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脅迫で取調べ

2020-02-24

脅迫で取調べ

脅迫の容疑で警察から取調べを受ける場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【事例】
宮城県角田市に住むAさん。
同市内を運転中に、後続車からクラクションを鳴らされました。
カッとなったAさんは車を降りて後続車の運転席横まで行き、
「なに鳴らしてんだ、ナンバー覚えたからな、若い者連れて痛い目にあわせるぞ」
などと怒鳴りつけました。
後日、被害者からの相談を受けた宮城県角田警察署からAさんに連絡が入り、
「事情を聞きたいから角田署まで来てくれますか」
と言われました。
急に不安になったAさんは、弁護士に相談することにしました。
(事実をもとにしたフィクションです)

~脅迫罪の可能性~

クラクションを鳴らされカッとなり、脅し文句を言って怒鳴りつけたAさん。
脅迫罪が成立する可能性があります。
条文を見てみましょう。

刑法第222条1項
生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

Aさんの「なに鳴らしてんだ、ナンバー覚えたからな、若い者連れて痛い目にあわせるぞ」という言葉は、被害者の身元を特定し、複数名で暴行を加えることを想像させ、恐怖を与えるものといえます。

したがって条文の中の、「身体…対し害を加える旨を告知して人を脅迫した」に該当し、脅迫罪が成立する可能性があるわけです。

~道路交通法違反や暴行罪の可能性も~

また、後続車の進路をふさいだり、いわゆるあおり運転などもしていれば、道路交通法の急ブレーキ禁止や車間距離保持義務、安全運転義務に違反したとして、点数減点反則金納付などを強いられる可能性もあります。

また最近では、悪質なあおり運転を処罰するために、刑法の暴行罪で摘発される例もありますので注意が必要です。

刑法208条
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

~今後の刑事手続きは?~

今回のように、被疑者を逮捕せずに捜査を進める事件を在宅事件と言います。

在宅事件では、警察からの呼び出しに応じて警察署に出向き、取調べや現場検証などの捜査を受けます。
一通りの捜査が終わると、捜査書類が警察から検察に送られます(書類送検)。
書類送検を受けた検察官は、さらに取調べなどの捜査をした上で、その犯罪をしたと疑われている被疑者を、刑事裁判にかけるか(起訴)、かけないか(不起訴)の判断をします。

このうち起訴には①正式起訴②略式起訴があります。
①正式起訴されると刑事裁判が開かれ、事件によって懲役刑の実刑判決執行猶予判決罰金刑の判決を受けたり、まれに無罪判決がなされることになります。
一方、②略式起訴は比較的軽い事件でなされることが多いです。
法廷での刑事裁判は開かれず、簡単な手続で罰金を納付して終わるということになります。

さらに、より軽い事件などでは検察官が不起訴処分として、前科も付かずに刑事手続が終わる場合があります。
今回は大目に見てもらうということです。

~軽い結果を目指すには~

出来るだけ軽い結果になるためには、相手に謝罪・賠償して示談するといったことが重要です。
しかし相手にとって、脅迫した本人と示談交渉をするのは心理的負担が大きく、スムーズに進まない可能性もあります。
また、取調べにはどう対応したら良いのかといった不安も強いと思います。

刑事事件に詳しい弁護士がアドバイスさせていただきますので、ぜひ一度ご相談いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
無料法律相談を行っておりますので、ぜひご利用ください。
なお、すでに逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスをご利用ください。

ナイフ携帯で逮捕

2020-02-23

ナイフ携帯で逮捕

ナイフを携帯して逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【事例】
宮城県仙台市宮城野区に住むAさん。
普段から護身用のつもりでサバイバルナイフを持ち歩いていました。
ある日、居酒屋で居合わせた他の客とケンカになってしまいました。
Aさんは、ナイフを取り出して相手に見せ、
「これ以上騒いだら痛い目を見るぞ」
と怒鳴りました。
店員の通報で仙台東警察署の警察官が到着。
Aさんがナイフを持っていたことを警察官も知ったことから、Aさんは銃刀法違反現行犯逮捕されました。
(事実をもとにしたフィクションです)

~銃刀法違反に~

サバイバルナイフを持っていたことで、銃刀法違反で現行犯逮捕されたAさん。
該当する条文を見てみましょう。

銃砲刀剣類所持等取締法
第22条
何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、内閣府令で定めるところにより計つた刃体の長さが六センチメートルをこえる刃物を携帯してはならない。ただし、内閣府令で定めるところにより計つた刃体の長さが八センチメートル以下のはさみ若しくは折りたたみ式のナイフ又はこれらの刃物以外の刃物で、政令で定める種類又は形状のものについては、この限りでない。

