤務先が検察庁なのでややこしいですが、一般の方が犯罪をした場合に、国から罰則を受ける他に、会社からも処分を受けたのと同じということになります。

ここからは推測になりますが、検察庁としては、この男性事務官が本当に痴漢を行っていると判断したのだと思います。
しかし前述の不起訴処分がなされやすいパターンのいずれかに当たったので不起訴処分とした上で、あくまでも勤務先による処分として停職3か月の懲戒処分にしたということだと思われます。

~痴漢を疑われたら弁護士に相談を~

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
痴漢をしたとして逮捕されたり取調べを受けた場合には、ぜひご相談ください。

本当にやっていない場合には不起訴処分無罪判決を目指して弁護活動を致します。
やってしまっている場合にも、示談交渉をして示談を締結することなどにより、被害者の方の被害を少しでも回復するとともに、不起訴処分などの軽い結果となるよう弁護活動をしてまいります。

まずは、逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスのご利用を、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用をお待ちしております。

自宅内を盗撮して逮捕

2020-03-22

自宅内を盗撮して逮捕

交際相手との自宅での性行為を盗撮して逮捕された事件について、あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説いたします。

【事例】
宮城県仙台市に住むAさん。
交際相手と自宅で性行為をする際、小型カメラを設置して盗撮していました。
ある日、交際相手にそのことが発覚し、交際相手が警察に被害届を提出。
Aさんは宮城県仙台東警察署の警察官により逮捕されました。
(事実をもとにしたフィクションです)

~迷惑行為防止条例違反に~

公共交通機関やお店などでの盗撮が処罰されるのはご存知の方が多いと思いますが、自分の家の中の盗撮でも条例違反として処罰される可能性があります。
宮城県の迷惑行為防止条例を見てみましょう。

第3条の2第3項
何人も、正当な理由がないのに、住居、浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所で当該状態にある人を撮影し、又は撮影する目的で写真機等を向け、若しくは設置してはならない。

この条文によると、

①住居など、人が通常衣服の全部または一部を着けない状態でいるような場所で
②実際に衣服の全部または一部を着けない状態にある人を
③撮影したり、撮影目的でカメラを向けたり設置した時点で

犯罪が成立することになります。

自宅であっても「住居」には変わりませんので、トイレ内や性行為の様子など、衣服の全部または一部を着けていない状況の来客者や家族を撮影したり、撮影しようとカメラを向けたり設置したりすれば、犯罪となってしまうのです。

罰則は、

・撮影に成功した場合
 →盗撮常習者は1年以下の懲役または100万円以下の罰金
 →盗撮常習者は2年以下の懲役または100万円以下の罰金
・カメラを向けたり設置した場合(未遂で終わった場合)
 →盗撮常習者は6か月以下の懲役または50万円以下の罰金
 →盗撮常習者は1年以下の懲役または100万円以下の罰金

となっています。

各都道府県は、公共の場所での盗撮を条例で処罰していますが、住居内など私的空間の盗撮は処罰の対象となっていないところもあります。
最近は処罰の対象にできるよう改正する例も増えており、宮城県ではすでに改正済みなので処罰の対象となっているのです。

~逮捕後の手続~

犯罪をしたとして逮捕されると、最初に最大3日間、警察署等で身体拘束され、取調べ等の捜査を受けます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるなどとして検察官が請求し、裁判官が許可すれば、さらに10日間勾留(こうりゅう)と呼ばれる身体拘束がされる可能性があります。
この勾留期間はさらに10日間延長されることもあります。

弁護士としては、勾留を防いで早期に釈放されるよう、逃亡や証拠隠滅のおそれがないといえる理由をまとめた意見書を提出するなどの弁護活動を行います。
釈放されれば、自宅から警察署や検察庁に出向いて取調べを受けるという流れになるでしょう。

勾留された場合はその期間の最後に、勾留されなかった場合は捜査が終わり次第、検察官が被疑者を刑事裁判にかけるか(起訴)、かけないか(不起訴)の判断をします。

このうち起訴には①正式起訴②略式起訴があります。
①正式起訴されると刑事裁判が開かれ、事件によって懲役刑の実刑判決や執行猶予判決、罰金刑の判決を受けたり、まれに無罪判決がなされることになります。
一方、②略式起訴は比較的軽い事件でなされることが多いです。
法廷での刑事裁判は開かれず、簡単な手続で罰金を納付して終わるということになります。

