値引きシール貼り替えで詐欺罪
30代主婦のAさんは、仙台市太白区のスーパーの食料品売り場で、見切り品になっている別の惣菜から、定額で販売されている目当ての惣菜へ、勝手に「半額」シールを貼り替えて、目当ての惣菜を値引いた価格で購入しました。
店を一歩でたところで、その様子を見ていた警備員に現行犯逮捕され、引き渡された宮城県仙台南警察署にて詐欺罪の容疑で取調べを受けています。
(事実を基にしたフィクションです。)
~Aさんの行為は何罪?~
お店の商品を万引きなどで盗めば窃盗罪となることはご存知の方が多いでしょう。
さて、今回の事件でAさんは、実際の販売価格より安くはありますが、代金を支払っています。
このような場合は、どのような犯罪が成立するのでしょうか?
~値引きシール貼り替えで詐欺罪~
Aさんの行為は、詐欺罪に問われる可能性が高いです。
詐欺罪は、人を騙して財物の交付や財産上不法の利益を受けることによって成立します。
詐欺罪が成立するには、
①人を騙す(欺罔行為) ⇒
②その欺罔行為によって相手方が騙される(錯誤)⇒
③錯誤に基づいて相手方が財物、又は財産上の利益を交付する(財産的処分行為)⇒
④財物・財産上の利益の移転という
一連の流れを証明できることが必要です。
Aさんは、別の惣菜から「半額」の値引きシールを勝手に貼り替えて、不当に値引いてもらって目当ての惣菜を購入しています。
勝手に値引きシールを貼り替えた惣菜をレジの店員に渡すことが、詐欺罪における欺罔行為に当たり、受け取った店員が錯誤に陥って、実際の販売価格よりも安い金額で惣菜をAに交付した、として、Aさんには詐欺罪が成立する可能性が高いのです。
なお、似たようなケースで詐欺罪が適用される可能性が高い行為として、
・他の商品の値札を付け替えて実際の販売価格よりも安い値段で商品を購入する
・会員カードやポイントカードに不正にポイントをためて、ポイントや割引価格で商品を購入する
といった行為が挙げられます。
詐欺罪というと、オレオレ詐欺や還付金詐欺のような、被害額が高額な特殊詐欺を思い浮かべる方も多いかと思います。
しかし、今回の値引きシール貼り替えや、釣銭詐欺、無銭詐欺のように、私たちの日常生活で身近に詐欺罪が成立するケースもあります。
~詐欺罪の罰則と示談の重要性~
詐欺罪の法定刑は、「10年以下の懲役」と刑法246条で定められており、比較的重い罪であるといえます。
罰金刑が規定されていないため、略式処分になることはなく、起訴されると正式裁判となって公開の法廷での手続きが進みます。
起訴されて有罪判決となる場合は、良くて執行猶予付き判決、執行猶予が付かなければ刑務所に行くことになってしまいます。
一方、検察官が,起訴をしないという判断をした場合のことを,不起訴処分といいます。
不起訴の中には、「起訴猶予」といって、被疑事実が明白な場合において、被疑者の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の状況により訴追を必要としないときにする処分があります。
詐欺罪で罪を認めている事件で起訴猶予を目指す場合、特に、犯行後の状況に関する事項が実務的には重要とされており、特に示談が成立しているという事情が、大きく起訴猶予処分獲得に影響します。
不起訴(起訴猶予)を目指したい場合、検察官が起訴するか不起訴にするか判断する前に示談を成立させる活動が極めて重要です。
示談を成立させたい場合、加害者が被害者と直接に示談交渉を行おうとすると、拒否されたり、被害者を怖がらせたり怒らせたりしてしまって、かえって示談交渉が決裂してしまう危険性があります。
示談交渉は刑事事件に強い弁護士にまかせることで、妥当な金額での示談成立が図りやすくなります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、詐欺罪などの刑事事件に強い弁護士が無料法律相談、初回接見を行っています。
(宮城県仙台南警察署までの初回接見費用:34,800円)