テレビ番組を違法アップロードして捜索差押え
宮城県角田市に住むAさんは18歳の高校3年生。
遊ぶ金欲しさから、テレビ番組をYouTubeにアップロードして広告収入を稼いでいました。
何度かテレビ局から削除要請が出され、アップロードした動画が削除されたり、アカウントが凍結されたりしましたが、新たにアカウントを作り、アップロードする行為を繰り返していました。
ある日、Aさんと両親が住む家に宮城県警の警察官が訪れ、著作権法違反容疑での捜索差押令状を示されました。
両親は何のことかわからず、Aさん自身もこんなことになるとは予想していなかったので驚きを隠しきれない様子。
警察官たちは家の中を捜索し、Aさんのパソコン等を押収していきました。
Aさんはどうなってしまうのでしょうか。
(フィクションです)
~違法アップロードは著作権法違反~
インターネットの動画サイトでは、多くの違法アップロード動画が公開されています。
そのすべてを取り締まるのは難しく、無法地帯ともいえる状況です。
しかし、警察も捜査を行っているので、Aさんのように事件化するケースもあります。
著作権法のうち、Aさんが該当しうる部分の一部を解説いたします。
テレビ番組は、テレビ局や制作会社、その他番組制作にかかわった者が著作権などの権利を有しており、テレビ放送やネット配信、DVD販売などをする権利を独占的に有しています。
著作権法
第23条第1項
著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行う権利を専有する。
第2項
著作者は、公衆送信されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利を専有する。
第26条第1項
著作者は、その映画の著作物をその複製物により頒布する権利を専有する。
第2項
著作者は、映画の著作物において複製されているその著作物を当該映画の著作物の複製物により頒布する権利を専有する。
したがって、第三者がその公開をするためには、これらの著作権者等に許可を得る必要があります。
許可なくアップロードした場合には、以下の罰則規定が適用される可能性があります。
第119条1項(一部省略)
著作権、出版権又は著作隣接権を侵害した者…は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
有罪となった場合にどの程度の量刑となるかは、被害の大きさや反省度合い、前科の有無等によりますが、条文上はかなり重い処罰もなされ得ることになっています。
~今後の手続の流れ~
警察は、押収したパソコンなどを分析するなどして証拠を集め、Aさんを逮捕せずに証拠一式や関係書類を検察官に送り(書類送検)、検察官はさらに取調べ等をした上で事件を家庭裁判所に送る(家裁送致する)ことが考えられます。
また、事件の内容等によってはAさんを逮捕し、最大23日間の身体拘束をして家裁送致することも、考えられなくはありません。
家庭裁判所に送致されると、今回の犯行についての調査の他、Aさんの性格や生い立ち、家庭環境などを調査し、どのような処分がAさんの今後にとって適切か判断します。
その結果、処分が必要ないとされれば少年審判(成人事件の刑事裁判に相当)が開始されずに事件終了となります(成人事件の不起訴に相当)。
一方、少年審判が開始されると、上記調査結果等を踏まえ、裁判官が少年の処分を決定します。
処分の内容としては一般に、不処分(無罪判決や不起訴に相当)、保護観察(執行猶予に相当)、児童自立支援施設等への送致、少年院送致などが考えられます。
~弁護士に相談を~
Aさんのような捜査を受けた場合、今後逮捕されるのか、少年審判が開始されるのか、開始されればどのような処分となるのか等々、多くの不安があると思います。
学校から退学や停学の処分を受けないか、進学や就職に影響しないかといったところも心配でしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件や刑事事件を専門とする弁護士事務所です。
事務所での法律相談は初回無料となっております。
万が一、すでに逮捕されている場合には、ご家族などからご依頼いただければ、留置されている警察署等にすみやかに接見に伺います。
法律相談や接見では、上記のような不安点に対し、今後の見通しなどを説明させていただきます。
また、正式に弁護をご依頼いただいた際には、少しでも軽い処分になるよう、弁護活動を行ってまいります。
著作権法違反などで捜索差押えなどの捜査を受けた場合は、ぜひ一度ご相談ください。