つまり、業務その他正当な理由による場合を除き、刃体(柄を除いた部分)の長さが6センチを超える刃物を携帯すると、銃刀法違反になる可能性があるわけです。

では、今回のAさんの場合はどうでしょうか。

Aさんは護身用でナイフを持っていましたが、基本的に、護身用で持ち歩くのは「業務その他正当な理由による」とは言えません。

また、刃体の長さが8センチ以下の刃物で、刃先が丸みを帯びているなど危険性が少ない形状のものについては除外されていますが(銃砲刀剣類所持等取締法施行令37条参照)、通常のサバイバルナイフは除外されません。
したがってAさんのナイフの刃体の長さが6センチを超えてさえいれば、携帯が禁止される刃物に該当します。

なお、梱包されているなど、すぐに使える状態で所持しなければ「携帯」したことにはならないとされていますが、ケンカの場面で相手に見せていることから、すぐに使える状態で所持していたでしょうから、「携帯」したといえるでしょう。

したがって、Aさんの行為は銃刀法違反ということになります。

罰則は、2年以下の懲役または30万円以下の罰金となっています(銃刀法31条の18第3号)。

~軽犯罪法違反の可能性も~

ここまでの説明を読んで、刃体の長さが6センチ以下なら大丈夫と思われるかもしれませんが、正当な理由なく携帯していると、軽犯罪法違反となる可能性があります。

軽犯罪法第1条
左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
第2号
正当な理由がなくて刃物、鉄棒その他人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具を隠して携帯していた者

ちなみに拘留とは、1日以上30日未満の身体拘束、科料とは千円以上一万円未満の金銭を徴収される刑罰です。

銃刀法より刑罰が軽いとはいえ犯罪となってしまいますので、仕事で必要な場合を除き、すぐに使えるような状態で刃物を持ち歩くのは避けるようにしましょう。

~脅迫罪なども~

Aさんはナイフを見せて相手を脅していますので、脅迫罪が成立する可能性もあります。

刑法第222条1項
生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

展開によっては傷害罪殺人罪など、様々な犯罪につながっていくおそれもありますので、刃物を持ち歩くのは法律的にも危険な行為であると言えます。

~弁護士にご相談を~

あなたやご家族が、銃刀法違反などで逮捕されたり警察の取調べ受けたという場合には、今後どうなってしまうのか不安だと思いますので、ぜひ一度弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている場合は初回接見サービスを、逮捕されていない場合には無料法律相談のご利用をお待ちしております。

傷害で少年が取調べ

2020-02-22

傷害で少年が取調べ

傷害の容疑で少年が取調べを受ける場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【事例】
宮城県仙台市に住む17歳の高校生Aくん。
同級生を殴ってケガを負わせてしまいました。
仙台中央警察署取調べを受けることになったAくん。
心配になった両親は、弁護士に相談することにしました。
(事実をもとにしたフィクションです)

~傷害罪などが成立~

同級生を殴ってケガを負わせてしまったAくん。
まずは傷害罪が成立することになるでしょう。

刑法第204条
人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

Aくんがいじめをしていた場合には、傷害罪のほかにも、脅し文句を言ったなどとして脅迫罪、嫌がることを無理やりさせたとして強要罪、脅してお金を奪ったとして恐喝罪などに問われる可能性もあります。

第222条1項(脅迫)
生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
第223条1項(強要)
生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。
第249条1項(恐喝)
人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。

~少年事件の手続は?~

子供同士のケンカであれば、加害者が被害者に謝り、学校内で処理されて大ごとにならずに済むケースも多いです。
しかし、悪質なケースなどでは警察が介入するなどの大ごととなる可能性もあります。

ここからは、警察が介入したが、逮捕まではされていないケースについて解説いたします。
※ 逮捕されたケースについてはこちらをご覧ください。

20歳未満の未成年が犯罪を行うと、まずは警察官の取調べなどの捜査を受け、続いて検察官の取調べを受けます。
ここまでの流れは、成人事件でも同じです。

その後、成人事件であれば地方裁判所や簡易裁判所での刑事裁判になりますが、少年の場合は家庭裁判所の担当となります。

家庭裁判所では、家庭裁判所調査官という人が少年と面談するといった方法により、少年の非行の進み具合、家庭環境、更生のために必要な処遇等の調査・判断が行われます。

これらの取調べや調査官面談は、日程調整の上、自宅から警察署や検察庁、家庭裁判所に出向いて受けることになります。

~少年審判の内容は?~

これらの取調べや調査官による調査の結果等をふまえ、裁判官が少年の処遇を決めることになります。

比較的軽い事件であり、本人も反省しているなどの事情があれば、少年審判の不開始決定がなされ、少年審判が開かれずに手続が終了となることもあります。
成人の事件における不起訴処分に近いものといえます。

そうでない場合は、少年審判が開始されます。
少年審判は、成人事件における刑事裁判にあたるものですが、非公開で行われます。
少年審判での審理の結果、事件によって以下のような判断がなされます。

①不処分
少年審判が終わる頃には反省の態度が見られるようになり、再犯の可能性が低いような場合になされます。
審判不開始決定と同じく、成人事件における不起訴(起訴猶予)処分に近いものであり、ここで手続が終了となります。

