彼女に暴行した少年
宮城県利府町に住む18歳のAさん。
交際相手に暴力をふるい、別れるということを何度か繰り返していました。
現在の交際相手のVさんに対しても暴力をふるいケガをさせたAさん。
Vさんが両親に相談し、塩釜警察署に被害届を提出したことから、少年は警察署に呼び出されて取調べを受けることになりました。
取調べに先立ち、Aさんは両親に連れられ、弁護士の法律相談を受けにきました。
(フィクションです)
~傷害罪が成立~
成人や少年にかかわらず、交際相手や配偶者へのDVを繰り返してしまう人がいます。
早期に心療内科等での治療やカウンセリングが必要となる場合も多いでしょう。
しかし、治療やカウンセリングを受けずに暴力を繰り返してしまい、刑事事件・少年事件へと発展してしまうケースもあります。
Aさんの行為には傷害罪が成立してしまいます。
刑法第204条
人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
~少年事件の手続は?~
逮捕されたAくんは、まずは最大3日間拘束され、取調べ等の捜査を受けます。
その後、逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断されれば、さらに最大20日間、勾留と呼ばれる身体拘束期間が続く可能性があります。
勾留の代わりに、少年鑑別所での観護措置が採られ、少年の非行の原因の調査や、更生に向けていかなる措置を採るべきかといった調査がなされることもあります。
その後、家庭裁判所に送られ、家庭裁判所調査官が中心となって、さらに少年の非行の進み具合、家庭環境、更生のために必要な処遇等の調査を行います。
なお、逮捕されていない少年や途中で釈放された少年についても、家庭裁判所に出向いて家庭裁判所調査官による面談を受けるなどの調査が行われます。
~少年審判とは?~
調査官等による調査の結果、比較的軽い事件であり、本人も反省しているなどの事情があれば、少年審判の不開始決定がなされ、前科も付かずにここで手続が終了となることもあります。
成人の事件における不起訴(起訴猶予)処分に近いものといえます。
そうでない場合は、少年審判が開始されます。
少年審判は、成人事件における刑事裁判にあたるものです。
少年審判の内容としては以下のものが考えられます。
①不処分
非行事実が認められない、あるいは認められるとしても反省し、再犯の可能性がないような場合になされます。
成人事件における無罪判決や不起訴(起訴猶予)に近いものといえます。
②保護観察
保護観察所の指導・監督の下、少年を社会の中で生活させながら、更生させていくというものです。
成人事件における執行猶予に近いものといえます。
③児童自立支援施設や児童相談所長などへの送致
比較的非行性が②よりも進んでいる少年や、家庭環境に問題があるなどの事情により②の保護観察が行えないなどの場合に、各種福祉施設で生活させるなどしつつ、社会の中で更生させるというものです。
④少年院送致
③よりも非行性が進んでいる少年について、特別の事情のない限り外出が許されない環境で生活させ、更生させていくものです。
収容期間は刑法などの法律に書かれた懲役・禁錮の期間に拘束されません。
事件により異なりますが、平均すると1年ほどと言われています。
⑤検察官送致(逆送)
凶悪事件などにおいて、成人の場合と同じ刑罰を受けさせるべきと判断された場合などになされるもので、改めて成人と同じ刑事裁判を受ける流れになります。
~弁護士の活動~
弁護士は、少年の権利保護や更生に向けた環境作りのために活動します。
たとえば、家裁調査官や裁判官に対して、少年の非行内容が軽微であること、非行性が進んでいないこと、治療やカウンセリングに通い始めたこと、再犯の可能性が低いこと、被害者との示談が成立していること、家族の監督が期待できることなど、本人に有利な事情があればできる限り主張し、勾留や観護措置などによる身体拘束を防いだり、少年審判においてより軽い審判内容となるように活動していきます。
少年の人生に大きくかかわってくることですので、一度弁護士にご相談されるのが良いと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件や刑事事件を専門に扱っている弁護士事務所です。
事務所での法律相談を初回無料で行っております。
仮に逮捕されている場合には、ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
接見や法律相談では、今後の手続の流れや予想される処分、弁護士の活動などをご説明いたします。
DV・傷害などの少年事件でお困りの際は、ぜひ一度ご相談ください。