さらに、より軽い事件や示談が成立した事件などでは検察官が不起訴処分として、前科も付かずに刑事手続が終わる場合があります。
今回は大目に見てもらうということです。

~弁護士にご相談ください~

あなたやご家族が突然逮捕されたり、取調べを受けたといった場合、いつ釈放されるのか、どれくらいの刑罰を受けるのか、示談はどうやって行えばよいのかなど、不安だらけだと思います。
事件解決に向けて全力でサポート致しますので、ぜひ一度弁護士にご相談いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスを、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用をお待ちしております。

売春相手を探して逮捕

2020-03-21

売春相手を探して逮捕

路上で通行人に対し、売春の相手にならないか声をかけた女性が逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説いたします。

【事例】
女性Aさんは宮城県仙台市内において、売春相手を探すため、通行人の男性に声をかける行為を繰り返していました。
ある日Aさんは、違法な風俗店の取り締まりなどの目的で私服で警戒に当たっていた仙台中央警察署の警察官に対し、売春の相手になるよう声をかけてしまいました。
Aさんはその場で現行犯逮捕されてしまいました。
(フィクションです)

~売春防止法違反~

路上で売春の相手を探している、いわゆる「立ちんぼ」に声をかけられたことのある男性は多くいらっしゃると思います。

売春買春は売春防止法で禁止された行為ですが、罰則はありません。
しかし、路上で売春の相手となるよう声をかけるなどの行為には罰則が定められています。

売春防止法第5条
売春をする目的で、次の各号の一に該当する行為をした者は、六月以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
1号 公衆の目にふれるような方法で、人を売春の相手方となるように勧誘すること。
2号 売春の相手方となるように勧誘するため、道路その他公共の場所で、人の身辺に立ちふさがり、又はつきまとうこと。
3号 公衆の目にふれるような方法で客待ちをし、又は広告その他これに類似する方法により人を売春の相手方となるように誘引すること。

1号は勧誘行為を、2号は立ちふさがったり付きまとったりする行為を、3号は客待ちをすることなどを禁止しています。
3号によれば、通行人に声をかける前であっても、売春相手を探す目的で路上などに立っているだけで、罰則の対象となってしまうことになります。

売買春自体に処罰規定を置かず、勧誘行為などに処罰規定を置いているのは不思議な感じもしますが、繁華街の雰囲気を健全に保つといった意味合いもあるのかもしれません。

※ 売春しているのが20歳未満の場合には、その子は補導されて家庭裁判所の審判に付される可能性があります。
また、売春しているのが18歳未満の場合には、売春の相手方は青少年健全育成条例違反で処罰される可能性があります。宮城県では2年以下の懲役または100万円以下の罰金となります。

~刑事事件の手続~

犯罪をしたとして逮捕されると、最初に最大3日間、警察署等で身体拘束され、取調べ等の捜査を受けます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるなどとして検察官が請求し、裁判官が許可すれば、さらに10日間勾留(こうりゅう)と呼ばれる身体拘束がされる可能性があります。
この勾留期間はさらに10日間延長されることもあります。

弁護士としては、勾留を防いで早期に釈放されるよう、逃亡や証拠隠滅のおそれがないといえる理由をまとめた意見書を提出するなどの弁護活動を行います。
釈放されれば、自宅から警察署や検察庁に出向いて取調べを受けるという流れになるでしょう。

勾留された場合はその期間の最後に、勾留されなかった場合は捜査が終わり次第、検察官が被疑者を刑事裁判にかけるか(起訴)、かけないか(不起訴)の判断をします。

このうち起訴には①正式起訴②略式起訴があります。
①正式起訴されると刑事裁判が開かれ、事件によって懲役刑の実刑判決や執行猶予判決、罰金刑の判決を受けたり、まれに無罪判決がなされることになります。
一方、②略式起訴は比較的軽い事件でなされることが多いです。
法廷での刑事裁判は開かれず、簡単な手続で罰金を納付して終わるということになります。

さらに、より軽い事件などでは検察官が不起訴処分として、前科も付かずに刑事手続が終わる場合があります。
今回は大目に見てもらうということです。

~弁護士にご相談ください~

あなたやご家族が突然逮捕されたり、取調べを受けたといった場合、今後どうなってしまうのかわからずに不安だと思います。
ぜひ一度、弁護士にご相談いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスを、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用をお待ちしております。