②保護観察
保護観察所の指導・監督を受けつつ、少年を社会の中で生活させながら更生させていきます。
成人事件における執行猶予に近いものといえます。

③児童自立支援施設や児童相談所長などへの送致
非行性が②よりも進んでいる少年や、家庭環境に問題があるなどの事情により帰る場所がなく②の保護観察が行えない等の場合に、福祉施設に住ませつつ、社会の中で生活させ更生を目指すというものです。

④少年院送致
③よりも非行性が進んでいる少年について、原則として外出が許されない少年院で生活させ、更生させていくものです。
収容期間は刑法などの法律に書かれた懲役・禁錮の期間に拘束されません。
事件により異なりますが、平均すると1年ほどと言われています。

⑤検察官送致(逆送)
凶悪事件については、成人と同じ刑罰を受けさせるべきと判断されると、家庭裁判所から検察庁に事件が戻されます。
その後、追加の取調べなどの捜査がなされた上で、成人と同じ刑事裁判を受けるという流れになります。

逮捕されていない事件は比較的軽い事件が多いでしょうから、④や⑤などの重い処分になる可能性は低いでしょう。

~弁護士にご相談ください~

お子様が事件を起こしたとして警察沙汰になってしまうと、逮捕されるのか、少年院に入れられるのか、刑事手続はどう進んでいくのか、被害者とどうやって示談がしたらよいのか、学校からはどのような処分が下されるのかなどなど、不安な点が多いと思います。

弁護士は、これらの不安に対するアドバイスのほか、捜査機関や家庭裁判所への対応を行い、お子様がしっかりとした人生を歩んでいけるようサポート致しますので、ぜひ一度ご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
無料法律相談を行っておりますので、ぜひご利用ください。
なお、すでに逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスをご利用ください。

強制性交等未遂罪で逮捕【間接正犯】

2020-02-21

強制性交等未遂罪で逮捕【間接正犯】

他の男性に、女子高生を襲わせたとして、強制性交等未遂の疑いで逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【参考事例】
「無理やり襲ってください」SNSで女子高校生になりすまし…男性に襲わせた疑い 26歳男を逮捕
Yahoo!ニュース(関西テレビ提供)

本当にこんな事件があるのかなと思ってしまうような事件のニュースが入ってきました。

この事件は、スポーツクラブのインストラクターが、教え子だった女子高生を、面識のない男性に襲わせようと考え、SNSで女子高生になりすまして「レイプしてください。無理やり襲ってください」などと書き込み、その書き込みを信じ込んだ男性に路上で女子高生に後ろから抱きつくなどして襲わせたというものです。

女子高生が抵抗したため、犯行は未遂に終わっています。
犯行理由は、デートを断られた復讐といった報道がなされています。

逮捕された被疑者自身は女子高生に襲いかかっていませんが、それでも強制性交等未遂の容疑で逮捕された理由を解説していきます。

~共犯として処罰される?~

一般に、自分自身が犯行自体を行わなくても処罰されるパターンには、①共同正犯②教唆犯③幇助犯の3つがあります。

①共同正犯(刑法60条)は、他人と共謀(相談)して犯罪をした場合、実際に手を下したのが他人であったとしても、自分にも犯罪が成立するというものです。
仮に今回の事件で、逮捕された男性(Aさんとします)と、実際に女子高生に襲った男性(Bさんとします)が共謀し、Bさんも女子高生が襲ってほしいと思っていないとわかった上で襲ったのであれば、AさんもBさんも強制性交等未遂罪が成立することになります。

②教唆犯(刑法61条)は、他人をそそのかして犯罪をさせた場合に成立するものです。
共同正犯よりも刑は軽くなる傾向にあります。

他人をそそのかすのと、①共同正犯が成立するための前提となる共謀との違いは難しいところですが、どれだけ犯行に主体的に関わっているかの違いといえます。
今回もAさんは最終的に②教唆犯で有罪になるということもありえなくはありませんが、デートを断られた復讐として行ったということであれば、犯行の根本的な原因はAさんにありますから、犯行に主体的に関わっているとして①共同正犯になる可能性の方が高いでしょう。

③幇助犯は、他人の犯罪を手助けした場合に成立するものです。
犯罪をそそのかしたのではなく、すでに犯行を決意している人の犯行を助けたにすぎないということで、②教唆犯よりも刑は軽くなります。
今回のAさんは、Bさんに犯行を決意させているので、③教唆犯にとどまる可能性はないでしょう。

このように見ていくと、Aさんは①共同正犯②教唆犯に問われる可能性はあります。
しかし①共同正犯は、AさんとBさんが犯罪を行う共謀をしたことが前提ですし、②教唆犯はそそのかされてBさんが犯罪を決意したことが必要です。
つまり①②どちらにしても、Bさん自身が今回の女子高生を襲うことが犯罪であると認識している必要があるわけです。

しかし、仮にBさんがSNSの書き込みを信じ、女子高生が本当に襲われたがっていると思っていたのであれば、Bさんには強制性交等罪という犯罪にあたるという認識がないことになります。
したがって、①共同正犯②教唆犯も成立しないことになります。

