タイヤをパンクさせた教師が逮捕

タイヤをパンクさせた教師が逮捕

自動車のタイヤをパンクさせた教師が器物損壊罪逮捕された事件がありました。

仙台の中学校教師を逮捕 タイヤパンクさせた疑い
産経新聞

この事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説いたします。

~器物損壊罪~

この事件は、仙台市内の中学校の教師が、面識のない女性の自動車のタイヤをパンクさせたとして器物損壊の容疑で逮捕されというものです。
逮捕された容疑者が住む富谷市内でも同じような事件が相次いでいたことから、余罪についても捜査が進められているとのことです。

器物損壊罪はよく聞く犯罪だと思いますが、条文を見てみましょう。

刑法261条
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

「前三条」には重要な文書を捨てたり建造物を壊した場合が規定されています。
これらの文書・建造物等以外を壊した場合には、261条の器物損壊罪が成立する可能性があるわけです。

「損壊」とは、物を物理的に壊すことのほか、物の効用を害する行為全般を指します。
なお、「傷害した者」という表現も入っていますが、これは動物にケガをさせた場合に成立する犯罪です。

今回の事例のように、自動車のタイヤをパンクさせると走行できなくなるので、タイヤとしての効用を害する行為として「他人の物を損壊」したことになります。
したがって器物損壊罪が成立し、3年以下の懲役または30万円以下の罰金もしくは科料となるわけです。
なお、「罰金」も「科料」も金銭を徴収される刑罰ですが、「罰金」は金額が1万円以上、「科料」は1000円以上1万円未満という違いがあります。

~逮捕後の流れは?~

犯罪をしたとして逮捕されると、最初に最大3日間、警察署等で身体拘束され、取調べ等の捜査を受けます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるなどとして検察官が請求し、裁判官が許可すれば、さらに10日間勾留(こうりゅう)と呼ばれる身体拘束がされる可能性があります。
この勾留期間はさらに10日間延長されることもあります。

一般的に、重い刑罰を受けることが予想される場合ほど、その刑罰から逃れたいと考え、逃亡や証拠隠滅をするおそれが高いと考えられています。
器物損壊罪は、犯罪の中では比較的軽い方の犯罪なので、逃亡や証拠隠滅のおそれがそれほどないと判断されて勾留を免れる可能性も十分考えられます。

もちろん、前科の有無や被害金額にもよりますが、弁護士としても逃亡や証拠隠滅のおそれがないといえる理由をまとめた意見書を提出するなど、早期釈放に向けた弁護活動を行います。

釈放されれば、自宅から警察署や検察庁に出向いて取調べを受けるという流れになるでしょう。

勾留された場合はその期間の最後に、勾留されなかった場合は捜査が終わり次第、検察官が被疑者を刑事裁判にかけるか(起訴)、かけないか(不起訴)の判断をします。

このうち起訴には①正式起訴②略式起訴があります。
①正式起訴されると刑事裁判が開かれ、事件によって懲役刑の実刑判決や執行猶予判決、罰金刑の判決を受けたり、まれに無罪判決がなされることになります。
一方、②略式起訴は比較的軽い事件でなされることが多いです。
法廷での刑事裁判は開かれず、簡単な手続で罰金を納付して終わるということになります。

さらに、より軽い事件や示談が成立した事件などでは検察官が不起訴処分として、前科も付かずに刑事手続が終わる場合があります。
今回は大目に見てもらうということです。

今回の事件のように余罪が多くある場合には不起訴処分になるのは難しいかもしれませんが、出来るだけ多くの被害者の方々に謝罪・賠償して示談を締結できれば、不起訴処分になる可能性や軽い判決になる可能性を上げることができます。

なお、余罪が少ない器物損壊事件などでは、逮捕されずに取調べや裁判手続きが進められる可能性もあります(在宅事件)。
警察から取調べのために警察署に出頭するよう連絡が来た時点で、しっかり反省態度を示し、被害者との示談を進めていくことで、その後に逮捕される可能性を下げ、最終的な処分・判決を軽くすることを目指すことになります。

~弁護士にご相談ください~

あなたやご家族が何らかの犯罪をしたとして逮捕されたり、取調べを受けたといった場合、いつ釈放されるのか、どれくらいの刑罰を受けるのか、示談は可能なのかなど、わからないことが多くて不安だと思います。
ぜひ一度、弁護士にご相談いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では、弁護士が警察署での面会(接見)を行う初回接見サービスのご利用を、逮捕されていない事件やすでに釈放された事件では無料法律相談のご利用をお待ちしております。

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