オヤジ狩りして強盗致傷罪の少年事件

オヤジ狩りして強盗致傷罪の少年事件

宮城県石巻市で、通行人に殴る蹴るなどの暴行を加えて現金を奪ったなどとして、宮城県警察石巻警察署は、市内に住む無職の少年4人(いずれも18歳)を、強盗致傷罪の疑いで逮捕しました。
警察によると、少年らは、中学時代の同級生で、オヤジ狩りと称して深夜に石巻市の路上で男性会社員に背後から殴りかかり、集団で殴る蹴るなどの暴力をふるって加療2か月の怪我を負わせ、現金の入った鞄を奪った疑いです。
被害者の証言や付近の防犯カメラの映像等から少年らが特定され、逮捕にいたりました。
取調べで、少年らは強盗の事実を認めています。
(事実を基にしたフィクションです。)

~強盗致傷罪~

暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した場合、強盗罪になります。
強取とは盗むということですが、盗むにあたり他人に対し暴行や脅迫を用いている点で通常の窃盗より悪質性が高いとされ、窃盗よりも重い刑罰を科されます。
今回の少年らが逮捕されている強盗致傷罪は、強盗が人を負傷させたときに成立します(刑法240条)。
強盗致傷罪は、犯人が、強盗の機会に被害者に致傷の結果を生じさせる場合が多いため、規定されました。
通常の強盗罪や窃盗罪と異なり他人の財物を守るためでなく、人の生命・身体を守るために規定された点に特色があります。
成人が強盗致傷罪を犯して有罪判決になる場合は、無期又は6年以上の懲役という法定刑の範囲内で刑事処罰が科せられることになり、非常にペナルティーが重い犯罪です。
強盗致傷罪は、例えば、脅しに使った包丁で刺したなど凶悪なケースだけではなく、盗みを働いて逃げるときに警備員などを押し倒して怪我をさせた場合などでも強盗致傷罪となります。

~罪の重い少年事件と刑事処罰~

罪を犯した者が未成年者(少年)である場合、基本的には、少年事件として、少年の健全な育成と非行に対する矯正または環境調整の観点から、刑事事件とは異なる特別な措置を講ぜられることになります。

少年事件は家庭裁判所が管轄します。
家庭裁判所では、捜査機関が収集した犯罪の証拠資料等に加えて、調査官が少年の生育環境等を調査した社会記録を考慮し、少年審判を開始する必要があるか否かを判断します。
少年審判を開いた場合には、保護観察処分に付す、児童自立支援施設や児童養護施設に送致する、または少年院に送致するといった、少年に対して適切な保護処分を行います。

ただし、少年がまったく刑事責任を負わないかというと必ずしもそうではありません。
重大事件故に、もはや少年の更生よりも処罰を優先するべきときは、成人と同じ通常の刑事手続きによることになります。
家庭裁判所は、送致された少年を調査した結果、保護処分ではなく、成人の刑事事件と同様の手続きで刑事処分を科すことが相当であるとして事件を検察官送致(いわゆる逆送)することができます(少年法第20条)。
1.少年の犯罪行為が死刑・懲役・禁錮に当たる罪について、家庭裁判所が調査の結果、その罪質や情状に照らして刑事処分が相当と認める場合
2.16歳以上の少年が故意の犯罪行為により被害者を死亡させた場合
などに、検察官送致(逆送)がなされます。

つまり、少年事件ではあっても、特に法定刑の重い犯罪については、検察官に送致されて起訴され、成人の刑事事件と同じく公開の刑事裁判によって、成人と同じく刑事責任を負うことがあり得るということです。

事例の強盗致傷罪は、無期または6年以上の懲役と法定刑が重いため、家庭裁判所から検察官へ送致される可能性が高いと思われます。
強盗致傷罪で起訴された場合、過去の量刑によれば、ほとんどの事件において実刑判決が下されているため、少年が実刑判決を受ける可能性も低くはないでしょう。

このような少年による重大事件では、国選弁護人を選任できるようになる前の段階から、刑事事件少年事件に詳しい弁護士に事件を依頼して、初期の取調べ対応から万全の準備で手続きに臨むことが重要です。
少年による強盗致傷罪など重大な事件でお困りの場合は、刑事事件少年事件の豊富なノウハウを持つ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご用命ください。
まずは、無料法律相談または初回接見サービスをご検討ください。
(宮城県石巻警察署への初回接見費用:43,200円

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