~間接正犯に問われうる~

しかし、Aさんを罪に問えないわけではありません。
間接正犯という理論により、罪に問える可能性があります。

間接正犯とは、他人を道具のように利用して犯罪を実現した者であれば、自ら犯罪を実行していなくても、他人と犯罪の共謀をしていなくても、罪に問えるという理論です。

たとえば、ピストルを撃って人を殺した場合、ピストルが殺人罪に問われるのではなく、ピストルを道具として利用した者が殺人罪に問われます。
ピストルは物ですし、殺人を思いとどまるということはできないからです。

これと同じように、たとえ物ではなくても、犯罪を思いとどまることができない他人を利用して犯罪を実現した場合には、他人を道具のように利用して犯罪を実現したとして、罪に問えることになるのです。

今回、BさんがSNSの書き込みを見て女子高生が本当に襲ってほしがっていると信じていた場合には、襲っても犯罪にならないと考えており、犯罪を思いとどまることができなかった可能性があります。
そうであれば、AさんはBさんを道具のように利用して、強制性交等未遂罪という犯罪を実現したことになり、罪に問うことができるのです。

~お困りの方はご相談を~

今後の捜査の結果、AさんとBさんの共謀があった、あるいはBさんが書き込みを信じていなかったのに犯行に及んだことがわかったような場合には、間接正犯の理論は使われずに終わるでしょう。
ただ、事実関係が特殊であり、理論的にも興味深い点がある事件だったのでご紹介いたしました。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
あなたやご家族が犯罪をしてしまったり、犯罪をしたと疑われてお困りの際はぜひご相談ください。

ストーカーで逮捕

2020-02-20

ストーカーで逮捕

ストーカー規制法の内容や逮捕後の手続について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【参考事例】
メッセージ308回、31歳男が元妻にストーカー容疑 昨年逮捕、付きまとい禁止命令守らず
Yahoo!ニュース(神戸新聞社提供)

この事件は、出会い系アプリで元妻のアカウントを見つけ、約1カ月半にわたって「このままで終わると思うな」「デートしたい」などと308回にわたってメッセージを送ったというストーカー規制法違反の容疑で逮捕されたものです。
逮捕された男は、元妻の自宅や勤務先で待ち伏せしたなどとして、昨年5月にも逮捕され、付きまといの禁止命令を受けていたとのことです。

~ストーカー規制法の内容~

ここで、ストーカー規制法の内容を簡単に確認しておきます。

恋愛感情やその裏返しの恨みなどを原因として、つきまといや待ち伏せをしたり、拒まれても電話やメール送信などを繰り返し行うことを、ストーカ規制法では「つきまとい等」と呼んでいます(2条1項・2項参照)。
このような「つきまとい等」を行い、今後も違反を続けるおそれがある場合、警察がやめるよう警告したり、公安委員会が禁止命令を出すことができます(4条1項・5条1項)。

また、「つきまとい等」を繰り返すことを「ストーカー行為」と呼んでいます(2条3項)。
すでに「つきまとい等」を繰り返す「ストーカー行為」に至っていれば、警告や禁止命令をせずに、加害者をいきなり逮捕して刑罰を科すこともできます。
この場合の刑罰は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金となります。

一方、最初に公安委員会からつきまとい等の禁止命令を出されたが、それでもやめずに「ストーカー行為」に至るパターンもあります。
この場合ももちろん逮捕して刑罰を科すことができます。
しかも、禁止命令に反してまでストーカー行為をしたのはより悪質だということで、さらに重い2年以下の懲役または200万円以下の罰金を科すことができます。

今回の事件では、報道だけだと細かい事実関係はわかりませんが、すでに昨年5月に禁止命令が出ており、禁止命令の有効期限は1年間なので(延長可。5条8項・9項参照)、今回は禁止命令中の逮捕ということになるでしょう。
したがって余罪のない限り、2年以下の懲役または200万円以下の罰金になると思われます。

~刑事手続きの内容~

犯罪をしたとして逮捕されると、最初に最大3日間警察署等に収容され、取調べ等の捜査を受けます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるなどとして検察官が請求し、裁判官が許可すれば、さらに10日間勾留(こうりゅう)と呼ばれる身体拘束がされる可能性があります。
この勾留期間はさらに10日間延長されることもあります。

弁護士としては、勾留を防いで早期に釈放されるよう、逃亡や証拠隠滅のおそれがないといえる理由をまとめた意見書を提出するなどの弁護活動を行います。
釈放されれば、自宅から警察署や検察庁に出向いて取調べを受けるという流れになるでしょう。

勾留された場合はその期間の最後に、勾留されなかった場合は捜査が終わり次第、検察官が被疑者を刑事裁判にかけるか(起訴)、かけないか(不起訴)の判断をします。

このうち起訴には①正式起訴②略式起訴があります。
①正式起訴されると刑事裁判が開かれ、事件によって懲役刑の実刑判決執行猶予判決罰金刑の判決を受けたり、まれに無罪判決がなされることになります。
一方、②略式起訴は比較的軽い事件でなされることが多いです。
法廷での刑事裁判は開かれず、簡単な手続で罰金を納付して終わるということになります。

