在宅事件で弁護士を雇うメリット【私選弁護人】

在宅事件で弁護士を雇うメリット【私選弁護人】

犯罪をしてしまった場合、逮捕されて捜査や裁判が進んでいく事件(逮捕事件・身柄事件)と、逮捕されずに呼び出しに応じて警察署や検察庁に出向いて取調べを受けたり、裁判所に出向いて裁判を受ける事件(在宅事件)があります。

今回は在宅事件の流れを説明した後、自費で弁護士に依頼すること(私選弁護人)のメリットやデメリットを、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。

~在宅事件の手続の流れ~

犯罪をすると逮捕されるというイメージを持たれている方も多いと思います。
しかし比較的軽い犯罪で、前科がない(あるいは少ない)といった場合には、逮捕されずに在宅事件として捜査が進められることも多いです。

パターンのひとつとしては、犯罪を行った現場に警察官が駆け付け、一通り事情聴取された後、今日は帰っていいと言われ、後日警察署などに呼び出され追加の取調べを受けるというものが考えられます。

もうひとつのパターンとしては、犯罪をした後に現場を立ち去ったが、被害者の通報や被害届の提出により警察が捜査をして犯人を割り出し、後日、警察が犯人に電話などで連絡を取り、取調べのために警察署などに呼び出すというものが考えられます。

どちらのパターンでも、最初に警察が捜査をし、一通りの捜査を終えたら検察官に捜査を引継ぎます。
この引継ぎは、犯人は在宅のままで事件関係の書類のみを検察官に送るので、書類送検と呼ばれています。

書類送検を受けた検察官は追加で取調べを行います。
その上で、犯人を裁判にかけるか(起訴するか)を判断します。

犯人が罪を認めて反省している、被害者に賠償して示談が成立しているといった事情があれば不起訴処分をし、前科も付かずに手続が全て終わることもあります。
犯罪をして捜査を受けても、今回は大目に見てやるということで、不問に終わることもあるわけです。

また、罰金刑が定められている犯罪の場合には、簡易な手続で罰金刑にする略式起訴がなされることもあります。
この場合、有罪には変わりなく、前科も付いてしまいますが、一般人に公開された法廷で裁判を受けるといったことはありません。

在宅事件でもある程度重い事件では、通常起訴されることもあります。
裁判の日に裁判所に出向いて、公開の法廷で裁判を受けることになります。
裁判では実刑判決を受けて服役する可能性もありますが、比較的軽い事件として在宅捜査がなされていたことを考えると、執行猶予判決が言い渡されるパターンが多いです。

なお、①逮捕され、私選弁護人も付けなかったが、勾留されずに釈放された場合や、②勾留されて被疑者国選弁護人が付いた後、準抗告という不服申し立て手続きをしてもらい、勾留が取り消されて釈放された場合にも、以下の在宅事件の説明が当てはまります。

~私選弁護人を雇うメリットは?~

聞いたことがある方も多いと思いますが、犯罪をしたときに、国の費用で弁護士を付けてもらえる国選弁護という制度があります。
しかし国選弁護は、起訴された後であれば、在宅事件でも使うことができますが、起訴される前は身柄拘束されている場合しか使うことができません。
したがって起訴前の在宅事件で弁護士を付けたい場合には、自費で弁護士を雇う必要があります。

もちろん、弁護士を付けずに手続きを進め、起訴されたら国選弁護人にお願いするということもできます。
では、それでも自費で弁護士を付けるメリットは何でしょうか。

一番は、被害者のいる事件で、示談を成立させやすい点があげられます。
被害者に賠償して示談を締結できているかという点は、検察官が起訴するかどうか、あるいは裁判官がどのような判決を下すか、という判断に対し大きな影響を与えます。
同じような2つの事例で、示談できた方が不起訴、出来ていない方が罰金などというように、直接的に結果が変わることも多くあります。
したがって、示談を締結するのは非常に重要となります。

しかし、特に性犯罪などで多いのですが、犯人は被害者の連絡先を知らず、被害者としても犯人に個人情報を教えることに抵抗があり、教えてくれない場合があります。
そうなると、示談をしたくても不可能です。

しかしそれでも、弁護士に対してだけであれば教えてくれるパターンも多いです。
すなわち、警察や検察から、犯人の弁護士に被害者の連絡先を伝え、弁護士が被害者に連絡を取った上で、犯人を同席させずに示談を締結するのです。
交わした示談書には被害者の名前が記載されますが、弁護士は犯人に対し、被害者の名前をマスキングしてからコピーしたものを渡します。
もちろん弁護士は事前に双方と打ち合わせを重ねた上で示談をするので、勝手に莫大な金額で示談するということはありません。

このように弁護士が間に入る方法であれば、犯人に個人情報を知られずに賠償金を受け取れるので、示談に応じてもよいと考える方も多くいらっしゃるのです。

このような役割は弁護士にしか担えません(弁護士以外の方が行うと弁護士法違反などになる可能性があります)。
また、起訴された後に選任される国選弁護人にこの役割を担ってもらい、軽い判決を目指すことは出来ますが、既に起訴されてしまっているわけですから、前科が付かない不起訴処分になる余地はなくなってしまいます。

私選弁護人の他のメリットとして、取調べでの対応の仕方などのアドバイスを随時受けられるといった点もあります。

また、起訴された場合の国選弁護人は、どの弁護士に頼むか選ぶことは出来ません。
良い弁護士に当たれば全く問題ないですが、あまり刑事事件に慣れていない弁護士に当たることもあります。
私選弁護人は、これまでの経験や法律相談で感じた弁護士への印象などをもとに、自分で選ぶことができるというメリットもあります。

このように、在宅事件は比較的軽い事件ではありますが、逆に国選弁護人を付けられる範囲が狭いことから、自ら弁護士を付けるか否かという点で結果が変わりやすいところがあるわけです。

~私選弁護人を雇うデメリットは?~

一方、最大のデメリットはもちろん、費用がかかることでしょう。
事務所や事件内容によって金額は違いますが、ある程度の金額をお支払いいただくことになってしまいます。

また、費用をかけた割には結果に結びつかないこともあります。
たとえば被害者が、犯人を重く処罰してほしいという思いを強く持っていたり、弁護士相手であっても個人情報を教えるのは不安だという理由により示談に応じてもらえない、というパターンもあります。
このような場合は、弁護士が入らなくても、あるいは誰が弁護士になっても結果が変わらないということもあります。

他には、被害者の連絡先がわかっており、冷静に対応してくれる被害者であれば、自ら謝罪・賠償をした上で示談書を締結し、それを取調べの際に警察官や検察官に示すということも不可能ではありません。

このように、弁護士費用に見合うメリットがあるかどうかは、事件次第という所になってきます。

~1度ご相談ください~

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
刑事事件・少年事件に特化した事務所ですので、経験豊富な弁護士が対応いたします。

事務所での法律相談は初回無料でお受けいただけます。
事件の見通しや、刑事手続の説明の他、弁護士費用がどれくらいかかるのか、今回私選弁護人を雇うメリットがあるのかといった点もご説明致しますので、それを聞いていただいた上で、正式に弁護活動を依頼するかどうかを決めていただけます。

ご相談のお電話は24時間365日受け付けておりますので、まずは一度、0120-631-881までご連絡ください。

〈関連リンク〉
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