ホテルの朝食ビュッフェを無銭飲食したとして、建造物侵入罪と窃盗罪で逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
参考事件
無職のAさんは、宮城県大崎市にあるホテルで実施している朝食ビュッフェの会場に紛れ込み、朝食ビュッフェを無銭飲食しました。
そのホテルでは宿泊客に、朝食ビュッフェを無料提供しており、宿泊客以外はお金を支払っても朝食ビュッフェを利用することはできません。
またビュッフェ会場には、接客担当の従業員は常駐しておらず、客はカウンターに陳列された食事を自由に取って、自分のテーブルで食事をするセルフサービスのシステムです。
そういったシステムを悪用して、Aさんはこれまでも何度か、ホテルの朝食会場に紛れ込んで、朝食ビュッフェを食べていたのですが、ある日、朝食ビュッフェ会場で食事していたところ、ホテルの従業員に声をかけられて、無銭飲食が発覚してしまったのです。
そしてホテルの従業員の通報で駆け付けた、宮城県古川警察署の警察官によって、建造物侵入罪と窃盗罪で逮捕されてしまいました。
(実際に起こった事件を参考にしたフィクションです。)
建造物侵入罪
刑法130条には、「正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し~(中略)~3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。」と、建造物侵入罪等が規定されています。
そして同じ刑法第130条の後段には、不退去罪が規定されています。
刑法第130条(前段)に規定されている住居侵入罪、邸宅侵入罪、建造物侵入罪、艦船侵入罪は、人の住居、邸宅、建造物、艦船に、それらの住民や看守者の許可なく不法に侵入することによって成立する犯罪です。
ここでいう「建造物」とは、住居・邸宅以外の建物を指し、建造物のある塀や堀で囲まれた敷地(これを「囲繞地」と呼ぶ)も含まれます。
また「看守」とは建造物などを事実上管理、支配するための人的な、もしくは物的な設備を施すことを意味します。
窃盗罪
そして刑法235条に規定されているのが窃盗罪です。
窃盗罪は「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」と定められています。
ここでいう「窃取」とは、他人が占有する財物の占有を、占有者の意思に反して侵害し、自己または第三者の占有下に移すことを意味します。
「占有」とは財物に対する事実上の支配、管理のことを指しています。
朝食ビュッフェを無銭飲食すると(牽連犯について)
飲食店での無銭飲食は詐欺罪が適用されるのが通常ですが、今回の事件は建造物侵入罪と窃盗罪が適用されています。
おそらく詐欺罪の成立に必要不可欠とされる「欺罔行為(人を騙す行為)」が認められなかったのでしょう。
今回の事件ように、複数の犯罪が手段と目的の関係にある場合を、「牽連犯」と言います。
牽連犯は、その複数の罪のうち、最も重い法定刑によって処断が決定されます。
Aさんの場合、無銭飲食(窃盗罪)するのが目的で、ホテルのビュッフェ会場に不法侵入(建造物侵入罪)しています。
建造物侵入罪の法定刑は「3年以下の懲役又は10万円以下の罰金」となっていますが、窃盗罪の法定刑は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」なので、参考事件のAさんにはより重い窃盗罪の法定刑が適用されます。
まずは弁護士に相談を
警察に逮捕されたからといって、必ず刑事罰が科せられるわけではありません。
今後、Aさんがどういった刑事罰を受けるかは、これからどういった弁護活動をするかによって大きく変わってきます。
ですから、こういった刑事事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部にご相談ください。
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