さらに、より軽い事件などでは検察官が不起訴処分として、前科も付かずに刑事手続が終わる場合があります。
今回は大目に見てもらうということです。

~お早めのご相談を~

加害者側の弁護士としては、出来るだけ軽い処分や判決となるために、被害者に謝罪賠償して示談するなどの弁護活動をすることになります。

しかし性犯罪などでは、被害者の方々が、加害者やその家族に対して連絡先を教えたくない、あるいは直接交渉したくないということも当然ながら多く、弁護士が間に入り示談するしかない場合も多いです。
ぜひ一度、弁護士にご相談いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では初回接見のご依頼を、逮捕されていない場合やすでに釈放された場合には、事務所での無料法律相談をご利用いただけます。
あなたやご家族が犯罪をした、あるいは犯罪をしたと疑われている場合には、ぜひお早めにご連絡ください。

パンツ盗撮で逮捕

2020-02-19

パンツ盗撮で逮捕

女性のパンツを盗撮をして逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【事例】
宮城県名取市に住むAさん。
コンビニで女性のスカート内をスマホで盗撮したところ、女性に気付かれました。
すぐに警察に通報され、Aさんは駆け付けた宮城県岩沼警察署の警察官に逮捕されました。
(事実をもとにしたフィクションです)

~都道府県の条例違反に~

コンビニで盗撮をしたAさん
宮城県の迷惑行為防止条例違反に問われることになるでしょう。
条文を見てみましょう。

宮城県・迷惑行為防止条例
第3条の2第1項
何人も、公共の場所又は公共の乗物において、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような次に掲げる行為をしてはならない。
第3号 人の下着等を撮影し、又は撮影する目的で写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下「写真機等」という。)を向け、若しくは設置すること。

Aさんは赤く色付けした部分に該当することになるでしょう。
ちなみに、撮影に成功しなくても、下着等を撮影する目的でカメラを向けたり設置したりするだけで、この条文に該当することになります。

罰則は、盗撮の常習者ではない場合、16条1項1号により、1年以下の懲役または100万円以下の罰金となります。
常習者の場合はより重く、16条2項により、2年以下の懲役または100万円以下の罰金となります。

Aさんは盗撮を繰り返していました。
それでも、以前に警察に発覚したことがないのであれば、盗撮については一応初犯ということになりますので、非常習者として処罰される可能性も十分あります。
しかし、盗撮の前科がある場合には、常習者として処罰される可能性が上がるでしょう。

~刑事手続きの内容~

犯罪をしたとして逮捕されると、最初に最大3日間警察署等に収容され、取調べ等の捜査を受けます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるなどとして検察官が請求し、裁判官が許可すれば、さらに10日間勾留(こうりゅう)と呼ばれる身体拘束がされる可能性があります。
この勾留期間はさらに10日間延長されることもあります。

弁護士としては、勾留を防いで早期に釈放されるよう、逃亡や証拠隠滅のおそれがないといえる理由をまとめた意見書を提出するなどの弁護活動を行います。
釈放されれば、自宅から警察署や検察庁に出向いて取調べを受けるという流れになるでしょう。

勾留された場合はその期間の最後に、勾留されなかった場合は捜査が終わり次第、検察官が被疑者を刑事裁判にかけるか(起訴)、かけないか(不起訴)の判断をします。

このうち起訴には①正式起訴②略式起訴があります。
①正式起訴されると刑事裁判が開かれ、事件によって懲役刑の実刑判決執行猶予判決罰金刑の判決を受けたり、まれに無罪判決がなされることになります。
一方、②略式起訴は比較的軽い事件でなされることが多いです。
法廷での刑事裁判は開かれず、簡単な手続で罰金を納付して終わるということになります。

さらに、より軽い事件などでは検察官が不起訴処分として、前科も付かずに刑事手続が終わる場合があります。
今回は大目に見てもらうということです。

~前科を防ぐ~

本当に犯罪をしていたとしても不起訴処分で終わるケースは、一般の方が思う以上に多くあります。
しかし、不起訴処分などの軽い処分・判決を目指すには、犯行自体の悪質性が低いことや、前科がない(あるいは少ない)、被害者に謝罪・賠償して示談が締結できている、といった事情があることが重要です。

犯行後に変えることができる事情として重要なのは示談ということになります。
しかし性犯罪などでは、被害者の方々が、加害者やその家族に対して連絡先を教えたくないということも当然ながら多く、弁護士が間に入り、加害者には最後まで名前を伏せて示談するしかない場合も多いです。

示談を締結できたか否かによって、不起訴処分になるかどうかといった結果が変わってくることも多くあります。
不起訴処分とならずに前科が付くと、国家資格の欠格事由となる場合があるなど、予期せぬ影響があるかもしれません。
ぜひ一度、弁護士にご相談いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では初回接見のご依頼を、逮捕されていない場合やすでに釈放された場合には、事務所での無料法律相談をご利用ください。

