宝くじ当選金の詐欺未遂罪で逮捕も不起訴処分
偽造された宝くじを使って1等7億円をだまし取ろうとして逮捕されたが、不起訴処分となった事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
【参考ニュース】
偽の宝くじで7億だまし取ろうとした男性が不起訴処分…検察は処分理由を明らかにせず
YAHOO!ニュース(メ〜テレ(名古屋テレビ)提供)
この事件は、1等7億円の当選番号が記載された宝くじ(偽造品)を用いて銀行で換金しようとし、偽造であることがバレて詐欺未遂の容疑で現行犯逮捕されたが、不起訴処分で終わったというものです。
最初に、今回のケースで成立しうる犯罪を確認しておきます。
逮捕容疑となった詐欺未遂罪の他、有価証券偽造罪と同行使罪にも問われる可能性があります。
刑法第246条1項
人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
第250条
この章の罪の未遂は、罰する。
まずは、本物の宝くじであるとだまして、当選金を受け取ろうとしたが未遂に終わったので、詐欺未遂罪が成立することになるでしょう。
第162条1項
行使の目的で、公債証書、官庁の証券、会社の株券その他の有価証券を偽造し、又は変造した者は、三月以上十年以下の懲役に処する。
第163条第1項
偽造若しくは変造の有価証券又は虚偽の記入がある有価証券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者は、三月以上十年以下の懲役に処する。
宝くじは株券などと同様、財産上の権利に関する券として、有価証券に該当します。
これを自ら偽造したのであれば、有価証券偽造罪が成立することになります。
また、偽造された宝くじを銀行員に見せたので、偽造有価証券行使罪も成立することになるでしょう。
~なぜ不起訴処分に?~
このように、いくつも犯罪が成立すると思われるにもかかわらず、今回の事件の被疑者は不起訴処分となりました。
そもそも不起訴処分とは何でしょうか。
検察官は一通りの捜査が終わった後、犯罪をしたと疑われている被疑者を、刑事裁判にかけるか(起訴)、かけないか(不起訴)という判断をする権限を持っています。
起訴すれば原則として刑事裁判が開かれ、有罪となれば執行猶付が付かない限り、刑罰を受けることになります。
逆に不起訴処分にすれば、刑事裁判は開かれず、前科も付かずに刑事手続きが終了します。
そもそも犯罪をやっていない、あるいは十分な証拠がないといった場合には不起訴処分となるでしょう。
また、犯罪をしたことが確実であっても、比較的軽い犯罪である・前科がない(あるいは少ない)・犯行を認めて反省している・家族の監督が望める・報道されたり職場を解雇されたりなどすでに社会的制裁を受けている・被害者がいる犯罪では賠償や示談が済んでいる・被害者が大ごとになることを望んでいない、といった事情があればあるほど、不起訴処分になる可能性は上がります。
今回は大目に見て、再起に向けたチャンスを与えるということです。
今回の宝くじの事件でどのような理由から不起訴処分となったのかはわかりませんが、上記事情などが考慮され、不起訴処分になったのだと思われます。
みなさんがご想像される以上に、不起訴処分となる例は多いです。
~弁護士へご相談ください~
不起訴処分を目指す場合、検察官に対し上記のような事情をしっかり示していく必要があります。
特に犯罪後に出来ることとしては示談を締結などが重要ですが、警察からご本人やご家族に対し、被害者の連絡先を教えてもらえないこともあります。
連絡先が分かったとしても、なんと言ってお願いしたらよいのか、示談金はいくらにしたらよいのかなど、わからないことが多いと思います。
何らかの犯罪をしてしまった場合や、していないのに疑われている場合には、ぜひ一度弁護士にご相談いただければと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
逮捕されている事件では、ご家族などから初回接見のご依頼をいただければ、拘束されている警察署等にて、ご本人に面会(接見)し、事件の内容を聴き取った上で、今後の見通しなどをご説明致します。
接見後には、接見の内容などをご家族にお伝え致しますので、それを聞いていただいた上で、正式に弁護活動を依頼するかどうかを決めていただけます。
また、逮捕されていない場合やすでに釈放された場合には、事務所での法律相談を初回無料でご利用いただけます。
ぜひお早めに0120-631-881までご連絡ください。