大手全国チェーンの回転すし店でのイタズラ動画がSNSで拡散されて問題になっているようです。
イタズラの内容は、レーンの上を回っている寿司(2カン)を1カンだけ取って食べたり、客が注文した寿司が流れる専用レーンを流れている寿司に大量のワサビを入れたり等、単なるイタズラでは済まされない酷いものです。
そこで本日のコラムでは、こういったイタズラ行為が刑事事件に発展した場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
業務妨害
こういったイタズラ行為が刑事事件化された際に適用される可能性が高いのが業務妨害の罪でしょう。
業務妨害の罪には、偽計業務妨害罪と威力業務妨害罪の2種類がありますが、どちらの法律が適用されたとしても、起訴されて有罪となった場合に科せられる刑事罰は「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」です。
偽計業務妨害と威力業務妨害、共に人の業務を妨害するという点では同じですが、業務を妨害する手段が異なります。
人の意思を制圧するような威力を用いると威力業務妨害罪となり、威力に当たらない方法で人の業務を妨害すれば偽計業務妨害罪となるのです。
どちらが適用されるかはイタズラの内容にもよりますが、何れにしてイタズラ行為を見た人たちが不快に思ったり、嫌悪感を持つことは明らかで、それが原因で寿司屋の客足が減ったり、苦情の電話対応等で本来の業務に支障が出ることは明らかですので、イタズラ行為に対しては業務妨害罪が適用されるでしょう。
またイタズラ行為をした人だけでなく、その行為を撮影し、SNS等に投稿した人も、こういった罪に問われる可能性があります。
窃盗罪
レーンの上を回っている寿司(2カン)を1カンだけ取って食べる行為に関しては、単純に窃盗罪が成立する可能性があります。
窃盗罪の法定刑は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」と、業務妨害罪に比べると重たくなっていますが、実際にどの程度の刑事罰が科せられるかは、被害額が影響してきます。
寿司1カンだと数百円程度でしょうから、窃盗罪が適用された場合、犯人に対して厳しい処罰は望めないかもしれません。
イタズラ行為が業務妨害罪に発展
今回の事件でお店側が警察に被害届を提出したかどうかは分かりませんが、SNSに拡散されたイタズラ動画が発端となって刑事事件に発展するのはよくあることです。
特に飲食店等、食品を扱うお店では、こういった事が客足に大きく影響するので、厳格に対応する傾向があります。
ちょっとした軽い気持ちでした行為が取り返しのつかないことに発展する可能性もあるので注意が必要です。
もしこういった事で、弁護士へのご相談を希望の方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部をご利用ください。