0120-631-881まで、ご連絡をお待ちしております。

セルフレジでの万引きで逮捕

2020-02-18

セルフレジでの万引きで逮捕

セルフレジで一部の商品の会計をせずに商品を持ち帰って逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【事例】
宮城県塩釜市に住む女性Aさん。
コンビニのセルフレジで万引きをしようと考えました。
カゴに入れた商品すべてのバーコードを読み取ったかのように装い、実は一部の商品のバーコードを読み取らずに買い物袋に入れ、そのまま店を後にしました。
売上金額と商品の数が合わないことから、店側と警察が防犯カメラを調べたところ、女性客が一部の商品のバーコードを読み取らせていない様子が写っていました。
さらなる捜査の結果、その女性客がAさんであることも判明。
Aさんは、宮城県塩釜警察署の警察官によって逮捕されました。
(事実をもとにしたフィクションです)

~セルフレジ万引き~

人手不足が叫ばれている昨今、セルフレジを導入する店が増えてきました。

そこで心配されるのが万引きの増加。
万引き対策として商品の重量を図り、バーコードを読み込んだ商品と袋に入れた商品が一致しているかチェックする機能を有するレジもあります。
しかし、こういった機能があるかないかに関わらず、店員がレジ対応をする場合よりも、その場では気づかれずに万引きする余地が増えているかもしれません。

とはいえ、犯行後に防犯カメラでセルフレジ利用者の不審な動きをチェックすることもできるので、店や警察に最後までバレずに万引きがしやすい状況になったとまでは言い切れないでしょう。
結局、窃盗罪で後日逮捕される可能性が十分考えられるわけです。

刑法第235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

~刑事事件の手続~

犯罪をしたとして逮捕されると、最初に最大3日間、警察署等で身体拘束され、取調べ等の捜査を受けます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるなどとして検察官が請求し、裁判官が許可すれば、さらに10日間、勾留(こうりゅう)と呼ばれる身体拘束がされる可能性があります。
この勾留期間はさらに10日間延長されることもあります。

弁護士としては、勾留を防いで早期に釈放されるよう、逃亡や証拠隠滅のおそれがないといえる理由をまとめた意見書を提出するなどの弁護活動を行います。
釈放されれば、自宅から警察署や検察庁に出向いて取調べを受けるという流れになるでしょう。

勾留された場合はその期間の最後に、勾留されなかった場合は捜査が終わり次第、検察官が被疑者を刑事裁判にかけるか(起訴)、かけないか(不起訴)の判断をします。

このうち起訴には①正式起訴②略式起訴があります。
①正式起訴されると刑事裁判が開かれ、事件によって懲役刑の実刑判決執行猶予判決罰金刑の判決を受けたり、まれに無罪判決がなされることになります。
一方、②略式起訴は比較的軽い事件でなされることが多いです。
法廷での刑事裁判は開かれず、簡単な手続で罰金を納付して終わるということになります。

さらに、より軽い事件などでは検察官が不起訴処分として、前科も付かずに刑事手続が終わる場合があります。
今回は大目に見てもらうということです。

~軽い処分・判決と更生を目指して~

被害金額にもよりますが、一般的に万引き事件では、初犯だと警察による注意のみで終わる(微罪処分)、あるいは不起訴処分で終わり、再犯すると罰金刑、さらに再犯すると執行猶予の付いた懲役刑の判決、最後に実刑判決というように、だんだんと重い処分・判決がなされる傾向にあります。

いずれにしろ出来るだけ軽い処分や判決目指すには、被害店舗に謝罪・賠償して示談が締結できている、万引きがやめられない依存症のような状況(クレプトマニア)なのであれば治療をはじめた、といった事情があることが重要です。

弁護士は示談交渉を行ったり、クレプトマニアの治療を行っている病院を紹介するなどして、軽い処分・判決を目指すとともに更生に向けたお手伝いを致します。
ぜひ一度ご相談いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では、ご家族などから初回接見のご依頼をいただければ、拘束されている警察署等にて、ご本人に面会(接見)し、事件の内容を聴き取った上で、今後の見通しなどをご説明致します。
接見後には、接見の内容などをご家族にお伝え致しますので、それを聞いていただいた上で、正式に弁護活動を依頼するかどうかを決めていただけます。

また、逮捕されていない場合やすでに釈放された場合には、事務所での法律相談を初回無料でご利用いただけます。

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虐待で逮捕

2020-02-17

虐待で逮捕

親が子供への虐待で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【事例】
宮城県村田町に住む男性Aさん。
妻の小学生の連れ子Vさんに対し、日常的に暴力を振るったり、満足に食事を与えなかったり、性的暴行を加えたりしていました。
Vさんの学校の先生が、Vさんが異常に痩せ細り、身体に傷があることに気が付いたことから、Vさんに事情を聞いたところ、上記のような虐待を受けていることが判明。
警察や児童相談所などに報告しました。
その後Aさんは、宮城県大河原警察署の警察官により逮捕されました。
(事実をもとにしたフィクションです)

