玉沢元農水相に発砲して逮捕【銃刀法違反・殺人未遂罪】
2019年12月10日、岩手県盛岡市内において、玉沢徳一郎元農水相に発砲した男が、盛岡東警察署の警察官によって逮捕されました。
どのような罪が成立することになるのか、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
~銃刀法に違反~
はじめに、銃刀法違反について説明致します。
犯人は拳銃を所持していたわけですが、銃刀法の以下の条文に違反することになります。
銃砲刀剣類所持等取締法
第3条1項
何人も、次の各号のいずれかに該当する場合を除いては、銃砲又は刀剣類を所持してはならない。
一号 法令に基づき職務のため所持する場合
二号以下 省略
警察官が職務で所持するなどの例外を除き、銃砲(拳銃など)を所持することが禁止されているわけです。
続いて、罰則が定められた条文を見てみましょう。
第31条の3第1項
第三条第一項の規定に違反してけん銃等を所持した者は、一年以上十年以下の懲役に処する。この場合において、当該けん銃等の数が二以上であるときは、一年以上十五年以下の懲役に処する。
第2項
前項の違反行為をした者で、当該違反行為に係るけん銃等を、当該けん銃等に適合する実包又は当該けん銃等に適合する金属性弾丸及び火薬と共に携帯し、運搬し、又は保管したものは、三年以上の有期懲役に処する。
これらの条文をまとめると、
①拳銃1丁のみを所持した場合には、1年以上10年以下の懲役
②拳銃2丁以上を所持した場合には、1年以上15年以下の懲役
③拳銃の数に関わらず、実弾も一緒に所持していた場合には、3年以上の有期懲役(余罪がなければ上限は20年)
ということになります。
今回の事件の犯人は実際に発砲したわけですから、③に該当するでしょう。
なお、暴力団などによる組織的な犯行として行われた場合には、より重く罰せられる可能性があります(第31条の3第3項参照)。
~殺人未遂罪も~
今回、玉沢元大臣は一命をとりとめました。
仮に犯人が玉沢さんを殺すつもりはなく、至近距離から、手や足などを狙った場合には、死亡する可能性が低かったとして、銃刀法違反の他には傷害罪が成立するにとどまる可能性もゼロではありません。
刑法第204条
人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
しかし通常、拳銃を人に向けて発砲すれば、人が死ぬ可能性があるわけですから、殺人未遂罪が成立する可能性が高いでしょう。
第199条
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。
第203条
第百九十九条及び前条の罪の未遂は、罰する。
~犯罪をしたら弁護士に相談を~
銃刀法違反や殺人未遂をはじめ、何らかの犯罪をして逮捕されると、本人はもちろん、家族の方は、釈放の見込みはあるのか、刑事手続はどのように進んでいくのか、どのくらいの刑罰を受けそうか等々、わからないことも多いと思いますので、ぜひ弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などから初回接見のご依頼をいただければ、拘束されている警察署等にて、ご本人に面会(接見)し、事件の内容を聴き取った上で、今後の見通しなどをご説明致します。
接見後には、接見の内容などをご家族にお伝え致しますので、それを聞いていただいた上で、正式に弁護活動を依頼するかどうかを決めていただけます。
また、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では、弁護士事務所での法律相談を初回無料で行っております。
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