万引きから裁判員裁判に!?
宮城県川崎町に住むAさんは,コンビニエンスストアで万引きをしました。
店を出たAさんは,従業員から「お金を払っていない商品がありますよね」と声をかけられ,逃げようと思い,とっさに従業員を突き飛ばして,軽傷を負わせてしまいました。
Aさんは通報によって駆け付けた宮城県警察大河原警察署の警察官によって事後強盗致傷罪で現行犯逮捕されました。
(フィクションです)
~魔が差したことで裁判員裁判に~
店舗の商品を万引きする行為は窃盗罪として処罰されます(刑法235条)。
万引きした商品の金額にもよりますが,初犯であれば,正式裁判とならずに略式裁判で罰金刑となることもあります。
もっとも,事例のAさんのような場合,略式裁判どころか裁判員裁判となって厳罰が科される可能性が出てきます。
通常の窃盗罪と異なり,これほどまでに罪が重くなるのは,どのような理由があるのでしょうか。
その答えは,刑法が定めている罰則を見ると理解できます。
商品の万引きだけなら窃盗罪として扱われますが,事例のAさんのように,被害を受けた店舗の従業員に暴力を振るった場合,刑法238条が定める事後強盗罪として扱われます。
刑法238条は,窃盗を行った人を特定の条件下で「強盗として論ずる」と規定しています。
すなわち,強盗罪(刑法236条)と同じ罰則が適用されるため,「5年以上の有期懲役(懲役刑)」が刑罰として下されます。
罰金処分が定められていないため,不起訴処分にならない限り,必ず正式裁判となってしまいます。
減刑事情がなければ執行猶予もつかず,刑務所に服役することになります。
これだけでも相当に重い処分となりますが,Aさんのように怪我までさせてしまうと,強盗致傷罪(刑法240条)となってしまい,裁判員裁判の対象事件となります。
裁判員裁判となった場合,裁判が開かれるまである程度の期間を要し,それだけ釈放が遅れるおそれがあります。
罰則も「無期(無期懲役)又は6年以上の懲役」とされているため,事後強盗罪以上に重い処分となります。
~早期の示談が処分を左右する~
このように,たった1回の万引きから,極めて重い刑事処分が下りうる裁判員裁判になってしまうことがあります。
事例のAさんのように,万引きをして逃げようとした結果,事後強盗致傷罪になってしまうことは珍しくありません。
もっとも,逮捕直後に弁護士に依頼をして示談を成立させることで,裁判員裁判となることを回避できる可能性があります。
被害者の方の怪我の程度にもよりますが,幸いにして軽傷で済んだような場合は,弁護士を通じて示談を行うことで,検察官が事後強盗致傷罪ではなく,窃盗罪と傷害罪(刑法204条)によって処分を下すことがあります。
窃盗罪と傷害罪として扱われた場合,示談の内容によっては,不起訴処分となり,そもそも刑事裁判となることを回避できることもあり得ます。
その場合,留置所における身体拘束も一定期間にとどめることが期待できます。
示談が成立するかどうかで最終的な処分に影響が出るのは他の事件の場合も同様ですが,事例のAさんのように事後強盗致傷罪で逮捕されたようなケースでは,不起訴処分と裁判員裁判という極めて大きな差異をもたらすことも考えられます。
検察官は勾留の期間内に処分を決めるため,裁判員裁判を回避するには,検察官が処分を下す前に示談を成立させることが必要です。
そのためにも,逮捕直後に示談交渉を始めとする刑事事件の経験豊富な弁護士に依頼をすることが何より重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,刑事事件・少年事件を専門に扱う弁護士があなたをサポートします。
ご家族が事後強盗致傷罪で逮捕されてしまいお悩みの方は,弊所の初回接見サービスをご利用ください。
示談の見通しを始めとして,刑事事件・少年事件に精通した弁護士が適切なアドバイスを行います。
(宮城県大河原警察署への初回接見費用:41,600円)