~虐待で成立する犯罪~

親による子供への虐待は、外部の人にとっては見つけることが難しい面があり、子供が泣き寝入りしてしまうことも多いでしょう。
そこで、児童虐待防止法児童福祉法に基づき、虐待を発見した者は福祉事務所や児童相談所に伝える義務が全ての国民に課せられています。
この義務を果たさなくても罰則はありませんが、虐待が疑われる場合には、ためらわずに通告するのが望ましいといえます。

何らかのルートにより虐待が見つかった場合、必要であれば子供は児童相談所などで保護されることになりますが、親は犯罪者として警察から取調べを受けたり、逮捕される可能性があります。

虐待で成立する可能性がある犯罪としては以下のように、傷害罪や保護責任者遺棄罪、強制性交等罪や監護者性交等罪など様々なものが考えられます。

~傷害罪~

まずは傷害罪の条文を見てみましょう。

刑法第204条
人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

暴力により子供をケガさせれば、当然ながら傷害罪が成立することになるでしょう。
もちろん、子供が死亡すれば殺人罪傷害致死罪が成立する可能性もあります。

第199条
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。
第205条
身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、三年以上の有期懲役に処する。

~保護責任者遺棄罪~

同居する親は子供の衣食住を確保しなければなりません。
この義務に違反して、食事を与えないなどのネグレクトをすると保護責任者遺棄罪が成立したり、子供が健康を害するに至ると保護責任者遺棄致傷罪が成立する可能性があります。

第218条
老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、三月以上五年以下の懲役に処する。
第219条
前二条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

子供が死亡するに至れば保護責任者遺棄致死罪殺人罪が成立する可能性もあります。
ちなみに保護責任者遺棄致傷罪は3か月以上15年以下の懲役、保護責任者遺棄致死罪は3年以上の有期懲役(余罪がなければ上限は20年)です。

~強制性交等罪・監護者性交等罪~

子供に13歳以上の者を暴行または脅迫を用いてレイプした場合、あるいは暴行・脅迫を用いなくても13歳未満の子供と性交した場合には、強制性交等罪が成立します。

第177条
十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

また、18歳未満の子供に対し、暴行・脅迫を用いなくても、親という強い立場を利用して抵抗を難しくし、性交をした場合には監護者性交等罪が成立する可能性もあります。

第179条2項
十八歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて性交等をした者は、第百七十七条の例による。

たとえば、「他の人に言ったら、家族がバラバラになっちゃうよ」「家にいられなくなっちゃうよ」などと言って心理的に抵抗を難しくし、性交したような場合にこの罪が成立する可能性があります。
177条の強制性交等罪と同様、5年以上の有期懲役(余罪がなければ上限は20年)となります。

性交に至らなくても、身体に触るなどのわいせつな行為をすれば強制わいせつ罪監護者わいせつ罪などが成立する可能性もあります。

第176条
十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
第179条1項
十八歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をした者は、第百七十六条の例による。

~弁護士にご相談を~

このように、虐待をすると様々な犯罪が成立する可能性があります。
もしご家族や親族が虐待事件を起こし逮捕されたという場合には、警察や検察の取調べの末に刑事裁判が開かれ、有罪となれば刑罰を受けるという流れになることが予想されます。

どのような手続が進んでいくのか、どのくらいの刑罰を受けるのか、家族関係はどうなってしまうのかなど、不安なことが多いと思いますので、ぜひ弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
すでに逮捕されている事件では初回接見サービスを、逮捕されていない事件では無料法律相談をご利用いただけます。
お早めのご連絡をお待ちしております。

バスの無賃乗車で取調べ

2020-02-16

バスの無賃乗車で取調べ

バスの無賃乗車を繰り返し、警察の取調べを受ける場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【事例】
宮城県仙台市に住むAさん。
バスに乗車した際、運転手に対し、
「財布を忘れてしまって…」
などとウソをつき、
「今度ちゃんと払ってくださいね」
などと言ってもらって、料金の支払いを免れる行為を繰り返していました。
同じ運転手に対し同じ手を使ったことから怪しまれるようになり、バス会社の中で情報共有がなされるように。
再びAさんが同じ手口を使おうとしたとき、運転手が気が付き、
「いつも払ってないよね?身分証見せてもらえる?」
と言いました。
「ついに見つかったか」
と観念したAさん。
素直に身分証を提示し、その日はバスを降ろされました。
後日、相談を受けた仙台中央警察署からAさんに電話があり、取調べのために警察署に来るよう言われました。
(事実をもとにしたフィクションです)

~詐欺罪が成立~

バスで運転手をだまし、無賃乗車を繰り返していたAさん。
詐欺罪が成立することになるでしょう。
条文を見てみます。

刑法246条1項
人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
第2項
前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

第1項が、物をだまし取った場合の規定で、第2項が人をだまして財産上の利益を得た場合の規定です。
今回は物をだまし取ったのではなく、運転手をだまして乗車料金を免れるという財産上不法の利益を得たパターンなので、2項が成立することになります。