娘への性的暴行で逆転有罪判決

2020-03-18

娘への性的暴行で逆転有罪判決

娘への準強制性交等罪に問われた父親の控訴審判決で、一審の無罪判決から一転、懲役10年の有罪判決が出されました。

娘への性的暴行罪 父親に有罪の逆転判決 名古屋高裁
NHK NEWS WEB
娘への性的虐待に逆転有罪、地裁と高裁で分かれた判断3つのポイント
Yahoo!ニュース(ハフポスト提供/執筆・中村かさねさん)

この判決について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

~準強制性交等罪とは~

今回の裁判で父親が問われていたのは、準強制性交等罪という犯罪です。
そもそもどのような犯罪なのでしょうか。

前提として刑法には、いわゆるレイプをした場合に成立する強制性交等罪という犯罪が定められています。

刑法177条
十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

この犯罪は、被害者を暴行または脅迫して性交等をした場合に成立します。

※ 強制性交「等」となっているのは、性器ではなく口や肛門に性器を挿入した場合も成立する犯罪だからです。また、被害者が13歳未満の場合には、暴行・脅迫がなくても成立します。

この犯罪とは別に、刑法には準強制性交等罪という犯罪も定められています。

第178条2項
人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条の例による。

この犯罪は、暴行・脅迫をしなくても、被害者が心神喪失(気を失っている等)や抗拒不能(抵抗ができない等)の状態にあることを利用して、あるいはこれらの状態にさせて性交等をした場合に成立します。
飲み物に睡眠薬を入れて眠らせ、レイプするような方法が典型例です。

※ 条文中の「前条の例による」というのは、177条の強制性交等罪と同じく、5年以上の有期懲役(余罪がなければ上限は20年)ということです。

今回の事件では、父親が暴行や脅迫をしたというよりも、父親の立場を利用して性交をしたことから、準強制性交等罪が成立するのかが問題となったのです。

~判決が分かれた理由は?~

今回の裁判では、被害者が抗拒不能な状態にあったのかが争いになりました。
1審判決は抗拒不能だったとは言い切れず、準強制性交等罪の成立条件を満たさないので無罪としました。
2審判決は、抗拒不能だったとして有罪としました。
現状、どのような状態であれば抗拒不能だったといえるのかという基準が明確に定まっていないことから、裁判所の判断が分かれてしまったのです。

では、それぞれの裁判所はどのような理由によりこのような判断をしたのでしょうか。

無罪とした1審の裁判所は、抗拒不能と言うためには、「人格を完全に支配され服従せざるをえない状態」になっている必要があると判断しているようです。
これはつまり、子供は親に対し精神的・経済的に依存して立場の強弱があることを背景として、性交を拒むことが不可能なほど親が子供の言いなりになっていたかどうか、というような基準を立てたと言えるでしょう。
該当するケースが減りやすい厳しい基準と言えます。

そして今回の事件では、過去に実際に抵抗して拒んだことがあったこと、弟らに相談して性的暴行を受けないような対策をしていたこと、アルバイト収入があり家を出て1人で暮らすことも検討して経済的な依存度も強くないことなどから、「人格を完全に支配され服従せざるをえない状態」とまでは言えないとして、無罪にしたのです。

一方、有罪とした2審の裁判所は、1審のような厳しい基準で考えることは間違っている旨を述べ、「抵抗が著しく困難であったか」という1審よりは緩やかな基準を立てています。
そして、被害者が中学2年生の頃から意に反した性行為をくり返し受けてきたこと、抵抗した場合には暴力を受けたことがあったこと、弟と同じ部屋で寝ていた時は性行為はされなかったが弟が別の部屋で寝るようになるとかえって性行為の頻度が増えて抵抗の意思・意欲が奪われたこと、父親が逮捕されれば弟が生活に困ると考えたことなどから、抵抗できない状態だったと優に認められるとして有罪としました。

また今回の事件では、被害者が両親の反対を押し切って専門学校に行くことにしたり、その入学金や学費のうち、被害者が負担する分を減らして父親が負担する分を増やさせるなど、日常生活では父親に対しても自由に行動できる部分がありました。
この点も1審は抗拒不能ではないといえる事情の1つとしましたが、2審は「日常生活で自由に行動できることと性交時の抵抗が困難になることとは両立し得るものであり、矛盾するものではない」と判断しました。

一般に性犯罪においては、外部の人間が一見すると抵抗できるのではないかと思えるような場合でも、実際には抵抗が極めて難しいケースがあります。
今回の2審判決は、このことに配慮した判決と言えます。