罰則は10年以下の懲役なので、条文上は長期間の懲役の可能性もある立派な犯罪になってしまうわけです。

~今後の展開は?~

今回のように逮捕されずに捜査が進められる事件を在宅事件と言います。

在宅事件では、警察からの呼び出しに応じて警察署に出向き、取調べ現場検証などの捜査を受けます。
一通りの捜査が終わると、捜査書類が警察から検察に送られます(書類送検)。
書類送検を受けた検察官は、さらに取調べなどの捜査をした上で、その犯罪をしたと疑われている被疑者を、刑事裁判にかけるか(起訴)、かけないか(不起訴)の判断をします。

このうち起訴には①正式起訴②略式起訴があります。
①正式起訴されると刑事裁判が開かれ、事件によって懲役刑の実刑判決執行猶予判決罰金刑の判決を受けたり、まれに無罪判決がなされることになります。
一方、②略式起訴は比較的軽い事件でなされることが多いです。
法廷での刑事裁判は開かれず、簡単な手続で罰金を納付して終わるということになります。

さらに、より軽い事件などでは検察官が不起訴処分として、前科も付かずに刑事手続が終わる場合があります。
今回は大目に見てもらうということです。

~軽い結果を目指すには~

前述のように、条文上は長期間の懲役もありえます。
しかし、特殊詐欺などに比べると今回のような無賃乗車は被害金額も少ないでしょうし、前科の有無などにもよりますが、不起訴処分略式起訴で罰金に終わる可能性も十分考えられます。

ただ、軽い結果を目指すうえでは、バス会社に謝罪・弁償して示談することも重要となってきます
示談を締結できたか否かによって結果が変わってくることも多くあります。

しかしご自身やご家族では、相手に何と言って示談をお願いすればいいのか、示談金額をいくらにしたらよいのか、示談書の文言はどうしたらよいのかなど、わからないことも多いと思います。
また、警察の取調べではどんなことを聞かれるのかなど、不安も強いと思います。

そこでぜひ一度、弁護士にご相談いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
無料法律相談を行っておりますので、ぜひご利用ください。
なお、すでに逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスをご利用ください。

交通事故で取調べ

2020-02-15

交通事故で取調べ

交通事故で人を死傷させ、警察の取調べを受ける場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

【事例】
宮城県涌谷町に住むAさん。
自動車を運転中に、一時停止の標識を見落としてしまい、減速せずに直進。
歩行者をはねてしまい、1人を死亡、もう1人を負傷させてしまいました。
Aさんは駆け付けた宮城県遠田警察署の警察官により、一通りの事情聴取を受けました。
後日、再び警察署に呼ぶと言われたAさん。
心配になって弁護士に相談してみることにしました。
(フィクションです)

~過失運転致死傷罪に~

自動車を運転中に不注意で交通事故を起こした場合、被害者が負傷すると過失運転致傷罪に、死亡すると過失運転致死罪に問われる可能性があります。
条文を見てみましょう。

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律
第5条
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

この条文の1文目では、被害者の負傷と死亡を合わせて「死傷」と規定し、どちらも法定刑(法律に定められた刑罰)は同じですが、死亡の方が重い判決となる傾向にあります。
また2文目により、被害者が軽い負傷にとどまった場合には、運転者の不注意の程度なども考慮の上、刑罰が免除される可能性があります(執行猶予とは別の制度です)。

Aさんの場合には、死亡と負傷が1人ずつという結果です。
したがって、理論的には過失運転致死罪過失運転致傷罪が1つずつ成立することになります。

ただ、1つの事故で2人以上の人を死傷させた場合、重い方の過失運転致死罪の法定刑の範囲で処罰されることになるでしょう(刑法54条1項参照)。
したがって、7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金となり、刑罰が免除される可能性はありません。
執行猶予が付く可能性はありますが、猶予期間中に何らかの犯罪をした場合には、猶予が取り消され刑罰を受けることになるという点が、完全に刑罰を受けることがなくなる刑の免除と違う点です。

なお、この刑事処分とは別に、免許停止免許取消処分になる可能性もあります。
死亡事故を起こした場合、過去3年間の交通違反での処分歴がなく、今回の事故の過失(不注意の程度)が軽い場合には90日間の免許停止になりますが、それ以外の場合は免許取消となります。

詳しくはこちらのページをご覧ください。
交通違反点数制度と一覧表

~弁護士にご相談を~

今後Aさんは、自宅から警察署や検察庁に行って取調べを受けたのち、裁判所に行って裁判を受ける流れが予想されます。
このように逮捕されていない事件を「在宅事件」と言います。

在宅事件では、逮捕されないという大きなメリットがありますが、逆に裁判が始まるまでの期間は、国の費用で弁護士を付けてもらえる国選弁護人の制度を利用することができません。
しかし、取調べにはどう対応したら良いのか、謝罪や賠償、示談などはどうやったらいいのかなど、わからない点が多いと思いますので、ぜひ一度弁護士にご相談いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、交通事件を含む刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
在宅事件では無料法律相談を、万が一逮捕されている事件では初回接見サービスのご利用をお待ちしております。

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