~今後の展開~

父親は上告したので、まだ判決は確定していません。
最高裁判所がどのような判断をするかは注目です。

1審の無罪判決は、性暴力根絶を訴えるフラワーデモが広がるきっかけにもなりました。
(準)強制性交等罪の成立条件から暴行・脅迫・心神喪失・抗拒不能という条件を消し、相手の同意がない性交であれば犯罪が成立するようにすべきという意見もあります。
海外ではすでにそうなっている国もあり、今後日本でも刑法が変わる可能性があります。

性犯罪の被害者はもちろん、加害者も減らしていくためにどのような制度がいいのか、真剣に考えるべき時と言えるでしょう。

風俗の禁止行為で成立する犯罪

2020-03-17

風俗の禁止行為で成立する犯罪

風俗で禁止されている行為をした場合にどんな犯罪に問われるおそれがあるのか、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

~強制性交等罪~

風俗店はわいせつ行為をすることが許されている店なので、ルールの範囲内でわいせつ行為をしただけなら犯罪が成立することはありません。

しかし、ルール違反をすると犯罪が成立してしまうことがあります。
典型的なパターンとしては、禁止されている本番行為を無理やりしてしまい、強制性交等罪に問われることがあります。

刑法第177条
十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

ちなみに、わざとではなく不意に挿入する形になった場合には強制性交等罪は成立しません。
しかし、わざとではないことを信じてもらうのは難しいこともあります。

~強制わいせつ罪~

本番行為までしなくても、たとえば時間を超えて無理やり触り続けたり、触ることを禁止されている部位を触ったりすると、強制わいせつ罪に問われる可能性もあります。

第176条
十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

ルールの範囲内であれば成立しませんが、ルールを破ってしまうと強制わいせつ罪が成立する可能性があるわけです。

~暴行罪・傷害罪~

風俗嬢を殴ったり蹴ったりした場合、ケガをすれば傷害罪、ケガまではしなかった場合でも暴行罪が成立する可能性があります。

第204条
人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第208条
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

~強制性交等致傷罪・強制わいせつ致傷罪~

無理やり本番行為をしたり、ルール違反のわいせつ行為をした上、ケガをさせてしまった場合には、強制性交等致傷罪強制わいせつ致傷罪が成立する可能性があります。

強制性交等致死傷罪は無期または6年以上の懲役、強制わいせつ致死傷罪は無期または3年以上の懲役と定められています。

これらは死亡させた場合も含んだ規定ですが、とても重い刑罰が定められています。
抵抗する相手に無理やりこのような行為に及んだ場合には、相手がケガをしてしまう可能性も十分考えられ、重い刑罰を受けることにつながります。

~盗撮で迷惑行為防止条例違反~

部屋に隠しカメラを設置し、風俗嬢とのプレイを盗撮したような場合には、迷惑行為防止条例違反になる可能性があります。

宮城県・迷惑行為防止条例
第3条の2第3項
何人も、正当な理由がないのに、住居、浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所で当該状態にある人を撮影し、又は撮影する目的で写真機等を向け、若しくは設置してはならない。

罰則は、常習者が6か月以下の懲役または50万円以下の罰金、常習者の場合は1年以下の懲役または100万円以下の罰金となっています。

~ストーカー規制法違反・強要罪~

風俗嬢に対しストーカーをして、ストーカー規制法違反に問われるケースもあります。

ストーカー行為等の規制等に関する法律
第18条
ストーカー行為をした者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

他にも、脅し文句を言ってプライベートで会うことや画像の送信を要求した場合などには、強要罪強要未遂罪などが成立する可能性もあります。

刑法第223条1項
生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。

プライベートで女の子と関わろうとした場合、その方法によっては犯罪になってしまう可能性があるわけです。

~弁護士にご相談を~

このようなトラブルを起こしてしまった場合、処分や判決を軽くするためには、お店や女性側に謝罪・賠償して示談を締結するのが重要となってきます。
しかし、風俗店相手にどうやって示談交渉すればよいか不安だと思います。

また、被害届が出されれば警察に逮捕されたり、取調べを受ける可能性もあります。
そうなるといつ釈放されるのか、取調べでは何と答えたらよいのかなど、わからない点が多いと思います。

あなたやご家族が何らかの犯罪をしてお困りの場合には、ぜひ弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、交通事件も含めた刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスを、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用をお待ちしております。

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